著者
朝倉 治彦
出版者
四日市大学
雑誌
四日市大学論集 (ISSN:13405543)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.258-246, 2005-03-01
著者
中里 理子
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.341-353, 2006

日本語のオノマトペ研究は,従来和語のオノマトペ(和語系オノマトペ)を中心に考えられてきた。漢語由来のオノマトペ(漢語系オノマトペ)は,その存在を認められながらも,擬音語・擬態語辞典でもほとんど取り上げられてこなかった。しかし,漢語系オノマトペの中でも,畳語形式のものは語によって古くから和語系オノマトペと受け取られているものもあり,和語系オノマトペと深い関わりを持っていると考えられる。「しんと」と「しんしんと」や「ぼんやり」と「茫然」の例に見るように,漢語系オノマトペは語形面でも意味の面でも和語系オノマトペに大きな影響を与えている。漢語系オノマトペに着目し,その関連で和語系オノマトペを見ることは,オノマトペの生成や音象徴性,動詞や使用文脈との結びつきの強さ,意味の変遷など,オノマトペを幅広く捉えていく際の大きな手がかりになると思われる。
著者
小木曽 智信
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.49-62, 2013-10-01

古典語研究の精密化・高度化のためには単語の情報が付いたコーパスが必要とされる。そうしたコーパスの構築のためにはコンピューターによる古典語の形態素解析(自動品詞分解)が必要だが,従来,古典語の形態素解析は困難であるとされていた。こうした中で,筆者らは,既存の解析器と組み合わせて実用的な解析を可能にする電子辞書「中古和文UniDic」を新たに開発した。この辞書は,統計的機械学習の手法に基づき,電子化辞書UniDicの見出し語を拡充し,手本となる単語情報つきの古典語コーパスを作成することで開発された。これにより,平安時代の仮名文学作品について約97%(辞書への未登録語が存在する場合は約96%)の精度で正しく解析することが可能になった。この辞書による解析結果を用いることで,従来は不可能だった用例検索や統計的手法にもとづく新しい古典語研究が可能になった。UniDicは短単位という揺れの少ない斉一な単位を採用しているため,作品や時代を超えて解析結果を比較することができる。中古和文UniDicは無償で一般公開されており,国語研究所の「日本語歴史コーパス 平安時代編」の構築に利用されている。
著者
石井 照久 菊池 友希子 立花 希一 望月 一枝
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教養基礎教育研究年報 (ISSN:13449311)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.47-54, 2012-03-26
被引用文献数
3

日本語原作のマンガや文芸作品などでは.登場人物の性別が明かされずに物語が進み,途中で,性別が明かされることがある。この手法は,読み手の想像をかきたて物語を面白くする効果がある。それではそういった日本語原作のマンガや文芸作品が他の言語に翻訳された場合はどうなるのだろうか?英語や独語では,主語を省略することがほとんど不可能であるし性別が明白な代名詞を用いる。そこで本研究では,登場人物の本当の性別を伏せて物語が進む日本語作品が英語や独語に翻訳された場合に,どのように表現されたり,工夫されたりしているのかを解析した。その結果,日本語原作の直訳に近い翻訳例,逆に原作に忠実でない意訳された翻訳例が見出された。さらに原作よりも早く性別を明かしてしまっている翻訳例も見つかった。これらの翻訳は,翻訳者が日本人かどうかによって異なるようであった。本報告は,秋田大学教養基礎教育科目「総合ゼミ」の講座C「文化にみられる性」において、平成23年度I期の授業で展開された成果報告でもある。
著者
藤田 祐史 FUJITA YUJI
出版者
名古屋大学大学院人文学研究科図書・編集委員会
雑誌
名古屋大学人文学フォーラム (ISSN:24332321)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.107-120, 2018-03-31

This article examines how to use three Haikus in "Gokumon-tou(Gokumon Island)", one of Yokomizo Seishi's mystery novels. In this mystery, a detective, Kindaichi Kosuke finds the truth of the serial murders. In those cases, each of the victims are compared to Haiku. For example, Yukie, she is the middle of three sisters, is compared to Basho's Haiku "Muzan yana Kabuto no Shita no Kirigirisu (How pitiful! Under a soldier's empty helmet, a cricket sings)". Specifically, Yukie is compared to an old cricket related to white color because Basho's cricket is compared to an old soldier. Then, a big temple bell is compared to a soldier's helmet. What is this criminal doing? The criminal rediscovers the beauty of Haiku. In other words, the criminal plays with Mitate. As I have explained, Mitate is a kind of comparison, and in this paper I solve three mysteries with Kindaichi, and clarify the motive for crime. As a whole, this thesis offers a close reading "Gokumon-tou" focusing on three Haikus and the role of characters. In addition, I show the position of "Gokomon-tou" in the Japanese mystery or Japanese modern literature containing Haiku. "Gokomon-tou" is groundbreaking in these special tricks using Haiku. After this novel we find a lot of mystery writers using Haiku. Especially, Matsumoto Seicho utilize Haiku as a trick or the key to solving the mystery. Seicho knows the characteristics of modern Haiku in comparison with Seishi. He use the characteristics, namely Shasei(sketching)theory, going to famous sightseeing spots, literary coterie magazines, Haiku gathering and so on, in his novels. Then, Yokomitsu Riichi who is a contemporary of Seishi connects Basho's Haiku and Japanese fate. In contract, Seishi's Basho is released from the oppression. Seishi makes free use of Basho's Haiku, and accordingly "Gokumon-tou" becomes a watershed of Basho's Haiku for use in novels.
著者
貴島 耕平 砂口 文兵 藤井 暢人 藤木 春佳 松下 将章 金井 壽宏
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.47-58, 2014

Organizational development (OD) recently has focused on the invention of methods based on practical perspectives rather than academic ones. This movement has resulted in increased "development of OD." While this attention is mostly positive, it has led to a loss of clear identity for OD. Thus we call this phenomenon gritting refined gold. We argue the identity of OD by considering developmental practices, both empirically and theoretically. This study shows that OD has been consistent in its principle of development and has hold its traditional logic which had humanistic values at the center of interventions.
著者
舘野 由香理
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-51, 2012-09-29

「半濁音化」とは、漢語に関していえば「絶品ゼッピン」「審判シンパン」のように、入声音・鼻音の後でハ行子音がp音になることをいう。しかし、入声音・鼻音に続いたハ行子音がすべて半濁音化するわけではない。唇内入声音-p(例:「執筆シッピツ」)・舌内入声音-t(例:「吉報キッポウ」)および唇内鼻音-m(例:「音符オンプ」)・唇内鼻音-n(例:「散髪サンパツ」)にハ行子音が続く場合には規則的に半濁音化するのに対して、喉内入声音-k(例:「国宝コクホウ」)と喉内鼻音-〓(例:「公平コウヘイ」)にハ行子音が続く場合には規則的に半濁音化しない。助数詞の場合には「一発イッパツ」「七発シチハツ」、「三発サンパツ」「三本サンボン」のように、半濁音化するか否かには規則性が見られず複雑である。小論では、現代漢語における半濁音化の実態について調査し、それをもとに半濁音化の条件について分析する。
著者
露本 伊佐男;TSUYUMOTO Isao
出版者
金沢工業大学
雑誌
工学教育研究;KIT progress (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
no.27, pp.11-20, 2019-03-01

粉末 X 線回折(XRD)のリートベルト解析を Excel 上で実行できるようにし,大学院講義科目における XRD の演習に活用した。これは XRD パターンをシミュレーションした後,ソルバーによるプロファイルフィッティングで最もよく合うパラメータを求めるもので,精密化できる構造パラメータの種類はリートベルト法専用ソフトと同等である。リートベルト法専用ソフトを用いる場合に比べて教育的であり,構造因子,ピークプロファイルなどの計算をプロセスごとに体験することができる。また, パラメータを変化させるとワークシート上でただちに結果が表示されるので,専用ソフトを使う前の段階における構造モデルの可否の判断,適切な初期値の探索にも有効に活用することができる。;We implemented the Rietveld method of powder X-ray diffraction (XRD) on Excel and used it in graduate course lectures on inorganic materials. This simulates XRD patterns and finds optimum values of structural parameters by profile fitting using solver. The types of the structural parameters that can be refined are the same as the software dedicated to the Rietveld method. The calculation on Excel is more educational and helpful for students than using the dedicated software, because the students can experience the calculation of such as atomic scattering factors, structure factors, peak profiles step by step. It is also useful for judging whether a structure model is appropriate or not and for finding appropriate initial values for the structural parameters before using the dedicated software, because the simulation results are instantaneously shown by changing the parameters.
著者
大戸 朋子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本発表は、「腐女子」と呼ばれる男性同性愛を主題とするフィクションや想像などを嗜好する少女/女性たちの二次創作活動とメディア利用を対象として、メディアを含むモノとの連関の中で形成される腐女子のつながりとはどのようなものであるのかを明らかにするものである。調査からは、二次創作を行う腐女子のつながりが、個々人の「愛」という不可視のモノを中心に形成され、メディアを通して評価されていることが明らかとなった。
著者
善教 将大 坂本 治也
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.96-107, 2017

<p>本稿の目的は,何が寄付行動を促進する要因なのかを,全国の有権者を対象とするサーベイ実験を通じて明らかにすることである。先行研究は寄付行動の規定要因に関する重要な知見を蓄積してきたが,他方でデモグラフィーなど個人的特性との関連性への傾斜や推定結果に存在する内生性や欠落変数バイアスへの対処が不十分といった問題を抱える。さらにこれらの問題を解決可能な実験的手法に基づく既往研究にも,代表性の低いデータを用いている点など課題が山積している。本稿では,これら先行研究の問題を解決可能な実験的手法を用いて,寄付行動の規定要因を分析する。具体的には,全国の有権者を対象とする無作為化要因実験(randomized factorial survey experiment; RFSE)によって,寄付の有無と寄付金額に何が影響を与えるのかを明らかにする。実験の結果明らかになった知見は次の2点である。第1に寄付を募る際,他者の1人あたりの寄付金額表示額が少なく,寄付金を管理運営費にあてる割合が小さく,物的・金銭的インセンティブを付加した返礼をしない方が,寄付確率が高くなる。第2に寄付を募る主体がNPO法人以外であり,寄付金を管理運営費にあてる割合が小さく,控除対象にできる方が,寄付金額が高くなる。これら本稿の知見は,先行研究に疑義を呈しうるものであると同時に,実際の政策展開にもいかすことが可能なものである。</p>