- 著者
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高田 靖司
- 出版者
- 日本哺乳類学会
- 雑誌
- 哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.3, pp.109-115, 1983-03-25 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 21
名古屋市緑区の農地に散在する休耕地において, 小哺乳類の記号放逐試験と捕殺を行なった。採集された小哺乳類はアカネズミ, ハツカネズミ, カヤネズミ, ジネズミおよびコウベモグラであった。そのうちで, アカネズミとハツカネズミは個体数が多く, 優占的にみられた。アカネズミ, ハツカネズミおよびカヤネズミは, 相互の分布の重複が少なく, 互いに排他的であることが示された。すなわち, アカネズミはセイタカアワダチソウ, ススキやヨシなど草丈が高く, 下草の豊富な草地を選択していたが, ハツカネズミはイヌムギ, エノコログサ, ヌカキビなど草丈の低いイネ科1年草の草地に強く結びついていた。これに対して, カヤネズミは特定の群落との結びつきが前2者程明確でなかった。