著者
沖津 進
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.25-35, 1996
被引用文献数
7

&nbsp;&nbsp;1.サハリン南部に分布するエゾマツ-トドマツ林に焦点を当て,その量構成や組成,植生地理学的位置づけ,成立機構を,現地調査結果に既存の文献資料を併せて考察した. <BR>&nbsp;&nbsp;2.サハリン南部では針広混交林が主体と従来から言われてきたが,実際には,エゾマツ-トドマツ林が優占し,落葉広葉樹はわずかに点在するのみである.エゾマツ-トドマツ林の量的構成や組成は北海道のものとよく類似する. <BR>&nbsp;&nbsp;3.シュミット緑はフロラの境界としては重要で,それ以南のサハリン南部は植物区系的には北海道と同様である.しかし,森林相観の面からは,サハリン南部は低地から常緑針葉樹林が優占することが特徴で,このことが北海道とは大きく異なる.なお,シュミット線以北のサハリン北部は南部とはフロラ,森林相観ともに異質の地域で,グイマツ林が優占することで特徴づけられる. <BR>&nbsp;&nbsp;4.サハリン南部のエゾマツ-トドマツ林は北東アジアでは珍しい,低地に広がる常緑針葉樹林で,北半球に広がる常緑性の亜寒帯針葉樹林と相同の植生と見なすことができる.いっぽう,北東アジアでは,基本的には,低地の亜寒帯針葉樹林は落葉性のカラマツ林が主体である.そのため,北東アジアの亜寒帯は,北米大陸やヨーロッパの北部や西シベリアの低地と植生地理学的に全く相同とはいえない. <BR>&nbsp;&nbsp;5.サハリン南部のエゾマツ-トドマツ林は,宗谷海峡における落葉広葉樹の衰退,および,シュミット線以北におけるトドマツの衰退に対して,エゾマツが一定の生長量を確保していることが重なり合った結果,成立したものである.北東アジアに限っていえば,北に分布するグイマツ優占林と南に分布する針広混交林との間に現れたものである.
著者
目 義雄
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ユビキタス元素のみからなるTi-Al(Si)-C(N)系MAX相を対象に配向積層体を作製し、強度、靭性の優れた材料系を提示することを目的とした。代表的なMAX相炭化物であるTi3SiC2およびAl2O3を添加したTi3SiC2の配向体を強磁場中コロイド成形およびパルス通電加熱により作製し、配向体化およびをAl2O3添加により強度・靱性は向上することを明らかにした。また、Ti2AlNについても配向化により、強度・靱性は向上し、摩耗特性も向上した。さらに、従来MAX相のXがBでも熱力学的計算により安定相が存在すること、MAX相の相関元素が溶出したMxenes2次元化合物の特性の可能性を示した。
著者
畑 昌利
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.370-367, 2006-12-20
著者
畑 昌利
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.318-315, 2007-12-20
著者
福満 正博 古屋 昭弘
出版者
明治大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、研究分担者で中国語学の専門家古屋昭弘氏の助言を受けながら行われた。中国近世の戯曲小説はその原文に、独特の俗字・異体字がよく使われている。本研究はこの点に注目して、各作品ごとに俗字・異体字の字形を示す索引の作成を主な目的とした。本研究では7種類の作品の索引を作った。近世の戯曲小説には、文言小説・平話・詩話・説唱詞話・話本・諸宮調・元刊本雑劇・南戯等のジャンルに分けられる。本研究では、これらすべてのジャンルにわたり一つずつ作品を選び索引を作成した。また、異体字を正確に読むための作品研究が必要があったので、関連論文を9本書き、国際学会で2回発表をし、7地点で関連する地域を調査をした。
著者
辻本 俊郎
出版者
追手門学院大学
雑誌
アジア学科年報 (ISSN:1882305X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.21-32, 2008-12

六師外道 / マッカリ・ゴーサーラ / サンジャヤ・ベーラッティプッタ
著者
西村 弥
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、民営化後の法人に対する政府関与とその運用の在り方に関する類型化を進めることにある。アンケート調査等を通じた実証的なデータをもとに、市民が抱く一般的な民営化のイメージやニーズを分析したほか、わが国の「民営化」(特殊会社化)された法人に関する法令や財務データ等から、民営化後の企業に対する政府関与とその運用の在り方を分析し、日本の民営化には主に四つの類型が存在することを明らかにした。
著者
天明 翔太 伊東 哲史 早坂 弘達 松本 俊之
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.98-109, 2014 (Released:2014-08-15)
参考文献数
18

深刻化する環境問題に直面している人類にとって,持続可能な社会を構築することは不可欠である.そのためには環境教育が重要であり,近年は学校などの教育機関でゲーム形式の教材が注目を集めている.しかし,既存の環境教育ゲームは教育者が教えたい環境教育内容を含んでいるとは限らない.そこで本研究では,教育者が教えたい環境教育内容を含んだゲームを容易に作成できるように,環境教育ゲームの作成支援システムを開発した.具体的には,スゴロクゲームを対象として,環境教育ゲームの作成手順を考案し,その手順の中で利用する環境教育内容としての環境情報をまとめた環境知識データベースを作成し,ゲームの骨組みとなる基本構造を設計した.これらを組み合わせて環境教育ゲームの作成支援システムを開発した.さらに,これらを用いて環境教育ゲームを作成および実施した.
著者
市川 貴大
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
37

堆肥環状施用の有無が樹木の生育に及ぼす影響を明らかにするために,植栽基盤に植栽された生育不良なヤマザクラについて,葉のSPAD 値,活力度,相対樹高,相対胸高直径,相対樹冠幅の変化を調査した。本調査地では表層土壌の持ち出しによる肥沃度の低下が植栽樹木の生育への制限要因になっていると考えられた。また,堆肥環状施用により,表層土と下層土の混合土と同様の植栽基盤の改善効果があることが示された。葉のSPAD 値にて植栽樹木の生育状況を評価する場合は夏期に行う必要があることが示唆された。
著者
増山 哲男 舘野 真澄 木下 瑞夫
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.281-286, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
7

市町村マスタープランは,将来のあるべき市町村像や将来の土地利用などのまちづくりの基本的な方向性を示すものであり,この中には自然的環境保全に関する検討が含まれるべきである。本研究は,文献情報を含む地理情報から得られる自然的環境に関わる基本情報と,住民から得られる動植物の存在および生活空間の変容に関わるオーラル情報を結合することにより,マスタープランづくりに必要となる自然的環境保全のための基本情報を得ようとするものである。本研究では,神奈川県秦野市西部をケーススタディ地区とし,地理情報とオーラル情報を用いて明らかになる有効性と留意点について明らかにした。
著者
小林 翼 大沼 進 森 康浩
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.37-42, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
9

家庭での省エネルギー行動を普及させる取り組みは多いが,長期に渡る質的な変化について追跡した研究は希少である。本研究では一年間にわたる省エネプロジェクト参加者の質的側面の時系列的変化を探索的に明らかにすることを目的とし,グループインタビューにおける参加者の発言内容をテキストマイニングによって分析を行った。その結果,最初の半年では事前に提示された行動項目について,金銭的なこと,暖房に関すること,取り組みの効果の実感しやすさなどに関する内容が多く発言されていたが,一年経過後では,自分だけでなく家族全体も含めて変われたことや,エネエコ診断にない新たな項目への挑戦などに関する発言が増えていた。
著者
人間関係研究センター
出版者
南山大学
雑誌
人間関係研究 (ISSN:13464620)
巻号頁・発行日
no.7, pp.155-160, 2008-03-15
著者
片山 佳樹
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

これまでに開発してきた細胞内キナーゼ応答型の遺伝子転写制御剤を用いて転写制御がDNA鎖の運動性に依存することを証明するために、DNAを蛍光修飾して、その蛍光寿命変化から評価を試みたが、DNA鎖の運動と蛍光寿命のタイムスケールに違いがあり、種々の検討でも評価は困難であった。そこで次に、蛍光偏光解消を利用してDNA鎖の運動性の評価を検討した。DNA鎖を蛍光性インターカレーターで標識し、プロテインキナーゼCの基質をグラフとした高分子型遺伝子制御剤と複合体を形成後、遺伝子の転写が抑制されることを確認してから、蛍光偏光解消を評価した。その結果、遊離のDNA鎖に比較して、高効率に遺伝子転写が抑制される当該複合体においてはその運動性が大きく低下していることが明らかとなった。次いで、この複合体中の基質ペプチドをプロテインキナーゼCでリン酸化して転写が回復するが複合体は崩壊しない時点での蛍光変更解消を評価したところ、確かにDNA鎖の運動性が回復していた。本成果は、遺伝子の転写制御を支配する物理化学的因子を明らかにし、新しい遺伝子転写制御メカニズムを提唱するものである。また、この原理を利用し、複合体内のDNA鎖の運動をさらに効率よく抑制できるように主鎖をポリエチレンイミンとし、さらに疎水基を導入したタイプの制御剤を開発したところ、極めて高効率に遺伝子転写を抑制した。さらに、標的キナーゼであるプロテインキナーゼCαは、がん細胞で特異的に亢進しているため、これをがん細胞に適用したところ、本キナーゼが活性化していない場合に比べ、数百倍という大きな遺伝子発現がみられた。本制御剤は、がん細胞特異的な遺伝子制御剤として、正常細胞での副作用を大きく抑制できる新規な治療デバイスとなることが期待される。