著者
佐藤 彰彦
出版者
福島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では、原発被災地域における行政と住民、さらには、世論や国の政治ほかの外部作用等に焦点を当てつつ、原発被災地域ならびに被災者を取り巻く構造的な問題の解明を試みたものである。被災者の<生活/暮らし>、これらと政策との<媒介>や<接合>に注目した分析を行った。主に避難者の発話データ分析から、1)「あらゆる社会関係の喪失」という問題、2)その根底にある放射能に対する不安と疑念の存在、3)当事者ニーズと乖離した政策アジェンダ、4)その帰結としての政治・行政不信の継続などの問題が構造的に明らかとなった。
著者
KIDA Yuichi KIDA Takuro
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1592-1607, 1999-08-25
被引用文献数
23 14

In the literature [9], the optimum discrete inter polation of one-dimensional signals is presented which minimizes various measures of approximation error simultaneously. In the discussion, the ratio λ of the weighted norm of the approximation error and that of the corresponding input signal plays an essential role to determine the structure of the set of signals. However, only the upper bound of λ is provided in [9]. In this paper, we will present more exact and systematic discussion of the optimum discrete interpolation of one-dimensional signals which minimizes various measures of approximation error at the same time. In this discussion, we will prove that the exact value of λ is identical with the upper limit, for ω(|ω|≦π), of the largest eigen value of a matrix including the weighting function W(ω) and the Fourier transforms of the optimum interpolation functions. Further, we will give a sufficient condition for W(ω) under which the ratio λ is equal to one, where the approximation error, if it is interpolated by sinc, is included in the set of band-limited signals defined by W(ω). Finally, as application of the presented approximation, we will propose a direction to interactive signal processing on Internet and a transmultiplexer system included in it. The transmultiplexer system included in this discussion can realize flexible arrangement of sub-bands which is inevitable in realizing the above proposal on interactive signal processing.
著者
中森三千代
雑誌
皮膚病診療
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1145-1148, 2000
被引用文献数
1
著者
吉本 佳世
出版者
大阪市立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

血圧は循環動態を観察する指標の1つであり,血圧変動のモニタリングは大きな意義を持つ.本研究では,体位変換中に連続的に血圧モニタリングが可能なシステムの開発を目的とし,2点の光電容積脈波信号から血圧のリアルタイム推定を行うことを目指している.今年度は,体位変換による影響を含めた血管系のモデル構築を目指し,実験システムの構築および健常者に対する実験および解析により,体位変換が脈波伝播時間と血圧の関係へ及ぼす影響について検討を行った.単純な腕の上げ下ろしによる脈波伝播時間の変化を検討するために,上腕部を対象部位として選択し,光電脈波センサの設置位置について検討を行った.候補としたいくつかの部位において光電脈波信号の強度および安定性について検討を行い,脈波信号を取得する部位として,人差し指及び手首を選定した.はじめに,安静状態で腕を上げ下ろししたときの脈波伝播速度について検討を行い,腕の上げ下ろしを行うだけでも脈波伝播速度が変化することを確認した.次に,各体位での脈波伝播速度と血圧の関係を検討するために,仰臥位及び45度背上げした状態で実験を行った.実験により,同一被験者であっても,仰臥位及び45度背上げした状態では市販の血圧計で計測した拡張期血圧と光電脈波センサより算出した脈波伝播速度の関係が異なることを確認した.また,別の被験者に対して同様の実験を行い,体位による脈波伝播速度と血圧の関係変化は同様の傾向を示すことを確認した.
著者
秋山 道彦 武井 澄江 斉藤 こずゑ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.265-272, 1982-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

本研究では日本語を話す子どもたちに命題文の証明課題と疑問文に対する応答課題を与え, 証明の過程と応答の過程に関する3つの仮説-等価仮説, 証明原型仮説, 疑問文単純仮説を検討し, さらに英語を話す子どもたちの結果の比較を通して言語発達の普遍性の仮説の検討を行った。どちらの課題においても肯定文と否定文が含まれ, そのそれぞれには真の文と偽の文が含まれていた。結果は日本語を話す子どもたちにとっては, 疑問文に対する応答の方が命題文の証明よりもむずかしく, 証明原型仮説を支持した。これは日本語の否定疑問のあいまいさによるものと解釈された。以前に行われた英語を話す子どもの結果が疑問文単純仮説を支持したことから, なぜ異なった言語で異なった仮説が支持されたのか考察を行った。その結果, 両言語の語順のちがい, 命題証明過程と疑問文応答過程の心理学的なちがい, 証明課題と応答課題の頻度のちがいなどが, 理由としてあげられた。真偽の次元を考慮すると, 特に4歳児の否定命題の課題と否定疑問文の課題で, 従来英語圏で行われてきた研究結果と反対の結果が出た。すなわち日本語を話す子どもたちにとっては, 偽の否定命題の方が真の否定命題よりもむずかしかった。この点を説明するためにモデルが提出された。モデルの主要な特徴は, 偽・肯定命題と真の否定命題を聞いたとき子どもはそれに対応する真の否定形をもった知識を表象として形成することと, 語順の最後にくる否定詞をさきに処理することであった。このモデルは英語圏で検案されたモデルと比較され, 言語発達・言語処理は言語により異なること, 普遍性の仮説は常に成立するわけではないことが結論された。
著者
左右田 隆 川松 豊 藤田 剛 目黒 寛司 池田 衡
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.909-918, 2002-11-01 (Released:2003-02-18)
参考文献数
37
被引用文献数
8 11

Insulin resistance is a characteristic feature of type II diabetes as well as obesity. This insulin resistant state at the peripheral tissue level causes impaired glucose utilization, leading to hyperglycemia. Studies of antidiabetic agents by Takeda originated more than three decades ago when KK mice were introduced, followed by the development of a highly insulin-resistant animal model, KKAy mice. The first 2,4-thiazolidinedione derivative AL-321, which exhibited hypoglycemic effects in KKAy mice, was discovered by modification of the hypolipidemic agent AL-294 as a lead compound. Extensive structure-activity relationship studies on the analogues of AL-321 led to the selection of ciglitazone (ADD-3878) as a candidate for clinical evaluation. Ciglitazone, a prototypical compound in the series, was shown to normalize hyperglycemia, hyperinsulinemia, and hypertriglyceridemia in various insulin-resistant animal models without altering normoglycemia in nondiabetic animal models. However, it appeared that a more potent compound was needed for further clinical evaluation of this class of compound. Further study of this series of compounds led to the finding of pioglitazone (AD-4833) as a promising clinical candidate. Pioglitazone clearly ameliorates the abnormal glucose and lipid metabolism in diabetic patients and was marketed in the USA in August 1999 for the treatment of type II diabetes. Pioglitazone is now marketed in more than 40 countries world wide. Historical aspects of our studies on pioglitazone and its biological activities are described.
著者
若原 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.494-506, 1998-08-25
被引用文献数
8

近年のマルチメディアの普及に伴い, ATM-LAN等が大学や企業等を中心にさかんに導入されている.本論文は, ATMネットワークをPVCモードにより遠隔の講師と受講生の間でリアルタイムの講義空間を実現するため, 予約ベースで講師端末と複数の受講端末間にポイント・ポイントVCコネクションおよびポイント・マルチポイントのVCコネクションを併用する質問者切換型遠隔講義システムを提案する.本システムは, あらかじめ予約した時刻に講師と複数の受講端末間にポイント・ポイントおよびマルチポイントのATM-PVCコネクションを同時に設定する回線設定サーバと, そのVCコネクション上に映像・音声・データのTCP/IP通信, MPEG2通信を実現しインタラクティブな講義空間を提供する講義サーバから構成され, 一人の受講者が順次, 講師に質問しながらリアルタイムの遠隔講義を進めることができる.本システムの構成法およびパラメータ設定法について述べると共に, ATMネットワークを用いて遠隔講義サービス実験を行い伝送特性等を測定してその有効性を確認した.
著者
阿部 敬由 豊浦 正広 茅 暁陽
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.16, pp.131-134, 2012-03-09

我々は,指定した画家のスタイルを写真に転写する手法を提案する.提案手法によって,その画家が描いたような絵画調画像を写真から生成できる.写真が入力として与えられると,まず,指定した画家のデータベースから,入力した写真と似た構造を持った絵画が探索される.探索には,人間がシーンの大まかな構造を知覚するのに利用しているとされるGIST特徴量を用いる.次に,探索された絵画の色遣いと筆使いを入力写真に転写することで,その画家のスタイルを反映した絵画調画像を生成する.この提案手法では,写真と画家を指定するだけで,画材や技法を意識することなく,自動的にその画家のスタイルの絵画調を生成することができる.

1 0 0 0 OA 誕生日

著者
徳富猪一郎 編
出版者
民友社
巻号頁・発行日
1892
著者
湯淺 太一 中川 雄一郎 小宮 常康 八杉 昌宏
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SIG09(PRO8), pp.87-99, 2000-11-15

Lispなどの大多数のリスト処理システムでは,不用セルを回収するためにごみ集め(GC)が行われる.一般的に採用されているGCは,ごみ集めの間プログラムの実行が中断されるので実時間処理には適さない.この問題を解決するために,ごみ集めの一連の処理を小さな部分処理に細分化し,プログラムの実行と並行してごみ集め処理を少しずつ進行させる実時間方式のGCが提案されている.代表的な実時間GCであるスナップショットGCは,スタックなどのルート領域から直接指されているセルをGC開始時にすべてマークしておかなければならない.この間の実行停止時間は,ルート領域の大きさによっては,無視できなくなる.そこで,関数からのリターン時にマーク漏れがないようにチェックすることで,スタックから直接指されているセルを関数フレーム単位でマークする方法を提案する.スタック上のルート領域をフレーム単位でマークしていき,ある関数からリターンする際に次の関数フレームがマークされているかどうかをチェックし,マークされていなければその関数フレームをマークしてからリターンする.これをリターン・バリアと呼ぶことにする.ルート領域のマークが終了したら,従来のスナップショットGCと同様に残りのセルをマークする.本論文では,Common Lisp処理系KCL(Kyoto Common Lisp)上でリターン・バリアを実装し,GCによる実行停止時間について,従来のスナップショットGCと比較評価および検討を行った.
著者
石村 憲意 浅井 哲也 本村 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.389, pp.131-136, 2013-01-17

確率共鳴は雑音を有効に利用した現象のひとつとして挙げられる.これは,二重井戸型ポテンシャル等の系に閾値下の微弱な信号が入力されている時に,外部の雑音を効果的に取り込むことによって信号の値が閾値を超え,状態遷移を可能にする現象である.一方で,カオス共鳴が近年注目されている.この現象は,複数のストレンジアトラクターを持ち,閾値下の信号が入力され得るカオス系において観測される.このようなカオス系では,系内部で生成されるカオスのゆらぎを利用する事で状態遷移を起こす為,従来の確率共鳴と異なり,外部雑音が不要である.本研究では,カオス共鳴を起こす条件を満たす系としてChua発振器を用い,閾値下の信号として正弦波電圧を加えてカオス共鳴の観測を行った.ある入力周波数範囲では二つのアトラクター間でカオス的な遷移が起こり,他の範囲では状態が,一方のアトラクターにトラップされることを確認した.これらの動作が,カオス的なゆらぎが状態遷移に寄与していることを示している.さらに,カオス共鳴の度合いと系内部に発生するゆらぎの強さの関係を調べる為に入出力相関値やSNRを算出し,確率共鳴曲線に類似したカオス共鳴の特性が得られた.また,このChua発振器を並列化して共通の閾値下の入力を加えて同様の実験を行い,カオス共鳴下では相関値やSNRが向上する事を確認した.
著者
秋山尚範
雑誌
皮膚
巻号頁・発行日
vol.38, no.18, pp.130-134, 1996
被引用文献数
4
著者
加地 大介
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本質主義のいくつかのタイプに関する比較考察の結果、実在的定義に基づく定義的本質主義を基礎としつつも傾向本質主義と最小本質主義をも部分的に取り入れた「範疇的力能本質主義」を採用した。それに基づきつつ、擬似的実体としての穴と虹の実在的定義を試みた結果、前者を充填可能性という力能を有する依存的耐続者として、後者を具体的実在対象としての実在的個別性を欠く現象的耐続者として規定した。さらに、実体的対象の本質の一部である耐続性を貫時点同一性としての純粋生成として捉え、その実在性を時制や生成とともに三位一体的に擁護した。
著者
松田 義弘 上木 厚子 上木 勝司
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.57-74, 2009-01-15
被引用文献数
3 4

サクランボ,ラ·フランス,リンゴ,ヤマブドウ及びアケビの各果実から<I>S. cerevisiae</I>を含む43菌株の香気生産性酵母を集積し,分離した。低pHでアルコール存在下での集積培養と集積されてきた酵母について18S rRNA遺伝子の部分配列のPCR–TGGE解析と塩基配列の比較による系統解析を組み合わせることで,自然環境中では稀少種である<I>S. cerevisiae</I>を効率良く分離することができた。<I>S. cerevisiae</I>菌株は,既報のサクランボからの分離株に加えて,ラ·フランスとリンゴから新たに13菌株が分離された。また<I>S. cerevisiae</I>以外でも,合計9菌種25菌株の香気生産性の野生酵母菌株が分離された。<br>分離した野生酵母菌株について炭素源資化性試験を行い生理的性質を調べたところ,ほとんどの菌株では分子系統解析での最近縁種についてのThe Yeast(1998)における記載と合致した。しかし,ラ–フランスから分離した5菌株とリンゴから分離した8菌株の<I>S. cerevisiae</I>菌株は,それぞれL-ソルボース資化性とトレハロース資化性においてThe Yeast(1998)における<I>S. cerevisiae</I>の記載と異なっていた。<I>S. cerevisiae</I>以外の菌株では,サクランボから分離された<I>C. ethanolica</I>関連のCeS 3株がラクトース資化性の点で,リンゴから分離された<I>P. guilliermondii</I>関連のPgR 4株がD-グルコサミン資化性の点で,ヤマブドウから分離された<I>H. uvarum</I>関連のHuY 1株とHuY 2株が2–ケト–グルコン酸の資化性の点でそれぞれの関連菌株についてのThe Yeast(1998)の記載と異なっていた。<br>分離した香気生産性野生酵母菌株の高級アルコールの生産性について主成分分析したところ,<I>S. cerevisiae</I>菌株の場合は,分離源ごとに緩やかな集まりとして判別できた。<I>S. cerevisiae</I>以外の菌株の場合は,種属ごとに緩やかな集まりとして区別された。その中で<I>P. kluyveri</I>の1菌株など菌株により特徴的な香気生産特性を示すものもあった。