著者
金子 智行
出版者
法政大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

細胞内に蓄えられた後天的情報を定量化するために、モデル細胞として拍動心筋細胞を用い、細胞に摂動を与えたときの緩和過程を測定した。まず、外部から摂動を与えるための電気刺激プロトコールを改良することにより拍動周期の制御を可能にし、心筋細胞の拍動周期と細胞外電位を同時測定する系を確立した。次に、電気刺激により拍動周期を固定すると、イオンチャネルの活動状態がその周期に依存して対数関数的に変化した。このことから拍動周期という後天的情報の表現型は後天的情報であるイオンチャネルの活動状態を変化させ、拍動周期と相関した活動状態まで対数関数的に変化することが示唆された。
著者
石幡 直樹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

フェミニズムの鼻祖とされるウルストンクラフトのテクストから、「進歩」を共通項として成立する国家と女性の類似性を抽出して、その意味と相互の影響関係を分析した。未開状態から文明社会への「進歩」は、豊かで不安のない生活と高度な精神活動による文化を生み出す。しかし、『北欧紀行』に見られるように、スウェーデンやデンマークの自然と接したことで、彼女は、単純な進歩史観には疑問を呈するようになる。彼女の逡巡は、近代国家の成立と自らの女性としての表象とを重ね合わせつつ、「進歩」の功罪を問い直す懐の深い思索を重ねたことの証であり、ラディカルな女権論者としてのウルストンクラフト像の別な側面を示している。
著者
遠田 幸生 竹村 卓也 佐藤 和美 沓名 潤子 伊藤 新 高橋 武彦 小林 淳一 郷地 元博
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.387, 2012 (Released:2013-07-08)

バイオエタノール製造前処理技術歯車型粉砕媒体を水平振動式加振機で駆動する省エネルギー型の高衝撃粉砕機を開発している。本粉砕機で処理した粉末は、従来糖化率が高く、同時糖化発酵においても発酵阻害がなどの特徴をもってい。しかしながら、製造コスト40円/Lを達成するためには、酵素の費用の削減、30~40 wt/vol%の高濃度粉末スラリーの同時糖化発酵後のエタノール回収の効率化などが必要である。 そこで本報告では、製造プロセスのコスト削減を図るため、酵素を回収して再利用、30~40 wt/vol%の高濃度粉末スラリーの同時糖化発酵後のエタノール回収に関する検討を行った。そのバイオエタノール製造プロセスの低コスト化を図る一環として、エタノール回収、酵素回収の検討を行った結果、エタノール回収率は95vol%以上、酵素回収率は約50%を達成できる見通しが得られた。
著者
小野 光弘 塙 政利 平田 拓 下山 雄平
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

生体のin vivo(生きたままでの)電子常磁性共鳴(EPR)計測、とりわけラットのホールボディ計測の実現を目標として、350MHzパルスEPR装置の開発を行った。本研究で得られた成果をまとめると次の様になる。(1) 数値解析により、最適なパルス幅と共振器の共振尖鋭度Qは、緩和時定数T_2=10〜100nsの生体ラジカルに対して夫々10〜68ns、10〜60、T_2=100〜800nsの固体のラジカルに対して夫々68〜158ns、60〜280であることが分かった。(2) 試作した350MHzパルスEPR装置を用いて、γ線照射クオーツ粉末37.5gの電子スピンエコー(ESE)信号の受信に成功した。受信信号電圧はパルス間隔が1400〜1600nsにおいて3〜5mVであった。(3) 本研究で得たESE信号から、γ線照射クオーツの緩和時定数はT_2=778nsと推定される。これは我々の研究室で既に開発した1.3GHzパルスEPR装置による測定結果T_2=759nsに極めて近い値である。(4) 生体計測を行うために、今後共振器のQを更に下げる必要がある。
著者
岩佐 有華
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

面会に回数や時間などの制限がないICUにおける重症患者の家族のニーズを構造化することを目的とし,24時間面会可能なICUに入室した重症患者の家族を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析を行った.その結果,【そばにいたい】【会いたいときに会いたい】【後悔したくない】【居心地の良い場の提供】【その場にいても良いという保障】【そばにいることを自分の意志で選択】【帰ることの自己決定】などのカテゴリーが抽出された
著者
小林 健史 橋本 竜作
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は専門家の少ない地域において住民参加型授業を通して、特別支援教育体制を構築することを目的とした。我々は住民参加型授業を活用した介入を通して、教員をエンパワメントしつつ、さらに簡便かつ効率的に相談者が地域に存在する社会資源を活用しやすくするツールを作成し支援を行った。その結果、社会資源の少ない地域に合致した特別支援教育体制構築の手がかりが示された。
著者
松沢 哲郎 WATSON C.f. WATSON C.F.
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

Within the last fiscal year I have carried out a complete experimental study investigating cultural transmission of an arbitrary gesture in Japanese macaques using the group diffusion paradigm. I also collected data regarding the observation of a Japanese macaque carrying her dead infant for an unusually long period, followed by mother-infant cannibalism. I will present the findings of both studies at an International conference, this summer, and will write them up as an original research article and an observational case study, respectively, for submission to journals. The JSPS grant has enabled me to collaborate with Japanese researchers. I plan to attempt to carry out a survey of potentially cultural behaviours across Japanese macaques in Japan.
著者
西村 雅史 伊東伸泰 山崎 一孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1395-1403, 1999-04-15
被引用文献数
27

我々は先に 日本人が感覚的にとらえている単語単位を 既存の形態素解析プログラムの出力である形態素単位との統計的対応関係から自動推定する方法を提案し それを認識および発声の単位とする離散単語発声の日本語ディクテーションシステムを構築した. この人間の考える単語単位を連続音声認識の認識単位としても利用することを試み 特に 他の大語彙連続音声認識システムで用いられることの多い形態素単位と比較してその有効性について調査した. また 認識単位の定義が一意に決まらない現状をふまえて 日本語の連続音声認識システムの評価方法を提案するとともに 不特定話者の大語彙音声認識実験結果について報告する. 男女各10名に対する認識実験の結果 文字誤り率3.0% 単語誤り率4.3%が得られた. さらに 句読点の自動挿入方法や 未知語モデルと単語N-gramモデルによる単語単位の自動分割方法などについても述べる.In this paper, we discuss a word-based continuous dictation system for Japanese. We previously proposed a statistical method for segmenting a text into words on the basis of human intuition, and developed an isolated-word-based Japanese dictation system. By comparing the word units used for the isolated word recognition with grammatical units, we show that the former are also very useful for continuous speech recognition. Evaluation of the performance of this continuous dictation system showed that the character error rate was 3.0%, and that the word error rate was 4.3%. We also present a method for inserting punctuation marks in spoken texts automatically, and a method for segmenting Japanese text into words by using an N-gram model, focusing on the handling of unknown words.
著者
三好 正純 下塩 義文 古賀 広昭 井手口 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1465-1473, 1999-09-25
被引用文献数
9

本論文は,人の視覚感性を利用した文字配置の設計手法について述べたものである.文字を配置したときの文字間の空間部は視覚の誘導場理論を用いて電界と類似したポテンシャル場で表した.まず,文字間の間隔が視覚的に等距離に感じる文字配置では,文字間のポテンシャルに一定の関係があることを見出した.更に,二つの文字間,漢字の偏(へん)と旁(つくり)間及び文書の行間の3項目についてそれぞれバランスよく感じる間隔を調査し,間隔を実際の距離とポテンシャルで測定した.その結果,二つの文字間及び漢字の偏と旁間では,バランスよく感じるときの間隔のポテンシャルによる測定値は,実際の距離による測定値に比べ,文字の画数や形状による変動が小さいことを見出した.最後に,感性と視覚の誘導場の関係を用いて表札の文字配置を設計している.
著者
大島 章一
出版者
岩波書店
雑誌
科学 (ISSN:00227625)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.p105-109, 1987-02
被引用文献数
1
著者
足立 吉隆 森戸 茂一 佐藤 尚
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

マルテンサイトパケットは互いに複雑に入り組んでいること、その界面は特定の晶癖面を持っていること、またブロックも入り組んだ構造を持っていることが明らかとなった。すべてのブロックは旧オーステナイト粒界に接していた。さらに、三次元像の定量化を位相幾何学および微分幾何学の観点から行うに当たって、種数、オイラー評数、ガウス曲率、平均曲率といったパラメータを導入して、形態の定量化への可能性を検証した。その結果、これらのパラメータを使うことによって、複雑な実際の金属組織形態の定量化が可能であることを示し、今後の新しい3D定量材料組織学構築への布石となるものと期待される。

1 0 0 0 OA 加藤嘉明公

著者
伊予史談会 編
出版者
松山市
巻号頁・発行日
1930

1 0 0 0 OA 朝鮮軍記

出版者
野村銀次郎
巻号頁・発行日
1885

1 0 0 0 容堂公遺稿

著者
山内容堂 [著]
出版者
福島成行
巻号頁・発行日
1927
著者
田中 庸介
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

クロマグロは生活史初期にプランクトン食から魚食へと食性が転換する。本研究では,本種仔魚の魚食性への転換が,その後の成長や生き残りにとって,どのような役割をはたすのかを明らかにすることを目的に,飼育技術を活用して実験に取り組んだ。その結果,魚食性への食性転換は,クロマグロ飼育仔魚の成長や生き残りに重要な役割を果たし,餌となる餌料仔魚の給餌条件によってクロマグロ仔魚の成長・生残は大きく変化することが分かった。これらの知見はクロマグロの加入量変動の仕組みの解明や,養殖種苗の大量生産のための重要な基礎知見になると考えられた。