著者
吉原 雅子
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.796, pp.14-23, 2007-02-01

A person is morally responsible for what she has done only if she could have done otherwise. This principle (the Principle of Alternative Possibilities) has been widely accepted, but Harry Frankfurt presented a counterexample to this principle, which radically altered the direction of debate on free will and moral responsibility, and compatibility of these two with determinism. Frankfurt proposed to replace the principle with "a person is not morally responsible for what she has done if she did it only because she could not have done otherwise". But I think this revision is not convincing for three reasons. (1) Frankfurt uses the expression 'because' ambiguously. (2) He doesn't succeed, in explaining why it is. necessary to use the expression 'only because' instead of 'because'. (3) We can think up counterexamples to this revised version too.
著者
渡邉 惠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.501-512, 1995-09-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
17

コラボレーションを成功に導くためには,参加者の微妙な意識のズレを調整することが重要である。マルチメディア環境は,人間の知覚に直接作用する映像情報を取り扱うことを可能とする。しかしながら,こうした映像情報は,数値や文字情報に比較して,受け手により解釈がまちまちであるため,ネットワーク上でのコラボレーションを困難にしている。ここで紹介するイメージ·デルファイ法は,コミュニケーションの障害となる微妙な意識のズレを調整する地図を作成する手法である。この手法は,SD法とデルファイ法を組み合せたものである。イメージを2次元座標上にプロットしたマップは,イメージ情報の共有化を可能とする。
著者
加藤常員
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.73-80, 2007-05-25
被引用文献数
2

『輯製20万分1図』(輯製図)(1)は日本全国をほぼ同じ精度で作成されたわが国最初の地勢図群である。現代の地勢図や地形図と近世の古地図とをつなげる地図群と考えられている。歴史研究の地図利用において、この地図群の電子化、活用は意義深いと考えられる。輯製図の図郭は現行の20万分の1地勢図と同じであるが、その編纂がどのようされたか詳細はわかっていない。一方、国土数値情報等の電子化された空間情報は、現行2万5千分の1地形図を基盤に作られている。縮尺や図法の異なる地図から作成された空間データは、緯度経度のもとで一元的に扱うことができるが、逆に地図画像上に空間データを描画しようとすると地図の図法等の解析が必要となる。地図画像からの空間情報の電子化と電子化された空間情報の地図画像への描画は双対の関係であると言える。本稿では輯製図および20万分の1地勢図について検討と考察を行い、国土地理院・数値地図25000(行政界・海岸線)を用いて両者の地図画像上への行政界・海岸線を描画する実践的方法について報告する。Syusei maps are the first modern set of regional maps in Japan, which is 1/200000-scaled and published in 1884-1893. The maps are situated between the modern maps and those of Edo period. When maps are used in historical studies, spatial data contained in maps are very important. A Syusei map covers the same area as the present regional map, 1/200000-scaled. However, the drawing method of Syusei maps is unknown. Spatial data of modern digital maps in Japan are based on topographical maps, 1/25000-scaled. Spatial data extracted from maps with different scales or with different drawing methods can be uniformly treated under the latitude and the longitude. But when we draw spatial data on the map image, its drawing method should be analyzed. In this paper, we consider the spatial data of Syusei maps. We also present experimental mapping of spatial data onto an existing map image.
著者
竹内 和雄
出版者
寝屋川市教育委員会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

○研究目的携帯電話に過度に依存している子ども(以下「携帯依存症」)の心的特性を調査研究し、さらに「携帯依存症」への有効な対応方法・対策を考えることを目的とした。○研究方法月1回中学校教員等と「携帯ネットいじめ対策会議」で情報交換した。トラブルだけでなく、効果的な指導法も情報交換した。また、他の都道府県(長野県、東京都、福岡県等)の子ども及び教員から情報収集の機会を持った。予想以上に現場教員が状況把握をできていないことが明らかになったため、調査対象を弁護士に加えた。○研究成果5,000名規模のアンケート分析から「携帯依存症」の特性がわかった。日に30通以上メールする子どもを他と比べると、「睡眠時間が少ない」「親子の会話が少ない」「勉強に自信がない」「部活に参加しない」等がわかった(すべて0.1%水準で有意)。また、大阪を含む7都道府県で、子ども、教員及び弁護士へのインタビュー調査から「携帯依存症」の多くが「即レク(すぐに返信すること)」が、友達関係を維持するために必要だと話し、布団の中にも携帯電話を持ち込み、就寝後のメールにも対応していることがわかった。また、「携帯依存症」が有意に多く出会い系サイト等の犯罪サイトにアクセスしていることがわかった。「さびしい」「自分のことをわかってほしい」と強く思っており、その逃げ場に出会い系サイト等を利用していることがわかった。以上から、すべての大人の協力が必要だとわかった。特に子どもが安心できる居場所をどう作るかが、携帯電話対策の鍵であることがわかった。そのための授業づくりが必要だが、危険への対応方法等にとどまっているので、今後の課題である。また、効果的なのは、子ども同士の対応だとわかった。寝屋川市で全中学校生徒会執行部からなる「中学生サミット」がネットいじめのない学校づくりのために、いじめ撲滅劇を作成し、自分の問題として考え始めたことは意義深い。
著者
佐野 訓明
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

トポIIを標的とする複数の阻害剤がトポIIβの選択的な分解を引き起こす。トポIIβは分解に先立って1259番目のリジン残基がSUMO-2/3により修飾され、その修飾が起きない変異体(K1259R)では分解も起きなかった。一方、トポIIαは同様に阻害されるにも関わらず分解されない。強制発現実験やSUMO修飾部位の解析から、両者の阻害後の処理のされ方の違いは発現時期・局在の違いに依るのではなく、SUMO修飾部位の有無によると考えられる。
著者
中村 昭二 永原 邦茂
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

国際頭痛学会分類では,咬合異常が頭痛の発症因子である記載は見られない.しかし,咬合治療により頭痛が改善することは少なくない.そこで不正咬合と頭痛の関連について,歯科治療を目的として来院した患者の協力を得て調査を行った.前後的に正常被蓋,上顎前突,下顎前突の3タイプに分類し,同様に上下的に正常被蓋,過蓋咬合,開咬に分類した.頭痛の診断は国際頭痛学会分類(IHS)に従って神経内科医が行った.過去1年以内の頭痛経験者を頭痛ありとした.結果:1.調査対象者1401名の49.2%に頭痛が見られ,そのうち,片頭痛単独が30.2%,緊張型頭痛単独が27.6%,両者の混合性頭痛が36.6%,その他の頭痛が5.6%であった.2.(1)前後的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,下顎前突が65.3%,上顎前突が57.5%,正常被蓋が45.1%の順であった.また正常被蓋と下顎前突は片頭痛が緊張型より多くみられ,上顎前突では逆であった.特に正常被蓋と上顎前突に差(P<0.001)がみられ,正常被蓋では偏頭痛が,上顎前突では緊張型頭痛が多く見られた.(2)上下的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,開咬が73.9%,過蓋咬合が58.1%,正常被蓋が43.7%の順であった.また,正常被蓋と開咬では片頭痛が緊張型より多くみられ,過蓋咬合では逆であった.その有意差検定でも正常被蓋と過蓋咬合,過蓋咬合と開咬に差(P<0.001)がみられ同様の所見がみられた.総括:頭痛の病態に対する詳細はまだ知られていないが,今回の研究から不正咬合の分類と頭痛のタイプに関連があり,いわゆる「咬合関連性頭痛」があることが窺えた.今後の研究:さらに頭痛と病的咬合因子との関連性を求め,歯科的治療法を確立していく予定である.
著者
渡部 匡隆 上松 武 小林 重雄
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.27-35, 1993-11-30
被引用文献数
4

養護学校高等部と中学校特殊学級に在籍する2名の自閉症生徒に、バス乗車スキルの指導を行った。まず、現実場面のバス乗車スキルの課題分析を行った。そして、現実場面をシミュレートした場面を訓練室に構成し、バス乗車に必要な基本的な行動連鎖の形成を行った。現実場面では、訓練室場面での指導の効果を評価するとともに、バス乗車に必要な訓練を行った。2名の生徒はいずれも、(1)訓練室での基本的な行動連鎖の形成、(2)現実場面での直後プロンプト手続きによる訓練、(3)訓練室で目的の停留所をボタンを押して知らせるための自己記録手続きの訓練、並びに現実場面での自己記録の継続的使用によって、単独のバス乗車が可能になった。これらの結果から、訓練室場面と現実場面での指導を組み合わせて訓練することが効果的であるとともに、標的行動が適切な場面で生起するために自己記録法を用いることの有効性が示唆された。
著者
安部 博志
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.117-123, 1997-03-31
被引用文献数
1

本研究は、小学校心身障害学級に在籍する2名の自閉症児に対して、路線バスを利用して一人通学するための訓練プログラムについて検討した。訓練プログラムの計画と実施にあたっては、応用行動分析の手法を用いた。対象児Aは、訓練開始から9ヵ月後に、またBは2年後に、それぞれ単独での登下校が可能となった。しかし、現実場面の訓練の進行に伴って、予期せぬ様々な問題行動が出現したために特別な訓練を実施する必要があった。さらに、安全な登下校を可能にするためには、対象児への訓練ばかりでなく、横断歩道への足型の設置など、社会環境への介入を実施する必要があった。2年半に及ぶ訓練の結果から、シミュレーション場面と現実場面とを組み合わせて訓練することが、移動スキルの形成と般化にとって有効なことが示された。対象児の変容に合わせて、訓練プログラムを柔軟に修正することの重要性が示唆された。
著者
坂井 聡
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.51-59, 2005-09

高等部一年に在籍する重度の知的障害のある自閉症をもつ生徒に対し,視覚的な支援としてカードを用いて通学指導を実施した。指導は実際の通学場面を使って行った。本児はカードに書かれたことを手がかりとしながら適切な行動を身につけ,電車を使った通学ができるようになった。地域社会での集中的な指導と視覚的な手がかりの活用は,社会生活スキルの獲得を容易にすると同時に,獲得行動の長期維持,般化につながる可能性をもっている。
著者
藤原 学
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.613, pp.251-258, 2007

It is the intention of this paper to develop an understanding of architecture from an interdisciplinary point of view, based on an analysis of the concept of "architectural" in Tanizaki Jun'ichiro's essay JOZETSUROKU. Tanizaki argued that the value of novel's plot is like an architectural beauty. We interpret and clarify this argument by using other Tanizaki's essays. "Architectural" means the quality of a work which contains an organic composition. To create a work of art with well trained and sophisticated sense of beauty results in a work which holds a nature of "architectural".
著者
Satoko Yasumoto Yasuhiro Yamaguchi Hoshiko Yoshida Morio Matsuzaki Kensuke Okada
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Plant Production Science (ISSN:1343943X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.23-31, 2012 (Released:2012-01-17)
参考文献数
24
被引用文献数
3

We examined 50 cultivars of sunflower (Helianthus annuus L.) for their resistance to birds in a field experiment to find parental plants for breeding. Two cultivars, Armarvirskij3497 (from Russia) and Line-41 (from Myanmar), had bird-resistant characteristics. The laboratory bird feeding test indicated that the factors associated with bird resistance were globular seed shape and heavy seed coat, because the main bird feeding on sunflower, oriental greenfinch Carduelis sinica, is relatively small and have difficulty pecking large and globular seeds. Although the two cultivars had unfavorable characters such as low tolerance to lodging and late maturity, the oil contents of their seeds was not significantly lower than that in the susceptible cultivar (63M80). The present findings suggest that Armarvirskij3497 and Line-41 are candidate parental materials for breeding bird-resistant sunflower cultivars without losing seed oil productivity.