著者
中野 政詩 宮崎 毅
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.47-52,a1, 1989-01-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
19

土壌中の移動物質すなわち土中ガス, 化学種等の発生源として, また化学種や水の貯留や放出を司る物体として, 土中の有機物質を位置づけ, 特に粗大有機物の分解のプロセスについて解説した。まず, 定性的なその分解の様子を概説し, 各種有機物質がその存在量に比例して分解速度を決定し, 新規投入量とのバランスの中で蓄積と消失が定量的に決められる。そして, 有機物質の蓄積が連続投与によって, やがて平衡に至り, 適切な投与量の決定が可能となることを示した。最後に有機物質の蓄積が, 団粒の形成をもたらし, 土壌化の促進を促すが, その様子について若干の事例を挙げて説明した。
著者
遅沢 省子 久保田 徹 宮崎 毅 中野 政詩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.135-142,a2, 1989-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

土壌のガス組成は, 植物根や微生物の呼吸や物理・化学反応により, 分子状酸素が消費される一方で二酸化炭素, および条件により硫化水素, メタンなどのガス状物質が生成するため大気とは異なり, また場所により不均一である。そして, ガス成分の濃度勾配を小さくする向きに生じるガス拡散, および風や雨水の浸透, 気圧の変動などによって生じるガスの対流型移動 (マス・フロー) のために, 土壌ガスはたえず動き, その組成は変動している。この2つの型の移動が土壌間隙の幾何に依存する機作は異なり, マス・フローは間隙径分布に, 拡散は拡散に有効な連続間隙の総体積と屈曲度に強く依存する。土壌-大気間のガス交換への寄与は後者が大きいと考えられる。また, 液相中のガス移動や土壌におけるガスの測定法についても述べた。
著者
宮崎 毅 中野 政詩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1225-1230,a2, 1988-12-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

土壌中の微生物の生態について, ごく初歩的な知識をまとめた。土壌による水の浄化機能など, 水循環や物質循環の中での土壌微生物の役割の重要性は, 従来から指摘されては来たが, そこにはどのようなメカニズムが働いているかについてわかりやすい説明はなかなか見出し難い。本講では, 土壌微生物の基礎知識をでき得る限り簡略に記述し, 後半において微生物の生存と増殖が間隙サイズのレベルでどのように生じているかを示す代表的なモデルとして, モルツのモデルとマクラーレンのモデルを解説した。微生物の消長と物質移動の現象も質量保存則に基づいて記述できることを示した点に, 本講の特徴がある。
著者
松田 博公
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.156-165, 2008-05-01

内外の情勢は、 日本の鍼灸界に日本鍼灸学の構築を要求しています。 日本鍼灸の特色の一つを、 自然治癒力思想を根幹とすることだと考え、 そのルーツを探るのが本発表の課題です。 現在われわれが口にする自然治癒力思想を顧みると、 それは、 中国伝統医学を継承したものではなく、 江戸中期に輸入された蘭学由来のものであるという仮説が浮かび上がります。 幕末に刊行された江戸期最大の養生書 『病家須知』 に記された<自然作用力>というキーワードに着目し、 和田啓十郎の漢方復興運動の論拠となった<自然良能>の思想などを振り返りながら、 日本の鍼灸家が親しんできた自然治癒力思想が、 西洋のヒポクラテス医学のものであることに迫ります。 そして、 江戸期の日本人がヒポクラテス医学の自然治癒力思想を受け入れた背景には、 <邪正一如>という日本独自の治癒力思想があったという仮説も提出して、 検討に供したいと思います。
著者
中野 政詩 宮崎 毅
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.693-697,a2, 1988-07-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

土中の物質移動を最適に制御することにより, 基盤整備, 農地開発, 土壌防災, 環境保全, 汚水処理, 水資源管理等の農業土木事業の効用が向上することを述べ, 必要な知識として土の実艨の理解に加えて, 移動則および保存則の適用にもとつく水の移動, 化学物質やガスの移動, さらに熱の移動と体積変化との相関を知ることの重要性を述べ, 有機物の分解や微生物活動の影響を指摘する。また, 物質移動の理解は, 土の内部での物質の分布形態を知ることと共に, 土の境界での物質の出入りを知ることが土の物質移動論と現実的な技術問題との接点として重要であると述べ, 境界の形や性質に関心と理解を向けることを強調した。
著者
塩沢 昌 宮崎 毅 中野 政詩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.791-797,a2, 1988-08-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

水が土中を地下水面に向って降下浸透するときのメカニズムについて, 水移動の基礎式の物理的性格を考察した。すなわち, 土の上層部における水移動は, サクション勾配の影響が大きい流れであり, 水分分布をなだらかに直線化するように降下するものである。一方, 土の深層部では, むしろ重力による水の流れが支配的になり, 重力項だけを用いて水分分布の解析の容易にできるものとなる。そして, 地下水面への水の到達は, 水移動における排水過程として解析することができ, それは土中水分を均一化する水の流れになる。こうして地下水涵養の物理的意義づけが明らかとなり, 砂丘地における実測と比較して検証された。
著者
溝口 勝 藤井 克己 宮崎 毅 中野 政詩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.903-909,a2, 1988-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
19

降雨あるいは潅漑などによる水の貯留後に, 重力に逆らって生じる土中水の上方移動の現象について蒸発を中心に解説した。圃場を含めた不飽和土中でみられる水の上方移動には, 土壌表面からの蒸発, 植物を通しての蒸散および土の凍結がある。これらの現象は一見全く関係がなさそうに見えるが, 前回の講座で解説された水分移動式の右辺に吸込み項を付け加えることで整理できる。本講座ではこれらの土中水の上方移動現象をこの観点から見直し, 不飽和土中で生じる水の移動を統一的に理解できるよう, やさしく解説した。

1 0 0 0 OA 大惣本の落書

著者
ミギー ディラン McGEE Dylan
出版者
名古屋大学大学院国際言語文化研究科
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03886824)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.43-61, 2013-10-28 (Released:2013-11-18)
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.899, pp.44-47, 2009-05-11

がらんとした大阪府庁舎本館の3階の一室。少し前まで、ここでは庁舎移転構想推進チームの11人がせわしなく働いていた。チームの解散に伴い、メンバーはそれぞれの所属部署へ戻りつつある。空き机を前につぶやく総務部庁舎管理課の杉原繁参事もその一人。「移転案は、長年の懸案だった庁舎問題を解決し、まちづくりにも変化を起こすという、一石二鳥を狙った妙案だったのだが…」。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.338, pp.87-91, 2001-03-19

「使いもしないドメイン名をなぜ取らなければならないのか。インターネットの技術や運用制度の未熟さのために余計な手間と費用が発生している」—。ある大手企業の知的財産権担当者はこう嘆く。 多くの企業は今,ドメイン名の扱いに頭を悩ませている。社名やブランド名を表す文字列を第三者が先取りするのを防ぐため,使う予定がないドメイン名まで登録しなければならないからだ。
著者
牧野 淳一郎
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.277-287, 1998-12-15
被引用文献数
1

I overview the Fast Multipole Method (FMM) and the Barnes-Hut tree method. These algorithms evaluate mutual gravitational interaction between N particles in O(N) or O(N log N) times, respectively. I present basic algorithms as well as recent developments, such as Anderson's method of using Poisson's formula, the use of FFT, and other optimization techniques. I also summarize the current states of two algorithms. Though FMM with O(N) scaling is theoretically preferred over O(N log N) tree method, comparisons of existing implementations proved otherwise. This result is not surprizing, since the calculation cost of FMM scales as O(Np^2) where p is the order of expansion, while that of the tree method scales as O(N log Np).
著者
橋本 麿美
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.215-231, 2015-12-31

本稿の目的は,1996年から2015年の間に実施された連邦図書館政策の動向を明らかにすることである。図書館サービス技術法(LSTA)を含む1996年博物館図書館サービス法(MLSA),2003年改正法,2010年改正法を対象に(1)改正法案の成立過程,(2)LSTAの改正内容,(3)実施機関である博物館図書館サービス機構(IMLS)の役割の変化を分析した。その結果,第一にMLSAの改正法案は,図書館界の提案内容が反映されており,議会において短期間で成立したこと,第二にLSTAの目的は「統合」から「連携」へと変容し,館種間での資料共有や情報へのアクセス支援が進められ,また教育,労働政策分野等との連携協力への取り組みが増加したこと,第三に連邦政府の図書館政策に関与する組織の再編が進められ,補助金交付,政策助言,統計業務がIMLSに集約されたことが明らかになった。
著者
大貫 繁雄 安達 三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

SEPAC(Space Experiments with Particle Accelerators)の再実験が,スペースシャトル・アトランティスで1992年3月末に行われた.この実験では主に人工オーロラの励起と変調電子ビーム放出の実験が行われた.変調電子ビームの実験は,変調周波数0.05〜7.04kHz,パルス幅0.1sec,最大電力1.4kWで行われ,日本上空をスペースシャトルは1度通過し,そのとき変調電子ビームの放出が行われた.また国内の6カ所(札幌,金沢他)でVLF波の観測が行われた.しかしながら6カ所の観測所において,変調電子ビームによるVLF波の信号は観測されなかった.SEPACの再実験では,変調周波数が低域ハイブリッド周波数,ω_<LHR>近傍で行われたが,VLF波の信号は地上において観測されず,電子ビーム速度,変調周波数などの実験条件にいくつかの問題点が残された.本報告ではこれらに対する二,三の検討を行ったので,その結果について述べる.
著者
野中 尚輝 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

インターネット上には多くのユーザレビューが投稿されており、これらは潜在的な消費者意識を表していると考えられる。これらユーザレビュー情報を利用し、類似製品のクラスタリングを行い、クラスタごとにモデルを構築する(提案手法)ことで、予測精度が向上することを示す。本研究ではオンライン上の自動車に関するレビューを用いて、自動車の売り上げ予測を行う。
著者
稲水 伸行
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.4-14, 2013-09-20 (Released:2014-02-06)
参考文献数
20
被引用文献数
1

近年,オープン化と自由席化をしたオフィスの導入が進んでいるが,組織パフォーマンスへの効果やプライバシー,縄張り意識などの観点で議論されてきた.本稿で取り上げる日本マイクロソフト社の品川オフィスでは,⑴多様な空間づくり,⑵柔軟な制度運用,⑶コミュニケーション手段の統合,の3つの特徴によりコミュニケーションの活性化が図られており,この種のオフィスの導入と運用への示唆を与えてくれる.

1 0 0 0 OA 養蚕唱歌

著者
矢嶋昭策 著
出版者
盛広堂[ほか]
巻号頁・発行日
1911