著者
小川 裕子 矢ノ下 良平 辻本 雅文 後藤 芳邦 池本 守 秋元 義弘 三浦 ゆり 粂田 奈宝子
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

免疫関連タンパク質のDPP IV、IgA、唾液タンパク質のムチン5B、口腔内細菌由来のLPSは、ヒト唾液由来エキソソーム表面に緩く相互作用している。これら表面分子のうちムチン5Bは消化酵素で分解され、IgAおよびLPSの大部分はゲルろ過クロマトグラフィーによりエキソソーム表面から剥がれるが、一部は強固に結合していた。表面分子を除去したエキソソームはマクロファージからのNO産生を増強させた。本作用には膜貫通タンパク質であるDPP IVがLPSと協調している可能性を見いだした。唾液由来の粘膜免疫エキソソームは口腔内では免疫系の過剰な活性化を抑制し、消化管内では免疫系の活性化に関与する可能性がある。
著者
筧 菜奈子
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.109-120, 2014-06-30 (Released:2017-05-22)

This paper considers the influence from Oriental Calligraphy in Jackson Pollock's (1912-1956) "black paintings". The Black paintings are the series of monochromes that Pollock produced from 1951 to 53. In these works, Pollock bled the ink on canvas. By these features, it has been considered that Pollock was influenced by Calligraphy. But Clement Greenberg, who is influential in the study of Pollock, eliminated the influence from Oriental art in Pollock's works. And his purpose is to present Pollock as a legitimate successor of European modernism. Therefore no one proved it clearly. However, in fact, there were many artists that were interested in Calligraphy around Pollock. Then, Pollock possessed some books about Oriental culture, and used tools of Calligraphy. Therefore Pollock was surely influenced by Calligraphy. Moreover, this Paper pointed out that Pollock often depicted letters. In the black paintings, Pollock also depicted the pictographic images that he had already painted before. The reason that Pollock was influenced by calligraphy may come from such concern about letters. Thus, adopting a style of Calligraphy, Pollock created a new way that could depict the past pictographic images in the black paintings.
著者
宮崎 有紀子 佐藤 由美 大野 絢子
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.261-266, 2002-07-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16

【背景・目的】室内環境の清潔保持は, 健康な生活を営むために重要である.その方策を立てるため, 室内の塵埃量やダニ抗原量の季節変動, 床材の種類とコナダニ(ダニ)数, 適切な塵埃除去等を検討した.【対象と方法】室内の塵埃量とダニ抗原量の測定は, 電気掃除機及びACAREX testによって行い, 塵埃中のダニ数測定は実体顕微鏡によって行った.【結果】室内塵埃量は冬季から春季にかけて増加し, 塵埃中のダニ抗原量は秋期に増加した.ダニは絨毯敷き詰めの部屋に多くみられ, 板敷きでも清掃しない部屋には多かった.電気掃除機による塵埃除去効率は, 床材の種類で大きく異なり, また掃除機の使用法が塵埃除去効率をあげるために重要と思われた.【結語】室内の清潔を保つためには, 塵埃やダニ抗原量を減らすことが重要である.今回得られたデータを活用した環境整備マニュアルを作成し, 学生や地域住民に対する環境整備教育に使用する予定である.
出版者
帝国図書館
巻号頁・発行日
1939
著者
川上 昌直
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.18-28, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
24

本誌 Vol. 41, No. 4(2022 年3 月31 日発行)pp. 18–28 に掲載された本論文を,撤回させていただきます。 取り下げ理由 読者より,本論文が著者による著書(川上昌直(2021).『収益多様化の戦略 ― 既存事業を変えるマネタイズの新しいロジック ―』東洋経済新報社,2021年11月26日発行)からの自己剽窃,および同著書との二重投稿であるという指摘を受けた。本誌投稿規程に則り,編集委員長が,出版倫理委員会(COPE)のフローチャートに基づき,調査を進めた。著者からは,2022年以降に発行する予定であった同著書の発行が事情により早まったために生じた問題であり,指摘内容を認め、論文を撤回したいという回答を得た。編集委員長は,検討の結果,その裁量により,本論文の撤回を決定した。
著者
田村 英夫 穂積 啓一郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.149-155, 1971-02-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

ガスクロマトグラムで定量分析を行なう場合,装置がいかに正常に働き,正確なクロマトグラムが記録紙に描かれたとしても,自動積分計以外の方法で面積評価を行なうとクロマトグラムのピークの形が測定に適した条件を備えていないとあまりよい結果が期待できない.著者らは従来のマニアルな面積評価法より比較的簡単で再現精度のよい新方法を考案した.本法はクロマトグラムのピーク立ち上がり点からピーク頂点までの所要時間tとピークの高さhをパラメーターとするものであり,面積はh×tとして評価する.マニアルないろいろの方法による面積評価と成分量の関係を求め,これから最小二乗法による回帰直線を算出し,回帰直線からのばらつきを標準偏差として計算すると本法が最もすぐれた結果を与えた.同一操作条件においては,クロマトグラムのピークパターンは成分量により影響されないことから,h×tの値が成分量に比例することについて考察を行なった.またクロマトグラムのピークの曲線は簡単に正規分布,あるいはポアソン分布曲線として取り扱われることが多いが,著者らはそれらの分布曲線より,むしろLevenspielによる混合拡散モデルのほうが種々のピークに正確に一致することを確認した.本法は作図による面積測定の困難なシャープなピークからテーリングピークまで比較的広い範囲にわたって適用でき,将来は簡単な電子タイマーを用いる自動計測も可能である.
著者
松本 篤
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.92-95, 2022-05-06 (Released:2022-07-04)

誰かが残した「私」の記録。その価値に着目したアーカイブづくりに取り組むプロジェクト・AHA!は、大地震から10年目の節目に開催される展覧会の企画を依頼される。筆者は準備の過程で、仙台市の沿岸部に暮らすかおりさん(仮名)と出会う。彼女は、初めての出産を経験した2010年6月11日から育児日記をつけ続けていた。1000年に一度といわれる大災害の経験を、たった1人の育児の記録と記憶から捉え直す。そんな展覧会『わたしは思い出す』は、どのように企画されたのか。本展の着想から開催に至るまでのプロセスをたどりながら、メモリアルとは何か、記憶の継承とは何か、忘却とは何かを問い直す。
著者
階戸 照雄 加藤 孝治
出版者
日仏経営学会
雑誌
日仏経営学会誌 (ISSN:09151206)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.14-30, 2020 (Released:2020-07-21)
参考文献数
14

現在、わが国の食品輸出は順調に拡大を続け、2020年度には1兆円を上回る勢いである。個別の食品を見ると、伝統的な加工食品の伸びが高いが、その中でも日本酒の伸びは高い。その一方で、輸出が拡大するにつれ、問題も明らかになってきた。本稿では、さらなる拡大を実現するために、ワインのグローバリゼーションの歴史やマーケティング手法などが参考に考えると、ワインに比べて製造手法が複雑であることや認知度向上のためのマーケティングを工夫することが必要であることがわかる。その一方で、作り手である酒蔵の多くはファミリービジネスであるが、廃業が増えていることも大きな問題である。今後の輸出拡大のためには、海外でのマーケティングに加えて、地方に多い酒蔵の事業継続に向けた活性化の取組が求められよう。
著者
岡田 重文 森川 尚威 佐藤 幸男 土屋 武彦 酒井 一夫 二階堂 修
出版者
京都大学
雑誌
エネルギー特別研究(核融合)
巻号頁・発行日
1985

本計画研究は、トリチウム各種化学形の中、ヒトに最も取り込まれ易く、障害の主役と考えられるトリチウム水に絞り、それによる障害の研究をヒトを念頭におきながら推進しようとするもので、本年度は3ケ年計画の第2年度となる。1.トリチウム安全取り扱い法:トリチウム実験においてインベントリィ(回収トリチウム/使用トリチウム比)を取るには手間がかかるが、システムさえ作ればルーチンで行え、トリチウムのR工管理の鼎ともなる。トリチウム水の廃棄は、コンクリート・バーミキュライトによる固化法を開発し始めた。2.障害のメカニズムの研究:トリチウム水による細胞死のRBEはDNAの修復不能切断で説明できそうである。ハムスター胚細胞のがん化及びそのRBEは、染色体異常中の染色体異数性(トリソミイ、モノソミイ)と関連を示している。低濃度トリチウムによる前処理はハムスター細胞を放射線誘発SCE、小核形成に対し修復系を活性化し低抗性にする。マウス個体ではトリチウム水前処理により、免疫能の増加が見られた。3.RBE:ヒト細胞;繊維芽細胞、1.4,甲状線細胞、1.7-2,末梢血淋巴球では線量率依存性を示し1.8-4以上。個体のRBEについては雌マウスで、卵母細胞が線量率依存性を示し1.1-3以上、胞胚形成、胎盤形成及び胎児形成の障害のRBEはいづれも約1、ラットの奇形発生では、1.3-3以上。4.進捗中の研究・マウスのトリチウム水およびガンマ線による発癌実験では早期に胸線型淋巴性白血病が発生、後期になると9種類以上の固形腫瘍が見つかっている。放射線治療患者で末梢血中で、赤血球系幹細胞BFU-Eの減少が見出され、これは将来ヒト障害のモニターとなるかもしれない。

5 0 0 0 OA 釣り方図解

著者
上田尚 著
出版者
文化生活研究会
巻号頁・発行日
vol.第3集, 1926
著者
庄木 裕樹 田邉 康彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.11, pp.11_12-11_22, 2009-12-01 (Released:2011-06-02)
参考文献数
25

無線通信システムは,通信速度の高速化への要求とその実現によって発展してきた.そして,現在も,更なる高速化を目指して,研究開発や標準化が進められている.では,今後,どこまで高速化されるのか? 高速化できるのか? 本論文では,無線通信の更なる高速化に対する要求とその可能性について探る.
著者
坂本 剛 野波 寛 蘇米雅 哈斯額尓敦 大友 章司 田代 豊
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.51-62, 2017 (Released:2017-09-07)
参考文献数
44

本研究は,自然資源の管理政策への協力意図に影響を及ぼす要因の効果を明らかにすることを目的として,資源と直接的な関わりの深い地域の住民と比較的関わりの浅い都市の住民による政策への協力意図に至る心理的過程を比較検討する。中国・内モンゴルの牧畜地域の草原管理を事例として,管理政策への協力意図に対して,手続き的公正感,信用度,法規性が与える影響を分析するために,全住民が牧畜に従事するA村(n=146)と大都市のフフホト市(n=262)で調査を行った。信用度から協力意図への影響は地域住民に顕著に見られる一方で,都市住民は草原管理に関わる行政の法規性を高く評価している場合,手続き的公正感による影響が減じられる「法規性の干渉効果」を示した。法規性の干渉効果について,主に法規性が偏重されることの弊害に注目をして考察を行った。社会的ガバナンスの前提となる多様なアクターの参加という条件のもとでは,結果的に,社会の多数派によって行政が持つ単一の価値のみが重視されるというパラドックスが発生する危険性が指摘された。
著者
飯塚 隼光 古井 健太郎
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.40-52, 2022 (Released:2022-09-03)
参考文献数
13

本研究の目的は管理会計不在の研究を入り口として,管理会計がないと思われるような中小製造企業の事例をもとにシンプルな管理会計のあり方について考察することにある。事例企業における管理会計実践を分析し,なぜ管理会計がシンプル足りうるのかを提示するとともに,今後の研究の方向性を提示する。