著者
松本 吏弘
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.436-441, 2010 (Released:2010-09-15)
参考文献数
14
被引用文献数
5

【目的】胃内視鏡検診による胃癌死亡率減少効果について検討した。【方法】X線検診群1,425例, 内視鏡検診群2,264例, 検診未受診群6,284例に3区分し, 性別, 年齢をマッチングさせた3群を2008年12月まで追跡した。胃癌死をエンドポイントとした場合の3群それぞれの累積生存率を算出し解析を行い, 検診内容別の死亡に対するハザード比を求めた。【成績】胃癌発症者40例(X線群18例, 内視鏡群12例, 未受診群10例)において胃癌死した症例はX線群1例, 内視鏡群1例, 未受診群8例であった。累積生存率は, X線群と内視鏡群では有意差はみられなかったが, これら2群と未受診群においては有意に未受診群の生存率が低い結果となった(p=.0073)。未受診群は内視鏡群よりも8倍胃癌死亡の危険が高かった(p=.0499)。【結論】内視鏡検診は胃癌死亡率減少効果を認め, X線検診に劣っていない可能性が示唆された。
著者
上羽 牧夫 塚本 勝男
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

結晶成長における対称性の破れの増幅現象を,溶液成長のおける結晶カイラリティの転換と結晶表面のステップパターンの不安定化の現象を中心に研究した.その成果として, 1)カイラルクラスターの結晶化によって,結晶を粉砕攪拌している条件下で結晶カイラリティの転換が可能であることを,いろいろなレベルのモデルによって示しえた. 2)ステップの上段と下段の対称性がないために,定速粒子源の移動,高密度吸着原子の層成長による形態緩和などで他に例を見ない興味深いパターン変化が実現することが分かった.

1 0 0 0 OA 実用造船術

著者
足達三三三 著
出版者
建築書院
巻号頁・発行日
vol.製図編, 1918
著者
下山 淳一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究課題は、従来に無い高い酸素分圧下での合成や後熱処理による新規酸化物高温超伝導体の開発を目的としたものである。特性としては臨界温度の最高記録を目指すもので、平成10年度、11年度の2年間にわたる課題であった。主要備品である高圧酸素雰囲気発生装置を平成11年度に購入し、装置の立ち上げと性能検査を兼ねた基礎的な研究によって、所期の目標とした合成環境(酸素分圧500気圧以上)が達成可能であることを確認した。様々な銅系複合酸化物超伝導体のなかで従来最高の臨界温度を持つ水銀系超伝導体にまず着目し、広い範囲での化学組成比制御、元素置換や酸素量制御を試みてきた。結果的に、この系では高圧酸素雰囲気発生装置を用いても臨界温度を更新することはできず、タイ記録にとどまった。平行して、新規酸化物高温超伝導体の探索研究を様々な元素の組合わせで実施したが、このなかで新たに鉄を基本構成元素とする新超伝導体を平成11年末に発見した。化学組成式はFeSr_2RECu_2O_y(REは3価希土類元素、酸素量yが7.66以上のとき超伝導を示す)である。この元素の組合わせで合成できる相は従来半導体と考えられていたが、還元前処理に加えて高酸素圧下熱処理によって酸素量yを7.66以上にしたことにより初めて超伝導を発現した。この物質は銅以外に第一遷移金属元素を主構成元素として含む初めての高温超伝導体であり、新しい超伝導物質の設計・探索の切り口を開いたものである。さらに遷移金属特有の磁性と超伝導を合わせた新しい機能が期待できる。以上の成果についてはこの2月の高温超伝導国際会議で発表し内外から広く注目を集めた。
著者
宮國 淳 Heriyanto N. M. Heriansyah Ika Imanuddin Rinaldi 清野 嘉之
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.95-104, 2005-12-25
参考文献数
13

メルクシマツ植林地におけるバイオマス量推測を目的とする汎用性の高い係数・パラメータについて検討した。インドネシア・西ジャワ州で5,11,19,24年生の林分にプロットを設置,毎木調査の後55本を破壊調査した。(1)毎木調査データを利用したバイオマス量推定に用いられるアロメトリー式を算出した。樹高を考慮に入れた[Yn=a・(DBH^2・height)^b]の相対成長式の場合,各係数に林齢による有意差が見られなかった。(2)木材積からのバイオマス量推定に用いられる材積密度,拡大係数,根-地上部比率を算出した。その結果,既存のIPCCのLULUCF-GPGのデフォルト値と一部異なる結果が得られ,デフォルト値はさらなる検討が必要と思われた。(3)インドネシア国内20ケ所のメルクシマツ植林地の毎木調査のモニタリングデータに本研究のアロメトリー式を適用し,林分バイオマスの時系列変化を推定した。21年生時の林分バイオマスは161.75〜456.34 t ha^<-1>の範囲内にあり,重回帰分析によれば立木密度や地位指数によって有意に変化した。
著者
鈴木 達彦
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.609-615, 2008-07-20
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

『古今方彙』は甲賀通元により編纂され,江戸時代に最も広く流布した処方集である。著者は,『古今方彙』の各版本を検討し,以下の結果を得た。1.甲賀通元は,『刪補古今方彙』の底本となる『古今方彙』を書肆(書店,出版社)梅村から受け取り,それを編纂した。2.原『古今方彙』は1692年頃に書肆梅村が出版した。本書は縦型の版本で,調査中もっとも処方数が少なく,1263処方を収載している。3.1696年頃に梅村が,原『古今方彙』の増補版を出版した。本書は横型の版本で,本書には原『古今方彙』の処方がほぼ含まれていて,さらに273処方が増補されている。4.梅村の依頼により甲賀通元が,348処方を増補して,1733年に『刪補古今方彙』を出版,さらに,43処方を増補して,1747年に『重訂古今方彙』を出版した。『重訂古今方彙』は,1780,1808,1862年に重版された。
著者
Maddux William W. Yuki Masaki
出版者
Sage Publications
雑誌
Personality and Social Psychology Bulletin (ISSN:01461672)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.669-683, 2006-05
被引用文献数
99 96

Previous research has demonstrated that people from East Asian cultural backgrounds make broader, more complex causal attributions than people from Western cultural backgrounds. In the current research, the authors hypothesized that East Asians would also be aware of a broader, more complex distribution of consequences of events. Four studies assessed cultural differences in perceptions of the consequences of 1) a shot in a game of pool, 2) an area being converted into a national park, 3) a CEO firing employees, and 4) a car accident. Across all four studies, compared to participants from Western cultural backgrounds, participants from East Asian cultural backgrounds were more aware of the indirect, distal consequences of events. This pattern occurred on a variety of measures, including spontaneously generated consequences, estimations of an event’s impact on subsequent events, perceived responsibility, and predicted affective reactions. Implications for our understanding of cross-cultural psychology and social perception are discussed.
著者
鄭 大雄
出版者
『年報 地域文化研究』編集委員会
雑誌
年報地域文化研究 (ISSN:13439103)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.74-96, 2013-03-31

본 논문은 1970년대 초 데탕트시기의 한일관계를 북한문제를 중심으로 분석한 연구이다. 당시 한국은 남북경쟁에서 우위를 확보하는 것이 최대 목표였기 때문에 북한의 영향력이 확대되는 상황을 좌시할 수 없었다. 따라서 이를 최대한 봉쇄하면서 자주국방을 위해 일본과 경제협력을 유지하는 ‘관계유지, 대북봉쇄’가 최선의 외교정책이었다. 한편 일본은 긴장완화 분위기에 맞춰 지역의 안정과 평화를 유지하는 것을 외교의 최우선 목표로 삼고 있었기 때문에 기존의 한일유대관계를 유지하면서도 북한과 관계를 개선하는 ‘관계유지, 대북접근’이 최선의 외교정책이었다. 반면, 최악의 상황도 존재했다. 한일관계가 손상되는 와중에 북일관계가 개선되는 ‘관계이완, 대북접근’은 한국의 경쟁우위가 무력화되는 최악의 상황이었다. 한편 일본 입장에서는 한일관계가 손상되는 가운데 한국이 대북봉쇄정책을 강력하게 추진하는 ‘관계이완, 대북봉쇄’가 북일접근을 곤란하게 하고 아시아지역의 정세도 불안하게 만드는 최악의 상황이었다. 따라서 한일양국은 자신의 최선의 선택을 추구하면서도(최선의 추구), 도가 지나쳐 상호관계가 약화돼 발생되는 최악의 상황을 회피하려 했다(최악의 회피). 이를 바탕으로 1969년 중반부터 73년 중반까지의 한일관계를 분석한 결과, 괌 독트린 이후 잠시 동안 한국이 ‘최선의 추구’ 정책으로 일본을 압박했지만, 주한미군 철수, 닉슨 방중, 남북공동성명 이후에는 일본의 의견을 어느 정도 수용하며 관계를 유지하는 ‘최악의 회피’ 정책을 선택했다. 반면에 ‘요도호’ 사건을 통해 최선의 정책을 확인한 일본은 한일관계를 유지하면서도 대북접근을 확대하는 ‘최선의 추구’ 정책을 계속 선택해나갔다. 이와 같이 1970년대 초의 한일관계는 한국의 ‘최악의 회피’ 정책과 일본의 ‘최선의 추구’ 정책이 만들어낸 산물이었다.

1 0 0 0 OA 空飛ぶ怪光

著者
南洋一郎 著
出版者
むさし書房
巻号頁・発行日
vol.魔境怪塔の巻, 1948
著者
下田 吉之 高原 洋介 鳴海 大典 水野 稔
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
総合論文誌 (ISSN:13476548)
巻号頁・発行日
no.1, pp.93-99, 2003-02-20
参考文献数
7
被引用文献数
6

The energy flow that consists of inflow, conversion, consumption and discharge of energy is estimated for a central business district of Osaka City by summing up each building's energy flow. The estimated energy flow is evaluated from the viewpoint of environmental impacts such as heat island, global warming and local/global atmospheric environment. Changes of environmental impacts by various measures such as combined heat and power, energy saving of office equipments, insulation and river water source heat pump were also evaluated.
著者
武藤 正典
出版者
岐阜市立長良中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

〈研究の目的〉観察, 実験を通して, 自然の事物・現象から発見した事実をもとに考察し, 問題を解決する喜びを実感できる授業を展開し, 科学的リテラシーを育成する理科の指導法を砲立する。〈研究の方法〉中学校第1学年の単元「大地の成り立ちと変化」において, 「剥ぎ取り法」を用い, 理科室でも野外観察と同等の観察・実験を行う。そこで得られた事実から, 地層の成り立ちについて考え, 課題を設定し, モデル実験で検証することで, 地層の成り立ちを考える。この一連の学習活動を通して, 科学的リテラシーを育成することができたかを検証する。〈研究の成果〉直接観察が可能だからこそ, どう観察させるのか, その観察の方法を確かにすることが科学的リテラシーを育成する第一歩となる。まずは地層全体をスケッチさせた上で, 直接観察する視点を明らかにした。特に, 構成物の大きさや粒形を, 手触りなど五感を大切にして直接観察させることで, 事実をもとに仮説を立てることができた。また, この観察を最初に行うことで, すべての子どもが共通の土台に立って追究を始めることができた。次に, 仮説を検証するために, 礫や砂等を用いてモデル実験を行い, 自分の仮説を自分で実際に確かめるという実験を位置付けたことで, 目的意識が高まった。また, そこで得られた事実をもとに検証することで, 地層の成り立ちについて実感を伴った理解を図ることができた。事後調査を行ったところ, 視点をもって剥ぎ取った地層を直接観察したことで, 課題化につながる事実を生徒全員がつかみ, 高い課題意識をもって追究を始めることができたことがわかった。同時に, 仮説を検証するモデル案験への目的意識も高まった。剥ぎ取った地層を視点をもって観察させることが科学的な探究を生み出し, 科学的リテラシーを高める一助となった。
著者
下川 俊彦 吉田 紀彦 牛島 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.1396-1403, 2001-09-01
参考文献数
12
被引用文献数
15

インターネット上の多くのサービス提供者は, サービスの混雑を避けるために複数のサーバを用いてサービスを提供している.このような環境で, クライアントがどのサーバを選ぶかという問題が生じてきている.そこで, 最適なサーバを自動的に選択するサーバ選択機構が必要となった.本論文では, まずサーバ選択機構への要求事項をまとめ, それらを満たす新たなサーバ選択機構を提案する.本機構はDNS(Domain Name System)を基盤とすることで幅広い適用性をもちつつ, 多様なサーバ選択ポリシーを組込み可能としたものである.これらのサーバ選択ポリシーは, ラウンドトリップタイムなどのネットワーク状態を用いた判断を行うことも可能である.動的に選択ポリシーの切換を可能とすることで, 様々な状況に対応可能となる.我々は, プロトタイプシステムを用いて, 広域に分散配置したサーバ群を対象に評価実験を行い, 本サーバ選択機構の有効性を示した.