著者
内田 豊
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.491-499, 1980-06-05

日食の時などに真珠色に太陽をとり巻いて輝くコロナが, 百万度という日常の感覚では想像も出来ない高温の稀薄な太陽外層大気である事は今では広く知られている. 最近のスペースからのX線等による観測は, このコロナ, およびその中で起る太陽面爆発についても多くの新しい知見をもたらした. これらは従来定説となっていたコロナ加熱や太陽面爆発の理論では説明のつかない多くの新しい点を示して, 太陽物理学に衝撃を与えた. また, 太陽以外の星についても高温のコロナが存在する事がX線観測で続々と確認され始めたが, これらのコロナを持つ事が判った星も, 従来の理論の枠組の中ではコロナを持つ筈のない種類の星であり, 太陽コロナおよびその中の爆発現象から手掛りを得て説明され始めたかに見えていた天体でのプラズマ加熱(コロナに見られる定常加熱および爆発現象に伴う急激な加熱)についての従来の考えは大きく考え直すことが要求されるに至った. 以下ではこのあたりの事情と, 新しい観測事実によって指し示された今後の方向について述べてみたい.

1 0 0 0 OA 忠勇録

著者
兵林館 編
出版者
兵林館
巻号頁・発行日
1895
著者
村川 増代 野老 稔
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-4, 2007

Subjects were 15 female university track and field athletes. In an attempt to improve athletic performance,subjects were instructed to throw a medicine ball and put a shot with and without vocalization.In addition,grip strength was measured in order to clarify the effects of vocalization on throwing.The results showed that significant differences between with and without vocalization wereobserved for the standing shot put,front medicine-ball throw,and chest medicine ball throw. A significantdifference between with and without vocalization was observed for the grip strength of the nondominanthand. Furthermore,among the subjects with shot put and medicine ball throwing distancesshorter than the median value,there was a correlation between grip strength and distance: the greaterthe grip strength,the longer the throwing distance. These findings suggest that vocalizing during routinepractices improves athletic performance.
著者
後藤 信行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.80-83, 1989

月は一年間に数cmの割合で地球から遠ざかっている。その理由について,啓蒙書,天体力学の教科書及び科学辞典の記述をみると,月が潮汐摩擦によって加速されるためであるという。月の公転運動が速くなり,遠心力が増して,月は遠ざかるという説明は,直感的には,もっともらしく思えるが,それには,力学的に重大な誤りがある。正しくは,潮汐摩擦のため,月の公転の速度も角速度も,逆に減少しているのである。月の運動に関する,このような誤解は,何故起きたのだろうか。月の公転運動と地球の自転運動との間での,角運動量と力学的エネルギーの受け渡しの機構について考察する。
著者
松岡 幸司
出版者
信州大学人文社会科学研究会
雑誌
信州大学人文社会科学研究 (ISSN:18817858)
巻号頁・発行日
no.5, pp.142-151, 2011-03

本稿では、1842年にウィーンで見た日蝕に関してシュティフター(Adalbert Stifter,1805-1868)が書いた手記『1842 年7 月8 日の日蝕Die Sonnenfinsternis am 8. Juli 1842』の新訳を行う。その解説として、詳細な自然描写が特徴の一つであるシュティフターの作品をネイチャーライティングとしてとらえ、環境文学そしてエコクリティシズムの視点から評価することにより、ネイチャーライターとしてのシュティフター像を浮き彫りにする。
著者
大石 敏広
出版者
沖縄工業高等専門学校
雑誌
独立行政法人国立高等専門学校機構沖縄工業高等専門学校紀要 (ISSN:1881722X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.39-51, 2010-03

この論文の目的は、技術者には、人口問題・南北問題と関わっていく責任があるということを指摘することである。具体的には次のような手順で議論が進められている。第一に、現在の技術者倫理における「地球的視野」の概念の分析が行われる。第二に、地球的視野、持続可能な社会、人口問題、南北問題の間の関係が示される。第三に、発展途上国における人口の爆発的増加と、先進国における豊かさの増大の間には密接な関係があると主張される。最後に、人口問題と南北問題の解決と持続可能な社会に向けての展望が提示され、それとの技術者の関わりが論じられる。
著者
渡邊 一弘
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年度の主要研究業績である論文「応用哲学の現状と課題」および学会発表「経済学におけるモデルと実在」は、一方で過年度の古典的・理論哲学的研究の成果を基礎としつつ、他方で本研究がその目的のひとつとする応用的・学際的研究の積極的展開を企図して進められた。「経済学におけるモデルと実在」では、経済学方法論でいまや古典の位置を占めているミルトン・フリードマンの科学観を取り上げた。議論の出発点は、「経済学を含む実証科学の目的は予測の成功であり、理論における諸前提は非現実的なものであってもかまわない」という主張と解釈されてきたフリードマンの「実証的科学の方法論」が、現象に大きな変化が起こった場合の理論選択ないし理論構築の問題にそのままではまったく対処し得ないという問題である。ここからさらに次の点を論じた。(1)科学の現場において理論選択や新しい理論構築にあたって実際に指針とされるのは「科学的モデル」である。(2)そのような科学的モデルには、力学モデルからグラフィック・モデルに至るまで、多種多様なものが含まれる。(3)ただし経済学において通常扱われるモデルはほとんど「数式モデル」だと考えられている。(4)しかし、経済学にも多様なモデルの使用が理論の改良・構築に貢献してきたことは、いくつかの理論史的事例から確認できる。(5)このような科学的モデルと理論構築との関係を視野に入れることで、フリードマン流の科学方法論をより実際の科学の営みに即したものに作り替えることができる。また、「応用哲学の現状と課題」では、「経済学の哲学」と「哲学カウンセリング」という我が国においては未発達な哲学の応用的分野の欧米における先行研究をサーベイし、今後の展開への示唆を与えた。
著者
佐々井 祐二
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構津山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

インターネット天文台はインターネット上のユーザがリモートでリアルタイムに観測できる装置である。その操作はWebブラウザ上で行われる。我々は口径35cmシュミットカセグレン式望遠鏡と冷却CCDカメラを装備した「津山インターネット天文台」を構築した。また、天文教育のため、世界天文年2009より小中学生を対象とする公開講座としての「天体観測会-君も未来のガリレオだ!-」を9回開催した。計算機シミュレーションの活用も含めて、今後も継続して科学教育を行う。