著者
畠瀬 頼子 小栗 ひとみ 松江 正彦
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.553-556, 2008
被引用文献数
2 6

In Japan, Coreopsis lanceolata has been invading riverbed vegetation and is designated as an invasive alien species. A study regarding its occurrence and the vegetation transition in the riverbed of Kiso River was conducted. Comparing the vegetation maps of 1979, 1996 and 2006 revealed that over time, the area of the wet grassland had decreased. However, the forest area and bamboo/dwarf bamboo community had increased. Contrastingly, the area of the dry grassland tends to change little and is sustained. C. lanceolata occurred in 70% of the area of the dry grassland and 50% of the area of shrubs in 2006. C. lanceolata occurred frequently in the Artemisia capillaris-Anaphalis margaritacea subsp. yedoensis community and Zoysia japonica-Potentilla chinensis community in 2006. This study reports regarding some types of the dry grassland including the communities with the specific native plants that was sustained for a long time and is invaded easily by C. lanceolata.
著者
玉懸 元
出版者
日本語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.30-43, 2001-06

本稿では,若年層を話者とした調査結果に基づき,仙台市方言の終助詞「ッチャ」の用法を整理して記述する。「ッチャ」の用法は,用例の観察を通して,次の(1)(2)(3)に整理される。(1)対話用法A:そもそも知っているはず・分かるはずの事柄を忘れている・気付いていない,ということが相手から看取された場合に,その事柄を取り上げて「ッチャ」を使用する。(2)対話用法B:相手のそもそも知っているはず・分かるはずの事柄を,後続させる発話内容の土台になることとして取り上げておきたい場合に,その事柄を取り上げて「ッチャ」を使用する。(3)独言用法:自分自身がある事柄を思い出した・ある事柄に気付いたといった場合に,その事柄を取り上げて独言的に「ッチャ」を使用する。(3)は(1)を自己内対話的に拡張したものとしてその関係が理解される。また「ッチャ」の本質を把握することによって,(1)と(2)との関係も理解される。なお,以上のような記述を通して,現代方言において共通語化を免れている方言形式の具体的様相とその理由に関する問いに対して,ひとつの見通しが得られることになる。
著者
齋藤 幹久
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、構造物への着雷様相を観測することを目的として行われた。構造物への着雷様相の観測は送電線や風力発電用風車の耐雷設計の他、避雷針の保護範囲等の検討を行うために大変重要であるが、雷は何時何処に落ちるか判らないため、近年高速度カメラが発達してくる以前は、観測する事が大変難しかった。上記の目的のために、本研究では、高速度カメラを用いた東京スカイツリーへの着雷様相の観測を行った。2013年12月までに11例の雷放電が観測され、その多くは耐雷設計上最も重要である下向き落雷であった。
著者
宇井 隆晴 中山 雅哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.530, pp.19-24, 2006-01-12

LIVE! UNIVERSEでは2002年6月より世界各地で観測される金環日食や皆既日食のインターネット中継を行ってきた。2005年4月9日に観測された金環・皆既日食のインターネット中継(LE2005)に引き続き、2005年10月3日に観測された金環日食の中継(LE2005a)においても日本語JPドメイン名Webによるアクセス評価の実験を行った。その結果、4月に引き続き全Webアクセスの約10%が日本語JPドメイン名Webへのアクセスであった。また、前回明らかにできなかったIEユーザにおけるJWordプラグイン導入の割合はi-Navの導入と同程度あり、日本語JPドメイン名URLへのアクセスに大きく寄与していることが明らかとなった。
著者
平原 衣梨
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本年度は、π共役系有機配位子の自己組織化を利用した新規集積型白金錯体の開発に取り組み、二色性の色変化を伴う熱相転移挙動について調査した。分子設計においては、剛直なπディスク状ユニットであるトリフェニレン(TP)がカラム集積しやすい性質に着眼し、金属配位能を付与したTP配位子を開発した。これを同じく平面性の高い配位様式を好む二価Ptイオンと反応させ、白金二核TP錯体を得た。この錯体はアセトニトリルに溶解してオレンジ色、固体粉末においては深青色を呈する。ところが、室温で単離したこの深青色粉末を加熱すると、昇温過程175℃付近で相転移するとともに赤色粉末へと変化する。このとき深青色の相では、錯体はある程度スタックしながら凝集した状態であるのに対し、この赤色に呈色した第二の相ではより高度な結晶性を獲得し、対称性の高いスクエア型のナノ粒子化することが明らかになった。さらに、この赤色粉末は乳鉢で擦るといった力学的負荷をかけることで、初期の深青色へ戻る。つまり、熱および圧力という外的な物理刺激に応答して二つの準安定相を往復し、各相がそれぞれ異なる発色をもつことによってそのダイナミクスを目で見て知ることが可能な系といえる。また発光スペクトルにおいては、第一相(深青色)では無発光であるのに対し、第二相(赤色)では680nm付近にMMLCT(金属-金属/配位子間電荷移動)遷移由来と考えられる強い発光が確認できており、Pt-Pt間結合の形成を強く支持している。このように、ある次元性を有する集積構造制御しながら、バルク固体にも関わらず外部刺激に応答した可逆かつ動的ふるまいをみせる材料は非常に稀少であり有用性が高い。π共役系有機分子の制御性を導入することで、固体無機材料に潜在する多彩な物性をより高度に操作できれば、今後の新規材料開発に大きく貢献できるものと思われる。
著者
野村銀次郎 編
出版者
銀花堂
巻号頁・発行日
1890
著者
福山 淳 矢木 雅敏
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.747-754, 2005-10-25
被引用文献数
1 6

The purpose and recent progress of the Burning Plasma Simulation Initiative (BPSI) are discussed. Simulation of burning plasmas requires integrated modeling of various physics phenomena with wide-ranging spatial and time scales. The activities of the BPSI are of three types: development of the framework for integrated simulation codes, development of integrated modeling of multi-scale physics, and implementation of distributed parallel processing. Similar activities have been reported in the United States and the European Union. Features of the integrated transport code, TASK, being developed as a reference code for BPSI, are also described. Finally, a summary is given and future issues are discussed.
著者
山腰諒一 青木 工太 長橋 宏
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.13(2007-CG-126), pp.1-6, 2007-02-19

本稿では、CGアニメーションなどに用いられるモーションキャプチャのデータからユーザが意図するような新たな動作を生成するシステムの提案について述べる。提案手法では、確率モデルを基本とした、Gaussian Process Latent Variable Models (GPLVM) を用いて、高次元空間の複数の動作データを同時に低次元化する。さらにユーザが低次元空間で高次元の姿勢を直感的に理解するために、基本姿勢との差や姿勢の位置などを低次元空間で視覚化する。それらを用いてユーザが意図する情報を対話的に与えることにより、所望の動作を生成する。
著者
田中 和之 鈴木 信行
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.196, pp.18-31, 2001-01

人材不足はますます深刻になり、市場は成熟化。相次ぐ規制強化と緩和が企業活動を翻弄する。さらに資金環境はかつてないほど厳しくなり、IT化の波が押し寄せる。 ヒト、モノ、カネ、情報とすべての面で起こる環境変化を乗り越えていくことができるか。それが中小企業にとって、二一世紀初頭を生き残る条件となる。
著者
高橋 智 平田 勝政 茂木 俊彦
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.33-46, 1990-03-10

近年、国内外で障害の概念構造についての理論的研究が深化しつつあるが、個々の障害に即した概念整理は不十分であり、「精神薄弱」概念についてはそれが特に著しい。そこで本研究ではその一環として、戦前の精神医学分野の「精神薄弱」概念の形成・展開過程及び到達点の歴史的解明を行った。検討素材に、主要な精神医学雑誌である『精神神経学雑誌』と『精神衛生』を用いた。得られた結果は次の様である。(1)「精神薄弱」を病理・臨床の面からは疾病・欠陥と規定し、精神衛生では断種等の社会問題対策的視点から規定しており、精神医学でも「精神薄弱」概念の定義に大きな相違がみられる。(2)クレペリンの「白痴・痴愚・魯鈍」の3分類を基本としつつも、「精神薄弱」概念論争にみられる様に、知能指数等の心理学的概念の採用が現実的要請から承認された。(3)戦前の「精神薄弱」概念の到達点と「特殊児童判別基準」等の戦後の概念には連続性が確認された。
著者
辻 義之 宮地 圭 鈴木 孝裕 中村 育雄
出版者
日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 = Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers. B (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.70, no.695, pp.1679-1686, 2004-07-25
参考文献数
17

In a zero-pressure gradient turbulent boundary layer, the multi-point measurement by 24 ch I-probes is performed. The relation between coherent structures and logarithmic velocity profile is studied by way of proper orthogonal decomposition technique and the stochastic estimation. It is found that the existence of coherent structures are necessary condition for the universal velocity profile, however it is not enough. Small-scale motions are also necessary to realize the log-law profile. The probability density profile in the overlap region is studied, and as a result, the invariant assumption of PDF in relation to the coherent structure is obtained. It was also evaluated how the velocity fluctuation in the log-region is affected by the coherent structures.
著者
岡田 稔 金 璟垠 横井 茂樹 鳥脇 純一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.1583-1592, 1997-08-15
被引用文献数
7

本論文では,コンピュータ・グラフィックス(CG)における幾何モデリングの一手法として,半空間に基づく多面体の一記述方法を提案する.まず,複数の平面に基づく半空間の多項集合演算によって,任意の多面体を記述するためのS式表現を定義する.次に,定義された多面体と空間の点との位置関係(内部,境界,外部)を表すための3値論理関数,および,S式表現による3値論理代数系を定める.この3値論理代数系が先に定義した集合演算系に対して準同型であることから,多面体を記述するS式がそのまま3次元空間の直線と多面体の交差判定に利用可能であることを示し,本方法がCGにおける光線追跡法を始めとする画像合成のための幾何モデリングの一手法として有効であることを示す.A method to describe a polyhedron for geometrical shape modeling in Computer Graphics is studied.A polyhedron is constructed from some half-Spaces using a multi-term set operation system with S-expression.A three-element logical function and its algebraic system are defined in order to determine whether the nominated point is within the given polyhedron or not.Since this logical function is homomorphistic and the multi-term set operation system and three-element logical algebraic system are homomorphic,the S-expression to describe a polyhedron can be used for the crossing test between a view line and the polyhedron.The proposed method is useable for geometrical modeling and rendering in image synthesis by ray-tracing.
著者
小黒 浩司
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.174-184, 2009-09-01
被引用文献数
1

長野県上田市立上田図書館には,1925年以来書き継がれてきた同館の『日誌』がある。本稿ではこの『日誌』に見える発禁図書没収の記録を中心に,長野県内他館の記録などを用いて,戦前・戦中期の図書館統制の歴史を検証した。その結果,図書館に対する統制は,1930年代に入って次第に強化されたことを明らかにした。さらに1940年代になって大量処分が繰り返され,図書館に対しても極めてきびしい取締りが行なわれたことを論証した。
著者
石坂 唯 林 摩梨花 神埼 秀 岡田 慧 水内 郁夫 稲邑 哲也 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp."1P1-E05(1)"-"1P1-E05(4)", 2006

In the future, demand for robots which can comfort or relax human would increase. But there is no certain approach to develop such robots now. We propose a friendly robot system as a platform to repeat the process of trial and error. In this paper, we describe several sensory and soft-textured suits like animal skins for covering the robot system and software system having mapping function for reforming interaction modality easily. Finally we report our interaction test at an event site.
著者
斎藤 二郎 西林 清茂 細谷 芳巳
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1980

全国的な規模で広範に分布している有機質土を土木工事で取り扱うケースが増加しているが, 現行の有機物含有量試験法は土の種類に対する適性, 測定操作上の難易などに一長一短があり, 標準的な測定法が確立されているとはいいがたい。この点を考慮して筆者らは有機物含有量測定法のうちの強熱減量法を取り上げ, 特にその測定法に影響を及ぼすと考えられる燃焼温度, 燃焼時間, 試料重量の3つの要因に関して, 各要因が強熱減量値に与える影響を調査した。実験に使用した試料として有機物含有量が20%代, 40%代, 50%代, 70%代の4種類の土を選び, 上記各要因についても各々4種類の値を選んで組合わせによる実験を行った。試料の作成方法は土質工学会基準の強熱減量法の方法に準じ, 燃焼装置として電気マッフル炉を使用した。実験の結果, 有機物含有量に最も大きく影響する要因は燃焼温度であることが判明したが, 結果を総合すると上記3要因の組合わせでは600℃×4時間×2.0gが最適であると判断された。