著者
近藤 博之
出版者
Japanese Association For Mathematical Sociology
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.161-177, 2011

本稿では,ブルデューが『ディスタンクシオン』において行った社会空間分析を日本のデータに対して適用し,とくに社会空間の「交差配列」構造と日常的活動および意識空間との「相同性」に焦点を当てて,ブルデューのモデルの妥当性を吟味した.多重対応分析(MCA)による検討の結果,社会空間の構造についても,日常的活動および意識空間との相同性についても,「資本総量」の分化軸は明瞭なものの,「資本構成」のタイプによる差異はそれほど明瞭でないことが明らかとなった.これらの分析を通して,日本の社会空間の特徴とともに階層研究における社会空間アプローチの有効性が示された.
著者
大塚二郎 著
出版者
愛読社
巻号頁・発行日
1943
著者
佐藤 学 岩川 直樹 秋田 喜代美
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.177-198, 1991-03-30
被引用文献数
18

It is well known that expert teachers form and use elaborate practical knowledge and thinking styles in their teaching. This paper illuminates five expert teachers' and five novice teachers' practical thinking in on-line (thinking aloud) and off-line (writing report) monitoring. Through comparing the experts' thought processes with novices, our research comes to a conclusion that the practical thinking styles of expert teachers are characterized as the following five features: (1) impromptu thinking in teaching, (2) active, sensitive and deliberative involvement in an ill-structured situation, (3) multiple view points to probe and to detect a practical problem, (4) contextualized thinking in pedagogical reasoning, and (5) problem framing and reframing strategy in a context. The result offers several implications for rethinking the concept of teaching expertise.
著者
横尾 美智代
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

昨年度は少人数のインタビューや参与観察を中心に調査を実施した。その結果明らかになった問題点について、本年度はさらに集団を対象に身体影響やライフスタイルに関する自記式質問紙調査を実施した。また一方でパソコン使用に伴う身体影響について、客観的指標(血圧)を用いて測定した。データ入力、解析等の作業は長崎大学医学部5年生9名(大西翼、小竹源紀、梅津久、榊原聡介、山内祐介、山口麻紀、和田英雄、吉村映美、伊藤暢宏)の協力を得た。自記式質問紙調査は、60歳以上の高齢者116名(男性52名、女性64名)に56項目の質問紙を配布した。調査は平成15年6-7月に市内2箇所の高齢者パソコンサークルで実施した。回答率は100%であった。特徴的な結果を列挙すると、自覚症状としてパソコン使用前後で変化が見られた項目は「目の疲れ」は症状の悪化が指摘されていた。頭痛、肩頸腰痛、手指の痛み、視力低下等は症状に変化は見られなかった。また、パソコン学習開始後の外出回数の変化は、「増えた」という回答が17%、「変化無し」が57%であった。他の項目『身だしなみ』や『睡眠時間』の変化はほとんど見られなかったが、パソコン使用により外出機会が増加したことが指摘された。一方、血圧測定は11名の協力者(男性3名、女性8名,平均年齢67.8 SD±42)に簡易型血圧計(オムロンHEM-741C)を貸与し、起床時、就寝時、パソコン使用前後の血圧測定と、一日のパソコン使用時間の記入を依頼した。期間は約30日間であった。対象者には降圧剤服用者が3名含まれていた。各人の平均値を求め、パソコン使用前後の血圧値の変化を対応のあるT検定で解析したところ、拡張期、収縮期ともに血圧に有意な違いは見られなかった。使用時間は10分から数時間と大きな開きがあったが、血圧との関連は見られなかった。以上のことから、パソコンに関心のある高齢者は引きこもる傾向よりも、外出機会が増える傾向が示唆された。これは、彼らの多くが外に指導を仰いでいるためであると思われる。閉じこもり傾向の自覚はみられなかった。パソコンと血圧値には関連がみられなかったが、対象人数、調査期問には課題が残されている。特に、対象者間の調査期間、パソコン使用時間の違いは解析のバイアスになったことが推察される。今後はさらに長期問の観察が必要であると思われる。
著者
杉山 滋郎
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.44-60, 2012-12

In this paper, we analyze the participants' process of understanding and discussion in a deliberative poll that requires them to acquire a certain amount of scientific knowledge. Changes in the understanding and opinions of individuals are traced through transcripts of actual discussions and responses to questionnaires. This reveals, on the one hand, that people gain information not only through written documents, movies, and professional comments that answer their questions, but also through small-group discussions. It also shows that a small-group discussion helps participants, even those who do not talk much, to form their own opinions. On the other hand, our analysis shows that some parts of the small-group discussion proceeded with the participants having an improper or insufficient understanding of scientific contents involved in the discussion topics. This led us to believe that deliberation is not possible based on a single deliberative poll but rather on a series of deliberative polls, or other events that aim to induce deliberation.
著者
伊東 宏
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 : 人間環境学研究所研究報告 : journal of Institute for Human and Environmental Studies (ISSN:13434780)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.11-26, 1998-07-31

徐福とその一行は、紀元前3世紀(日本における弥生時代の初め)、九州から東北までの日本の至る所に渡来したと考えられる。それらの伝承地には、ハタ・フク・ホウライ地名とか、ハタ氏とか、ハタ神社等が見られる。また、伝来の技術・習俗も見られる。彼等は、日本文化の起源でもある弥生文化をもたらしたと考えられるのである。その文化とは、稲作・金属器製造・機織・焼き物・捕鯨等である。特に、子供たちが金屋子神へのいけにえ(中国春秋戦国時代の製鉄習俗)とされていたことが、浦島・竜宮伝説から推測される。また、羽衣・七夕の伝承が、機織の渡来を立証しているのである。これらの伝説は、根底的に蓬莱信仰(不老不死の異郷を憧れる)に基いている。
著者
長江 貞彦 富岡 洋子
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学生物理工学部紀要 = Memoirs of the School of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-45, 2004-02-28

近年,俳句は海外でも親しまれるようになり,欧米を中心に英語で詠まれる機会も増えてきた.一方,日本では昔から俳句を色紙や短冊に毛筆で書き,作品とする風習がある.そこで英語の俳句も筆文字で表現することにより,趣ある作品を作成することが可能だと考えられる.しかし,一般に英語圏の人々は筆文字に親しみがなく,実際に毛筆で文字を書くことは困難である.そこで本研究では,英語圏の人々が作成した俳句を容易に筆文字で表現するためのソフトウェアを試作した.表示する英文字には実際に筆で書かれた文字を使用し,文字間をスプライン曲線で補間することにより筆記体を表現した.補間する曲線は線幅を変えることで筆圧の変化を表現し,曲線を描画させる位置をユーザが自由に変更できるようにした.また,毛筆の特徴である"掠(かす)れ"を補間曲線上に表現していくことを可能にした.掠れは常に同じ形状で発生しないため,ランダム関数を用いて文字列を表示させるごとに違う掠れを表現した.本研究により,英文で書かれた俳句を筆文字で表現し,趣ある作品として作成することが可能となった.これにより,国境を越えた文化交流が俳句を通じて,より盛んになるものと期待できる.
著者
中井 美樹
出版者
札幌学院大学社会情報学部
雑誌
社会情報 (ISSN:0917673X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.75-85, 2007-03

第20回社会情報調査の方法に関する研究会
著者
永田 治樹 NAGATA Haruki
出版者
名古屋大学附属図書館研究開発室
雑誌
名古屋大学附属図書館研究年報 (ISSN:1348687X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.3-14, 2008

Information Commons or Learning Commons are now recognized as a newly developed service model in academic libraries. However, these are a 'formative concept' that is still evolving in practice at libraries. First, this paper describes the characteristics and levels of so-called commons concept, which are different from those of traditional services. Then, the conceptualization of the Information Commons / Learning Commons is discussed in terms of the library's strategic fit with the outside world. The changes in the development of learning theory and net generation traits, aspects of the outside world, are discussed. The author argues that the two Commons should have the important position of 'Ba' for nurturing knowledge and learning.
著者
野田 敏宏 新敷 祐士 安西 恵子 川崎 啓子 栗原 智仁 高市 和之 髙野 紀子 中村 峰夫 西野 健三 山田 和也 平井 みどり 田崎 嘉一 松原 和夫 吉山 友二 井関 健
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.93-98, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

要 旨目的 : 本研究ではサプリメント類の利用に関して来局患者および薬剤師両者の意識および実態を明らかにすることにより, サプリメント類利用における薬剤師の関わり方を検討した. 方法 : 東京都・北海道内の14保険薬局にて来局患者1,253人を対象に, サプリメント類に関するアンケート調査を来局時に実施した. また, 薬剤師289人に対してサプリメント類に関する意識および情報収集の実態について, 保険薬局および北海道薬学大会 (2011年・札幌) においてアンケート調査を実施した. 結果 : 来局患者からの回答数1,253人のうち, 約50%は薬剤師にサプリメント類の安全性や効果についての情報提供を望んでいるものの, 実際には薬剤師が来局患者の疑問に答えている例は7.3%にしかすぎないことが明らかとなった.  一方で, 回答を得られた薬剤師289人のうち67.5%の薬剤師は自身がサプリメント類の情報提供者として来局患者に期待されていると認識しているものの, サプリメント類の情報収集に積極的に取り組んでいる薬剤師は約30%であり, さらにその情報内容もインターネット上の情報に頼っていることが示された. 結論 : サプリメント類の説明に対する患者の期待と薬剤師による説明の実態には, 大きな隔たりがあることが分かった. 来局患者の期待に応えるためにも, 薬剤師はサプリメント類に対し科学的根拠に基づく理解を深め, 医薬品との関連を含めた統合管理の必要性が求められる.