著者
諏訪 浩 齊藤 隆志 横山 俊治 高谷 精二 高谷 精二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、地震や豪雨によって起こる崩壊や土石流が、河川を閉塞して地すべりダムを形成する条件と決壊に至る条件、ならびにそのメカニズムを検討するために、崩壊や土石流が発生した現地の地形・地質を調査分析し、採取した土試料の分析、空中写真や地形図、数値標高モデルを用いた水文地形解析、ビデオ映像記録や地盤振動データの解析などをおこなった.その結果、崩壊位置の特定方法、地質構造が崩壊の素因として果たす役割、崩土の材料特性と運動特性の関与、河川形状の特異性と地質の違いが地すべりダム形成・決壊に果たす役割とメカニズムについて、斬新な知見をもたらした.
著者
匠 秀夫
出版者
岩波書店
雑誌
文学 (ISSN:03894029)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.p217-233, 1976-02
著者
松村 和信 原 浩一 パラシオス アルベルト
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

最近のデバイス技術の進歩は著しく、スイッチング遅延が数ピコ秒の超高速論理素子が実現されたという報告がいくつかある。自己同期システムは、平均遅延を最小化し、ピコ秒素子の高速性がフルに享受できるようにする一つのアーキテクチャであり、最近注目を浴びて、色々な実現方法が提案されている。しかし、自己同期システムの動作検証に関してはその報告が少ないといえる。
著者
中丸 久一 赤堀 正宜 パラシオス アルベルト 角替 弘規 赤堀 正宜 アルベルト パラシオス 角替 弘規
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々は、両親の就労のために来日した在留外国人子女に対する理科教育のためのデジタルコンテンツ理科教材を作成し配信してきた。理科は自然現象を扱う科目であるが、自然現象が母国と異なるため、単に日本の自然を対象とした理科教育では、彼らのアイデンティティに大きな影響を与える。アイデンティティを維持するためには理科教育をどのように行えばよいか、彼らの母国と日本の自然現象の比較を行ないながら理科教育を検討してみた。
著者
中野 雅子 椎野 顕彦 江頭 典江 佐藤 眞一 権藤 恭之
出版者
大阪信愛女学院短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

認知症予防介入に使用することを目的に、『活き活きしているか』『力強いか』等15項目を絵で7段階に心理測定する米国版ウェルビーイングピクチャースケールを、日本版に改訂することを試みた。まず軽度認知障害(MCI)高齢者へのナラティヴアプローチ、「物忘れ外来」での『看護外来』から高齢者心理を分析し、それぞれを国際学会で発表した。次に280名の健常高齢者(平均69.6±7.5歳)に対し、米国版により心理分析とともに自由記述を依頼したが、絵の誤認、迷い、尺度と理解されない等多数問題点が抽出された。それらを基に日本の高齢者に適した絵に改訂し、現在約300名の高齢者へ試み、使用可能性を検討している。
著者
児島 清秀 山田 彬雄 山本 雅史
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.335-339, 1994
被引用文献数
7 5

本実験ではバレンシアオレンジ果実の生長速度が高い秋期の果実を部分 (果芯, 種子, 果肉, アルベド,フラベド) に分けてアブシジン酸 (ABA) とインドール-3-酢酸 (IAA) を分析した. ABAとIAAは, 内部標準として<SUP>3</SUP>H-ABAと [<SUP>13</SUP>C<SUB>6</SUB>] IAAを使用し, ガスクロマトグラフィー電子捕獲型検出器と質量分析器(選択的イオンモニタリング) で測定した. 果肉と種子の重さは急激に増加したが, アルベドとフラベドの重さはゆるやかに増加した. 150DAB (開花盛期後の日数) に, 種子のABA濃度は大きなピーク (21nmol•g<SUP>-1</SUP>生重量) を示したが, 果肉は小さなピーク (5nmol•g<SUP>-1</SUP>生重量) であった. 種子中のIAA濃度は150DABまで減少したが, 他の分析した部分よりも高い濃度であった. 果芯部のIAA濃度は119DABにピークを示し, 果肉•アルベド•フラベドよりも高い濃度を保った. アルベド, フラベドは同程度の低いIAA濃度であった. 得られた部位別の植物ホルモン量より, 種子中のABAと同化物集積性や果芯部のIAAと維管束との関係, 果肉と果皮間のABAの非移動性, 部分別の植物ホルモン分析の必要性が示唆された.
著者
壱岐 一郎
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-10, 2003-03-31

アメリカにおける01年の9・11事件は20世紀の2度にわたる原爆投下にも等しい世界史的意義をもつ。では,ブッシュ政権下における現地メディアはどもかく,東京メディアは「同時多発テロ」を正しくとらえて報道したか,大きな疑問がある。映像メディアはWTCセンターのツインタワー崩壊の瞬間を繰り返し放映した。ワシントン・ペンタゴンの百倍をこえる放映量であろう。また,02年9月17日,日朝首脳会談当日,NHKは放送の大半を拉致報道に費やした。これらの反復は「公平」で「客観的」だっただろうか。日本を代表する放送が政権の広報局に傾く中で,ニュースとその解説の難しさを痛感せざるをない。テレビが言論機関ではなく政権の広報機関に陥りやすいこと,そこには国益を別にして「民益」を損なう重大な陥穽のあることに気付く。つまるところ,巨大映像メディアは歴史文化の広く深い理解が求められていることを知るべきであろう。
著者
美多 勉 劉 康志 三平 満司
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

ロバスト制御理論の中核としてH_∞制御があるが、実際問題に応用する場合、問題が非標準となり、標準的な解法を適用できないことがしばしばある。すなわちa.サーボ系を構成するため不安定重みを選んだり、推定問題において制御対象が不安定なとき、(A,B_3)が可安定、(A.C_2)が可検出性という標準仮定が満たされない。b.入出力のアンバランスで、D_<12>が列フルランク、および、D_<21>が行フルランクであるという標準仮定が満たされない。c.制御対象が虚軸上に極や零点をもつ特殊な問題では、G_<12>(s)やG_<21>(s)が虚軸上に零点を持たないという標準仮定が満たされない。本研究ではこれらの問題のうち、重要なものに解を与え、その結果を使い、d.外乱オブザ-バを中心とした制御則に期待できるロバスト性の理論的解明、e.外乱零化と言う共通の究極的目的を持った、スライディングモード制御、非干渉制御、H_∞制御のロバスト性の比較と融合、を行うと共にf.炭鉱のトロッコの位置決め制御、電力系統のH_∞制御に得られた結果を適用し効果を確かめた。その結果、応用も含めて数々の成果が得られ、産業応用のためのH_∞制御、H_2制御の適用指針が得られた。
著者
金丸 千雪
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.95-105, 1999-02

フェミニズムの主張を、文学の審美性を損なわずに表現するのは、ある意味で困難である。例えば、樋口一葉の『十三夜』は文学的には勝れているが、作品全体を支配するセンチメンタリズムは、女性に対する抑圧の言説を壊し変革する役割を果たさない。悲劇のヒロインの「涙」は家父長制社会において、究極的に女性が服従を受容するように促す性格や行動のイメージを強化する。しかし、一葉は、男性中心の知的伝統の文化が受け入れを許しもしない経験と感情を伝えるために、感傷の力を利用している。本稿は、小説におけるセンチメンタリズムがどのような力を発揮しているかを検討し、その意義を積極的に評価する一つの試みである。
著者
上野 矗
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.63-74, 2005-01-31

ここでは、ショッキングな出来事を契機に人間不信に陥ったケースを例示し、援助的理解をはかるT様グループのかかわり合いのプロセスに経験的現象学的方法による意味分析を試みる。そこから感情体験表明としての涙が援助的理解にとってもつ意味と効用に関して検討を加えようとする。 検討結果は、次のようである。 1)感情体験表明としての涙がその意味と効用たらしめるのには、送り手と受け手の反応の仕様が大きくあずかっている。 2)涙は心理的なしこりを溶かす。 3)涙は抑制された情緒的エネルギーを解放し、カタルシスをはかる。 4)涙は心の傷を癒す。 5)涙は気づきや洞察への契機となり、導き手となり、その証明を確認する。 6)涙は援助的理解を確実にし、また深めていく。 7)涙は、人をして生涯時間の時制を"生きられた時間"の展望に向けた再編成をはかり、そこから新しく生産的で健やかな生活世界への道を開らく。すなわち、過去をいまに引き入れ既往化し、新しい意味づけを見い出し、これを足場に、未来を将来化し、新しい展望を拓らくのである。 8)なお、涙は、丁度ステロイド剤がそうであるように、両刃の刃で、その効用と同時に有害ともなりうるとの認識の重要さが指摘される 。