著者
木村 敬子 横田 佳子 梶田 武俊
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.44-48, 1981-02-20
被引用文献数
2

緑茶浸出液の高温保存下における褐変化について基礎的な実験を行なった結果次のことが判明した。1)玉露、煎茶、番茶浸出液はいずれも40℃保温では8時問後においてもほとんど褐変しなかったが、60℃、80℃、100℃と高温になるに従って褐変は著しくなり、煎茶,番茶,玉露の順に褐変した。 2)浸出液のpHが高い程褐変は容易であった。3)AAは還元雰囲気にある問は褐変を抑制するがAAが酸化されるとむしろ促進的に働いた。4)AAのデヒドロ体のうち、褐変に関与することが認められたのはDAAでありDKGにはその傾向は見られなかった。5)酢酸エチルを用いてカテキン類を除いた浸出液が褐変しにくいことから、この反応はカテキン類が大きく関与することが判明した。6)茶に含有されるアミノ酸の中ではヒスチジンが、有機酸ではリンゴ酸、コハク酸が褐変を促進する傾向を示した。7)ぺ一バークロマトグラフィーによりカテキン類を検索したところ、褐変前後の試料からいくつかのカテキンを検出したが褐変との関係を明確にするまでには至らなかった。
著者
中嶋 哲彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の当初の研究計画は、(1)市町村教育委員会及び公立学校における公文書の管理及び公開・開示にかかわる問題点と課題を明らかにすること、(2)児童生徒の学習権保障にふさわしい教育情報の取扱い原則と情報管理体制のモデルを開発することにあった。この研究は児童生徒の学習権を保障する教育行政・学校運営に保護者または児童生徒自身が参加するルートを開拓するという実践的課題に応えようとするもので、本申請における地方分権的教育行政と自律的学校運営に対する民主主義的規制または合意形成という研究課題と密接に関連している。海外調査を含む調査研究により、次の研究成果が得られた。(1)学校教育情報の公開・開示は教育委員会が定めるガイドラインにもとづき学校の判断により行うことが、教育の地方自治及び学校自治の観点から望ましい。(2)学校教育情報の公開・開示や訂正の請求があった場合、当該学校に第一次的判断が委ねられるべきであるが、その決定に不服が申し立てられた場合は他の学校の校長・教員・保護者代表により組織される審査会において処理することが望ましい。(3)保護者の主体的な教育参加を促しかつその機会を保障するためには、学校教育情報の公開・開示ルールを保護者に周知することが必要であり、学校または教育行政区で保護者マニュアルを作成することが望ましい。(4)児童生徒と保護者の利益相反の可能性を否定できないことから、一定年齢以上の児童生徒には保護者から独立して学校教育情報の公開・開示を請求する権利が保障されるべきである。
著者
友永 輝比古
出版者
三重大学
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.141-145, 2005-03-31

1919年作の『小市民の結婚式』(茶番劇)は上演して成功すると思えるような作品ではありません。同じ年に書かれた『夜打つ太鼓』が1922年にクライスト賞を受賞し、何度も上演されましたが、それと比べると目立たない作品です。しかし、21歳の大学生ブレヒトが、小市民の無思想にして無内容な生き方に疑問を感じて、その俗物性と精神的堕落を暴露したことに、驚きを感じます。そればかりか、単なる暴露劇ではなくて、小市民の俗物性を笑いの対象にしたところに、この作品の良さがあります。ブレヒトは資産家の息子ですから、自ら笑いながら小市民層と決別した、と言えるかも知れません。彼が大学時代を過ごした当時のドイツの社会情勢を概観するなかで、この作品を考えてみたいと思います。
著者
大津留 晶 市川 辰樹 熊谷 敦史
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

光同調性概日リズムは、明暗刺激に同調し1日周期の概日リズムを形成する。一方、胃ホルモン・グレリンは1日4峰性ピークのリズムを持ち、このグレリン概日リズムは、従来の概日リズムとは全く別の制御メカニズムによると推測される。グレリンの日内変動が、単に食事摂取カロリーや血糖などの代謝要因にのみで規定されるのか、それとも食習慣にもとづく何らかの概日リズムに左右されているかを明らかにした。解析した結果、グレリンは摂食時に変動する代謝因子以外の、調整因子、即ち食習慣によって規定される新たな概日リズムによって制御されていることが示唆された。
著者
岡山 聖彦 山井 成良
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ソフトウェアの不正コピー対策として、組織保有のPCにインストールされたソフトウェアの厳格な管理が求められている。しかし、既存の管理システムでは対象となるPCの管理者権限を要するため、大学のようにPCの利用者が管理者であるような環境では、確実にソフトウェア情報を収集することが困難である。これに対し、我々の研究グループでは認証・アクセス制御システムと連携するソフトウェア資産管理システムの研究開発を進めており、当該研究期間においては、実用化のための機能強化および機能拡張を行う。
著者
酒井 潔 水元 修治 田中 昭一 荒木 重雄
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.63-68, 1969-01-01

従来,卵巣の内分泌能をみるのに,尿中に排泄される性ホルモンを定量する方法が広く行われてきた.しかし,より直接的に卵巣の内分泌能をみるには,血中のホルモン動態をしらべるのがよい,我々は,^3H-estradiolを人間に静注し.その血中よりの経時的減少から.Taitのtwo-compartment modelに従つてestra-diolのmetaboloc clearance rateを測定した.対象は月経整順な成熟婦人6名であり,いずれも黄体期と考えられた.^3H-estradiol(20.3μCi/μg)ethanol溶液10μCiを生理食塩水で稀釈し,対象に静注した.その後経時的に採決し,血漿10mlをとつて放射能測定の材料とした.これをetherで抽出し,非結合型^3H-estradiolのみをcolumn cgromatographyで分離し.liquid scintillation spectrophotometerにより放射能を測定した.^3H-estradiolの血中濃度を時間の経過に従つて片対数グラフ上にとると.注射直後より約30分までの急激な減少とそれ以後の比較的なだらかな減少との2相性の直線をなすことがわかつた.従つて.これに対してTaitのtwo-compartment modelを適用してestradiolmetabolic clearance rateや生体poolの大きさなどの計算を行つた.その結果,estradiolのmetabolic clearance rateは697-1065l/日,平均856l/日であり,inner poolの大きさは17.9-35.7l,平均25.2l,またinner pool outer poolをあわせた生体内poolの大きさは41.8-69.0l,平均56.5lという値が得られた
著者
青山 智夫 八木 徹 神部 順子 中山 榮子
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.1105270129-1105270129, (Released:2011-05-28)
参考文献数
9
被引用文献数
4 2

2011年3月11日14時46分, M9.0の東北地方太平洋沖地震が誘発させた福島第1原子力発電所事故の放射性物質拡散について測定値に基づき考察した.(1) 放射性物質の拡散は方向による相違がある.原発から北西方向に20, 30, 40, 65 kmの地点で年間空間線量率の積算値を予測すると293, 162, 41.1, 16.2 mSv/yearとなり,40 km地点の実測値を737時間積算すると7.6 mSvとなった.(2) 同地点の土壌から105 Bq/kgオーダの 137Cs が3月20日と26日に検出された.土壌中の137Csの残存放射線量はバラツキが大きく,時系列関数は計算できなかった.131Iの滞留半減期は9.6日である.池水中の137Csの滞留半減期は11日,131Iは7.2日であった.これらの数値は4月14日17時までに公表されたデータに基づいて算出された.
著者
内田 直文
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

本年度は皇帝と臣下との間で直接交わされた奏摺がいつ如何なる政治的要因で、使用されるようになったかを、(1)清代康煕年間における奏摺政治の展開(九州大学東洋史論集、2005年5月、第33号)、(2)清代康煕27政変再考(東方学、2006年7月、第112輯掲載予定)の論文において明らかにした。さらに、それについて(1)九州大学東洋史研究室定例会において、「清代康煕朝奏摺政治と地域社会」と題する口頭を2005年11月20日に、(2)財団法人東洋文庫談話会において「清代康煕朝奏摺政治の展開と地方社会」と題する口頭発表を2006年3月24日に行った。また、台湾・中央研究院台湾史研究所、及び歴史語言研究所へ訪問研究員として受け入れをしていただき、資料調査・学術交流を行った。中央研究院歴史語言研究所所属の傅斯年図書館は、明清時代の公文書を整理した内閣大庫?案を所蔵しており、清朝の政務決裁過程を検討する上で、その資料の収拾分析は大いに有益であった。さらに、同院近代史研究所所属の郭廷以図書館が所蔵する財政類の奏摺は、台湾故宮博物院図書文献館が所蔵する宮中档案とともに、清代奏摺政治の展開や、清朝の公的政務決議機関として18世紀の乾隆時代に成立した軍機処について考察する上で欠かせない資料であったが、受け入れ期間中の調査により、充分な資料収集を行うことができた。さらに、国立国家図書館には貴重な満洲語資料が多数収蔵されており、それらの収集を行った。台湾の研究環境は申し分なく、報告者の研究を進展する上で大変有益であった。中央研究院台湾史研究所・歴史語言研究所受け入れ期間中に収拾した資料を活用した研究成果の一部は、本年度中の研究発表に示した研究業績に反映されているが、今後さらなる検討分析を加え、研究成果を公表していきたい。さらに台湾での学術交流を通じ、文献でしか知ることのなかった諸先学と面識を持つことができ、様々なご指導をいただいた。短い期間ではあったが、研究活動を通じて培った交流は、今後、報告者の研究において貴重な財産となると思われる。
著者
磯貝 光雄 熊井 満之 小林 陽一 黒岩 克年 荒川 佳樹 鈴木 龍太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.297-307, 2000-03-25
参考文献数
7
被引用文献数
3

災害時の安否照会のために, モバイルエージェント技術による情報検索システムを構築しその評価を行った.耐災害性と通信負荷の削減を目的としてモバイルエージェントを使用した.災害時には通信回線の障害・遮断・回復などが大規模かつ頻繁に発生する可能性があるが, エージェントソフトウェアはそれらの障害に対し自律的にうかいや待機を行い検索結果を持ち帰る.検索は被災地の外から被災地内に対し行う.検索の方法はモバイルエージェント方式, クライアントサーバ(C / S)方式及びその組合せを使用して実験を行った.実験結果はトラヒック量とレスポンスタイムで評価した.モバイルエージェントによる情報検索は, 耐障害性を有するとともに, 検索件数が多いほど, また巡回する情報サーバが多いほど, C / S方式に比べて端末回線のトラヒック負荷を削減するために有効であることが確かめられた.
著者
福島 孝典 岡本 敏宏 安藤 伸治 藤川 茂紀
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高効率有機薄膜太陽電池へ向けた材料設計では、電子およびホール輸送性を示す分子をそれぞれナノサイズの集団として区画化し、広い接触面積をもって接合させる手法の開拓が鍵となる。本研究では、一つの理想系として、構造明確なナノスケールの異種分子集合体を一次元で精密接合した物質を世界で初めて実現した。さらに本研究過程において、複数の液晶発現基を側鎖に導入した高分子が大面積集積化する現象を偶然見出し、その発見に基づき、新たな光エネルギー変換材料を開発した。
著者
但馬 康宏 富田 悦次 若月 光夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.97, no.356, pp.111-118, 1997-10-31
参考文献数
4
被引用文献数
1

単純決定性言語の多項式時間MAT学習に関する新たな結果を示す。一般に等価性質問は、仮説文法の入力に対して学習対象の言語との等価性を出力とし、さらに非等価の場合には、その根拠となる反例も出力となる。ここで、反例が正の反例の場合、さらに学習対象における導出構造を出力する質問を構造反例付き等価性質問と新たに定義する。このとき、任意の単純決定性言語は、単純決定性言語の族を用いて、所属性質問および構造反例付き等価性質問から多項式時間で厳密学習可能であることを示す。この学習アルゴリズムの基本的な考え方はAngluin (1987) によるアルゴリズムの拡張である。
著者
小林 広美 川崎 勇 鷲尾 養
出版者
日本作物学会
雑誌
作物学研究集録
巻号頁・発行日
no.14, pp.35-37, 1971-08-02

不耕起直播栽培の安定普及を阻害する要因の一つに耐倒伏性の低下があげられている。そのため、著者らは不耕起直播栽培における倒伏防止対策の確立に関する研究を行なっているが、1969年に品種の草型と耐倒伏性の関係について検討した結果の概要を報告し参考に供する。6月2日にポンチ式播種機を用い、30cm×16cm(208株/m^2)の密度で、1株8〜10粒ずつ点播した。草型の異なる6品種・系統を供試し、施肥量はa当り成分量、窒素2.9kg、燐酸1.0kg、加里1.6kgとした。
著者
松井 宏樹 林 慶樹 野田 五十樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

株取引における執行戦略の一つである出来高加重平均に基づく分割発注(VWAP)では,執行の基準となる一日の出来高の推移(ボリュームカーブ)を推定することが執行リスクの低減のために重要である. 本研究では,野田の提案する機械学習における再帰的ステップサイズパラメータ調整法(RASP)により,前日までのボリュームカーブから当日のボリュームカーブの推定を試みる.
著者
松井 和宏 佐藤 晴夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

金融市場における自動取引戦略を探索するためには、 訓練時とテスト時で探索空間の形状が変化する問題に適切に対応する必要がある。 著者らはこの問題に対して、GAにおける個体評価に近傍評価法を 導入している。本研究では、この近傍評価法をさらに発展させるために、 探索空間中での近傍形状の拡張、及び近傍探索の高速化を検討する。 実験の結果、提案手法が良好な結果を示すことを確認した。
著者
吉野 博 長谷川 兼一 岩前 篤 柳 宇 伊藤 一秀 三田村 輝章 野崎 淳夫 池田 耕一 岸 玲子 持田 灯
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ダンプビルの原因となる高湿度環境を解決するための最適設計法・住まい方の提案に資する資料を構築することを目的とする。そのために、住宅のダンプビル問題の実態を全国的規模で把握し、居住環境と居住者の健康状態との関連性を統計的に明らかにした。また、室内の湿度変動を安定させる機能をもった様々な多孔質の建材(調湿建材)等の高湿度環境緩和技術の使用効果について、実測やシミュレーションを用いた評価を行った。