著者
上野 晴樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.548, pp.19-24, 2005-01-10

なぜ文化とAIなのか。AIが心の心理学モデルであるならば、当然その研究者の心理学の理解に基づいているわけであるし、想定している応用システムのユーザが一般の人々であるならば、当然そのユーザは人とシステムとの関係についてある種の"関係のあり方"をごく自然に持っているはずである。知能システムの設計は、研究者やユーザの思考法に基づくはずであり、それは彼らの属する伝統文化あるいは地域文化に基づいていると考えるのが自然であろう。一方、AIは科学技術であるから、AIに関する理解もグローバルであるはずであると信じ込んでいる研究者がほとんどであるように感じられる。むしろ違いを意識することが創造に繋がるのではないかと思う。芸術や建築の世界でも日本の伝統文化を意識している人々のほうが国際的にも高く評価されていることを考えれば、納得していただけるのではないか。著者の研究成果も多少織り交ぜながらAIの文化論を述べてみたい。
著者
岩森 光 横山 哲也 中村 仁美 石塚 治 吉田 晶樹 羽生 毅 Tatiana Churikova Boris Gordeychik Asobo Asaah Festus T. Aka 清水 健二 西澤 達治 小澤 恭弘
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

全地球に分布する主に第四紀に噴火した玄武岩の組成に基づき、地球内部の不均質構造を調べた。これは人体の血液検査に例えることができる。特に、最近提案された「マントルの東西半球構造」に注目し、(1)半球構造の境界付近の詳細研究、(2)地球全体のデータに関する独立成分分析、(3)水を含むマントル対流シミュレーションを行った。その結果、東半球はより親水成分に富み、かつマントル浅部から内核にいたるまで、超大陸の分布に支配される「Top-down hemispherical dynamics」を介して長波長の大構造を有することが示唆された。
著者
永広 昌之 遅澤 壮一 吉田 武義 蟹澤 聰史 越谷 信 川村 寿郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

日本列島における異地性地塊の起源を明らかにするために,南部北上古陸を中心にしつつ,東北日本や西南日本の付加体をも含めた地体について,テクトニクス・古生物地理・化成活動などの観点から検討した.南部北上古陸では,オルドビス紀末期〜シルル紀初期に,氷山花崗岩類や正法寺閃緑岩などに代表される,沈み込みに関連する深成火成活動が広範囲にわたってあった.南部北上古陸と西南日本の黒瀬川古陸は,前期古生代以来,同一のテクトニックセッティングの,近接した(同一の?)大陸縁辺域をなしていたと考えられる.南部北上古陸や黒瀬川古陸は,前期石灰紀には古テチスと古太平洋の連結海域にあり,ぺルム紀〜三畳紀には南部北上古陸は華南に近接した低緯度地帯にあったことが,それぞれサンゴおよびアンモノイドの古生物地理データから推定された.飛騨外縁帯の古生物地理や構造発達史は南部北上古陸のそれと大きく異なり,両者は異なった位置やテクトニックセッティングにあった.付加体に伴われる緑色岩類の産状や起源について,変質の影響を見積もった上で,主元素・微量元素組成にもとづき検討した.四万十帯のin situ玄武岩類は,海溝-海溝-海嶺三重点近傍での,海嶺沈み込みにともなう火成活動の産物と考えられる.海嶺が沈み込むと島弧火成活動が中断することに注目すると,in situ玄武岩の活動年代から三重点の移動経路と移動測度が決定できる.このことから,北上・阿武隈帯の白亜紀火成岩類は,115Ma以前に現在の北九州付近で形成されたと推定された.また,北上山地における白亜紀前期の大島造山運動はこの三重点通過にともなう島弧の大規模上昇を示唆している.
著者
渡會 睦子
出版者
東京医療保健大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、『生きるための心の教育(性教育)』を用いた若年層の性問題予防地域システムを開発し、山形県の人工妊娠中絶率を2000年18.3全国6位から2008年5.0全国44位と約1/3に、性器クラミジア感染症を2000年8.8から2007年1.5と約1/6に減少させ、福島県では2006年より導入し、人工妊娠中絶率を2005年13.3全国4位から2008年8.6全国15位に低下させ、効果を示した。
著者
栗原 まな 千葉 康之 小萩沢 利孝 衛藤 義勝
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.531-536, 2006-08-18
被引用文献数
6

当センターにおいて脳外傷後遺症に対するリハビリテーション(リハ)を行った受傷時16歳未満の症例のうち高次脳機能障害が認められた39例と認められなかった43例について比較検討した.受傷原因は高次脳機能障害がある群で交通事故が有意に多く(p<0.01),転落・転倒・落下物が有意に少なかった(p<0.05).急性期の意識障害の程度も高次脳機能障害の有無と有意な関連性をもち,高次脳機能障害がある群でGlasgow Coma Scaleは有意に高かった(p<0.05).脳損傷の種別では硬膜下血腫,びまん性軸索損傷などが多かったが,高次脳機能障害の有無との関連は認められなかった.また高次脳機能障害のある39例についてみると,症状は記憶障害,注意障害,感情コントロール低下,遂行機能障害,対人技能拙劣の順に多かった.
著者
福村 一成
出版者
宇都宮大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

研究計画当初のケニア国フィールド調査予定がエチオピア国に変更となってしまったが、携帯端末によるフィールド調査システムをアンドロイド端末に実装すること、収集しデータを端末からPC上のデータベースに格納することが出来た。ケニア国で村落への簡易な点滴かんがいの試験的な導入の前後における本システムを利用した村落調査とその分析はケニア国の治安状況等の影響によりエチオピア国に計画変更をした。エ国農業研究所(EIAR)に新設の稲研修研究センタ内に近隣農家研修圃場を準備、協力農家募るための簡易点滴かんがいのを導入し、土壌水分センサー等を準備、近隣農家の聞取り(ベースライン)調査を実施した。
著者
上村 清雄
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1487年から1512年の死まで中部イタリアの都市シエナを実質的に支配したパンドルフォ・ペトルッチがとった芸術奨励政策を、シエナ出身の教皇ピウス二世(在位1458-1464)が主導した直前の時代と比較検討し、過去の芸術伝統と決別し、新旧世代の芸術家をたくみに使い分ける、いわゆる「ペトルッチ様式」によって、シエナに宮廷文化の確実な誕生を促した動向を、文献収集、実作品の調査、現地研究者との意見交換によって明確にした。
著者
後藤 智恵 染谷 孝 茅原 四郎 水口 康雄 福長 将仁
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.257-263, 1984-09-01
被引用文献数
1

アクリジン化合物の変異原性と化学構造の関係について細菌と酵母を用いて検討した. 用いた15種の誘導体のうち, ほとんどの化合物がサルモネラ菌にフレームシフトタイプの変異を起こした. 特に9位にアミン基を持つ化合物は活性が高く, 10位のメチル基は活性を強める作用を示した. 一方酵母ミトコンドリアに対する変異活性の誘起には, 3位, 6位のアミノ基, 10位のメチル基が必要であり, 細菌の場合と異なった結果が示された. また簡便法として行われるスポット法では変異活性を検出できない場合もあることが明らかになった.(1984年5月7日 受付)
著者
佐々木 昌一 窪田 泰江 小島 祥敬 岡田 真介 高田 麻沙 郡 健二郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

モルモットを用いてBOOモデルを作成し、過活動膀胱の発症機序について検討したところ、Kit陽性ICC様細胞は、BOOモデルの膀胱粘膜下層および漿膜側を中心に、正常膀胱に比べ増加していた。またSCF は尿路上皮を中心に発現が増加していた。BOOモデル動物ならびに膀胱炎も出るラットにイマニチブを投与したところ、排尿圧を変化させることなく、non-voiding contractionを抑制し、排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitがICC様細胞を介して過活動膀胱の発症機序に関与している可能性が示唆された。

1 0 0 0 OA 広義の脳科学

著者
石井 加代子
出版者
科学技術政策研究所 科学技術動向研究センター
雑誌
科学技術動向 (ISSN:13493663)
巻号頁・発行日
no.087, pp.8-26, 2008-06-01 (Released:2013-06-12)
著者
奥田 邦晴 林 義孝 高畑 進一 淵岡 聡 樋口 由美
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

障害者の陸上競技、中でもフィールド競技に関する先行研究は散見する程度であり、特に、重度障害者を対象とした投てき競技に関する研究は皆無である。本研究は主として脳性麻痺や頚髄損傷者の重度障害者の投てき運動を可能にするための補装具である調節式スローイングチェアを作成し、スローイングチェアの適合度合いの差異がどのように投てき運動に影響を及ぼすかについて調査することを目的とした。具体的には、各々の選手の投てき運動を6台のデジタルビデオカメラを用いたビデオ式3次元解析装置(ToMoCo Vm4)により運動学的に解析し、障害度やその特徴の違いやスローイングチェアの適合性が投てき運動に及ぼす影響について明らかにした。これらの結果は、重度障害者にとって、投てき競技の魅力が拡大し、その普及に寄与できるとともに、障害者の投てき競技におけるスポーツ指導方法の基礎データとしたり、競技能力向上に寄与することができる。1.調節式スローイングチェア(通称、座投一)を作製した。2.脳性麻痺選手を対象に、調節式スローイングチェアを約2ヶ月間貸与し、調整後、障害者陸上ジャパンパラリンピック大会に本機を使用して出場した。3.アテネパラリンピックに出場した頚髄損傷選手(銀メダリスト)を対象に、調節式スローイングチェアを使用し、より競技能力向上に目的に、検討した。(現在も継続中)4.脳性麻痺、頚髄損傷選手の投てき動作について、三次元解析装置にて運動学的に分析、検討した。5.3および4の結果から、改良型調節式スローイングチェアを作製した。6.脳卒中の投てき選手に座投一を試行し、より障害像に適したシッティングポジションを確立できた。7.調節式スローイングチェアについて特許申請を行い、受領された。(特願2005-265193)8.第26回医療体育研究会/第9回アジア障害者体育スポーツ学会目本部会第7回合同大会にて、「陸上投てき競技用調節式スローイングチェアの開発について」を報告した。9.第18回大阪府理学療法学術大会にて、「頚髄損傷投てき選手に対する競技用調節式補装具(モジュラー型スローイングチェア)を用いた競技能力向上への取り組み」について報告予定。10.第22回日本義肢装具学会学術大会にて、「重度障害者の陸上投てき競技用スローイングチェアの開発と適応について」報告予定。
著者
松村 香織
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

口蓋裂の疾患感受性遺伝子を同定するために、本研究では癒合課程の口蓋組織を用いてマウスの口蓋組織形成時における遺伝子発現の変化に着目した。口蓋形成時期前後の硬口蓋および軟口蓋組織を取り出し、遺伝子発現をDNAマイクロアレイを用いて解析した。口蓋形成には多くの遺伝子が関与し ており、さらに硬口蓋と軟口蓋では遺伝子発現パターンが異なっていた。このことから、裂型によりそれぞれ異なるメカニズムで発症していることが改めて考えられた。
著者
佐藤 正寛
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.136-140, 2007-09-10
被引用文献数
3

豚系統造成規模の集団において、線形計画法を用いて雌雄毎に制限を付加して候補個体を選抜した場合(方法1)と雌雄同時に制限を付加し選抜した場合(方法2)における選抜個体の推定育種価(EBV)をモンテ・カルロ法によるコンピュータシミュレーションにより比較した。繁殖集団の大きさは、雄8頭雌40頭、雄10頭雌50頭、雄12頭雌60頭の3通りとし、基礎集団(GO)を含む2形質3世代分の無作為選抜記録を発生させた。一腹あたりの育成頭数は雄1頭雌2頭とした。G2において、形質2の改良量を0に制限し、形質1の改良量を最大にする選抜を実施した。形質1におけるEBVの平均は、いずれの集団においても方法1より方法2が大きく、形質2では方法間に違いはみられなかった。集団のサイズが大きくなるにつれ、形質1におけるEBVの平均はいずれの方法においても大きくなった。しかし、形質2のそれには集団のサイズによる違いや傾向はみられなかった。以上の結果から、豚系統造成規模の集団では、雌雄毎に制限を付加するよりも、雌雄同時に制限を付加して候補個体を選抜することが望ましいと結論づけた。
著者
佐藤 正寛 西尾 元秀
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

適切な制限付き選抜法を決めるため、まず選抜反応を予測するためのモンテカルロ法によるコンピュータシミュレーションプログラムを開発し、次に選抜候補個体の中から次世代の種畜を選抜するための制限付き選抜法のプログラムを開発した。両者のプログラムを組み合わせてすべての個体に制限を付加した制限付きBLUP法(AR-BLUP法)と選抜候補にのみ制限を付加したPR-BLUP法の選抜反応を比較した結果、PR-BLUP法は、選抜反応および近交係数の点でAR-BLUP法に比べ望ましい選抜結果の得られることが明らかとなった。さらに、制限付き選抜を行うための指標として、育種価の適切な重み付け値の算出方法を考案した。
著者
赤堀 誠 光本 孝次
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.683-695, 1977-11-25
被引用文献数
1

本報告では,モデル実験を通して,乳牛集団の遺伝的改良に影響を及ぼす要因の評価によって,乳量の遺伝的改良を効率的に為し遂げる育種システムの検討を試みた。モデル実験の変数として,次の7つの育種仮説値を用いた。a)種雄牛頭数,b)種雄牛年間更新率,c)更新種雄牛当たりの候補種雄牛頭数,d)候補種雄牛当たりの娘牛頭数,e)雌牛集団内の能力検定比率,f)雌牛集団の年間更新率,g)候補種雄牛を生産する種雄牛頭数それらの育種仮説値によって,4,608個の育種システムが推定された。結果は次のようであった。1)種雄牛更新率の増加は,候補種雄牛総頭数の増加をもたらし,ΔG_Y(年間遺伝的改良量)を増加させた。検定容量が小さい時,種雄牛更新率は,20%と25%でΔG_Yを最大にした。2)候補種雄牛頭数が,10頭から20頭に増加される時,ΔG_Yの増加は,最大となった。候補種雄牛頭数の増加は,娘牛頭数が減少される時,必ずしもΔG_Yを増加させなかった。3)娘牛頭数が,20頭から30頭に増加される時,ΔG_Yの増加は,最大となった。各種雄牛頭数の育種システムにおいて,娘牛頭数の増加はΔG_Yを増加させた。4)候補種雄牛父牛頭数の増加は,ΔG_Yを減少させた。5)雌牛集団の一世代当たりの近交退化率は1%以下であった。6)各育種システムにおいて,世代間隔は大差なく,ΔG_Yの差に殆んど影響を与えなかった。7)種雄牛頭数の増加はΔG_Yを著しく減少させた。8)ΔG_Yのおおよそ80%が種雄牛の選抜からもたらされた。9)交配率の減少はΔG_Yを減少させた。10)検定率の増加は著しいΔG_Yの増加をもたらした。育種仮説値は,相互に関連し,ΔG_Yの決定に関与している。それゆえ,それらの関連を考慮し,乳牛集団内の遺伝的資源を有効に利用しうる育種システムを検出することが乳牛集団の遺伝的改良を促進するであろう。

1 0 0 0 OA 札幌繁昌記

著者
木村曲水 (昇太郎) 著
出版者
玉振堂[ほか]
巻号頁・発行日
1891