著者
矢守 恭子 田中 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.2041-2052, 2003-10-01
被引用文献数
19

近年,インターネットなどを用いたコンテンツ配信サービスが新たなビジネスとして注目されている.このようなデータ配信では,優先制御を行うことにより,データの待ち時間が異なる複数クラスを設けるサービスが考えられる.ユーザ全体の効用は,優先制御するクラス数やクラスごとの呼量の割合によって変化すると予想される.そこで,本論文では,優先制御を用いたデータ転送における待ち時間とユーザ効用の関係を,効用速度関数を用いて定量化し,優先クラスを設けた場合の各クラス呼量の割合とユーザ全体の効用最大化について検討した.そして,効用最大化のための条件をデータ転送の方式やユーザ効用の速度関数ごとに解析し,数値例より最適な回線能率を示した.その結果,単一クラスよりも複数クラスを設け優先制御を行う方が,ユーザ全体の効用が増加することが明らかとなった.また,優先制御を用いた場合,回線能率100%で効用最大とはならず,少し回線の空いているときの方が効用最大となることがわかった.
著者
高岡 詠子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.162-165, 2013-01-15

アイルランド国立大学ゴールウェイ校で行われたComputing Summer Schoolを見学してきたのでその報告を行う.今年で3年目というこのプログラム,Discipline of Information Technologyのスタッフにより運営されている.1回のコースには12歳から16歳の生徒が40名参加し,2名の教員と5名のTA(メンタ)が常駐する.スクラッチ,レゴ,モデリング,Flashなどのプログラミングを経験し,最終日はそれぞれのテーマから好きなものを選んで作品作り&発表を行っていた.
著者
大野木 裕明
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間生活学部篇 (ISSN:21853363)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.53-61, 2009-12-30
被引用文献数
1

親子間の心理的離乳に関して2つの研究を行った.研究1では親子間の心理的離乳と心理的距離の定義・測定方法を文献的に検討し次の結果を得た.1)心理的離乳と心理的距離は非常に似た概念として扱われ概念上の区別を明確にした研究は見出されなかった.2)心理的離乳の過程のうち自立や尊敬・軽蔑といった心理面を心理的距離の語によって表現する研究がいくつか見出された.研究2では女子青年301名に対して質問紙調査を実施し次のような結果を得た.3)親子間の呼称変化の時期は中学生かあるいは変化しないという2極化傾向にあった.4)呼称変化に関する自由記述から反抗期,お互いの照れ,対等の大人,他者の目・暗黙の圧力・世間体,気分・対人的スキル,間合い・距離感の6つの呼称変化の理由が得られた.5)心理的離乳に関する自由記述には,好意,嫌悪,親密,疎遠,尊敬,軽蔑,既知,未知,関心,無関心,依存,独立,信頼,不信などの語が多く書かれていた.これにより,西平(1990),落合(1995)らの心理学的離乳の仮説が,本調査の回答者の素朴な記述と概ね矛盾しないことが確認された.6)時間的距離(時間間隔),空間的距離,心理的距離の3側面について親子の距離感を5件法で尋ねたところ,3つの距離間には有意な正の相関が得られた.また,3つの距離得点ともに,父親よりも母親に対する距離の方が有意に近かった.
著者
青柳浩次郎 著
出版者
箱根養蜂場
巻号頁・発行日
1916
著者
古賀 寛教
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近年、水素ガスにフリーラジカル消去作用があると報告されており、その抗酸化作用を期待して様々な薬理作用が研究されている。本研究では、水素ガスを、安全かつ確実に体内に供与するシステムを構築し、さらに、心臓での検討に先立って行ったラットの腎虚血再灌流モデルにおいて、水素水投与による腎機能の改善効果を発見した。この研究により、低用量においても水素が抗酸化作用を発揮していることが推測され、今後、各種病態に応用できる可能性を示した。
著者
震災予防調査会 編
出版者
震災予防調査会
巻号頁・発行日
vol.第76号, 1916
著者
静岡地方気象台
出版者
気象庁
巻号頁・発行日
vol.2009年, 2010-02-08
著者
井上 美代江 太田 節子
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies (ISSN:21871981)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-49, 2013

背景 看護基礎教育カリキュラムの改正が行われ,老年看護学では,学生が高齢者及びその生活機能を理解し,高齢者への看護実践能力を高める指導が求められている.そこで,学生が高齢者と関わる時間や生活援助の機会が多いと思われる生活の場としての「介護老人福祉施設」で,学生が高齢者と関わる過程を分析することで,実習指導の示唆を得たいと考えた.目的 介護老人福祉施設における老年看護学実習で,学生の要介護高齢者への援助過程における着眼点を明らかにする.方法 研究デザインは,質的帰納的研究である.対象は,研究に同意の得られた介護老人福祉施設で老年看護学実習を行った学生6(男子1)名である.データ収集は,高齢者に関わる学生を参加観察(観察者として)し,実習終了後に半構成質問紙による面接を行った.分析は,参加観察と面接および学生の実習記録を統合して行った.結果 得られたデータは,学生6名が高齢者8名に関わった38場面であった.実習経過では,初日の学生は,高齢者との関わりに戸惑い,その関わりを模索していた.3日目は,記録や教職員の助言等を参考に,高齢者の看護ニードを把握し援助した.最終日は,学生が主体的に高齢者の自立を支援した.これらの援助過程には,学生が高齢者への援助の関わりに着眼した視点があり,その類型を分類したところ,1)高齢者の残存機能に働きかける,2)高齢者との人間関係を重視する,3)高齢者の生活行動を重視する,4)高齢者の健康的な反応を引き出す,5)高齢者の感情を重視する,の5類型が抽出された.結論 学生が高齢者を援助する着眼点は,5類型が認められた.指導者は,抽出された学生の高齢者への援助の類型を活用して,教育的支援を行うことが重要と考える.Background Following revisions of the curricula for basic nursing education,students in geriatric nursing receive instruction on understanding elderly individuals and their daily functioning,and enhancing their nursing skills when working with them.And we sought to determine which suggestions are necessary for practicum instruction by analyzing the processes of students when interacting with elderly care recipients at a nursing home in geriatric nursing practicum. Purpose To explore the opinions of nursing of students interacting with elderly care recipients at a nursing home in a geriatric nursing practicum. Methods This study employed a qualitative and inductive study design.Participants were six students (one male) who consented to participate and who were completing their geriatric nursing practicum at a nursing home for the elderly. Data were collected through participatory observations of the students interacting with the elderly care recipients and semi-structured interviews after practicum completion.For analysis,we created transcripts by integrating materials from the observations,interviews,and practicum records. Results/Discussion We obtained data from 38 scenes where the six students interacted with eight care recipients.In terms of processes,on the first day they tended to be confused and struggled in their interactions with the individuals. On Day 3,they were likely to look at records and seek advice from their instructors,and attempted to understand the nursing needs of the care recipients and assist them.On the final day of their practicum,the students were actively supporting the independence of the care recipients.In the processes of assistance,we extracted five categories of particular perspectives the students had while assisting the care recipients :( 1) working on the care recipients' remaining functions,(2) emphasizing interpersonal relationships with them,(3) emphasizing their daily living behaviors,(4) eliciting healthy reactions from them,and (5) valuing their feelings. Conclusion There were five categories of the student opinions of nursing for elderly.We suggest that instructors utilize these categories in their provision of educational support.
著者
Nur Shazwani ROSLI Abdul Azeez KADAR HAMSA
出版者
Eastern Asia Society for Transportation Studies
雑誌
Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies (ISSN:18811124)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1171-1188, 2013 (Released:2013-12-21)
参考文献数
25

This paper investigates the effects of road hump on traffic volume and noise level in a residential area in Kuala Lumpur. Field surveys were administered to measure data on traffic volume and noise level at three selected roads at Taman Keramat residential area in Kuala Lumpur. Measurement on noise levels such as LAeq, LAFmax, and LAFmin and traffic volume were undertaken for about 12 hours. The findings show that the highest traffic volume (563 vehicles per hour) and the highest noise level (75dB(A)) was measured at Road 1. The correlation analysis indicates a similar pattern in the relationship between traffic volume and noise level especially at Road 2 and Road 3. Finally, this paper concludes in drawing attention to conduct further studies on the effects of road humps in other residential areas in Kuala Lumpur to implement measures for a pleasant, harmonious and safe living environment for the community.
著者
吉永 龍史 小野 武也 沖 貞明 大塚 彰 梅井 凡子 星本 諭 中平 剛志 高橋 祐二 小林 弘基
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A4P2062-A4P2062, 2010

【目的】関節拘縮の治療に関わるものは、関節の動きを維持するために一日に必要な関節運動の時間を知りたい。この検討は動物実験を通して、関節をギプスなどで固定した後、固定を外してストレッチを一日につき一定時間実施し、再び関節を固定する方法で行われている。これを1週程度毎日繰り返し、最終日は固定を外して治療として持続的伸張運動(以下、ストレッチ)を実施した後に、効果判定の関節可動域テストを行っている。ここでポイントとなる点は、最終日の効果判定直前に治療としてのストレッチを行っている点である。先に述べた方法による最終日の関節可動域の効果判定結果は、 2つの影響が含まれていると考えられる。一つは毎日行う関節運動の影響(蓄積効果)である。もう一つは、最終日の関節可動域測定直前のストレッチの影響(即時効果)である。蓄積効果と即時効果を含む方法による研究結果によると、関節の動きを維持するために一日に必要な関節運動の時間はおよそ30分/日であろうと推測されている。ところが、我々は朝起きるとストレッチを行わないでも関節可動域は維持できている。これは、前日までの関節運動が十分に行われているためと考えることができる。このようなことから、効果判定を行う直前にストレッチを行わないで、関節の動きを維持するために一日に必要な関節運動の時間を検討することも重要と考えられる。本研究の目的は、即時効果を省き蓄積効果により関節の動きを維持するために一日に必要な関節運動の時間の検討である。<BR>【方法】8週齢のWistar系雌ラット20匹を用いた。ラットは10匹ずつ無作為に2群に振り分けた。そのうち1群は、左後肢を「正常群」、足関節最大底屈位でギプス固定した右後肢を「固定群」とした。さらに、固定群と同様にギプス固定を行い、2日目から最終日(7日目)の前日までの計5回、1日1回ギプスを外し、麻酔下でバネ秤を用い30gで30分ストレッチを実施した右後肢を「30g伸張群」とした。尚、固定期間は1週間とした。すべてのラットは飼育ゲージ内で水と餌も自由に摂取する事ができるようにした。足関節背屈角度(以下、背屈角度)は、初日と最終日(7日目)の背屈角度を測定した。ただし、実験最終日には、ストレッチを実施しないでギプス除去後に測定した。測定は、麻酔で小型筋力計を用いて30gの力を加えた状態で行った。統計処理は、実験前の各群間の背屈角度の比較に一元配置分散分析を、また各群の初日と最終日の背屈角度の比較をKruskal-Wallis検定によって確かめた後、有意差を認めた場合は多重比較検定にScheffe法を適用した。なお、危険率は5%未満をもって有意とした。<BR>【説明と同意】本研究は、本学の研究倫理委員会の承諾を受けて行った。<BR>【結果】実験前の背屈角度は、正常群が37.9±1.2°、固定群が37.6±1.3°、30g伸張群が37.0±1.6°ですべての群間で有意差を認めなかった。最終日の背屈角度は、正常群が37.9±1.7°、固定群が73.4±4.8°、30g伸張群が84.5±6.5°であった。実験前後の背屈角度の比較から固定群および30g伸張群には、実験後に有意をもって拘縮発生を認めた。また、各群間の比較では、すべての群に有意差が認められ、30g伸張群がストレッチを行ったにも関わらず、関節拘縮が最も発生していた。<BR>【考察】本研究の結果から、最終日にストレッチを行わずに効果判定を行うことで、30分/日で行うストレッチによる蓄積効果のみではギプス固定除去直後に関節拘縮が生じることが明らかとなった。また、ストレッチを行った30g伸張群が固定群と比較して関節拘縮がより悪化していた。ストレッチを行ったにも関わらず30g伸張群が固定群と比較して関節拘縮が悪化した原因について、先行研究によると、ギプス固定1週間のラット足関節の制限因子は、皮膚切開によって10%、下腿三頭筋切除によって80.5%であったと報告していることからも、軟部組織による制限因子であると推測される。そのため、30gによるストレッチが重すぎたのではないかと考えられる。もう一つの原因は関節可動域運動の時間が不足していたと考えられる。小児を対象とした先行研究では1日約6時間の関節運動を必要としている。このことから、関節可動域運動の伸張時間が長いほど関節拘縮を防ぐことができると考えられる。よって、本研究の関節可動域運動の時間は不足していたと考えられる。蓄積効果により関節の動きを維持するために一日に必要な関節運動の時間は、即時効果を含めた場合よりも多くの時間を必要とする可能性が考えられる。<BR>【理学療法学研究としての意義】日々臨床で遭遇する関節拘縮を予防するために必要な運動時間を知ることは重要である。<BR>
著者
藤原 邦達
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.60-72, 1990-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The contents and cooking methods of many kinds of dishes in various places of the world may be recorded by standardized and unified terms.By means of substituting the special cookery signs for such terms and arranging these sings according to definitive rules, it is possible to describe the contents and cookery methods of all sorts of dishes as the chain of these special cookery signs.For instance, YAKIIMO (broiled sweet potatoes), one of the most simple and typical Japanese cooking methods can be recorded as 2M=1: SWEET POTATO (PO),120g,1/1,2: W 1. S9(-),3: I12,6: H 46,180°C,20 min,9: Y12In the near future, if such a standardized cookery signs method as this is improved and adopted for the purpose of recording and describing worldwide varieties of human dishes, it will be very useful and beneficial for every nation to understand food and nutritional culture.Besides, in the recent computerization of office work and life, this cookery signs method should have significant benefit for cooking recipe indication, deta base setting and other terminological purposes in various practical fields.
著者
津嘉山 淳子 Tsukayama Junko 名桜大学教務部教務課言語学習センター Language Learning Center Affair of Education Meio University
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.20, pp.63-69, 0000

近年,多くの教育機関が学習あるいは教育支援センターを設置しているが,日本の学習センターにおいては,学習支援者(以下チューターと呼ぶ)のほとんどが専門教職員あるいは大学院生となっている。アメりカではすでに約40年前からピアラーニングの研究が進められ,学習支援者への育成プログラムを開発しチューターとしての技術取得証明書を基準化し発行するシステム(International Tutor Training Program Certificate) も活用されている。沖縄県名護市の名桜大学にある言語学習センターは2002年にこのプログラムを導入し,それを基盤にチューター育成プログラムを実施している。このプログラムの効果を観測するために2011年7月に言語学習センターに実際に働いているチューター7名とチュータリングを利用した学生142名にアンケートを実施した。結果としてチューターはトレーニングを受けることでコミュニケーションスキルや学習支援技術の向上を実感し,学習支援を受けた学生もチューターの支援によって学力向上に役立ったと感じていることがわかった。Recently, Learning Support Centers have been established in many educational institutions. The most of the learning supporters -tutors- are part time or full time experts, instructors or graduates. Peer learning has been studied in United States for 40 years and they have developed the tutor training program and applied into the actual stage. The Language Learning Center in Meio University is the one that has been introduced the tutor training program from United State in 2002. In order to observe some effect on tutors through the trainings, the surveys were performed with seven tutors and 142 students who actually experienced tutoring by tutors in 2011. The result showed that the tutors felt that their communication skills and learning supportskills had been inlproved. Likewise, the students who experienced tutoring gave positive result that they appreciated the tutors' support and felt that their academic skills also improved.