著者
平良 淳誠 大嶺 和可奈 大見 のり子 平良 和代 永田 純一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.295-300, 2012-06-15 (Released:2012-08-04)
参考文献数
22
被引用文献数
1

沖縄在来系統由来9品種と比較品種系統2品種のカンショ茎葉について,LPS刺激したRAW264.7細胞より誘導される一酸化窒素ラジカル(NO)産生に対する抑制作用を評価した.全品種のカンショ茎葉抽出物にNO産生抑制作用が認められ,同様の葉野菜であるホウレンソウやエンサイよりも比較的高活性であった.NO発生剤NOR3を用いて,カンショ茎葉抽出物のNO消去活性を検討したところ,その主要ポリフェノールであるカフェオイルキナ酸誘導体の総含量と正相関したことから,NO産生抑制メカニズムとしてNO消去作用が寄与している可能性が示唆された.本研究からカンショ茎葉は,過剰なNO産生に伴う様々な炎症性疾患の予防機能性食品として有用食素材になることが示された.
著者
若杉 隆平 秋山 太郎 冨浦 英一 佐藤 仁志 椋 寛 伊藤 萬里
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、貿易・直接投資の自由化が貿易・直接投資の拡大・企業の技術水準や生産性の向上に与える影響、地域貿易協定の締結が域外国のアンチダンピング(AD)政策に与える影響等を理論面から明らかにしている。また日中のミクロデータを用いた実証研究によって、中国市場における制度的変化(WTO加盟に伴う市場開放、国有企業改革、知的財産権の保護の強化)が中国企業の輸出・研究開発・イノベーション、日本の労働市場や企業の雇用の変化に与える影響を明らかにしている。さらにTask content(業務)の輸出入の変化によって日本の貿易構造の変化を明らかにしている。
著者
Kenta IWAI Yoshinobu KAJIKAWA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E97-A, no.11, pp.2189-2199, 2014-11-01

In this paper, we propose a parameter estimation method using Volterra kernels for the nonlinear IIR filters, which are used for the linearization of closed-box loudspeaker systems. The nonlinear IIR filter, which originates from a mirror filter, employs nonlinear parameters of the loudspeaker system. Hence, it is very important to realize an appropriate estimation method for the nonlinear parameters to increase the compensation ability of nonlinear distortions. However, it is difficult to obtain exact nonlinear parameters using the conventional parameter estimation method for nonlinear IIR filter, which uses the displacement characteristic of the diaphragm. The conventional method has two problems. First, it requires the displacement characteristic of the diaphragm but it is difficult to measure such tiny displacements. Moreover, a laser displacement gauge is required as an extra measurement instrument. Second, it has a limitation in the excitation signal used to measure the displacement of the diaphragm. On the other hand, in the proposed estimation method for nonlinear IIR filter, the parameters are updated using simulated annealing (SA) according to the cost function that represents the amount of compensation and these procedures are repeated until a given iteration count. The amount of compensation is calculated through computer simulation in which Volterra kernels of a target loudspeaker system is utilized as the loudspeaker model and then the loudspeaker model is compensated by the nonlinear IIR filter with the present parameters. Hence, the proposed method requires only an ordinary microphone and can utilize any excitation signal to estimate the nonlinear parameters. Some experimental results demonstrate that the proposed method can estimate the parameters more accurately than the conventional estimation method.
著者
崎山 則征 柯 閏聡 澤田 隆介 園山 正史 美宅 成樹
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.69-78, 2007 (Released:2008-03-04)
参考文献数
16

ヒトの全タンパク質において電荷の自己相関関数の計算から、電荷の28残基周期性を持つタンパク質(PCP28)が最近発見された(Ke et al., Jpn. J. Appl. Phys. 2007)。PCP28の主な局在位置は核であった。核PCP28の生物学的意味を考察するために、我々が開発した予測システム(Sakiyama et al., CBIJ., 2007)を用いて、10種類の脊椎動物ゲノムと7種類の非脊椎真核生物から核PCP28を予測した。Swiss-Protデータベースによるとヒトの核PCP28の約90%は転写制御因子と考えられた。次に、脊椎動物ゲノムと非脊椎真核生物ゲノムに含まれる核PCP28の数を比較した。その結果、核PCP28は脊椎動物ゲノムにおいて顕著な増加を示すことが明らかになった。また、核以外のPCP28の割合は全ての真核生物でほぼ一定であった。これは、核PCP28が脊椎動物に特有のタンパク質である可能性を強く示唆している。
著者
臼井 支朗
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.173-173, 2010-12-05 (Released:2011-02-07)
著者
摩寿意 善郎
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.47-64, 1960-07-20

Since the 19th century, the Masaccio-Masolino problem regarding the frescoes in the Brancacci Chapel, has been antagonistically discussed in connection with the problem of attribution of the frescoes in the church of St. Clement in Rome and of some other works in question. However, after the last war, the restoration of the frescoes in the St. Clement and of the "Sant' Anna" in the Uffizi Gallery having been accomplished, a new clue to criticism on the style of these two painters was brought to light to a certain degree. Consequently, it seems that the Masaccio-Masolino problem has now reached the stage of a new study. so I researched this problem from style-critical and chronological point of view, distinguishing the works attributed confusedly to them into Masaccio's and Masolino's. However, as to the question when these two painters collaborated in the Brancacci Chapel, I could not but leave it unsolved. I regret that now I have not any authority here in Japan to decide the date of the collaboration of these two painters in the Brancacci ; whether it is before the Masolino's departure for Hungary or after his return from Hungary to Florence. The solution of this question must be attained by more advanced study.
著者
バロック チャールズ・S
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.89-117, 1989-10-30

20世紀の中頃からアメリカ南部の政治状況は大きく変容してきた。変容の最たるものは, 共和党勢力の伸長と黒人の政治力の台頭である。黒人層の政治的影響力は, 南北戦争後の「再建の時代」に連邦政府のあとおしによって強まったが, その連邦政府は「リンカーンの政党」つまり共和党が支配力を持つものであった。その意味で歴史的にも南部黒人投票者と共和党との間には共生的関係が存在していた。しかし, その後の南部白人層のまき返しにより, 黒人の政治活動を規制するような立法措置が構じられるに至った。クークルックスクラン(KKK)の活動等の社会的制裁も黒人に対して加えられた。こうした南部の黒人差別に対して介入を始めたのが1950年代末からの連邦政府であった。1957年に始まる一連の公民権法を中心とした連邦法の制定や, 連邦最高裁判所の一連の判決はその例である。連邦政府の介入もあり, 第2次大戦後の黒人による政治活動や政府組織への参加は活発なものとなった。たとえば1980年代中頃には南部黒人の3分の2が政治に参加するべく投票者登録をおこなっており, これは南部白人と同率である。しかも, 1960年代のジョンソン政権(民主党)は公民権の実施を強力におしすすめたこともあって, 「黒人の味方としての民主党」というニューディール以来のイメージがさらに補強されることとなった。すなわち, 政治力をつけた黒人層は, 民主党を支持することになり, 黒人の支持のない民主党はあり得ないという状況となったのである。伝統的に反共和, つまり民主党支持を保持してきた南部社会では, この新たな民主党支持の黒人投票者の台頭は新しい政治上のファクターであった。そのなかで南部黒人は一種のキングメーカーとしての地位を確立することになった。黒人層というキングメーカーの出現によって, 南部の政治は大きく変容すると共に, 人種問題を政治問題として取りあげざるを得ない状況となったのである。ところが, 一方においては共和党が南部で大きく勢力を確立する基盤がととのいつつあった。まず黒人は歴史的に共和党と共生関係にあったうえに, 1950年代のドワイト・アイゼンハワー時代にはこの国民的英雄を支持するという動きを示していた。そのうえに, 白人側の事情が変化したのである。第1には伝統的南部とは関係のない白人層が新しい仕事口を求めたり老後をくらすために北部から移入した。これらの人々は, もとより共和党支持者が多く, 南部に移ったからとて支持政党を変更したわけではない。第2には南部白人社会の世代交替にともなって, 従来の共和党=リンカーンの政党といったこだわりが少なくなり, 表だって共和党を支持する者がふえた。第3には, 「南部のプライド」といったものがうすれた結果, 単に支持政党をくら替えする者が多くあらわれるようになった。このような新しい動きのなかで, 1970年代から80年代にかけて南部は大きく共和党支持の旗のもとに統一されつつあるように見える。近来の大統領選挙は一回の例外(カーター)を除いては, 南部は必ず共和党候補を支持しているし, 国会議員, 知事選挙の動きを見ても同様のことがいえるのである。
著者
水野 陽一
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

わが国において、被害者参加制度の導入以後、犯罪被害者に対して訴訟参加者としての地位が認められることになった。被害者保護の重要性について疑いはないが、一方で無罪推定原則が妥当するはずの刑事訴訟において、なぜ「被害者」という存在が観念されうるのか、といった問題もっとに提起されている。公判における被害者参加が、被告人の防御権に対して大きな影響を与えうるのだということを考慮に入れた上で、我々は刑事訴訟における被害者保護の充実を図ると同時に、それによって被告人の防御権が侵害されないように十分な配慮を図る必要がある。被害者には、本来犯人に対して刑罰の賦課を求めることが許されるものである。しかしながら、現行の刑事訴訟制度において、被害者に対して認められる権利は、公益の範囲内に限定されるものであるといえる。すなわち、被害者には公益を損なわない範囲で適正な刑罰権の執行を求めることが許されるものであるといえるが、当該権利が被害者の恣意的な意思に基づいて行使されることは許されない。また、刑事訴訟の目的は、現行制度において適正な刑罰権の執行であるとされるべきであり、現状において、刑事訴訟における被害者に対して行われるべきは、その損害回復に重点を置いた施策であるように思われる。この点について、ニュージーランドにおける修復的司法制度の議論に関わる研究が有益なものであり、被害者の損害回復にとって社会共同体の果たすべき役割が重要なものであり、被害者保護に関して、刑事訴訟外における制度的充実を図ることが重要であることを明らかにした。以上の成果を基礎として、来年度以降刑事訴訟における被害者の法的地位についての研究を更に深化させていく所存である。
著者
中村 圭三 三谷 雅肆
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.855-864, 2011-10-31
被引用文献数
1

直達日射量の観測を要することなく,より観測地点が多く,入手も容易な水平面全天日射量データから,大気透過率や混濁係数などの評価を試みた.そのなかで,東京,およびその周辺6地点における過去20年間の正午を含む1時間水平面全天日射量データから,大気成分による吸収を無視したKondratyevの式を適用して,関東地方における大気の混濁係数の推移を求めた.1990年代前半には,ピナトゥボ山噴火による高い混濁係数が認められたが,その影響がほぼ消滅した同年代中期以降も混濁係数は漸次低下を続け,全体として,ここで取り上げた1989年以降,各地の混濁係数は漸減する傾向にあった.日射の季節的,地域的特性も確認され,適用する地域を100km程度に限定すれば,ここで採用された全天日射量から大気混濁度,および大気混濁係数を評価する方法が有効であると確認された.
著者
申 東愛 南 京兌
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

福島原発事故は、世界各国のエネルギー政策に大きな影響を与えている。まず、本研究では、各国のエネルギー政策の持続性と変化について政治制度、政策参加者の利害関係、政党、産業構造で分析を行った。次には、エネルギー安全規制体制やその再編における相違を分析した。アメリカでは、原子力規制が「規制分離」であることに対して、日本、韓国では規制組織が経済産業省に設置され、規制機関の独立性が保障されなかった。
著者
小林 和裕
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

入手容易な出発原料から合成できる、オルト位(ベンゼン環の隣り合った位置)に官能基(化学的反応し易い置換基)を有するフェニルイソチオシアナート(ベンゼン環にイソチオシアナート基:-N=C=Sがついた化合物)誘導体を用いて、従来の方法では構築が困難であり、かつ医薬や農薬などの創製に役立つ可能性の高いヘテロ環(環の構成元素として、窒素,酸素、硫黄などのヘテロ原素を含む環状有機化合物)誘導体や新規へテロ環骨格の簡便かつ一般的な合成法を23方法開発した。