著者
中根 英昭 笹野 泰弘 林田 佐智子 杉本 伸夫 松井 一郎 湊 淳 Mccormick M. P.
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.153-159, 1993-02-25

国立環境研究所オゾンレーザーレーダー(つくば市、北緯36度、東経140度)を用いて測定されたオゾン濃度高度分布を、衛星搭載センサーSAGEIIのそれと比較した。比較にあたっては測定時間、測定場所の差についていくつかの基準をおいてSAGEIIのデータを選択した。すなわち、SAGEIIの測定対象域の緯度・経度について(1)それぞれつくばから5度及び15度以内に入るデータ、(2)北緯31度から41度までの緯度帯に入るデータの経度方向平均、また測定時間についてレーザーレーダー観測時刻の前後1日、3日、及び5日間に入るデータを用いることとした。比較の結果、個々の分布(1)および経度方向の平均分布(2)とも良い一致が見いだされた。レーザーレーダーとSAGEII測定値の相対差の平均は15-50kmの範囲について約10%程度である。
著者
相澤 仁志 松橋 浩伸 菊池 健次郎
雑誌
THE CIRCULATION FRONTIER (ISSN:13432036)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.55-57, 2005-06

著者最終原稿版88歳女.座位保持困難を主訴とした.入院後,右片麻痺と嚥下障害が徐々に出現し,脳MRIで左橋に梗塞巣を認めた.D-マンニトールおよび塩酸オザグレルによる治療を開始したが,麻痺の改善はみられなかった.その後,肺炎を併発したため抗生物質を使用した.入院9日目に著明な下痢が出現し,検査によりMRSA腸炎と診断し,塩酸バンコマイシンの内服を開始した.翌日,著明な発汗と悪寒・戦慄を伴う40〜41度の発熱が持続し,血液培養で大腸菌とS.simulansを検出した.菌血症と判断し,更に抗生物質の追加投与を行った.入院13日目にJCSで200の意識障害が出現し,血糖値や血圧に著変はなかったが,その後,敗血症によるショックで一時的に血圧が低下した.入院16日目に脳MRIでは,両側淡蒼球にT2強調像で高信号の病巣を認めた.橋病変に変化はみられなかった
著者
佐藤 晋一
出版者
青森県水産試験場
雑誌
青森県水産試験場研究報告 (ISSN:13463012)
巻号頁・発行日
no.3, pp.29-35, 2003-03

本県太平洋側の出戸沖線(北緯41度)についての観測資料を整理し,若干の考察を行った.津軽暖流域の各層最高水温は0m層では8~9月に最高,50m層では9~10月に最高,100m層では10月に最高と,下層に向かってピークが少しずつ遅く,水温値も低くなっていた.最低水温はいずれも2~3月にみられた.水塊深度は6~7月に一旦極小値をみせ,8月から12月は同程度の深さを示していた.出戸東方における津軽暖流の張り出し位置は,1~3月に最も西側に位置し,10月に最も東方に位置していた.しかし,東経142度40分までの観測線ではとらえられない事例が約5割もみられており,8~12月は観測の5割以上で張り出し位置をとらえられず,この期間は張り出し位置がより東側であることがうかがわれた.出戸東方の東経142度40分までの水深300m層を無流面とする南下流量は175回の全平均で0.56Svとなった.月平均でみると最大は6月で,7~11月の平均値は小さく,最小は11月となった.全平均は0.56Svとなったが,これは,尻屋線における500m層を無流面とする津軽暖流の南下流量の全平均2.03Svの3割弱に当たっていた.この理由としては,出戸線の観測ラインが短いことや尻屋線での無流面が500mと深く設定できたことがあげられ,出戸線のデータでは津軽暖流の流量をとらえきれていないといえた.地衡流量は,3月から6月ぐらいまで流量が増加していくが,7月以降の流量が少なくなっていた.これはこの時期,津軽暖流が沿岸モードから渦モードに移行し,東経142度40分までの短い出戸線ではとらえきれなくなるためと考えられた.季節変動の主成分分析の結果から,この海域では津軽暖流による変動が最も大きいと考えられた.第2主成分は水深150m付近を中心とする変動がみいだされ,親潮第1分枝の変動を示しているものと考えられた.塩分の第1主成分も津軽暖流の変動を示しているものと考えられた.第2主成分は沿岸側の下層に分布の中心がみられ,親潮系冷水を示しているものと考えられた.
著者
小野 正虎 柏木 温子 松田 一朗 伊東 晋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.151, pp.25-30, 2002-06-20
参考文献数
5

多視点画像から物体の3次元形状を獲得する手法として視体積交差法が知られている.一般にこの手法を動きを有する物体に適用する際は,複数のカメラによって多視点画像を同時に取得する必要があり,各カメラのキャリブレーションや同期に要するコストが問題となる.そこで本稿では,単一のカメラと複数色光源を利用して視体積交差法と同様な原理を実現する手法を提案する.まず,基準となる物体の影を計測し,光源の位置とカメラパラメータを推定する.次に測定対象に色の異なる光源を同時に照射した際の床面の影を撮影し,各光源に対応する影を画像上の色の違いに基づいて分離する.これらの影と光源を結ぶ錐体を考え,その共通部分を抽出することで物体の3次元形状を求めることが可能となる.
著者
冨手 要 藤木 真和 麻生 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.427, pp.75-80, 2008-01-10
参考文献数
6

本稿では,複合現実感において現実の影と光学的な整合性を保って仮想の影を描画する手法を示す.現実物体からの影が投射されている領域は仮想物体からの影の影響を受けないとして,我々の手法では,現実空間を撮影した画像に含まれる現実の影の領域を避けて,仮想光源ごとに現実もしくは仮想物体に起因する影を実画像に加える.本稿では,提案手法の理論的背景について述べた後,レンダリング技法としてレイトレーシングを用いた実装方法を説明する.さらに,検証実験により光学的に矛盾のない影画像を生成できることを確認したので,実験の内容と結果を示す.
著者
中尾 茂
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

東京大学地震研究所鋸山地殻変動観測所に設置された10器のボアホール歪計で観測された歪データを用いて,ボアホール歪計の地殻歪に対する応答を評価する目的で潮汐解析を行なった.まず,公衆回線を用いたテレメータで回収されるデータ以外のデータ回収を行なった.現地ではパーソナルコンピュータを用いてハードディスクにデータを記録している.潮汐解析はBAYTAP-G(Ishiguro et al.,1984)を用いて行なった.解析期間は1992年10月の観測開始から1995年1月のデータであり,計算は1月毎に潮汐の振幅,位相を計算した.歪計各成分とも振幅は【plus-minus】10%以内のばらつきはあるもののそれ以上の大きな振幅変化はなかった.位相については平均値の【plus-minus】5度以内のばらつきであった.10器の歪計のうち同じ成分を測っている歪計は2〜3器ある.M2分潮(周期12.42時間)の振幅は同じ方向の観測成分についても2倍〜7倍異なっており,位相については2〜3度以内で一致し予測値はGOTICの日本版であるLTD2(Sato and Hanada,1984)を一番細かいメッシュサイズが約1km四方の海岸線データを用いて計算した.観測値と比較すると振幅は予測値の35%〜400%の範囲であり,位相については予測値からの遅れが最大で41度,最小で1度であった.予測値と観測値との差異は予測値を計算するときに用いる海岸線データの細かさ,海洋潮汐モデルの正確さに原因があると考えられる.そこで,観測点近傍の海岸線データを30mメッシュで作成し,計算した.また,鋸山検潮所のデータを用いて計算した海洋潮汐の振幅,位相をも参考にして観測点近傍の海洋潮汐モデルを作成した.振幅は予測値と観測値の差が小さくなるが,位相は90度近く観測値とことなる.これは海洋潮汐荷重潮汐の振幅の見積もりが改善前と比べて小さいことが原因であり,観測点近傍の海洋潮汐モデルの見直しが必要である.
著者
坂本 峰至 亀尾 聡美 丸本 倍美 安武 章 山元 恵
出版者
国立水俣病総合研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

セレンは必須微量元素で、水銀化合物の毒性防御作用が期待される本研究では、自然界に存在する毒性の低いセレンであるセレノメチオニンがラット新生仔の発達期の脳で直接メチル水銀の毒性を防御することを世界で初めて報告した(Env Sci & Tech 2013)。歯クジラ類は、比較的高濃度の水銀を体内に蓄積するが、無機化能力が高く、無機化された水銀は、非活性で無毒なセレン化水銀に変化し筋細胞内に残留していることが示唆された。捕鯨の町の住民の血液試料中の水銀とセレン濃度は有意な正の相関を示し、セレンが住民における水銀の毒性の防御の役割を果たしている可能性が示唆された。
著者
幅 健志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社外国文学研究 (ISSN:02862832)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.20-44, 1973-09-01

論文(Article)
著者
山本 道成
出版者
綾部市天文館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

○研究目的各地で行われている流星電波観測の観測データをインターネットを利用して1カ所に集約し、解析およびデータベース化する流星電波観測網の構築の為に観測データから流星エコーの抽出などをおこなうプログラムやデータ転送システムの開発と実験を行う。○研究方法GPSを用いて時刻同期したサンプリングが可能なADボードを使用して観測された各地の観測データを集めて解析し、ノイズと流星エコーを抽出するプログラムを複数作成した。それぞれのプログラムを単独または複数の組み合わせによるエコーの検出精度を確かめた。特に流星群(ペルセウス座流星群、しし座流星群、ふたご座流星群)時のデータを主に使用した。また、インターネットを利用して転送できる程度のデータの圧縮と転送実験を試みた。転送実験にはNASを用いた簡易サーバを作成し、LAN上での転送実験を行った。○研究成果エコーの抽出精度に関しては、雷や飛行機によるノイズなど特定の物に関してはほぼ分離可能となった。しかしその他のノイズについてはエコーとの分離精度が実用には不十分なため、今後さらに精度を高める必要がある。また、観測地や時間帯によってはノイズの種類や性質が異なるため、それぞれの地点に合わせて解析プログラムの調整を施す必要があることがわかった。使用するパソコンの処理能力にもよるが、解析処理にかかる時間が観測時間と同等かそれ以上に必要であった。特に流星電波観測に使用されているパソコンの処理能力はさほど高くないため、現状では観測と解析をリアルタイムで行うのは難しいことがわかった。また、今回、観測に使用したサンプリングが200kbyte/s×2chであるため、1時間あたり1.5Gbyteものデータとなることも処理時間の問題に大きく関係している。今後、観測に使用するサンプリングも含めて検討が必要である。
著者
鈴木 和雄
出版者
法政大学
雑誌
日本文學誌要 (ISSN:02877872)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.67-68, 1982-07-10
著者
依岡 道子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.271-278, 1986-03-01
著者
橘 智子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.209-219, 1992

トマス・ハーディ(Thomas Hardy)は19世紀末英国文壇の偉大な小説家として名声を得た後,詩作に情熱を傾注した。おおよそ1000篇の詩を世に問い,現代詩人の萌芽を内包する個性的で特異な詩人として高い評価を受けている。詩のテーマは多種多様であるが,とりわけ生と死,死後の世界,墓地,幽霊をテーマに近代から現代に即した内容で多くの詩を書いている。ハーディーは若い頃,キリスト教の信仰を喪失し,加えて,ダーウィンの『種の起源』やショーペンハウアーの『無神論』,『内在性』に感化され,世紀末から20世紀初頭へのペシミズムに傾倒する。従って死者にキリスト教的死後の生命を与える希望が持てず,シェイクスピアやブラウニングのように死後の不滅を楽観的にうたい上げることができなかった。そして不滅を求めて深いペシミズムと限りない回生の希望の狭間で揺れ動き,その揺曳の果てに死後の魂の行方を希求して彼独自の工夫と観想をこらし作詩する。やがてハーディーは,死は生の否定であるとする生と死のパラドックスから脱却し,それを矛盾しない一体のもので不可分と考えるようになる。つまり生は死に向かって間断なく移行するプロセスに過ぎないと止観する。老齢と共に微妙に変化するハーディーの生死観は一層次元の高いものとなり,相矛盾する概念を止揚して,幽明の問に詩的効果を出している。しかしハーディーの生死観の根底をなすものは, 全て生あるものは個としては滅びるが,種としては不滅であるという「生の循環」論であり,宇宙観であると言えよう。
著者
池田 枝実子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
史園 (ISSN:13458396)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-48, 2001-12-31