著者
今関 敏子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.166-154, 2004-03-15

『建礼門院右京大夫集』には、睡眠時にみた夢の記述が2例しかない。一方、現実の儚さ、信じ難さを「夢」に譬える用例は多い。夢はいずれも時間認識と連関する。時間は通常、流れるものと認識される。しかし、源平の争乱、平家滅亡、愛する人の死という、大きな喪失体験は、時間認識を変えてしまう。夢としか観じようのない喪失を境に、時間は「昔」と「今」に分断されて捉えられる。このような認識では、たとえば、『更級日記』のような夢の記述はなされにくい。時間認識の分断を齎した喪失に対して、夢の比喩が盛んに用いられる。また、睡眠時の夢の2例の記述は、作品の主題である「愛と死」を象徴する。
著者
鈴木 守
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.90-102, 2007-06-20

本稿では,NEA・ALA合同委員会が,1941年に出版された研究報告書Schools and Public Librariesに掲載された「学校図書館サービスの原則」において,学校図書館サービスを教育委員会の責任とする原則を表明した過程を明らかにするために,NEA・ALA合同委員会の関連文書を調査すると共に,Schools and Public Librariesとその原稿の内容の比較検討を行った。NEA・ALA合同委員会は,公共図書館との活動の重複を根拠とした学校図書館の必要性に対する疑問や学校図書館サービスの責任の所在に関する議論に対して,学校と公共図書館の関係と学校図書館の基本原理を明らかにするための研究を計画した。合同委員会は,学校図書館が公共図書館との重複ではなく,学校の教育計画の不可欠な要素と位置付け,学校図書館サービスにおける教育委員会の役割と責任を明確にした。
著者
西 貞夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.24-32, 1982-04-20
著者
古屋 恵太
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.13-25, 2013-03-31

近年、大恐慌期以前のデューイの思想に、現代における「集合的知性」論のルーツを求める動きが見られる。本稿が目的とするのは、集産主義の時代、すなわち、1930年代のデューイの政治的著作を中心的に取り上げることで、この時代にこそ明言されたデューイの「集合的知性」の特性を導出することである。本稿では、デューイが政策や制度としての集産主義を、「集合的」なものを哲学的に思考する砥石とし、科学的探求者の協働や、人間の協働の具現化たる人工物に「集合的知性」を見出したことが論じられる。
著者
安田 彰
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

デジタル直接駆動型スピーカを実現するにあたり必要な基礎的データの収集のための電気一音響変換素子(圧電素子)単体の特性を評価し、複数の電気一音響変換素子を用いた場合を鑑み、圧電素子の特性ばらつきの評価を行った。圧電素子を駆動するためのデジタル信号処理部をFPGAによる実装を行い,圧電素子の特性を考慮したドライバをCMOSデバイスで実現し,この評価を行った.この結果,従来に比較して提案するデジタル信号直接駆動型スピーカは低歪み特性を実現出来ることが確認された.●電気-音響変換素子圧電素子(圧電スピーカ)の基本特性の評価:周波数特性:圧電素子単体は平坦で良好な周波数特性を示したが、200Hz以下の低周波領域では音圧の低下が観測された,また,複数の素子間では10%以上の特性のばらつきが観測された.歪み特性:圧電素子は非線形特性を有するため歪みの発生が問題なる。高調波歪み特性の実験から比較的高い歪み率32%(3次歪み)が測定された。圧電素子をそのままアナログ駆動する場合には、歪みの影響を低減する方法が必要となる。●デジタル直接駆動スピーカの高性能化の検討ノイズシェーピング・ダイナミックエレメント・マッチング法(NSDEM)の検討:デジタル直接駆動型スピーカに適したNSDEMの実現方法検討を行い,この特性をシミュレーションにより確認した,また,これに基づき論理回路設計を行い,論理合成したもののシミュレーション,検証、FPGAへの実装を行った.このFPGAの評価から,従来方法と比較して20%以上小さいハード規模でNSDEMを実現出来ることを実証した.●提案するデジタル直接駆動型スピーカの総合評価FPGAを用いた駆動回路および高速圧電素子ドライバ回路に複数の圧電素子で構成した電気一音響変換器を接続した場合の総合特性の評価:サイン波を:入力した場合の特性を評価した.その結果,平面板にサブスピーカを配置した場合,それぞれのサブスピーカは,そのユニットのばらつきおよび配置によりサブスピーカ自体の特性にばらつきが生じるが,NSDEMの効果によりその影響が低減され,歪み率2%以下の良好な特性が実現されていることを実験により確認した.
著者
熊野 直樹
出版者
学士会
雑誌
学士会会報
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3, pp.127-132, 2006-05
著者
笠根 岳 岡田 美緒 遠藤 英明 任 恵峰
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.826-835, 2015 (Released:2015-10-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1

かつお節加工残滓を安全かつ有効に利用する研究の一環として,まず加工残滓の熱水抽出液に PAHs を合計 3217 μg/L 添加したモデル試料の活性炭による PAHs 最適除去条件を有用成分への影響も考慮しつつ検討した。その結果,PAHs 除去率は最大 99.6% であったが,活性炭の種類による影響が大きかった。続いて,市販品の黒粉 2 種を熱水,エタノール,酢酸エチルで抽出し,PAHs 浸出量を分析した。エタノール抽出で PAHs が最大 12823 μg/L 浸出し,市販品にも高濃度の PAHs が含まれていることが分かった。
著者
末松 宗雄
出版者
社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械學會誌 (ISSN:18838715)
巻号頁・発行日
vol.11, no.8, pp.553-557, 1958-08-01 (Released:2009-10-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

研究目的糸の粘弾性体として波動方程式より動粘性係数, 弾性係数の張力および撚数に対する変化を実験的に求めた.研究結果糸へ縦波の進行波を加えて進行波の速度と減衰率より動的粘性係数および弾性係数を求めて(1) 進行波の速度は張力により大きくなる.(2) 進行波の減衰率は張力により小さくなる.(3) 生糸においては張力速度曲線, 張力減衰率曲線は撚数に岡係なく相似の曲線である.という結果を得た.
著者
津田均
雑誌
精神医学
巻号頁・発行日
vol.35, pp.703-712, 1993
被引用文献数
3