著者
青柳 誠司
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.697-702, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
7

人間は蚊に刺されて吸血されてもほとんど痛みを感じない.高速度カメラを用いて透明なポリマー製の人工皮膚への蚊の穿刺の様子を詳細に観察し,その結果に基づいて蚊の穿刺メカニズムを推測した.蚊の口器のうち,穿刺に重要な役割を果たしている大顎と,その両側の小顎2本の合計3本の針について,それらと同様の形状・寸法を持つ3本の針をマイクロマシニングの技術を用いて工学的に実現した.これらの針を蚊と同様に互いに位相差を持たせて協調動作させ,人工皮膚への穿刺実験を行った結果,穿刺抵抗力が1/3~1/4に低減されることが確認できた.痛みと穿刺抵抗力には相関があるため,痛みの低減が期待できる.
著者
芹田 透 工藤 宏幸 坂井 建雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.675-681, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
41

〔目的〕肩関節の臨床症状評価の一助とするため,肉眼解剖手法により棘下筋に分布する動脈を観察した.〔対象と方法〕解剖実習遺体17体19側の棘下筋に分布する動脈の走行および分布領域を調査した.〔結果〕棘下筋に分布する主な動脈は肩甲上動脈と肩甲回旋動脈で,どちらも筋の内面を走行していた.肩甲上動脈が,上肩甲横靱帯と肩甲切痕で形成されるトンネル内を走行して棘下筋に達する例もあった.2動脈の分布領域は標本により異なった.〔結語〕棘下筋に分布する動脈には,深層を走行し,トンネル内を通過するなど,圧迫を受けやすい特徴がみられた.また,動脈分布形態は多様であり,臨床症状の個人差への影響が示唆された.
著者
米地 文夫
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.252-255, 2003-12-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1
著者
加藤 由樹 加藤 尚吾 杉村 和枝 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.403-414, 2008-03-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
27

本研究では,テキストコミュニケーションの受信者の感情面に及ぼす感情特性の影響について検討するために,電子メールを用いた実験を行った.本実験の被験者は,42名の大学生であった.彼らを,無作為に2人1組のペアにし,電子メールを使ってコミュニケーションを行ってもらった.そして,電子メールを受け取るたびに,どんな感情が生じたか(感情状態)と,送信者の感情状態をどのように解釈したか(感情解釈),について尋ねる質問紙に回答を求めた.また,感情特性の指標である個別情動尺度-IVによって被験者を3群に分類し,受信者による感情解釈と受信者の感情状態の関係と,送信者の感情状態と受信者による感情解釈の関係を,3群で比較した.結果,これら二つの関係は,受信者の感情特性の影響を受けることが示された.結果から,テキストコミュニケーションで生じる感情的なトラブルの原因を考察した.
著者
須賀 京子 渡邉 順子 岩瀬 敏 西村 直記 清水 祐樹 岩瀬 千尋
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.137-145, 2015-08-20 (Released:2016-04-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究の目的は,女性高齢者が継続的に実施するフェイスケア (化粧水と乳液を用いるスキンケア, 以下FC) がもたらす生体への影響について, 前頭前野における組織酸素レベルと自律神経反応から明らかにすることである. 65歳以上の健康な女性高齢者18名 (平均年齢68±4歳) が,3週間のFCを継続して実施し,その初日と最終日に近赤外分光法 (NIRS) による前頭前野の脳組織酸素レベルと皮膚血流量, 心拍変動, 皮膚コンダクタンスを用いた自律神経活動を測定した.初日は安静時と比較してFC時に前頭前野における⊿deoxyHbの上昇が認められたが,血液量に変化はなかった.しかし,最終日には安静時と比較して血液量が低下した.また,初日と最終日でともに安静時と比較してFCでは心拍変動のHFの上昇を認め,副交感神経活動の亢進が示された.健康な女性高齢者自身が行うFCは,前頭前野の活動を抑制し,副交感神経活動を亢進させることが示唆された.
著者
新川 匠郎
出版者
日本比較政治学会
雑誌
比較政治研究 (ISSN:21890552)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-22, 2016 (Released:2020-01-29)
参考文献数
59

本論はドイツの州での大連立成立パターンを問うものである。従来の経験的分析では、異なる大連立の仕組みを捉える比較の視座が欠落しがちであった。また政党の動機と制度にフォーカスした理論的分析もドイツの州の多様性から限られた特徴を引き出すのが主であった。本論は、多元的で結合的な因果を想定した大連立分析から従来の研究にあった空白へ光を当てることを試みる。そこでは、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の事例を通じて大連立に向けた制度的条件を浮き彫りにする。それが議会少数派と権力分掌する一院制という条件である。この知見を踏まえた条件組み合わせ分析を通じて本論は、「権力を分掌する一院制下では、分極化した政党間競合を伴い議会多数派の形成に行き詰った場合に大連立が選択肢になる」という仮説を提起する。この結果は政党の動機・制度のどちらかで大連立を説明しきるのは困難と想起させるが、議会権限(veto point)の議論を洗練させる機会になると提起する。
著者
氣多 雅子
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.30-42, 2020-03-31 (Released:2020-07-09)

Die Religionsphilosophie des Jōdo-Buddhismus wurde von Takeuchi Yoshinori begonnen. Er versteht den Jōdo-Buddhismus in einer scharfen Spannung zwischen Logik und Glauben. In seinen letzten Lebensjahren erforschte er im Kontext des Jōdo-Buddhismus, wie der Glaube des Menschen in der Welt der Gegenwart sein soll, und zwar ein Gespräch mit den europäischen theologischen und philosophischen Gedanken des zwanzigsten Jahrhunderts führend. Soga Ryōjin sagt, die Bedeutung der Anrufung Buddhas (Buddhānusmri) verändert sich je nach Zeitalter. Jedoch das Wesen der Anrufung Buddhas verändere sich nicht. Dagegen denkt Takeuchi, die Veränderung der Bedeutung der Anrufung Buddhas besagt die ihres Wesens. Takeuchi sagt, wenn meine Anrufung Buddhas nicht der Welt entspricht, in der ich lebe, ist sie keine eigentliche. Der Lebensraum des Menschen in der gegenwärtigen Welt verändert sich stark. Er ist ganz anders als in der früheren Zeit, in der die Anrufung Buddhas völlig alltäglich war. Der Jōdo-Buddhismus ist keine Praxis für besonders Religiösemenschen, sondern für die Menschen im Allgemeinen. Die Veränderung der Welt, in der die Menschen leben, zwingt zur Überlegung, wie die Anrufung Buddhas heute sein sollte. Die Anrufung Buddhas, die seit langer Zeit existiert, verliert in unserer Zeit an Sinn. Hat es vielleicht keinen Wert mehr für die Forschung der Religionsphilosophie, die Sutren Shinrans zu lesen? So ist es nicht. Im Ursprung seiner Überzeugung war die Verzweiflung daran, dass die Menschen mit dem Buddhismus, der damals war, nicht erlöst werden können. In der gegenwärtigen Welt kann man Buddha nicht mehr in der Form anrufen wie früher. Daher muss die religionsphilosophische Forschung des Jōdo-Buddhismus zum ursprünglichen Standpunkt, zur Verzweiflung Shinrans zurückkehren, und sie soll von dort her wieder anfangen, nachzudenken, wie die Leute mit dem Buddhismus erlöst werden können.
著者
下村 裕子 指田 豊 大島 行雄 我妻 禎 斎藤 昌彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.1164-1166, 1980-11-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

Scopoletin, protocatechualdehyde, ethyl and methyl caffeate and phytosterols were isolated from stems and leaves of Artemisia apiacea HANCE (Compositae).
著者
斎藤 功夫
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.654-659, 2000-06-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
21