著者
太田 信宏
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.226-229, 2011-08-20

教科「情報」の必修化により、2006年度から情報の授業を履修した学生が入学してきている。しかし現実の学生をみると、必修化されたとはいえ情報リテラシーに関する習得レベルは決して一様ではない。本学では1996年度から、入学時におけるコンピュータ利用についてのアンケートを実施している。入学した学生の情報リテラシーの把握を行うとともに、情報教育カリキュラム策定の資料として活用してきた。大学で教育すべき情報リテラシー教育とはどのようにあるべきか、その問題点と課題について考察したいと考えている。
著者
上村 靖司 関 嘉寛
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は,越後雪かき道場の取組を通じて未経験外部支援者の関与による減災プロセスを分析し、雪に対する地域防災力向上手法を確立することである。2011年度からの3冬季に、新潟県,富山県、山形県の18か所で雪かき道場13回、命綱講習会22回を開催した。参加者と地域住民へのアンケートから「外部支援者との共同作業が安全に繋がる」、「外部者混在の講習会の方が心理的抵抗が少ない」など住民の防災意識啓発に有効であることが確認された。次に豪雪4県の雪害リスクの分析の結果、リスク水準が受容限度を超えていること、降雪量がリスクを支配し高齢化率や人口密度等の社会指標はほとんど寄与していないことを明らかにした。
著者
川合 由加
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

高山生態系では空間的に不均一な雪解けによって開花時期が異なる植物群集が非常に狭い地域に形成される。今回はこの雪解け時期の違いが作り出すフェノロジー構造の時間変化がマルハナバチを巡る植物間の競争に与える影響について景観スケールで評価することができた。また、これまで不明瞭であった高山生態系でのマルハナバチの活性動態についても、7~8月の約2ヶ月の間に出現カーストや活動数が大きく変動するといった強い季節性を持っていることを定量的に調べることができた。具体的には、開花時期が非常に早いエゾコザクラは主要訪花昆虫であるマルハナバチの季節活性を反映して雪解けの早い場所にある個体群では花粉制限が生じているが、雪解けの遅い場所の個体群では開花時期が重複する同群集内のツガザクラ類とマルハナバチを巡る競争が生じていた。一方で群集内での開花時期が中~後期のヨツバシオガマでは同群集内のツガザクラ類とは開花時期の重複を回避できているが、より雪解けの遅い群集のツガザクラ類とマルハナバチを巡る競争関係があった。本研究では、開花フェノロジーの時空間変化が訪花昆虫を巡る植物間競争に与える影響は種ごとに異なること、景観スケールで調べることで植物間の相互作用が群集内だけでなく群集間であることを明らかにすることができた。これは景観スケールでのフェノロジー構造が植物種間の競争関係を考えるのに重要であることを示している。
著者
藤田 大雪
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成21年度は、問答法の中でも特に「自己論駁」という議論形式に的を絞って考察を進めてきた。まずは、(i)プロタゴラスの人間尺度説が自己論駁に陥ることを示す『テアイテトス』169-171の有名な議論を取り上げ、証明の構造を再構成して議論の理解を深めることに努めた。次に、(ii)アリストテレスが矛盾律の疑いえなさを論証した『形而上学』Γ巻第3章の議論を取り上げ、従来の解釈に反して当該の箇所が自己論駁批判として読めることを示した。研究の結論は概ね以下のようなものである。(i)プラトンによって理解された人間尺度説は、いかなる現れも互いに矛盾することはないとするきわめてラジカルな相対主義だった。この尺度説の信奉者を名乗るプロタゴラスには、それゆえ、他の前提との矛盾を指摘するという通常の論駁方法は通用しない。尺度説にしたがえば、それらは実際には矛盾しないことになってしまうからである。ところで、他の前提によって尺度説の誤りを証明できないのなら、尺度説の肯定そのものからその否定を引き出すしかないだろう。もし尺度説を信じているなら尺度説を信じていない。このような論証方式は、それゆえ、ラジカルな尺度説を主張する論者に対してとりうる唯一可能な対処方法であったと推定できる。(ii)矛盾律の否定を信じるなら,矛盾律の肯定も信じなければならない。しかし,もし矛盾律の肯定を信じるのなら,その否定を同時に信じることは不可能となる。アリストテレスは、矛盾律の否定がこのように自己論駁へと帰着するために、矛盾律がそれ自体としてそれについて間違うことが不可能な原理であり、またもっとも強固な原理であると論定している。
著者
木越 俊介
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本替については、調査の過程で状況証拠となるものしか提示できないことが判明したので、上方読本と江戸読本との内容的な差異や類板の問題について考究した。その中で、従来、文政年間に刊行されたとされてきた武内確斎作『絵本室之八島』について注目し、研究史上初めて「文化五年」の刊記を有する早印本を発見し、作品研究を行った。その結果、上方読本の中でも極めて江戸読本の作法に近い作風であることが分かった。
著者
福田 靖子 新井 映子 熊澤 茂則 内田 浩二
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

環境汚染中の有害物質であり,タバコの煙,自動車の排気ガスに含まれるアクロレイン(CH_2=CHCHO)等低分子不飽和アルデヒド類はフライ時に油の分解により生じる可能性が高い.大量調理における長時間におよぶフライ操作時には「油酔い」と言われている一過性のむかつき症状を経験するが,この要因物質としてアクロレイン等の反応性の高いアルデヒド類が推測される.内田らは生体内脂質過酸化過程で生じるアクロレイン等が生体タンパク質と結合し,細胞等に傷害をもたらすことを特異性の高いELISA法を用いて明らかにしている.フライ時の「油酔い」症状も生体傷害の一つと推測され,ELISA法によりアクロレイン生成量を検討した.H11年度は油加熱時に発生するアクロレインの捕集法を検討した.アクロレインは沸点が53℃で容易に気化すること,水に易溶(20g/100ml,20℃)であることから,油相のみならず気相中のアクロレインを捕集するため,加熱後の油を共栓ガラス器具およびシリコンチュウブを用いて,密閉系とし,水中に導き,BSA付加体とした.油の種類によるアクロレイン生成量の比較等を行ったところ油によりアクロレイン生成量に差があり,焙煎種子油が未焙煎種子油に比べてその生成を抑制していた.焙煎種子油のアクロレイン生成抑制要因を焙煎ゴマ油を用いて調べ,新たにセサミノールを同定し,このセサミノールが種子焙煎時にセサミノール配糖体から生成することが示唆された.生体内タンパク質のモデルとして脂質消化酵素(リパーゼ)を選び,アクロレイン添加によるリパーゼ活性阻害で調べ,顕著なリパーゼ活性の低下を認めた.酵素タンパク質がアクロレインにより修飾されたものと推定された.大量調理時の油の酸化防止剤(アクロレイン生成抑制剤)として,天然素材である竹炭が有用であることを竹の炭化温度との関係から明らかにした.

1 0 0 0 OA 法律哲学講義

著者
和田小次郎 講述
出版者
東山堂書房
巻号頁・発行日
vol.第1分冊, 1934
著者
阪口 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.99, no.494, pp.69-76, 1999-12-11

知覚的フィリングインのメカニズムを明らかにするために心理実験を行なった.具体的には,フィリングインが生じる領域(目標)を二つ提示し,それらの位置や輝度,方位を操作してフィリングインが知覚されるまでの時間を計測した.その結果,二つの目標の輝度が等しくそれらが近接している条件では,目標が一つである場合に比べてフィリングインに要する時間が長くなること,また,二つの目標で同時にフィリングインが生じる場合があることがわかった.さらに,このような相互作用の強さは目標の形状,性質や並び方に依存していることが明らかになった.以上の結果について,視覚野における神経連絡の視点から考察を加えた.