著者
玉井 一 松林 直
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

甲状腺悪性リンパ腫と橋本病は密接な関係にあると言われているが、その治療や予後は異なっている。その発症要因を研究し、早期発見を行うことは重要である。1.甲状腺悪性リンパ腫とHLAとの関係 甲状腺悪性リンパ腫と診断した23例についてHLA class【I】抗原,class【II】抗原について検索したが、正常人の分布と有意差はなく、特定のHLA抗原と甲状腺悪性リンパ腫の関係は見いだせなかった。2.甲状腺悪性リンパ腫,橋本病とEpstein Brr Virus(EBV)関連抗体との関係。14例の甲状腺悪性リンパ腫と年鈴を一致された同数例の橋本病についてEBVCA,EBEA,EBNA抗体について検索した結果、両疾患の全例がEBVCA抗体の陽性を示したが、EBEA抗体,EBNA抗体の陽性は甲状腺悪性リンパ腫でそれぞれ5例,10例,橋本病での陽性はそれぞれ2例,6例であり、甲状腺悪性リンパ腫で有意にEBNA抗体価が高値を示した。(P<0.05)3.甲状腺悪性リンパ腫,橋本病でのM蛋白血症検出の意義。 初診時、橋本病と考えられた681例について、血清蛋白電気泳動を実施した。681例にはその後の吸引細胞診や針生検等で1例の甲状腺前リンパ腺と13例の甲状腺悪性リンパ腫を含むことが判明し、残りの667例を橋本病と診断した。M蛋白血症は橋本病5例(0.7%),甲状腺リンパ腺1例と、甲状腺悪性リンパ腫3例(23.1%)に認め、更に甲状腺内M蛋白の検索を行ったところ、後2者では甲状腺にその存在を認めたが、橋本病では認めず、甲状腺悪性リンパ腫にM蛋白血症を有意にその検出頻度が高く(P<0.001)、その起源が甲状腺であることを証明した。
著者
ツァガーン バイガルマ 清水 昭伸 小畑 秀文 宮川 国久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.140-148, 2002-01-01
被引用文献数
16

本論文では, 3次元可変形状モデルを用いた腹部CT像からの腎臓領域の抽出法を提案する.この方法は, 適当な位置に配置した初期モデルを連続的に変形させて目的の輪郭面を抽出するが, 今回は特に輪郭形状の平均やばらつき, 及び, 近傍の輪郭曲面との相関を考慮して変形を行う手法を提案する.具体的には, モデル曲面上の主曲率に注目し, その平均値と分散, 更に, 近傍の曲面との共分散を用いて変形する手法を開発した.本文では, 提案手法を実際の3次元腹部CT像からの腎臓領域抽出問題に適用した結果を示し, 本手法の有効性について議論する.
著者
富山 光広 加藤 紘之 大野 耕一 奥芝 知郎 佐藤 正文 田辺 達三
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.2291-2300, 1992-09-01
被引用文献数
7

動脈-門脈シャント術の併用が,肝動脈遮断によって生ずる肝不全を回避しうるか否かを実験的に検討した.雑種成犬を用い,肝への動脈性血行をすべて結紮する肝動脈遮断群(n=5)と,切離した肝動脈を門脈に直接吻合する動脈-門脈シャント群(n=5)の2群を作成し,肝血行動態,肝酸素需給動態および肝生化学的変化について検討を加えた.その結果,肝動脈遮断群では6時間後に総肝血流量は55%,肝酸素供給量は43%に減少し,門脈血管抵抗は250%にまで上昇した.これに対しシャント群では,それぞれ120%,108%,70%と肝動脈遮断下にもかかわらず術前の状態を良く維持していた.総胆汁酸濃度,GOT.GPTは,シャント群で低値を示した.また動脈血中ケトン体分画比はシャント群の方が高かった.以上の結果から動脈-門脈シャント手術は肝動脈遮断後の肝血流量と酸素供給量を維持し,肝不全予防に有用であると考えられた.
著者
村山 航
出版者
高知工科大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本年度は,昨年度作成したトリビアクイズ課題・マジックショー課題を用いて,機能的磁気共鳴画像法によって,知的好奇心の脳内基盤を調べることが目的であった。この実験では,トリビアクイズやマジックショー課題をスキャナ内で被験者(大学生)に提示し,クイズの答えやマジックのタネをどれくらい知りたいかを,意思決定課題を用いて調べた。この意思決定課題の反応を用いて,知的好奇心に関わる脳内部位を知ることが可能になる。この実験では,こうした知的好奇心を掻き立てる刺激だけでなく,食べ物の写真も提示し,外発的な報酬(動機づけ)に関わる脳部位も調べることで,この両者の脳内表象が重なっているかをしているかを調べることも可能になる。実験の結果,知的好奇心も外発的な報酬(食べ物)も,線条体という脳内の報酬系によって支えられていることが明らかになった。一方,意外なことに,知的好奇心特有,もしくは外発的な報酬に特有の脳部位は,現在までの分析では得られていない。このメインの結果は,現在論文を執筆中である。こうしたメインの脳イメージング実験に加え,いくつかの実験や文献レビューを行い,知的好奇心の心的メカニズムに関して,いくつもの系統的な検討を行った。たとえば,文献レビューの1つでは,知的好奇心が脳内の報酬系を活性化させることで,生活における適応的な自己制御を促進することを明らかにし,研究論文として出版された。また,別の行動実験では,こうした外的報酬と内発的報酬のダイナミクスに関して,人間は不十分な理解しかないため,自己制御的行動に不順が生じる可能性を示唆した。
著者
細谷 誠
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

(1)PENDRED症候群特異的iPS細胞の樹立:PENDRED症候群患者3症例から採血を行い疾患特異的iPS細胞を樹立した(2)内耳PENDRIN陽性細胞の誘導法の確立:これまでに内耳PENDRIN陽性細胞の誘導方法は知られていなかった。今回、新規誘導法を樹立し、iPS細胞から内耳前駆細胞マーカー陽性細胞を経て内耳細胞特異的マーカーおよびPENDRED症候群の原因遺伝子であるPENDRINの発現を示す内耳PENDRIN陽性細胞の誘導法を確立した。誘導法の効率化も行いほぼ100%の細胞でPENDRINを発現する高効率誘導法の確立にも成功した。(3)疾患iPS細胞から誘導した内耳PENDRIN陽性細胞と、正常コントロールラインから誘導した内耳PENDRIN陽性細胞の細胞生物学的特性の比較:疾患iPS細胞から誘導した内耳PENDRIN陽性細胞と正常コントロールラインから誘導した内耳PENDRIN陽性細胞の細胞生物学的特性の比較を行い、ストレス脆弱性を疾患iPS細胞から誘導した内耳PENDRIN陽性細胞では示すことを発見した。(4)疾患iPS細胞におけるゲノム編集技術を用いた遺伝子変異修復:疾患iPS細胞に対してTALENを用いてゲノム編集(遺伝子修復)を行い、H723R homo 変異ラインにおいて、1アリルのみ正常化したラインおよび2アリルとも正常化されたラインの樹立に成功した。前述の疾患細胞由来の内耳細胞にのみみられるストレス脆弱性は遺伝子修復により軽減されることを確認した。(5)疾患iPS細胞から誘導した内耳PENDRIN陽性細胞におけるストレス脆弱性をターゲットとした薬剤スクリーニング系の構築とそれを利用した既存薬スクリーニングの実施:疾患細胞由来の内耳細胞にのみみられるストレス脆弱性を評価対象とし、既存薬スクリーニングを行いストレス脆弱性を軽減する薬剤の同定に成功。
著者
福島 秋穂
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.1-13, 1972-06-20
著者
毛利 三彌
出版者
成城大学
雑誌
美學美術史論集 (ISSN:09132465)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.3-67, 1992-03
著者
仙波 浩幸 八木 幸一 清水 和彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G4P2315-G4P2315, 2010

【目的】臨床実習IIは理学療法専攻学生にとって、学外のそれぞれの実習地で、3週間という長期にわたり、同級生と離れて実践し、医療専門職、社会人として対象者と向かい合わなければならない。3週間の臨床実習IIにおける学生の生活情報、精神心理面の情報を収集分析し、学生の主観的満足度、主観的達成度に影響を及ぼす要因を明らかにして、有意義な臨床実習の遂行ができるように、臨床実習指導者及び教員が、精神心理状況も配慮した指導ができるための知見を獲得することを目的とした。<BR>【方法】対象は本学1期生62名(男子42名、女子20名、現役55名、1,2浪7名)である。平成21年2~3月の3週間にわたり実施した3年次臨床実習IIを分析対象とした。データ収集は、臨床実習開始前、臨床実習終了時にオリジナルな質問紙法により収集した。基本情報は、現役浪人区分、通学時間、家族同居有無、同級生との連絡頻度、学内学業成績5分位、1日の帰宅後の学習時間、主観的余裕度、課題量、指導者との人間関係、患者との人間関係、全般的満足度、全般的達成度である。全般的な精神健康度はGeneral Health Questionnaire (GHQ-12)、睡眠状態はPittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)、抑うつ状況はZung Self-rating Depression Scale (SDS)を使用した。<BR>【説明と同意】本研究開始にあたり、対象学生に対し、本研究の目的、意義について説明会を開催し文書による承諾を得て実施した。<BR>【結果】主観的満足度は70.7±18.5%であった。また、主観的達成度は59.1±16.7%であった。<BR>1)主観的満足度に影響を与える因子(単相関、P<0.05 *:P<0.01)終了時うつ状態(r= -0.45)*、開始時導眠時間(r= -0.28)、指導者との人間関係(r= 0.46)*、状態不安(r= -0.26)、実習成績(r= 0.38)*、主観的達成度(r= 0.63)*;2)主観的達成度に影響を与える因子(単相関、P<0.05 *:P<0.01)主観的余裕(r= -0.29)、課題困難度(r= -0.27)、終了時うつ状態(r= -0.38)*、開始時導眠時間(r= -0.38)*、指導者との人間関係(r= 0.30)、実習成績(r= 0.31)、主観的満足度(r= 0.63)*;3)主観的満足度に影響を与える因子(重相関・ステップワイズ、P<0.05)、指導者との関係が良好なこと(t=3.0)、うつ状態が低いこと(t=-2.6);4)主観的達成度に影響を与える因子(重相関・ステップワイズ、P<0.05)、指導者との関係が良好なこと(t=2.2)、うつ状態が低いこと(t=-2.1)<BR>【考察】 学生の臨床実習における主観的満足度、主観的達成度は、臨床実習指導者との良好な関係、うつ状態が大きな影響を与えている。臨床実習指導者との良好な関係には、経済産業省が提唱する社会人基礎力(基礎学力、コミュニケーション能力、積極性、問題解決力など)という社会人として活躍するために必要な能力の要素が内包していると考えられる。 社会人基礎力は、学生の臨床実習指導者との人間関係自己評価、臨床実習指導者の総合評価に集約されていると考える。また、もう一つの重要な側面である精神的健康度としてうつ状態の評価が重要である。以上より臨床実習の遂行には、基礎学力、社会性、精神的健康度のいずれも良好であることが欠くことができない条件であり、学生の自己評価として主観的満足度、主観的達成度の評価に現れていると考える。このことが、教員、臨床実習指導者ともに留意して指導にあたる必要がある。<BR>【理学療法学研究としての意義】学生の主観的満足度、主観的達成度は、社会人基礎力、精神的健康度が大きく関与しており、臨床実習の鍵を握っている。この点を教員、臨床実習指導者ともに留意すべきであり、個々の学生に応じた目標設定や対応が重要であることを客観的に明らかにした。
著者
磯本 征雄 森田 一興
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.593-598, 1972-09-15

Generally, it is very difficult to discuss about the reliability of library subprograms made for the scientific calculation. Almost all subprograms are written in the FORTRAN language. But, at present, many people use the library subprograms which were made by the other people. Therefore, it has got necessary to know about not only the efficiency, but also the accuracy and the reliability of the subprograms. In this paper, we show one of the methods to check the reliability of the subprogram for linear equations. Here, it is the main purpose to show the method to check the behavior of the subprogram around the ill-conditional problems. In this method, it is possible to check one of the reliability of the subprogram of linear equations in a certain norm, disregarding the details of the algorithm.