著者
星 英司
出版者
財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
若手研究(S)
巻号頁・発行日
2007

神経解剖学的研究は、前頭葉と大脳基底核、そして、前頭葉と小脳が形成するネットワーク構造を細胞レベルの精度で明らかにした。神経生理学的研究は、随意運動課題を遂行している動物の脳の各部位から記録されたニューロン活動を比較することによって、各々の特異的な機能(機能分散)とその関連性(機能連関)の実態を明らかにした。こうした結果を総合することにより、随意運動の発現における前頭葉、大脳基底核、小脳の役割について、分散と連関という観点から新しい理解をもたらした。
著者
藤坂 龍司 井上 雅彦
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.57-70, 2012-01-31

自閉症早期療育に取り組む親の会に所属する11組の親子を二組に分け、不連続試行法(DTT)を中心とする行動療育の知識と技法に関する親講習会を、時期をずらして約1カ月間実施した。その結果、親の教育技法、子どもの獲得スキルともに、トレーニング後におおむね向上し、半年後、1年後のフォローアップでもそれが維持された。親の精神健康度は講習会後改善したが、1年後は一部の親で再び悪化した。家庭療育を1年未満で中断する親も少なくなかった。これらのことから、約1カ月の親講習会はDTTを中心とする行動療育の技法を親に習得させるためには効果的だが、その後1年間にわたって安定的に家庭療育を維持させるためには不十分であることが示唆された
著者
初田 賢司 溝手 悦子
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.218, pp.72-77, 2011-06

講座の第1回で説明しましたように、一昔前までは基本設計を一くくりにしていました。その結果、基本設計が不完全なまま次の工程に進んでしまい、手戻りや品質の悪化、下流工程で仕様が膨れ上がる(スコープクリーピング)という問題を引き起こしていました。そこで現在は、基本設計を業務、システム、ソフトウエアという階層に分けてWBSを作成する方法が主流となっています。
著者
臼杵 陽 加藤 博 長澤 榮治 福田 安志 水島 多喜男
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

最終年度の今年度は3年間の研究のとりまとめと次の段階へのステップとして位置づけられる。今年度の研究成果として次の二点があげられる。まず、尾崎三雄氏所蔵アフガニスタン関係資料の整理である。本資料の整理は3グループに分かれて行われた。すなわち、第一は尾崎氏がアフガニスタン滞在中に記した日誌・日記等の活字記録の整理・入力作業である。本作業は一橋大学の加藤博(分担者)が中心に行った。第二は、アジア経済研究所の鈴木均(研究協力者)を中心に尾崎氏がアフガニスタンで収集した書籍のデーターベース化と収集民具などの整理である。第三は国立民族学博物館の臼杵陽(分担者)尾崎氏がアフガニスタン滞在中に撮影した写真のCD-ROM化の作業である。この3グループの作業としては第二、第三のグループがその一部のデータをCD-ROMを焼き付けた。また、第一のグループは日誌類の入力作業が終わったところである。このアフガニスタン関係資料の整理は本研究プロジェクトが終了した後も続けられる予定である。第二の成果として、日本・中東イスラーム関係をより比較の視点を導入して、議論を幅広く発展させていくことであった。この成果は国際ワークショップ「植民地主義を比較する-エジプト、イスラエル、日本、朝鮮半島を比較する」を2005年25日に開催したことである。このワークショップを通じて、日本・中東イスラーム関係は植民地主義の性格とその形態の地域間比較を通して、より広くイギリス・中東関係、日本・朝鮮半島、さらにはイスラエル・パレスチナ関係にも敷衍できることを確認した。すなわち、この知見は日本・イスラーム関係を基礎研究から製作提言まで幅広い可能性をもった中東イスラーム研究の今後のあり方を考えていく上での前提作業と位置づけられるのである。

1 0 0 0 OA 群書類従

出版者
巻号頁・発行日
vol.第141-142,
著者
倉田 明子
出版者
国際基督教大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度はまず、従来の上海・香港における開港場知識人、および洪仁〓に関する研究をすすめ、それらを博士論文「19世紀南中国におけるプロテスタント布教の発展と「開港場知識人」の誕生--洪仁〓と『資政新篇』の位置づけをめぐって--」としてまとめた。この博士論文を通して筆者は、洪仁〓と中国における近代化の最初の試みとされる洋務運動の実務的な担い手たちや香港の中国人エリートらを、一定の共通体験を持つ人々として「開港場知識人」という枠組みでとらえ、洪仁〓の太平天国における改革への試みも孤立した改革運動ではなく、洋務運動やその後の近代化への道筋と同じ源流を持っていたと見なすことができることを指摘した。博士論文提出後は、(1)中国キリスト教史、(2)洪仁〓研究、(3)開港場知識人に関する研究、の3点について史料調査・収集及びその分析を進めた。(1)については、宣教師によって出版された雑誌『教会新報』に注目し、1860年代に入り急速に中国国内でキリスト教布教の規模や勢力が拡大したこと、また宗教思想にとどまらない、西洋の文化、特に科学知識の伝播の担い手として再び宣教師や信徒たちが一定の役割を担ったこと等を確認した。また、『教会新報』の続編である『万国公報』についても内容の整理と分析を進めている。また、(2)については、洪仁〓の晩年のキリスト教に対する考え方について検討を加えようと試みた。『資政新篇』以外の洪仁〓の著作についても改めて丁寧に読み込み、分析を行っている。さらに、(3)の開港場知識人の関する研究については、1840年代から50年代にかけて、上海のロンドン伝道会やイギリス国教会の宣教師やその助手たちが、琉球布教に携わっていたベッテルハイム宣教師と緊密な関わりを持っていたことも明らかになってきた。そこで、香港においてベッテルハイム関係の資料の調査、収集を進めたほか、台湾においても関係資料の収集を行った。
著者
稲垣 成哲 楠 房子
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は,科学系ミュージアムやフィールドでの学習における近未来の学習支援のためのデザイン指針と評価手法を明らかにすることである。近年の科学系ミュージアムやフィールドには,従来のHands-onタイプの展示だけでなく,ユビキタス社会を反映した様々なテクノロジが実験的に導入されており,それらによって可能になった近未来型のインタラクティブな学習支援・展示支援の現場が出現している。最終年度では,(1)文献・資料の収集とデータベース整理,(2)国内外の事例に関する実地調査,(3)デザイン指針の策定とその評価手法の開発及び試行,(4)成果発表を行った。まず(1)については,科学教育関連図書や博物館・フィールド学習関連図書及びこれらの関連領域の学術論文を収集し,科学教育の観点からみた学習支援のためのデザイン指針の理論的枠組及びその評価手法に関する仮説的提案を行った。(2)については,当該テーマにおける先進的な学習支援・展示支援の実例として,国外では,ベルギー自然史博物館,ポンピドーセンター,シュトゥットガルト自然博物館,メルセデス・ベンツ・ミュージアム,ビトラデザインミュージアム,ゼンケンベルク博物館等における新しいタイプの学習支援・展示支援のあり方について実地調査をした。他方,国内では山口情報芸術センター,北九州市立いのちのたび博物館等において調査を行った。(3)については,申請者らが従来から取組んでいる兵庫県六甲山を対象にした「実世界と仮想世界をインタラクティブに統合したフィールド学習」を題材にして,上記(1)における仮説的提案の適用可能性について調査した。最後に,(4)については,日本科学教育学会第34回年会(広島大学)において,テクノロジを利用した新しい学習支援・展示支援研究4件から構成された自主企画課題研究「インタラクション・デザイン・学習II」を組織した。

1 0 0 0 内科宝函

著者
内科宝函刊行会 [編]
出版者
内科宝函刊行会
巻号頁・発行日
vol.6, no.8, 1959-08
著者
藤田 優子 中島 理恵 小野寺 祐加 白神 誠
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-27, 2014-05-30 (Released:2014-06-09)
参考文献数
3

Introduction: A health assessment sheet was developed to establish a new method for post marketing surveillance (PMS) for nonprescription drugs, the status of which has recently been switched from prescription (Rx) to over-the-counter (OTC) to confirm the efficacy and safety of Rx-to-OTC switched drugs.  The assessment sheet was designed to evaluate adverse reactions that may be possibly induced by the drugs and to elicit spontaneous complaints from consumers.  An investigation using the assessment sheet had been conducted earlier for famotidine tablets.  While the earlier investigation suggested the effectiveness of the assessment method, it also revealed some issues.  After making improvements in the assessment sheet, another investigation was conducted for Loxonin®S.Method: Purchasers of Loxonin®S were asked to tick symptoms that were applicable to them among those listed in the sheet.  They were asked to revisit the pharmacy and complete the sheet for the second time after drug administration.  The possibility of adverse reactions was considered for the symptoms additionally chosen at the second visit and they were then compared with the adverse reactions described in the package insert of Loxonin®S.Results: Total 284 people completed the health assessment sheet at their first and second visits.  Of them, 44 people (15.5%) reported additional symptoms at the second visit.  Commonly reported symptom was “frequent experience of sleepiness,” “persistent headaches” and “fatigability.”Conclusion: The study suggested that the health assessment sheet can be an effective tool for PMS for nonprescription drugs immediately after the Rx-to-OTC switch and contributes to detecting adverse reactions of the drugs.
著者
宇夛 裕基 五十嵐 一彦 梅下 翔 藺上 圭子 河原 昌美
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.10-15, 2014-05-30 (Released:2014-06-09)
参考文献数
12

Objective: There is enormous information flow via the Internet and papers.  Physicians require appropriate drug information from medical representatives (MRs), so fair promotion activities of MRs are necessary.  To clarify the activity and visiting aims of MRs, we investigated the visiting records for MRs.Methods: We improved the visiting record form because there were some gaps in the records.  Subsequently, we investigated the validity of the records.  The correlations between visiting numbers of MRs and both purchase prices of our hospital and scale of drug companies were also investigated.  Two months after revision of the visiting records, a questionnaire survey was administered among MRs to determine their thoughts about promotion activities.Results: The visiting numbers of MRs and companies did not change with revision of the visiting record.  Insufficient visiting records were significantly reduced from 5.1% to 0.8%.  There were no correlations between visiting numbers and purchase prices or scale of drug companies.  Meanwhile, sub-analysis of the visiting data indicated that MRs significantly promoted new drugs and drugs coming off patent.  The revision of visiting record format re-emphasized the importance of the visiting record on MRs.Discussion: Almost all MRs promoted their products fairly, as there was no correlation between the purchase price and company scale.  However, they may actively promote new drugs and those with patents that have elapsed.  The visiting records are useful to determine the promotion activities of MRs.
著者
車 敬愛 鈴木 栄 石川 駿二 小池 洋男 荻原 勲
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.257-265, 2009-07 (Released:2011-03-05)

3種のブルーベリーの栽培が可能な東京において、64品種・系統について生育と果実の成熟・品質の特性を3年間調査した。主成分分析の結果から、5倍体のサザンハイブッシュブルーベリー(SHB)‘Pearl River’を除いて、ラビットアイブルーベリー(RB)だけのグループとノーザンハイブッシュブルーベリー(NHB)とSHBの混合のグループに分類された。主成分分析のNHBとSHBの混合グループの下方に分布したSHBの品種は、果実が小さく、クエン酸含量が少なく、糖酸比は高く、リンゴ酸の割合が高い特徴を示した。また、収穫日と開花日および収穫日と着色開始日との間に正の相関関係が認められ、NHBについては、収穫日と1果重、収穫日と全有機酸含量、収穫日とクエン酸含量との間に正の相関関係が、収穫日と糖酸比との間に負の相関関係が認められた。さらに、考察ではブルーベリー育種において交配親として有用と予想される各品種の特徴を評価した。

1 0 0 0 OA 北台湾の古碑

著者
石坂荘作 [編]
出版者
[石坂荘作]
巻号頁・発行日
1923