著者
中西 純夫 ナカニシ スミオ NAKANISHI Sumio
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.22, pp.151-166, 2011-03-30

東京ディズニーランド(シーを含む、以下TDL と略)は現在年間2500万人以上の集客と驚異的リピート率97.5%を誇る日本一のテーマパークである。リピート率では世界一である。その成功要因を探るため、米国ディズニー文化のTDLへの受容の実態について現地調査を行った。(1)ディズニーパークはアメリカ人にとって聖地巡礼対象であるが、日本人にとっては、大衆消費娯楽空間であること、(2)文化帝国主義としての受容(アメリカディズニーパークの忠実なコピー)ではなく、日本文化に合わせ日本的コンテクスト化、独創化した受容であり、その事例を「日本に馴染みのもの化」、「ロマンチック性の強化」、「もてなしの強化」、「買い物優先」、「独創的なもの」の5つのキーワードにまとめた。その上、TDLではディズニー哲学の「ファミリーエンタテインメント」、「非日常世界」、「パークは一生完成しない」、「毎日が初演」、「すべての顧客はVIP」とする従業員のサービスが企業文化となっていることが成功要因であり、日本のテーマパーク企業はTDLの成功要因を取り入れることが肝要である。
著者
三輪 容子
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

今回の研究でアカハライモリの歯の発生/再生過程においてVEGFとVEGFレセプターの特徴的な局在性が示された。VEGFはヒト、げっ歯類同様イモリの歯の発生においても内エナメル上皮や象牙芽細胞の分化に幅広く影響を与えている可能性が考えられる。
著者
和田 浩一 田端 真弓 都筑 真 永木 耕介 藤坂 由美子
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は明治前期に刊行された歴史書を分析し、日本が古代オリンピックをいかに受容・解釈したのかに焦点を合わせる。主な成果として、1)ギリシャ史・西洋史・世界史に関する歴史書116冊のうち、73冊に古代オリンピックに関する記述が含まれていたこと、2)古代オリンピックは中等・高等教育における学習課題だったこと、3)当時の知識人たちは古代オリンピックの社会的な機能を日本のスポーツ文化の説明に援用していたこと、が挙げられる。
著者
相馬 秀廣 高田 将志 舘野 和己 小方 登 伊藤 俊雄 白石 典之
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、QuickBird, Coronaなどの高解像度衛星画像をベースとして,地理学・歴史学・考古学・第四紀学などが連携した文理融合的研究を通して,点から線さらに面への空間的視点,および,過去から現在あるいは現在から過去への時間的視点の両側面から,囲郭・集落(居住拠点跡),耕地・耕地跡(生産活動),水利用(灌漑水路跡),それらの空間的関係(施設配置,シルクロード,交通路),さらに放棄後の景観変化などを例として,中央アジアから中国,モンゴルにかけての乾燥・半乾燥地域を主な対象として,遺跡立地と景観復元に関わる方法論,衛星考古地理学的研究法を確立することを目的とした.2012年度は、2011年度に引き続き,モンゴル南部オムノゴビ県のサイリン・バルガスン遺跡および周辺地域において,モンゴル科学アカデミー考古研究所の協力を得て,研究分担者の白石を中心として、囲郭の詳細,灌漑水路跡の有無確認などの現地調査を8月に実施した.また、6月には、研究分担者の小方が「1960年代に撮影された偵察衛星写真の遺跡探査・歴史的景観復原における有用性」のタイトルで、京都大学で開催された日本文化財科学会第29回大会で、成果の一部を発表した。しかしながら、研究代表者相馬の予期せぬ急逝により当該研究の遂行が不可能となったため、残念ながら本研究課題は、8月11日をもって終了することとなった。
著者
Romanee Chaiwarith Teewin Ngamsrikam Sawalak Fupinwong Thira Sirisanthana
出版者
国立感染症研究所 Japanese Journal of Infectious Diseases 編集委員会
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.121-125, 2013 (Released:2013-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
3 7

This retrospective study was conducted among healthcare workers (HCWs) in a tertiary care hospital to (i) determine the incidence of exposure to blood and/or body fluids, (ii) describe the characteristics of such exposures, and (iii) describe management after exposure. There were 1,611 episodes of occupational exposure between January 1, 2005 and December 31, 2010. Of those affected, 1,086 (67.4%) were women. The mean age was 27.6 ± 7.2 years. Nurses (483, 29.9%) were the HCWs most frequently exposed to blood and/or body fluids. The incidence was highest among physicians (11%/year). Percutaneous injury by hollow needles was the most common type of injury (576, 35.8%). Of the 1,611 episodes, 142 (8.8%) comprised HCWs being exposed to human immunodeficiency virus-positive sources. One hundred fifty-one HCWs (9.4%) were exposed to hepatitis B surface (HBs) antigen-positive sources. Sixty-one HCWs had indications for both hepatitis B virus (HBV) vaccine and hepatitis B immunoglobulin; 43 (70.5%) received both. Among the 266 HCWs who had no protective antibody against HBV and were exposed to HBs antigen-negative sources, only 1 (0.4%) received HBV vaccine. These findings suggest that guidelines for post-exposure management among HCWs exposed to HBs antigen-positive sources are not regularly followed. HBV immunization is necessary for all HCWs.
出版者
日経BP社
雑誌
日経システム構築 (ISSN:13483196)
巻号頁・発行日
no.132, pp.160-162, 2004-04

外出中/出向中など遠隔地の社員が社内システムを利用する際の利便性を高めたい。だが,セキュリティ・レベルは絶対に下げられないし,運用費は抑えたい——。 戸田建設が出した答えは,指紋認証と組み合わせたSSL-VPNサービスの利用だった(写真1)。
著者
重松 智志 森村 浩季 町田 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.339, pp.31-36, 2002-09-19
参考文献数
5

様々な状態の指に対し,指紋形状のセンシング,デジタルデータへの変換を行い,指紋認証に最適な画像を得る手法を提案する.本手法では,読みとった指紋形状を時間軸方向の信号に変換し,任意のレンジとオフセットでこのデータをデジタルデータに変換する回路を用い,クリアな指紋の読みとりを実現する.また,指の状態に合わせ,適応的に画像を調整する手法も提案する.0.5μmCMOS/センサプロセスを用いセンサチップを試作し,実験により本手法の有効性を確認した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.453, pp.150-152, 1998-09-28

指紋や筆跡,顔の形など,体の特徴を測定することで本人であることを特定する「生体識別」の技術を,ユーザー認証に利用する装置が相次いで登場している。パスワードでユーザーを認証するのと比べて,不正にログインされる可能性が低くなり,セキュリティを向上できる。生体識別にはさまざまな手法があるが,指紋認証装置は価格,手軽さ,大きさが評価されて導入が進みつつある。
著者
小林 光 田中 章浩 岸田 悟 渡部 徹 長谷川 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.421-426, 2008-03-05
参考文献数
9

本研究では,バックプロパゲーション法による3層階層型ニューラルネットワークを用いて指紋と声紋によるハイブリッド認証システムを構築した.指紋認証では2次元高速フーリエ変換と逆フーリエ変換によって前処理を行い,ニューラルネットワークへの入力データとした.声紋認証では高速フーリエ変換によって前処理を行い,ニューラルネットワークへの入力データとした.それぞれ各認証を行い,中間層・出力層ユニット数がニューラルネットワークの性能の及ぼす効果を明らかにした.さらに,可変の重み付きAND結合を用いた指紋と声紋によるハイブリッド認証システムを構築し,性能を調査した.これらの結果より, 3層階層型ニューラルネットワークが個人認証システムに有効であることを示した.
著者
佐野 直美 槙 健志 森 辰則 中川 裕志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.213-214, 1992-02-24

比喩表現は本質的に文脈依存が強い現象であるので、談話において比喩表現を的確に理解するには、その表現だけから解釈を引き出すのでは理解が不十分だったり、かえって理解を因難にしてしまう場合がある。このため、テキストを全体として捉え、文脈を考慮に入れた上で比喩解釈を行う必要がある。談話に一貫性を持たせる、すなわち結束性を充足させるように比喩を理解することは談話の正しい解釈を得るために必要であるだけでなく、比喩を正確に、また容易に理解する上でも不可欠である。本稿では、結束性を充足する解釈を得る手段の一つとしての比喩を考えるが、その重要な手がかりを与えるものとして、言語的制約の解析を次に9月11日の読売新聞のコラムからの抜粋を用いて行う。「ブロンディ」から「沈黙の艦隊」に至る40数年の問に、日本人の対米観が大きく揺れ動いたことは間違いない。なぜ、こうした振幅が起こるのだろうか。アメリカ史の猿谷要・東京女子大教授は「60年安保など、"夫婦げんか"はあったけれど、終戦から73年のオイルショックのころまでは、日米の蜜月(みつげつ)時代だった」と見る。これらの制転を充足する比喩理解についてはにおいて議論する。
著者
宮元 正博
出版者
関西大学博物館
雑誌
関西大学博物館紀要 (ISSN:13414895)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.31-45, 2009-03-31 (Released:2010-08-26)
著者
青木 圭子 大西 楢平
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、液晶のモデルである平行冠球円柱粒子系に現れる結晶-ヘキサティック・スメクティックB(HexB)液晶相-スメクティックA液晶相転移系を対象として、熱力学的平衡状態および準安定状態を研究した。この研究は、ソフトマターの研究のために開発されたシンプレクティック分子動力学シミュレーション法を用いた。前記の相で、様々な物性値とともにエントロピーなどの熱力学量を系統的に計算し、解析することによって、これらの液晶相および液晶相転移について知見を得た。特に HexB 液晶では、多数の熱力学的準安定状態が発見され、それらが自由エネルギー位相空間内でどのようにトポロジカルにつながっているかを解析した。
著者
山村 譲
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.495-504, 1989-12-01

芳香族アミン類に曝露した労働者に発生する膀胱癌が最初に報告されてから一世紀になる. この間に主要先進国では発癌性アミン類の製造禁止等の対策がとられ, 日本でも昭和47年に労働安全衛生法が施行され発癌性アミン類の製造と使用がともに禁止された. 最近の報告では, 過去に発癌性アミンに曝露した作業者の膀胱癌発症のリスクは数倍がら数十倍で, 量反応関係の認められる報告が多い. 今後の問題として, benzidineや2-naphthyl-amine以外の芳香族アミンの発癌性, 染料曝露により体内で代謝されて生じる発癌性アミン, 発展途上国からの輸入製品に含まれる発癌性アミン等がある. また, 膀胱癌発生のリスクが高いと報告された職業は, 化学, 染料工業以外では皮革工業, ゴム工業, 印刷, 織物, 美容, トラック運転等がある. これらの問題を解決するには, 疫学や中毒学と臨床医学その他の分野との協力が不可欠である.(1989年8月15日 受付, 1989年9月11日 受理)
著者
小田 司 山下 孝之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

1)分子シャペロンHSP90が、突然変異に関わるY一ファミリーDNAポリメラーゼREV1の細胞内安定性やDNA損傷部位への集積を制御していることを明らかにした。2)熱ショック応答転写因子HsF1をRNAiで抑制すると、DNA損傷応答の活性化が誘起されずに細胞老化が誘導されることを見いだした。この過程において、p53の安定化とp21の発現誘導が必要であることを明らかにした。
著者
宅間 雅哉
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.113-135, 2005-12

本稿では、第四十四回衆議院議員選挙の結果が、オーストラリア国内の新聞によってどのように報道されたかを比較し、検討する。扱うのは現地時問2005年9月13日付けのAustralian、Australian Financial Review、Daily Telegraph、Sydney Morning Herald四紙で、選挙結果を扱ったそれぞれの記事と社説を対象とする。記事については、選挙結果を総合的に理解する上で重要な7項目を比較の基準として、共通点・相違点等を検討する。また、社説については、それぞれの特徴と主張を概観する。