著者
神田 秀樹 岩原 紳作 山下 友信 神作 裕之 藤田 友敬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

消費者信用取引の規制のあり方は, 欧州や米国の規制がそうであるように, 商品やサービスの販売に伴う与信契約か単純な金銭の貸付かを問わず, 横断的・統一的に規制すべきである。その際, 私法的規制, 監督法上の規制および市場法的な観点から, それぞれの有効性と限界を常に意識しつつ, 統合的かつ公正な規制体系を構築するとともに, 法規制のみならず自主規制などの非法的規制との最適の組み合わせを探る必要がある。
著者
長澤 和俊 長沢 和俊 (1993) 樊 自立 夏 訓誠 張 玉忠 王 炳華 荒川 正晴 大橋 一章 櫻井 清彦 XI Ao Li BING Hua Wang ZI Li Fan XUN Cheng Xia 李 肖 劉 文鎖 王 炳ほあ
出版者
早稲田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

この共同研究は平成3年から5年にわたって、新疆各地のシルクロードの路線と主要遺跡を全面的に踏査することを目的として実施されたが、さいわい中国側研究者の友好的協力により、ほぼ予定通り各地の遺跡を踏査することができた。中国では1990年2月、国家文物局令が発布され、各地の遺跡・文化財の調査研究については、すべて国家文物局長の許可の下に行われることとなった。そのため平成3〜5年の3年間にわたる調査は、すべて国家文物局長の許可の下に、新疆文化庁が主催し、新疆文物考古研究所と沙漠研究所との協力の下に実施されることになった。以下、年度毎の研究業績の概要を略述する。まず平成3年度は、同年7月16日から8月25日まで41日間実施された。この年は新疆の南疆を全面的に踏査することとなり、各遺跡の歴史的地理的位置関係を確認した。とくに文化庁の手配により、従来未開放であった雅尓湖千仏洞・トユク千仏洞・勝金口千仏洞・柳中古城・焉耆古城・シクチン仏寺・和静古墓・温宿古城・且末古城等を見学できたことは、大きな収獲であった。ついで平成4年度は、7月26日から8月24日まで30日間滞在し、ジュンガリアおよび天山山脈東部の南北麓地域の東西交通路と主要遺跡の踏査を行なった。新疆ジュンガリアおよび天山東部の調査は順調に進み、本年度は伊寧の海努克古城・阿力麻里古城・摩河旧城・吐魯番〓子旧城・塔城の岩面・呼図壁岩画・哈密白楊溝仏寺・拉布橋克古城・巴里坤・北庭都護府故城・西大寺・吉木薩尓千仏洞等、多くの未開放の遺跡を実地踏査することができた。なお平成4年度には、1992年12月2日から21日にかけて、共同研究者の新疆文物考古研究所長・王炳華氏を招聘し、早稲田大学その他において学術講演を行ない、内外の研究者と交流し、かつ来年度の研究計画を討議し、多くの成果をあげた。また先年度に引続き、ウルムチの新疆文物考古研究所において、調査後、古代シルクロードの路線と史跡について、考古研究所研究員を調査員全員によるシルクロード討論会が実施された。さらに平成4年度から平成5年度の初めにかけて、共同研究者の新疆沙漠研究所所長・夏訓誠氏を招聘し、早稲田大学理工学部の草炭研究会のメンバーとともに学術討論会を実施し、かつ平成5年度の調査に際し、研究計画を充実すべく討議を重ねた。平成5年度は平成3〜4年度の調査で踏査できなかったタリム盆地内の未踏査地域を全面的に調査することとし、平成5年7月21日から9月2日にかけて新疆文物考古研究所長・王炳華氏の全面的な協力のもとに、調査を実施した。すなわちまずカラシャール・コルラ・クチャ・アクス・温宿・鳥什・カシュガルの所謂北道では、アクス文物処長・曽安軍氏の案内で各地の古代史跡を踏査した。とくにクチャでは亀茲石窟研究所長・陳世良氏の協力により、クムトラ・シムシム・クズルガハ・キジルの各石窟を踏査することができた。アクスからはウチトゥルファンを経て、玄奘三蔵の足跡を辿ってベダル峠の直下まで行くことができた。カシュガルからはパミール高原に赴き、タシュクルガン古城を調査し、さらに大谷探検隊のとったルートを辿って、ミンタカ峠の直下まで赴くことができた。またカシュガルからはホ-タンに至り、途中皮山で〓賓烏弋山離道の跡を尋ね、ホ-タンではアクスピル・ラワク仏塔・牛角山等を調査した。この3年間の踏査において、われわれはSony製のG.P.S(Global Positioning System)により、新疆における遺跡約100ケ所の経度・緯度を測定することができた。われわれはいまその測定によって新疆における遺跡地図を作製中であるが、その遺跡を結ぶことによって、古代シルクロードが、現在の自動車路と大分異なったルートによって結ばれていたことが明らかになりつつある。またこの測定によって、従来もっとも信頼されてきたSir Aurel Steinの実測地図の多くの経緯度を訂正することができた。また毎年ウルムチにおいて中国側研究者とシルクロードの共同研究会を開き、とくに平成4年9月には蘭州での国際シルクロード学術討論会に出席し、中国側研究者とさまざまな分野で意見を交換し、今後日中共同で継続的にシルクロードの調査を推進することで合意した。今回の調査を基礎に、今後はトゥルファン・クチャ地区のより詳細な調査を行うことを、日中共同研究者全員で再確認した。
著者
沢田 昭二 大槻 昭一郎 玉垣 良三 吉川 圭二 福田 礼次郎 高木 富士夫 松田 哲 秋葉 巴也
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1.QCDジェットや重いクォ-コニウムなど摂動論的方法が有効な領域において実験との一致をみているQCQ(量子クロモ力学)が、非摂動的効果が重要となる領域において、どのようにカイラル対称性が自発的に破れる相に移行し、カラ-自由度が閉じ込められてハドロンを構成するか、その機構を理論的に明らかにすることを本研究の中心課題とした。2.この方向に沿って、非摂動効果を含む問題を取扱う新たな手法として、格子ゲ-ジ理論、ア-ベリアン射影、逆転法などを用いた方法が開発され、相移転機構や閉じ込めなどの具体的問題に適用された。3.QCDの低エネルギ-有効理論と考えられる非線型シグマ模型とQCDとの関連を明らかにするとりくみもおこなわれ、またこの模型におけるソリトン解すなわちスカ-ミオンによって核子をはじめとするバリオンとその相互作用の研究が引きつづいておこなわれ、またカイラル・バッグ模型にもとづいて核子の諸特性および核力の導出がおこなわれた。4.格子ゲ-ジ理論にもとづいてQCDから電子計算機を用いて直接QCD系の相構造、ハドロンの質量スペクトル、レッジュ軌跡の勾配などを求めるとりくみは、新しい計算方法の開発と電子計算機の大型化、高速化によって、一層信頼性の高い結果が得られ、当初の結果の抜本的な見直しがおこなわれた。この方向の研究は計算機の進歩とあいまって今後引きつがれる。5.QCDを含めた相互作用の統一を求める研究、標準模型を超える試みも活発におこなわれ、100GeVおよびこれを越える実験結果がえられつつある状況の中でCD不変性の破れ、トップ・クォ-ク質量予測などの研究成果も挙げられた。また宇宙初期の創成過程とかかわって有限温度QCDにもとづくクォ-ク・グル-オンプラズマ,高密度核物質の研究にも新たな知見が加わった。
著者
荒牧 正也 小川 修三 小川 修三 廣川 俊吉 沢田 昭二 早川 幸男 小沼 通二 荒牧 正也
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

坂田昌一氏は、氏の複合模型の提案にかぎらず夙に研究における方法論の重要性を強調していた。氏はまた湯川秀樹、朝永振一郎両氏の4年後輩として京都大学を卒業し、以来研究上でも両氏と緊密な関係をもっていた。そこで複合模型展開の研究に先立ち、坂田昌一氏の研究開始の時期に遡ってその足跡を辿り、氏の遺作や遺稿の収集・整理から手を付け、それを目録として纏めることとした。この仕事は未だ不十分なところが残っているが一段落し、「坂田記念史料室 資料目録第一集」として出版できた。これによって、坂田昌一氏の研究活動についてその背景を含めて検討する手立てが得られた。この目録作成と平行して、坂田昌一氏の社会的・文化的背景の検討を行ない、京都大学卒業論文から第二次大戦終結までに至る氏の方法論的考察の伸展と具体的研究との関連、とくに湯川博士との研究の進め方に関する考え方の違いが極く初期に遡ること及び武谷三男博士との緊密な関係と微妙な違いなどを追求し、その結果を「坂田昌一氏における『物理学と方法』」なる表題のもとにいくつか発表した。加えて坂田昌一氏とは研究の進め方及びその内容において相補的な朝永振一郎氏を提唱者とする、くりこみ理論、展開の歴史研究「Development of the renormalization Theory in Quantum Electrodynamics」が行なわれたが、これは複合模型の展開に至る坂田昌一氏の方法論に別の面から光を与えるだけでなく、日本の素粒子論発展の解明に大きく寄与すると考えられる。
著者
沢田 昭二 小林 昭三 斎藤 栄 安野 愈
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

量子色力学(QCD)の低エネルギー有効理論である非線形シグマ模型のソリトン解であるスキルミオンに関する研究を行うとともに、QCDの成立にいたる過程において重要な役割を果たし現象論的にも実験事実をよく再現する非相対論的クォーク模型との関連についても研究した。成果を項目的にまとめると次のようになる。1.量子化したカイラル・ソリトンのトポロジカルな性質に付いての研究については、特に3次元球面上のカイラル・ソリトンのスピン-アイソスピン空間における回転およびソリトンの中心を中心とする伸縮運動(ブリージング・モード)を集団座標の方法によって量子化し、この系の相転移構造を調べた。2.スキルミオン描像に基づき、高次補正を含めて一貫した矛盾の無い方法によって湯川相互作用やパイ中間子-核子散乱現象を記述することができるかどうかは、この描像の長い間の懸案であったが、この問題について基本的な解決を得ることが出来た。3.カイラル・ソリトン描像と非相対論的クォーク模型の描像の両者をQCDのカラー自由度N_Cを変化させてバリオンのスピン・フリップ・頂点について研究した。4.カイラル・ソリトンに採り入れられていないクォークの自由度を考慮した研究の新しい芽も生まれている。
著者
岩村 正彦 太田 匡彦 笠木 映里
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1.本研究は、地方公共団体(および地方レベルの公法人等)に焦点を当てて、医療制度、公的医療保険、公的扶助、社会福祉等の社会保障各領域に関する地方公共団体等の役割とその変容を分析し、地方公共団体等の社会保障に関する役割の構築について、法的に見て合理的といいうる方向性を模索するものである。2.本研究の柱のドイツ、フランス両国の公的医療保険法制、公的扶助法制および社会福祉法制(高齢者の介護サービス・障害者福祉を含む)について、その沿革・動向や近年を中心とした制度改革に関するわが国の既存の業績(図書、雑誌論文、各種資料)および前記両国の文献・資料を収集した。また、近年のわが国の公的医療保険法制、生活保護法制および社会福祉法制の政策・法制度の動きを跡づけるために、これらに関する図書・論文・資料等の収集作業を行った。3.ドイツ・フランス両国について現地での調査・資料収集を実施した。ドイツについては太田(研究分担者)が、フランスについては笠木(研究分担者)・永野仁美(研究協力者)が、資料収集および行政担当者、研究者等との面談を行った。4.収集した国内外の文献・資料などの整理、その一部のデジタル・データ化を行った。5地方公共団体(福岡県及び福岡県・北海道の市)を訪問し、医療制度・医療保険制度の改革への取り組み、生活保護、とりわけ自立支援プログラムに関する市の対応状況について、聞き取り調査をし、あわせて資料を収集した。6以上の研究の成果をもとに、研究代表者、研究分担者および研究協力者(永野)がそれぞれ論文・著書を執筆した。
著者
渡邉 潔
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.337-349, 2011-04-25

What is the relativity between the transference in psychoanalysis and the metaphor in rhetoric? The transference and the metaphor are closely related. Both produce the image, in the point that cannot be talked. Through the comprehension of Aristotle and Lacan’s metaphor theories, the following is clarified. The metaphor is a process of causing the meaning from meaningless, by the “metaphorical image”. And the metaphorical image keeps maintaining meaningless. And when this idea in this metaphorical image is applied to the metastasis, it becomes the following. A metaphorical image in the transference maintains the route of a language approach to the object that the subject lost primordially. And the image also maintain the route of the desire to “Object a” that Lacan says. Consideration from the viewpoint of the metaphorical image will enables the road of new research on the neurosis, perversion, and schizophrenia.
著者
宮原 志津子
出版者
東京大学大学院教育学研究科生涯学習基盤経営コース内『生涯学習基盤経営研究』編集委員会
雑誌
生涯学習基盤経営研究 (ISSN:1342193X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.33-46, 2010

論文/Thesesフィリピンにおける図書館専門職の教育及び認定制度は、毎年司書資格取得者を多く輩出する日本にとって示唆に富む制度である。1990年の法制度改革が行われるまで、フィリピンの図書館専門職資格は、大学の専門教育課程の修了を示す「教育資格」のみであった。しかし教育資格は専門職の質証明とするには不十分であり、フィリピン社会の認識や専門職の法制度では、専門職国家試験の合格による「職業資格」が重視されることから、職業資格制度がないライブラリアンの社会的地位は低く、図書館界では長年、制度の確立を求めて議会へのロビー運動を展開していた。1990年にライブラリアンシップ法が制定され、他の専門職同様に国の機関による図書館員への専門職試験が課されるようになったことで、ライブラリアンは「専門職」として公的に認められるようになった。実際にはライブラリアンシップ法の影響は小さく、専門職としての待遇改善や専門職の質の向上など、根本的な問題はまだ残されている。Library and Information Science (LIS) education and a quality control system for librarians in the Philippines offer suggestive insights for Japan. Until the legal reform in 1990, a Filipino librarian was not considered as a "professional" in the society because only an "academic qualification" such as a diploma or an academic degree is given to librarians as a qualification. The academic qualification was insufficient as a proof of the professional librarian, because a national qualification given after passing a national board of examination was valued over an academic qualification in the Philippines. After the enactment of the Philippine Librarianship Act in 1990, which states that those who want to work in a library should pass a national examination and get a professional qualification, in the legal sense, a librarian is now accepted as a "professional status" in the Philippines. However, some essential problems have remained. Actually, the Librarianship Act has had only a small effect on improving the working conditions and the quality of professionals.

1 0 0 0 斎〓の研究

著者
小林 正美 森 由利亞 吾妻 重二 二階堂 善弘 阿 純章 吉村 誠
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究代表者の小林正美は平成16年3月に調査した四川省綿陽・安岳・大足の摩崖道教造像に関する論文「金〓斎法に基づく道教造像の形成と展開-四川省綿陽・安岳・大足の摩崖道教造像を中心に」を作成し、さらに12月に四川省仁寿県牛角寨壇神岩の摩崖道教造像の調査を行い、論文の内容を補強した。また、小林は道教の斎法の原型である指教斎法の成立と構造に関する論文「道教の斎法儀礼の原型の形成-指教斎法の成立と構造」を作成した。本年度は研究期間の最終年度にあたるので、研究分担者はそれぞれ以下の報告論文を作成した。森由利亜 「清朝全真教と天師道儀礼の関係に関する覚え書き」吾妻重二 「宋代の景霊宮について-道教祭祀と儒教祭祀の交差」二階堂善弘 「『法海遺珠』の元帥神について-道教の〓・民間信仰の儀礼と元帥」「2003年度厦門・泉州寺廟調査報告」阿 純章 「受菩薩戒儀及び受八斎戒儀の変遷」吉村 誠 「曇無讖の菩薩戒-『菩薩地持経』の受戒作法を中心に」「四川省仏教道教調査旅行報告」また、「研究成果報告書」にはこれまでに入力した道教経典電子テキストと仏教経典電子テキストの目録を付録に載せた。