著者
山岡 テイ 石井 富美子 谷口 正子 森本 恵美子 佐野 友恵 榎井 縁 野澤 義隆 臧 俐 孔 秉鎬 翁 麗芳 王 美平
出版者
立正大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

11言語の質問紙による「第2回多文化子育て調査」を実施し、77カ国籍2065人の園児の保護者から日本での子育てや園生活の現況と子育て支援への意見を得て考察した。園や関係諸機関へ分析結果を報告し日本語と英語のHPを公開している。加えて、日本・韓国・中国・台湾の現地で同様の調査票による国際比較を行い多元的に検証した。5つの子育て調査研究(N=7,863)の背景となる各国の保育教育政策や社会変動の現状、保護者が望む子育て支援などを報告書にまとめて、相互に情報を共有化した
著者
藤川 大祐
出版者
東京大学教育学部
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.201-207, 1992-03-30

Classes on four subjects (Japanese, mathematics, science, and social studies) in a junior high school classroom are observed and video-recorded, and later transcribed. And the four teachers are interviewed by stimulated-recall. Then questioning strategies of three teachers (except mathematics) are analysed, using the methods of "classroom discourse" research and "teachers' thought processes" research. For each teacher, various problems concerning the questioning strategies are identified. And common characteristics of the three are discussed.
著者
柵山 雅則
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.265-274, 1980
被引用文献数
2 4
著者
土居 伸彰
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

ロシアの映画作家セルゲイ・エイゼンシュテインが1930年代以降に残した芸術理論とアニメーションとの関係を考察するという目的の当研究は、エイゼンシュテイン芸術理論におけるアニメーションの位置づけを明らかにしたう昨年度の研究成果をふまえて、エイゼンシュテイン芸術理論のアニメーションへの適用可能性を考える後半の考察が行われた。中心的な考察の対象となったのは、エイゼンシュテイン理論に影響を受けたと公言する、ロシアのアニメーション作家ユーリー・ノルシュテインである。学会発表「ユーリー・ノルシュテイン『草上の雪』について」は、2008年にロシアにて出版された初の理論的著作『草上の雪』にみられるエイゼンシュテイン理論の影響を明らかにすると同時に、ノルシュテインが自作の中心概念とする「追体験」(スクリーン上の出来事を観客に体験させることで、他者性に対する気付きを与えること)をキーワードとして、アニメーションにおける他者表象の可能性について、著作での記述と実際の作品の分析をふまえて行った。このテーマはさらに学会発表「追体験としてのアニメーション-ユーリー・ノルシテイン『話の話』を中心に」において、ディズニー作品における一体化のモチーフの頻出と他者性の排除と比較されることにより、より考察が深められた。また、エイゼンシュテイン理論のアニメーションへの適用可能性という観点から、エイゼンシュテイン後期芸術理論における「イメージ」概念(実際には不在であるにも関わらずその存在が感じとられてしまうもの)を用いて現代アメリカのアニメーション作家ドン・ハーツフェルトの作品分析を行う論文「ドン・ハーツフェルト作品におけるシンプルな描画スタイルの意義について」を、海外の映画祭での作家からの直接の聞き取り調査もふまえて執筆した。
著者
武内 和彦 GEETHA Mohan
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

2011年度(4月~10月)は、スリランカAnuradhapura地方とKurunegala地方において、農業気候に関する第1、2次データ収集を行った。同国はアジアでの最後の事例研究の一つである。調査は、異なった気候状況下における農家間の米の全ての品種と農家の純収益所得に主に焦点をあてた。予測される気候シナリオの下、米から得られる現在及び将来の収入を推定するため、両者共リカーディアンアプローチが用いられた。スリランカでの事例研究のデータ集計と分析を終了し、対象国タイ、インド、スリランカ3国間の比較研究を試みた。研究結果から、気候が純収入に影響を与えるのはスリランカであることが示唆された。年間平均降水量が100mm増加すると、調査対象となった全ての農地で収入が平均US$198/ha増加する。適応対策を施していない農地では、収入の増加は平均US$75/haであった。これは、農地での現行の方法が気候変動の影響を緩和していると考えられる。一方、平均気温が1℃増加すると、モデルから適応対策を行っている農地ではUS$75/ha、行っていない乾燥農地ではUS$99/ha収入が減少する。3つのモデルによると、2050年と2100年の気温と降水量の値は、両方の年で増加すると予測された。降水量に関してはCGCM3T63が2050年に増加、2100年に減少を示したものの、ECHAM50MとCSIROMk3.5では両方の年での増加が予測された。気候変動と気候の変動性に直面し、調査を行った米農家は適応対策を進めている。例えば、水及び土壌管理、アグロ・フォレストリー技術、作物管理手法、作物の多様化、新しい米品種の開発、オーガニック肥料、プランテーション、農地拡大などである。本研究の結果から、気候が収入に重大な影響を与えること、また、現在の選択肢を用い、新しい適応対策を発展させることが重要であると確認された。2011年度助成金申請時の通り、助成金はスリランカAnuradhapura地域及びKurunegala地域での現地調査に使用された。また、タイでの国内/国際ワークショップに参加し本研究の結果を発表するためにも使用された。
著者
児玉 優子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.52, pp.3-11, 2006-12-18

動態画像アーカイブは、映画やテレビ番組、ビデオ作品などを収集保存し、アクセスを提供する。日本よりも早くから動態画像資料の保存に取り組んできた米国の二つのアーカイブの事例を紹介し、動態画像アーカイブとアーカイブズ学、記録管理との接点を模索する。CBSニュースアーカイブは企業内に設置された非公開のアーカイブであり、放送後48時間が経過した番組をアーカイブに移管する手法が特徴的である。また、放送した番組が訴えられるリスクを配慮して、番組製作業務の記録の保存にも注意が払われている。一方,UCLA映画・テレビアーカイブは大学に設置された非営利のアーカイブであり、学外者にも広く公開されている。動態画像資料とその関連資料が学内の複数の図書館やアーカイブに分散されてしまう「メディアの分断」の問題があるが、積極的にアクセスを提供し、次世代の動態画像アーキビストの養成にも関与している。
著者
孫 媛 井上 俊哉
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.193-216, 1995-03-31

1960年代以降、アメリカではテストの公正な利用、テストバイアスが大きな関心を集める問題になっている。その間、差異項目機能(DIF:Differential Item Functioning)の概念が生まれ、いくつものDIF分析法が提案されている。現在、DIF分析は項目バイアスを検出するための統計的道具として、テスト開発過程に欠かせないものとなっている。また、バイアス探索とは別の文脈においてもDIFの概念と分析法が役に立つこともわかってきた。 本稿ではまず、DIFが今日のように盛んに研究されるまでの経緯を概観した後、代表的なDIF分析法を関連する概念とともに展望する。ついで実際のテスト開発過程でDIF分析が適用されている現状を紹介する。最後に日本での研究の可能性を含めて、DIF分析のより広い応用について論じる。
著者
早川 豪 岡部 誠 尾内 理紀夫
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.16, pp.1-4, 2011-10-27

我々はソーシャルネットワークサービス (以下 SNS) 上の人間関係に着目し,SNS での友人の発言を解析してユーザにニュース記事を推薦する手法を提案する.解析には既存手法の様に TF-IDF を用いて興味・関心の強さを測ることに加え,友人それぞれに重要度を与えることで,よりパーソナライズした記事の推薦を可能にする.ユーザスタディでは,本手法を用いることでユーザ本人のみの発言からニュース記事を推薦した場合よりもクリック数が向上し,本手法がユーザにとってより興味・関心のある記事を推薦できることを実証した.We focus on human relations in a social network service, and propose a novel method to recommend news articles based on the analysis of microblogs of the user's friends. In addition to a conventional method that estimates user's interests using TF-IDF, our approach allows the user to specify an importance value to each friend, which enables the recommendation of more personalized articles. We perform a subjective user study to evaluate our method by measuring the number of recommended articles that each test user actually feels interested. We demonstrate that articles recommended by our method are more interesting to the user than articles recommended by just analyzing user's own microblogs.
著者
ハ木橋 勉 松井 哲哉 中谷 友樹 垰田 宏 田中 信行
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.85-94, 2003-08-25
被引用文献数
8

1.ブナ林とミズナラ林の分布の気候条件の関係を定量的に明らかにするために,日本全国の植生と気候値の3次(約1k?)メッシュデータを用いて分類樹による統計解析を行った。2.気候値には,それぞれの分布域の温度(暖かさの指数と最寒月最低気温)と降水量(暖候期降水量と寒候期降水量)を用いた。3.その結果,上記の気候値によってブナ林とミズナラ林の分布が約9割の確立で分類された。4.ブナ林は多雪地域に多く,最寒月最低気温が-12.45℃未満の冬の寒さの強い地域,暖候期降水量760.5mm未満の成長期の降水量の少ない地域,暖かさの指数73.95以上または,寒候期降水量が441.5mm未満n積雪が少ないと考えられる地域で分布が制限されていると考えられた。5.分類のための気候要因は,地域によって異なっており,従来から指摘されていた低温にかかわる要因,夏季の湿潤さ,積雪の寡多がかかわっていることを裏付けた。全国的には,これらが複合的に作用して分布が決定していることが明らかになった。
著者
山本 哲史
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

冬尺蛾は冬季に繁殖活動を行うが、著しい低温や積雪のある場所では、真冬期に活動せず、環境の穏やかな初冬期や晩冬期に繁殖する。極東アジア地域で多様化した冬尺蛾の1属Inurois属は12種を含み、それぞれの種は温暖地では真冬期を中心に成虫が出現するが、寒冷地では初冬か晩冬だけに活動する。Inurois属の1種クロテンフユシヤクでは、このような種間に見られる成虫出現時期の変異が種内に見られる。これらの状況から申請者は「寒冷地における真冬の寒さが、時間的生殖隔離を引き起こしている」と仮説を立て、クロテンフユシャクを材料として検証を行った。以後、温暖地の個体を温暖地型、寒冷地で厳冬の前と後に出現する個体をそれぞれ初冬型、晩冬型と呼ぶ。まず、寒冷地である仙台、小淵沢、岐阜の3地点で、同所的な初冬集団と晩冬集団を採集し、AFLP(増幅断片長多型)とミトコンドリアDNA(以降、mtDNA)をマーカーに用いて固定指数(Fst)を算出し、遺伝的分化を検討した。その結果、仙台、小淵沢、岐阜の全てで同所的な初冬集団と晩冬集団は有意に遺伝的に分化していることがわかった。次に、寒冷地と温暖地の比較研究のために京都と岐阜では1週間置きにサンプリングを行い、1週間おきの分集団間での遺伝的隔離を調べた。その結果、岐阜の初冬集団内、晩冬集団内、そして京都の集団のように連続して成虫が出現する場合には遺伝的に隔離されないが、岐阜の初冬-晩冬集団間のように成虫の出現が2つの時期に分離している場合には遺伝的に隔離されることがわかった。また、11週間連続という長期にわたって成虫が出現する京都では出現時期が離れるほど遺伝的隔離の程度が大きくなる傾向も見られた。以上のことからクロテンフユシャクは寒冷地において初冬型と晩冬型は時間的に隔離されていることが明らかとなった。この時間隔離は冬の寒さによって引き起こされていると考えられ、本種は真冬の寒さによって種分化の初期段階にあると考えられた。
著者
安増 茂樹 井内 一郎
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

申請研究は、表題にある古代魚孵化腺細胞の発生進化学的研究に加え、卵膜分解機構の進化研究の2題を含んでいる。前者においはて、チョウザメより孵化液を調整して、孵化酵素の精製途中である。後者の卵膜分解機構の進化研究では、初期の硬骨魚類孵化酵素の卵膜分解系は、膨潤化酵素の単一酵素であったものが、進化過程で、膨潤卵膜分解酵素が出現して2つの酵素の効率良い卵膜分解系に進化したことが明らかとなった。
著者
林 智広
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は2000年代前半から注目されてきた"特定の材料に対して特異的に高いアフィニティーを示すペプチド(以後、材料結合ペプチドと示す)"の材料認識能を利用し、従来不可能であった溶液中におけるナノスケールの分解能での表面化学組成分析技術を開発することである。我々は以前の研究でターゲット材料に対する結合メカニズムが明らかにされているTi結合ペプチドを用いて探針の設計、測定条件の最適化を中心に上記技術の開発を行った。
著者
定方 晟
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.130-106, 2002

The nimbus of Buddhist statues is said to be an Indian version of the Iranian picturized hvarna (Glory). I try now to compare the Buddhist dharmacakra with hvarna. An Avestic scripture Zamyad Yast says that the hvarna left Yima when he began to tell lies. A Buddhist scripture Cakravarti-sthanada-suttanta says that the divine disk (dibbam dhammacakkam) left a king in a certain moment, but a new disk appeared for the next king when the latter began a righteous rule. In the domain of art, the solar-disk with wings (symbol of the Kingly Glory) depicted in the ancient relieves of the western world (Mesopotamia and Iran) reminds us of the cakra (wheel) depicted in the Buddhist sculptures as one of the seven treasures of universal king (Cakracartin). I think that the Buddhist idea of dharmacakra was influenced somehow by the Iranian idea of hvarna, and that such an influence was possible in the Mauryan period.
著者
寺本 万里子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

報告者は、内部磁気圏を飛行する二衛星(DE-1とAMPTE/CCE)が観測したPi2地磁気脈動の解析を行った。地上磁場データからウェーブレット解析を用いて選び出した849例のPi2地磁気脈動と衛星磁場3成分との比較を行ったところ、地上Pi2と類似の波動が圧縮波成分に多数観測された。これらの圧縮波成分の振幅、位相差の空間分布を調べたところ、衛星で観測されたPi2はPVR(Plasmaspheric virtual resonance mode)の波動の特徴を持つことが明らかになった。また極軌道衛星Cluster衛星とヨーロッパと南極に位置する低緯度から高緯度の地上観測点を用い、内部磁気圏高緯度と地上高緯度で観測されるPi2地磁気脈動を比較した。高緯度で観測されるPi2の周期は低緯度のPi2の周期よりも短く、偏波の方向が異なっていることが明らかになった。以上の結果は、Pi2は高緯度と低緯度で発生源が異なることを示している。以上の研究によって、サブストーム発生時に内部磁気圏で引き起こされる擾乱の空間特性をより詳細に明らかにした。また、アメリカ合衆国・ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所に10ヶ月間滞在し、今年度から新たに、THEMIS衛星を用いたGiant pulsationの解析にも取り組んだ。Giant pulsationは、太陽活動度が極小の時にサブオーロラ帯に引き起こされる周期40-150秒の非常に大きな振幅を持つ波動である。地上磁場データで引き起こされているGiant Pulsationと衛星の磁場データを比較したところ、Giant Pulsationは朝側の限られた領域にしかみられない現象である事を確かめた。