著者
大塚 博紀 吉岡 真治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.35, pp.9-14, 2009-03-18

Web 文書の特徴はリンクによりお互いの文書の関係が示されている点にあり、この情報は PageRank に代表される Web 空間の解析手法に用いられている。しかし、これらの解析では、サイト内、サイト外といった分類は考慮されているものの、ページの中でのアンカーテキストの役割には、注目していない。本研究では、このアンカーテキストの役割の違いに注目し、適切に分類することで、リンク構造解析や Web ページ上でのユーザーの行動解析に役立てる事を目標としている。本稿では、人手による役割分析の結果に基づいたアンカーテキストの自動分類システムを提案する。また、その有効性を検証するために、実際に人手の分類とシステムの出力を比較した結果について報告する。A Link Structure among Web documents represents the relationship among these documents. Web structure analysis methods such as PageRank use this information. However, most of these methods pay little attention to the type of link (e.g., most of the methods use simple classification such as link to the same site or not). In this research, we proposed a method to classification criteria of anchor texts based on the role analysis of the text in Web documents for better link structure analysis and the users' behavior analysis on the Web page. In this paper, we propose an automatic classification method based on the result of manually classification experiment. In order to evaluate this method, we compare the result of automatic classification results with manually classified ones.
著者
桑原 敏典 松本 慎平 兒山 力
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
岡山大学大学院教育学研究科研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.29-38, 2009-10-21

本研究は,比較・分類思考を取り入れることにより,地域社会の特色を捉えさせることを目指した小学校社会科地域学習の単元開発研究である。中学年の社会科は,一般に地域学習と呼ばれており,地域産業や地域の消費生活についての学習が行われる。学習過程においては,児童自身が調べ学習を行い,調べた事実から人々の努力や工夫を取り出し,人々と自分の生活との関連を見出すことが中心となる。このような学習においては,習得される知識が表面的なものにとどまり,地域への愛着という態度目標によって認識が閉ざされると言われている。このような問題点の克服を目指し,本研究では,商店,スーパー,地域の市場の三者の特色を比較・分類させ,それぞれの機能や働きと販売・消費に関する社会のしくみについて理解することで地域社会とは何かを把握させる単元を開発した。
著者
荒川 歩 原島 雅之
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-14, 2010

本研究では,ウェブログを対象として,そこで,「性格」という概念がどのような場合にどのように用いられているかを明らかにすることで,人にとって性格に言及することにどのような意味があるのかを明らかにすることを目的とした。合計24時間の間にアップされた714のウェブログから「性格」という言葉の用例を収集し,ボトムアップに分類した。その結果,他者の性格について言及したものは,17カテゴリ132個,自分の「性格」について言及したものは,26カテゴリ220個観察された。他者の性格については,先行研究において帰属の機能として指摘されていた解釈と予測という文脈に加えて,他者を一貫して,嫌なもの,または良いものとして主張するために,好きな–良い(または嫌な–悪い)性格といった感情的な評価の言及も認められた。他方,自己の性格については,統制不能なものとして理解され,他者にもそのように理解するように求める場合があることがうかがわれた。これらの結果から,パーソナリティ心理学ではあまり論じられていないが,一般の人の日常生活の会話においては重要な機能を果たす「性格」概念があることが明らかになった。
著者
大塚 みさ
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.13-20, 2010-03-20

語の多義性の下位分類としてCruse(2000他)が提唱するmicrosensesに注目し、「長い単位」の適用とコーパスデータの利用によってその本質をとらえ直すことを試みた。microsensesの代表例とされるknifeとcardについて、microsensesとしての典型例に限らず、他の用法も含めた全体を分析対象としてコーパス分析を行った結果、microsenses以外の用法においては語彙的なパターン(collocation)が、またmicrosensesでは統合的なパターン(colligation)が、読みを決定づける要素として有効に機能する傾向が認められた。
著者
大島 弥生
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.42-56, 2011

<p> 大規模テストにおける記述テストには,受験者選別の機能に加え,診断的評価の側面,正負の波及効果の側面がある。本稿では,アカデミック・ライティングと社会生活でのライティングについて,これらの側面からJSLの記述テストの新たな可能性を検討する。また,自動採点技術や日本語母語話者にとってのライティングの現状など,近年の技術発展や状況の変化を視野に入れつつ,記述テストの将来像について考察する。</p>
著者
稲葉 みどり
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.29-37, 2011-03-31

本稿では、プロセス・ライティングの手法を取り入れて行った日本語科目(留学生対象)の授業方法や指導手順を紹介し、外国語教育における効果的なライティング指導の方法を考察した。「留学の目的及び将来への抱負」をテーマとする奨学金応募のエッセイの作成を取り上げ、初稿から最終稿に至るまでの指導、及び、改稿の過程を分析した結果、「修正したほうがよい理由をはっきり説明する」、「内容に関する簡単な問いかけをする」、「修正方法を具体的例とともに示す」等が指導生のライティング活動を活性化し、内容構成力を向上させる上で効果的なフィードバックの方法であることがわかった。また、指導生は授業を通じて何度も書き直すことの重要性や内容を深める方法を学んだことも明らかになった。
著者
西尾 敦史
出版者
沖縄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

2005年に改正された介護保険法により創設された地域密着型サービスの中で特に小規模多機能ケアに焦点をあて自治体を基盤にした調査を行った。その結果、全国一給付費が高い沖縄の特徴の中から、小規模ケアの機能として、1)利用者のエンパワメント、2)家族サポート(支援)、3)地域社会とのつながりをつくることが重要であり、それが介護を必要とする高齢者の尊厳を高め、その人の人生を尊重したケアが文化として充実・深化する可能性があることが見出された。また、制度の理念を実現するためにも市町村自治体の位置づけと政策が重要であることを明らかにした。
著者
高橋 洋子
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

〈目的〉家庭における調理が減少している今日において、料理を手作りすることにどのような教育的意義があるか、心理学的アプローチに重点をおいた検討を試みた。すなわち、調理という行為が単に「生きていくための生活技術」にとどまらず、「自信をもって生きていくための精神力の形成に寄与するもの」であることを示し、心身共に健全な次世代の育成に寄与しうる提言を行うことを目的として、本研究を行った。〈方法〉子どもの精神的発達を量る指標として、バンデュラが提唱した自己効力感という概念に着目し、アンケートの項目に特性的自己効力感尺度(成田ら1995)を取り入れた。2008年以降に3回実施したアンケート調査(対象は小学生・小学生の保護者・大学生、合計n=388)の回答をもとに、調理に関する因子間の関連、ならびに調理に関する諸因子と自己効力感との関連を分析した。さらに、共分散構造分析を用いて、調理が自己効力感の形成に寄与している状況をモデル化して示すことを試みた。〈結果〉調理行動・調理意識・調理の現状という潜在変数を設定し、アンケートから実際に観測された幾つかの変数も用いて様々なパス図を試作して共分散構造分析を行い、調理に関する諸因子と自己効力感との関連を構造的に説明しうるモデルを模索したものの、GFI(適合度指標)が0.9以上となるモデルを構築するには至らなかった。引き続き、有用なモデルを構築することを目指して、テキストマイニングの手法を用いてアンケートの自由記述回答を分析し、モデルを構成する要素(変数)となる概念を抽出する試みを継続することとした。
著者
鈴木 茂夫 小林 伸行 田中 泰夫 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.2-11, 1989-01-15
被引用文献数
5

本論文では 日本語情報処理を前提とした研究用計算機システムOS/oにおける日本語プログラミング環境について報告する.OS/oは システム全体で一貫して日本語が使用できるプログラム開発システムを目標としている.そのため フル2バイトの文字コード体系を採用し ファイル名 プログラミング言語の識別子に至るすべての文字に日本語を使用可能とした.これは OS/oを含めたすべてのシステムプログラムの記述言語として開発した言語Cの処理系CATの文字型を2バイト化することにより実現した.文字の書体 大きさなどの文字属性の表現方式として 属性情報を文字コードの実体から切り離し 独立した別のファイルに持つ方式を採用した.文字コードの実体ファイルと属性ファイルの統一的管理はファイルシステムにより実現している.これにより 属性情報を必要としないOSやコンパイラは 文字コードの実体だけを扱うことで 文字属性を意識する必要がなくなる.また 各アプリケーションの要求に応じてOSの機能を動的に拡張する機構を用意し これを利用して日本語変換入力機能を実現した.そして OS/oの一応用として レーザピームプリンタを用いた日本語文書出力システムを開発した.以上のように OS/oでは 日本語の入力 処理 そして出力を含めたトータルな日本語プログラミング環境を実現している.
著者
佐藤 博 滝野 隆久 中田 光俊
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

がんの浸潤・転移に重要な役割を果たすMT1-MMPの新規基質の探索を行い、その生理・病理的意義を解明した。その結果、膜タンパクの切断・シェディングに特にユニークな活性を見出した。例えば、MT1-MMPによるセリンプロテアーゼ阻害因子Hepatocyte Growth Factor Activator Inhibitor-1の切断はプロテアーゼ活性化カスケイドを始動させ組織破壊を引き起こす。我々はその状態をプロテアーゼストームと名付けた。
著者
手計 太一 吉谷 純一 Suvanpimol Chanchai
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.215-228, 2004-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
1

The second largest flood in 2002 occurred in the Chao Phraya River basin, Kingdom of Thailand. The field survey was carried out in the middle and lower part of the Chao Phraya River basin two weeks after the peak of the flood terminated. The result indicated that middle basin, especially Ang Thong, Ayutthaya and Sing Buri cities had suffered a heavy damage. In the meantime, there was little serious damage from the inundation by river water in Bangkok city that is located in the lower basin area. The following two factors are mentioned as the reason; (1) In Bangkok, the flood discharge had been reduced by the time it reached the lower basin area because of the overtopping in the middle basin. (2) The flood discharge has been degreasing in the downstream of the Chao Phraya River basin year by year since the Bhumibol and the Sirikit dams were constructed in the upper basin. In addition, the evaluation of the provability was carried out on the flood in 2002 using the generalization extreme value distribution. The flood was estimated under the 10-year return period discharge and it turned out the flood with the high possibility of occurrence.
著者
岡部 嘉幸
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-16, 2011

千葉大学「人文研究」第40号
著者
伊藤 直美
出版者
千葉大学
雑誌
語文論叢 (ISSN:03857980)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.113-130, 1994-11-15
著者
小林 隆弘
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.271-282, 2007-09-10
被引用文献数
2

大気環境中のナノ粒子に曝露される可能性がある。ラッシュアワーのとき道路沿いの大気中では自動車由来と思われるナノ粒子が増加することが観察される。ディーゼルエンジンは多数のナノ粒子を排出する。一方,極めて粒子径が小さいことから,ナノ粒子は化学的,電気的あるいは光学的な新たな物性を持ち,外界からの光や熱や電圧等の刺激に対して大きい粒子に比較し異なる挙動を示す。このようなことから工業的に生産されるナノ粒子は化学,電子工業,化粧品,医薬,食品,環境技術といったあらゆる分野で使われるようになりつつある。作業環境中においてもこれらのナノ粒子に曝露される可能性が増加しつつある。しかしながら,大気および作業環境中のナノ粒子の曝露評価や健康影響評価はあまり行われていないのが現状である。ここではナノ粒子の曝露評価や健康影響評価の現状と課題について概観した。曝露評価については,屋内・屋外ならびに作業環境中での曝露に関する知見の充実や毒性やナノ材料のライフサイクルを考えた曝露指標の選択とそれに基づく曝露量の計測手法の開発が課題である。また,健康影響評価においては粒子の物理・化学的性状に基づいた体内動態や毒性評価や評価に必要な曝露手法の開発が課題となる。
著者
中沢 正江 池田 満
出版者
日本創造学会, 北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
第六回知識創造支援システムシンポジウム報告書
巻号頁・発行日
pp.205-211, 2009-03-30

It is quite difficult for a student as a novice researcher to refine his/her own concern to research idea: the academic question which fulfill research requirements, such as originality and feasibility. In particular, we focus on the difficulty of knowledge acquisition about what research requirements are, and how research requirements relate each other. In this study, we develop the concept map (we call “Research-Idea Map”) based on “Research-Idea Ontology” to facilitate the novice’s self-reflection for his/her knowledge acquisition mentioned above. This paper discusses about the support methodology for the novice’s thinking-process using “Research-Idea Map” and “Research-Idea Ontology”.