著者
Watanabe Kota Watanabe Tsutomu
出版者
UTokyo Price Project
雑誌
JSPS Grants-in-Aid for Scientific Research (S) Understanding Persistent Deflation in Japan Working Paper Series
巻号頁・発行日
vol.037, 2014-02

2012~2016年度科学研究費補助金[基盤研究(S)]「長期デフレの解明」(研究代表者 東京大学経済学研究科・渡辺努, 課題番号:24223003)
著者
木下 俊則
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本課題ではモデル植物シロイヌナズナを用いて青色光による気孔開口に変異の見られる変異体のスクリーニングを行い、その原因遺伝子の同定することを目的として研究を進めてきた。スクリーニングには様々なタイプの変異体を単離するため、T-DNA挿入株、アクチベーションタグ挿入株とEMS処理株を用いた。これまで、12,280個体のT-DNA挿入株、6,258個体のアクチベーションタグ挿入株と12,288個体のEMS処理株の1次スクリーニングを完了し、当初の目標数にほぼ到達することが出来た。さらに、2次スクリーニングを進め、T-DNA挿入株において5株とEMS処理株において24株の変異体を単離した。アクチベーションタグ挿入株においては、変異体を得ることができなかった。EMS処理株においては2次スクリーニングを継続中である。T-DNA挿入株より得られた変異体については、TAIL-PCRによる遺伝子の挿入箇所の同定を行い、5株中2株について、ゲノム中でのT-DNAの挿入箇所を同定した。現在、原因遺伝子の機能解析を行っている。EMS処理株の変異体については、現在、2次スクリーニングで得られた変異体(約30株)について順次コロンビア品種との戻し交配とランズバーグ品種との掛け合わせを進めている。また、同時にこれら変異体における実際の気孔開閉反応についても解析を進めている。特に、STE27と名付けた変異体において興味深い結果を得ている。STE27は、青色光による気孔開口はほとんど見られないが、青色光受容体フォトトロピンや細胞膜H^+-ATPaseは正常に発現し、機能していることを確認した。この結果は、STE27の原因遺伝子が受容体からH^+-ATPase活性化に至る情報伝達に関わる未知の因子である可能性を示しており、その原因遺伝子がどのような蛋白質をコードしたものであるか早急に明らかにしたい。
著者
齊木 功
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

鋼トラス橋の冗長性を確保することを目的として,対象橋梁の健全時と部材破断時を想定し,格点部に要求される性能について考察した.その結果,健全時の冗長性の向上のためには,斜材の軸力だけでなく,横桁がガセットプレートへ及ぼす面外方向への影響にも考慮する必要があることがわかった.また,斜材破断時の冗長性の向上にはガセットプレートの面内曲げ耐力の向上が有効であることがわかった.これらの検討に用いられる非線形有限要素解析の計算負荷軽減のために,格点部を詳細にモデル化した全体構造モデルの解析結果を用いたズーミング解析を提案し,その有効性を確認した.
著者
中村 寛志
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.137-144, 1980-08-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
12
被引用文献数
5 10

集合性昆虫の一種であるマツノキハバチの幼虫について集団サイズ別分離飼育を行い集合効果の検証をするとともに,幼虫集団の摂食過程と集合形態の調査を行った。1. 集団サイズ別分離飼育における令期間は1頭区の1, 2令期が他の集団サイズより長くなったが,繭重量に関しては差がみられなかった。また集団サイズと生存率の関係は1, 2, 3, 5頭区で55∼60%,7頭区で77%, 10, 20頭区ではほぼ100%であった。2. 不適な餌による集団サイズ別分離飼育においても10, 20頭区はほとんど死亡がみられず集団サイズが小さくなるにつれて死亡率が高くなった。3. 孵化幼虫はアカマツの枝の先端に集団を形成するが,1令幼虫では1葉につき約8頭の小集団に分かれて摂食した。また脱皮時には葉の基部に多くの個体が集まり密な集団を形成した。4. 以上のことから明らかになった本種幼虫の摂食集団と脱皮集団という2種類の集合形態の生態的意義を考察した。
著者
宇野 亨
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

【研究目的・方法】渡り鳥の越冬地の減少対策として注目される冬期湛水有機栽培水田では、雑草抑制が課題となっている。本試験では代かきの除草効果に着目し、代かき回数と雑草発生の関係を、冬期湛水有機栽培水田において明らかにすることを目的とした。コナギを優占種とする冬期湛水有機栽培転換4年目の水田1筆内に、代かき回数を異にする3処理区[2/4/6回]を3反復で設け、水稲品種ひとめぼれを栽培した。複数回代かき処理前後の土壌を採取し、発芽法により埋土雑草種子量を調べた。また、本田における雑草の発生数・乾物重、水稲の生育・収量について調査を行った。【研究成果】埋土雑草種子量は、コナギなど複数種で代かき処理後に増加する傾向がみられた。これは代かき処理後の土壌試料に含まれる米ぬか資材の影響で、発芽が促進されたためと考えられた。代かき処理前の土壌試料にも、同様に米ぬかを加えた条件で再試験を行った結果、殆どの雑草で代かき処理後に埋土雑草種子量が減少する傾向がみられた。代かき回数と埋土雑草種子量の関係は雑草種により異なり、コナギやイヌホタルイでは回数を増やすほど減少する傾向がみられた。本田の雑草発生は、機械除草を一律に行った影響もあり少なかった。収穫期に認められた雑草はコナギ、オモダカ、クログワイが主であった。コナギは発生期間が長いこと、オモダカとクログワイは地下塊茎より発生することから、それぞれ機械除草を回避した個体が残ったものと考えられた。本田の水稲は茎数と収量に有意な正の相関関係があり、代かき回数を増やすほど増加する傾向が認められた。前述した雑草の発生量は、いずれも水稲生育に影響する程ではないと考えられることから、多数回の代かきには雑草発生を抑える以外に、水稲生育を向上させる効果のあることが示唆された。水稲生育を向上させる作用としては、土壌撹拌による有機物分解(窒素無機化)の促進等が考えられた。
著者
梅田 巌 飯田 孝一
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.3-11, 1990

宝石用ダイヤモンドに、研究用原子炉または電子線線型加速器を用いて放射線照射処理を行い、人工的に着色させた。また熱処理も行って変色させ、一つひとつの石の処理前後の変化を自記分光光度計で測定した。用いたダイヤモンドは、天然ダイヤモンドのカットストーンと結晶原石が主で、一部に透明度の低い黄色い合成結晶ダイヤモンドの原石を含めた。放射線照射処理および熱処理の良い条件の下に、無色の天然ダイヤモンドを、青色から緑色、レモンイエローからゴールデンイエローの美しいファンシーカラーダイヤモンドに人工着色することができた。
著者
新原 道信 古城 利明 中島 康予 川原 彰 藤井 達也 田渕 六郎 古城 利明 藤井 逹也 川原 彰 中島 康予 柑本 英雄 石川 文也 田渕 六郎 中村 寛 メルレル アルベルト バストス ジョゼガブリエルペレイラ 鈴木 鉄忠
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本調査研究は、21世紀"共成"システム構築を全体構想として、グローバリゼーションのもとで頻発する異物・異端排除をめぐる諸問題に対して、衝突・混交・混成・重合しつつ共存するヨーロッパの"境界領域"の"共成の智"を明らかにすることを目的として、"境界領域のメタモルフォーゼ"を鍵概念として、地域自治・自立、国際地域間協力、地域住民のアイデンティティの複合性・重合性に関する地域調査・聴き取り調査をおこなった。
著者
山本 芳久
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

現代の世界情勢において、キリスト教世界とイスラーム世界との文明間対話が焦眉の課題となっている。こうした課題に本格的に取り組むためには、政治や経済の動向の分析のみではなく、両文明の世界観の基礎を為している哲学・神学の次元での比較思想的考察が不可欠である。本研究においては、西洋中世とイスラーム世界の法概念を比較哲学的・比較宗教学的に分析することによって、両文明の知的営みの連続性と非連続性の双方を明らかにした。
著者
南谷 貴史
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.65, pp.19-35, 2004
被引用文献数
1

近年, 西アフリカではコメの需要が増加の一途をたどっており, 輸入米への依存度を強めている諸国が大半を占める。コートジボワールでも供給量の40%に当たる78万tを輸入に依存している。陸稲栽培に対し, 比較的高い単収が期待される灌漑稲作栽培の展開は, 内陸小低地を利用した大規模開発を中心に進展されてきたが, 基準となる栽培技術の普及や設備の維持管理等の諸問題により, 依然として生産を安定させるには至っていない。<br>本稿ではコートジボワールの内陸小低地に点在する灌漑稲作地域においての現地調査を通し, 農民の行動を左右する自然的要因及び社会経済的要因の特徴を開発形態別に明らかにするとともに, 灌漑稲作を基幹作物とする農村における諸問題の解決に向け, 内発的・持続的であるかといった視点に立ち, 導入可能な適正技術を検討し, 農民参加型での事例検証を行った。<br>自然資源利用型の政府主導による大規模開発地域に対し, 内発的開発形態としての農民自らの開墾地域は, 持続性・自立発展性において優位性が認められ, また, 小規模機械化に伴う農民組織化は灌漑稲作を進展させるひとつの適正技術になり得ると考えられる。<br>農村社会の生活向上のためには, 農民の持つ開発能力の進展 (エンパワーメント) を図ることが重要であり, 人的資源・社会資源を再評価し, それを活用する環境を如何に整えるかが課題となる。
著者
徳永 裕輔
出版者
福岡教育大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

【研究目的】1,子どもが保健体育科の学習において身につけた知識や技能を他の運動場面や他の単元に発展させたり転移させたりして取り組むことの可能性を調査・分析する。【研究の方法】1,子どもの実態調査を学習の事前事後に行うことでその変容から考察する。具体的には,技能の基礎となる新体力テストによる子どもの体力に関する実態の調査と分析を行った。また,運動に対する学習目標志向測度(谷島・新井1994を一部徳永改編)運動に対する価値志向測度(酒井・山口・久野1998を徳永一部改編)の記述式アンケート調査を実施し分析を行った。2,「学習の足跡」としてポートフォリオを作成し,子ども自身が学習した内容を随時振り返り,学びを利用したり適川したりすることができるような学習活動を設定した。3,体力の高・中・低の抽出性を設定し,運動に対する志向性の関係を多面的に分析した。【研究の成果】1,集団的種目(単元)において,子どもは,過去の学習経験から,指導者が考えている以上に,個人技能と集団技能の関連を意識的にできていなかったことが分かった。つまり,習得した個人技能を用いて戦術や仲間との連携などの集団技能へ活用する意識が少ないという分析結果が得られた。2,単元の導入段階で,子どもにシラバスや学習目標の提示を行い,単元を貫く課題意識を持たせることで,「習ったことを試す」「習ったことを活かす」ような意識を持つことが期待されることが分かった。3,単元の中に,体育理論の内容(その運動の歴史等),要領や技術的なポイントなどを各自で探究活動を行い,レポートにまとめる活動を取り入れることで,運動への理解力が身に付き,自ら考え実践しようとする力が高まった。
著者
鹿内 啓子
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.37-46, 1984-08-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

本研究の目的は, 自分がある課題を遂行して成功または失敗を経験した後に他者の成績情報が与えられた場合, その因果帰属に対して自己の成績およびself-esteemがどのような影響を及ぼすかを検討することである。そして次のような仮説をたてた。自分が失敗した時には, self-esteemの高い者 (高SE群) は高いself-esteemを維持するために相対的に他者を低く評価し, 他者の成功を外的要因に, 失敗を内的要因に帰属するであろう。他方self-esteemの低い者 (低SE群) は失敗によって自己評価を低めるので, 相対的に他者を高く評価し, 他者の成功を内的に, 失敗を外的に帰属するであろう。自分が成功した場合には, それが自己評価に及ぼす影響に関して相反する二つの方向のものが考えられるので, 仮説はたてられなかった。被験者は女子大学生であり, 質問紙によるself-esteemの測定の結果, 高SE群と低SE群各30名を選んだ。まず被験者自身にアナグラム課題を4試行遂行させ, 成功条件では全試行で成功し, 失敗条件では全試行で失敗するよう操作した。各試行および全試行全体の成績に対して能力, 努力, 問題の難しさ, 運および調子のそれぞれがどの程度影響していたかを7点評定させて因果帰属を測定した。その後, 同じ課題での他の大学生の成績であると教示して, 4名の他者の成績を知らせ, 自己の場合と同様に因果帰属を求めた。4名のうち2名は全試行で成功し, 他の2名は全試行で失敗している。最後に実験の目的と成功・失敗の操作について説明した。主な結果は次のようなものであった。1. 自分が失敗した時には, 高SE群よりも低SE群が他者の成功を内的に帰属し, 他者の失敗については逆に高SE群のほうが内的要因により強く帰属した。これは仮説を支持するものであった。2. 自分が成功した時には, 内的要因でも外的要因でもself-esteemの影響はみられなかった。3. 自他の因果帰属の差異に関しては, 自己よりも他者の成功が, また他者より自己の失敗が能力により強く帰属され, 運へは他者の失敗のほうが強く帰属された。これは, 自己の成績については控え目な帰属を, 他者のそれについては望ましい帰属をする傾向を示すものであり, public esteemによって解釈された。
著者
見田 悠子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

今年度前半の主な活動は、ガルシア=マルケスを育んだコロンビア共和国での調査である。世界的にも長らく見過ごされていたバランキーリャ・グループについては、日本国内にはほとんど情報がない。研究計画作成当初は、コロンビアは渡航が危険とされていたことや、どのような情報があるのかも知られていなかったため、今回の渡航調査は計画外のものである。しかし、ガルシア=マルケス研究やカリブ海沿岸地域文学の研究を進めるにあたっては必須かつ有意義なものであった。*ガルシア=マルケスの生地/アラカタカガブリエル・ガルシア=マルケスの弟であるハイメ・ガルシア=マルケスの案内によってアラカタカのガルシア=マルケス博物館や資料館となっている電信技師の家、公民館、図書館において『百年の孤独』の舞台となっている村の当時の様子を見聞した。*カリブ海沿岸地方/バランキーリャカリブ海沿岸地域の文化そしてガルシア=マルケスの専門家アリエル・カスティーリョ博士から論文や雑誌記事の提供を受け、今後の研究に際して助言を得られることとなった。バランキーリャを代表する小説家、ラモン・バッカからもバランキーリャにおける文学活動について情報を得た。ホセ・フェリクス・フエンマジョールやアルバロ・セペダ=サムディオの著作とガルシア=マルケスの比較研究をするという課題をみつけた。*カリブ海沿岸地方/カルタヘナFNPI(国際ヌエボ・ペリオディスモ基金)においてガルシア=マルケスの新聞記者時代に関する資料を入手した。*首都/ボゴタ国際ブックフェアや古本屋において、日本もふくめ諸外国では手に入りにくい資料を多く入手した。