著者
木崎昌弘編著
出版者
中外医学社
巻号頁・発行日
2013
著者
榊 美知子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.184-196, 2007-06-30

本研究では,手がかりイベント法(event-cueing technique)を利用し,(1)自伝的記憶がどのように構造化されているのか,(2)自伝的記憶の感情情報がどのように保持されているかに関して検討を行った。46名の大学生に手がかり語を8語呈示し,関連する自伝的記憶を1つずつ想起させた後(cueing events;手がかりイベント),各手がかりイベントに関連する自伝的記憶(cued events;想起イベント)を2つずつ想起するよう求めた。その結果,(1)想起イベントと手がかりイベントは高い時間的近接性を持っていること,(2)想起イベントを思い出す際に,手がかりイベントと同じテーマに関する記憶が想起されやすいことが示され,自伝的記憶がテーマごとに領域に分かれた構造を持つことが明らかになった。更に,自伝的記憶の領域と感情の関連について階層線形モデルによる分析を行ったところ,領域ごとに異なる感情状態と関連していることが明らかになった。このことから,自伝的記憶と感情の関連や,自伝的記憶による感情制御を検討する際に,自伝的記憶の領域構造を考慮する必要があることが示唆された。
著者
榊 美知子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.184-196, 2007-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
34

本研究では, 手がかりイベント法 (event-cueing technique) を利用し,(1) 自伝的記憶がどのように構造化されているのか,(2) 自伝的記憶の感情情報がどのように保持されているかに関して検討を行った。46名の大学生に手がかり語を8語呈示し, 関連する自伝的記憶を1つずつ想起させた後 (cueing events; 手がかりイベント), 各手がかりイベントに関連する自伝的記憶 (cued events; 想起イベント) を2つずつ想起するよう求めた。その結果,(1) 想起イベントと手がかりイベントは高い時間的近接性を持っていること,(2) 想起イベントを思い出す際に, 手がかりイベントと同じテーマに関する記憶が想起されやすいことが示され, 自伝的記憶がテーマごとに領域に分かれた構造を持つことが明らかになった。更に, 自伝的記憶の領域と感情の関連について階層線形モデルによる分析を行ったところ, 領域ごとに異なる感情状態と関連していることが明らかになった。このことから, 自伝的記憶と感情の関連や, 自伝的記憶による感情制御を検討する際に, 自伝的記憶の領域構造を考慮する必要があることが示唆された。
著者
西 満正 長野 稔一 大塚 直純 吉井 紘興 石沢 隆 山本 四郎 黒木 克郎 大山 満 渡辺 研之
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.259-264, 1975-05

大腸にはポリープが多い. しかも癌との区別が困難なもの, 多発するものが多い. これらの処置については外科医がしばしば悩まされている. 大腸のポリープと癌には疫学や腫瘍発生学の面からも興味のつきない点が多々ある. 今回われわれは入院手術症例, 直腸鏡集検例, 大腸ポリポージス症例, ソテツ毒による大腸発癌実験例などについて検討した. 私はポリープの癌化率をうんぬんする前にポリープの種類をよく知ること, 癌の判定基準を明らかにすること, 何よりもポリープを慎重に取り扱うことを強調したい.
著者
谷口 祥一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

現行の図書館目録のメタデータ(書誌レコード、典拠レコード)を、FRBR(「書誌レコードの機能要件」)概念モデルに準拠したものとなるよう、著作の効率的な同定法かつわが国固有の書誌・典拠レコードに適合した同定法を提案し、その有効性を検証した。古典著作、翻訳資料などの資料タイプごとに、必要な同定基準を検討し、実際に同定作業を行い、同定結果を公開した。並行して、人手による同定作業を補完する目的で、機械的な同定法を組み合わせることの有効性を検証した。また、それら同定結果を有効に用いるためのFRBR型の検索システムを構築した。他方、表現形については同定に大きな困難が伴うことを確認した。
著者
西田 稔
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高温形状記憶合金として期待されているTiPdNi合金のPd, Ni過剰組成において、研究代表者が見出した新しい析出相を利用した本合金の組織制御と高機能化に関する基礎研究を実施した.析出相の組成はTi_9(Pd,Ni)_<11>と表すことができ、三方晶構造を持つ.B2母相との方位関係は{110}_<B2>//{100}_<Ti9(Pd,Ni)11>,<111>_<B2>//<001>_<Ti9(Pd,Ni)11>である.研究の進行にともない、当初、析出相と考えていたこの相はB2母相の<111>方向に4倍周期の構造をもつ規則相であることが判明した.この根拠として、上記の方位関係より4つのバリアントが存在しそれらは不規則な形状の逆位相界面(APDB)によって分割されており、規則化温度(Tc)以下の焼き鈍しにより単一バリアントのみが優先的に成長することが知られた.さらに規則相の成長にともないマルテンサト変態が抑制され、Ms温度が室温から液体窒素温度まで低下した.この現象はTi系形状記憶合金においては初めて見出されたものであり、これまで貴金属合金系のみで議論されていた母相の規則化とマルテンサイト変態の関係に、今後、新たな知見を与えるものと期待できる.拘束時効により規則相を分散させた合金では二方向形状記憶効果が200〜400℃の間で発現することが確認できた.次に二方向特性に及ぼす熱処理の影響を種々検討したが、目的として設定したTi_3Ni_4相を分散させたNi過剰TiNi合金ほど顕著な形状変化を発現させるには至らなかった.今後の課題として、規則相の正確な結晶構造の同定およびマルテンサイト変態(母相の安定化)に及ぼす規則相の影響を明らかにする必要がある.
著者
岡本岱次郎 編
出版者
集英堂
巻号頁・発行日
1886
著者
森田 浩司
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-81, 2008-10-20

本稿は、鹿児島県指宿市山川において、石敢當に関する現地調査を2度にわたって行い、その分布状況や特徴を明らかとしたものである。石敢當とは、中国起原の魔除けの石で、T字路の突き当たりやL字路の突き当たり、そして少しずれた四差路などに設置され、邪悪な霊が直進して家屋内に進入してこないように、石の霊力で防ぎ鎮めようとするものである。そのような風習は、琉球から伝播してきたものであり、鹿児島がまだ薩摩として琉球と交易をはじめた頃に、その風習がはいってきたと思われる。そして、山川は薩摩藩と琉球との貿易の拠点であったため、その琉球文化の風習が直接入り込んでくる可能性が最も高い地域であった。だからこそ、現在人口約11000人で面積37.18Km^2(旧山川町)と小さな町ではあるが、歴史的にかつ地理的、また民俗学的にも、山川は石敢當の調査・検討する価値がある地域である。
著者
馬居 政幸 外山 知徳 阿部 耕也 磯山 恭子 唐木 清志
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

95年度から実施してきた調査を踏まえ、平成14年度から3年計画で次の3種の調査研究を実施した。1.日本文化開放政策進行に伴う韓国青少年の意識と行動の変化把握のためのソウル市、大田市、釜山市での継続・発展調査。2.日本理解・批判に関係する学習機会の青少年への影響と社会的文化的基盤解明のための新調査。3.日韓相互理解教育のためのプログラム開発とモデル授業実施。これらの調査結果の分析から、現代韓国青少年が日本と同様に個人化が進行する豊かな社会に育ち、社会的自立への課題を日本青少年と共有することを明らかにした。さらに、日本文化への接触状況と日本・日本人への評価の継続調査の総合分析から、漫画を中心に日本文化開放以前に浸透した日本文化が韓流文化の源流を形成し、文化開放の進行に伴いアニメや歌謡も類似の傾向が見られることを把握した。また日本・日本人観の変化の5類型を析出し、相互理解を阻む新たな意識構造を解明した。特に韓国中高生の「日本・日本人評価」と「推測する韓国・韓国人評価」の比較から、日本と同水準の生活を享受する青少年による既存世代と異なる韓国上位の意識形成を確認。これらとモデルプログラム実施結果との総合分析から相互理解教育促進への次の課題を解明した。1.インターネットを代表にIT化の進行が自国文化・言語内に閉じた意識と行動を強化するため、従来と異なる相互の理解(誤解・不信)に関わる多様な情報サイトの影響の実証研究と相互理解促進のための情報サイトの増設が必要である。2.両国の現代文化共有化は相互理解の基盤形成に寄与する反面、両国社会の問題点を認識させる側面もある。その克服は規制ではなく、より積極的かつ多面的な現代文化共有化の機会拡大が必要である。3.世代間格差を伴う新たな相互理解の障壁形成を克服するために、差異の相互認知に止まらず相互に修正をも要求しあうことで二国間を超えて共有すべきアジア的シチズンシップの構築とその教育システムが必要である。
著者
伊藤 伸子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

強力な白血球活性化作用を持つロイコトリエンB4(LTB4)とその受容体BLT1の急性痛への関与について、BLT1遺伝子欠損マウスを用いて研究を行った。ホルマリン足底注入による急性痛モデルでの疼痛行動は、BLT1遺伝子欠損マウスで有意に減弱していた。脊髄での痛覚感作に関わる急性活性化因子CREBの活性化がBLT1欠損マウスで減弱し、またホルマリン注入局所の炎症所見が低下していた。さらにBLT1拮抗薬投与にても疼痛行動の減弱が認められた。急性痛病態形成においてLTB4-BLT1シグナルが局所の炎症反応とそれに続く脊髄での痛覚感作両方に関与している可能性と、BLT1拮抗薬の有効性が示唆された。
著者
中尾 敬
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度はまず,昨年度に本研究課題の一環として実施したfunctional magnetic resonance imaging (fMRI)を用いた実験のデータを再解析(Psychophysiological interaction analysis)した。その結果,答えが決まっていない事態における行動選択過程においては特に内側前頭前皮質と前部帯状回とに機能的な関連が存在することが明らかとなった。これら結果はこれまでに報告されていない新たな知見であることから,その成果を国際誌向けの論文にまとめ投稿した。論文はすでにNeuroscience Lettersに受理され刊行されている。同データは,国際学会であるThe 15th World Congress of Psychophysiology (IOP 2010)においてポスター発表した。また,研究課題と関係の深い先行研究のメタ分析を実施した。メタ分析では答えの存在する事態における意志決定についての研究と答えが存在しない事態における事態における意志決定の研究で観察された脳活動部位の比較を行った。その結果,答えの存在する事態のうち,答えの予測可能性が高い事態では眼窩野の内側部に活動の増加が認められていたが,答えの存在する事態のうち答えの予測可能性が低い事態と答えが存在しない事態では内側前頭前皮質に活動の増加が認められていた。これらの結果は,予測可能性の高低だけではなく,答えの有無によって意志決定に関与する前頭部位のネットワークが変化することを示していた。このメタ分析成果は2本のレビュー論文としてまとめ,一本はすでに「生理心理学と精神生理学」に受理され現在印刷中である。もう一本は国際誌向けに執筆したものであり,現在審査中である。また,現在実験も進行中である。