著者
井口 秀作
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては、フランスの第三共和制、第四共和制、第五共和制を素材として、現代市民憲法における国民投票制のあり方を検討した。まず、前提として、フランス革命期の二つの主権論と国民投票制および、両ナポレオンのプレビシットを確認したうえで、第三共和制、第四共和制、第五共和制のそれぞれの憲法の下における国民投票制の動向を検討した。フランスでの展開は、第三共和制憲法における全面的拒否、第四共和制における部分的導入、第五共和制憲法における量的拡大とまとめることができる。しかし、このことは、その展開が、単線的な発展であることを意味するわけではない。現代市民憲法の一つの特徴である行政国家現象の影響を受け、「行政国家型国民投票制」とよびうる形を伴いつつ、国民投票制が展開しているのである。とりわけ、現代の第五共和制憲法においては、その憲法全体の行政国家適合的な構造に規定されて、このような性格が色濃く出ている。このような国民投票制に対しては、フランスでは、プレビシット論の批判があったが、近年においては、プレビシット論の比重が下がっている。しかし、これは、プレビシットの危険性が無くなったことを意味するわけではなく、第五共和制において、国民投票制の死文化・空文化の時期が長期に渡って存在したことの反映である。空文化か、プレビシットの悪用かの、二者択一ではなく、現代市民憲法における、別の国民投票制のあり方を探ることが今後の課題である。
著者
大曽根 圭輔 鬼沢 武久
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本研究では,ポーカーゲームを対象にして,人間と意見を交換しながら戦術を獲得するコンピュータエージェントを提案する.コンピュータエージェントは,ファジィ事例ベース推論を用いて意思決定を行い,人間プレーヤーにアドバイスを提示する.そして,プレーヤーからゲームに関する意見が出た場合は,意見を事例データベースに格納し,過去の戦術と統廃合することで,新たな戦術を獲得することを目指す.
著者
宮井 康宏 上西 啓介 松村 真宏
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本研究は、他者の行動を示すことによる人々の行動の変化を検証した。具体的には、ペットボトルのキャップ分別行動を対象とし、ゴミ箱の違いによる分別率の変化をみた。ゴミ箱は、キャップ穴が開いているだけのゴミ箱と、キャップ箱を付け他者が入れたキャップがわかるゴミ箱、カウンターによりキャップの数を表示するゴミ箱を用意した。最も分別率が高くなったのは、数を表示するゴミ箱であり、次にキャップ箱付きゴミ箱となった。
著者
杉原 貴彦 村田 剛志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

Freyらが提案したメッセージ交換型クラスタリング手法であるAffinity Propagationを用いてネットワークからのコミュニティ抽出を行った. メッセージとして頂点間の類似度を用いて実験を行い, いくつかのネットワークにおいては比較的高速な時間で高いモジュラリティを もつコミュニティの抽出に成功した. また,この手法が有効なネットワークの特徴についての考察も行った.
著者
金 英子 Lin Ching-Yung 松尾 豊 石塚 満
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

実世界のネットワークの本質は動的に変化する。企業は、他の企業と提携・合併・買収などを続けることで、これらの関係から正と負の影響を受けている。その結果、企業の価値は変わっていく。本研究では、Web上に公開されているニュース記事から、変化する企業のネットワークを自動的に抽出する。そして、動的ネットワークから企業の価値に影響を与える構造的要素を分析し、企業の価値を予測する。
著者
Horie André Kenji 石塚 満
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

Given a small dataset of semantic relations, the present work provides a method for qualitatively and quantitatively analyzing and expanding it through a bootstrapped clustering process using the Web.
著者
宮本 太郎 山口 二郎 空井 護 佐藤 雅代 坪郷 實 安井 宏樹 遠藤 乾 水島 治郎 吉田 徹 田中 拓道 倉田 聡
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は大きく三つの領域において成果をあげた。第一に、日本の政治経済体制、とくに日本型の福祉・雇用レジームの特質を、比較政治経済学の視点から明らかにした。第二に、レジームを転換していくためのオプションを検討し、各種のシンクタンクや政府の委員会などで政策提言もおこなった。第三に、世論調査でこうしたオプション群への人々の選好のあり方を明らかにし、新しい政党間対立軸の可能性を示した。
著者
松井 幸夫 倉持 孝司 柳井 健一 藤田 達朗 松原 幸恵 元山 健 愛敬 浩二 江島 晶子 元山 健 愛敬 浩二 植村 勝慶 江島 晶子 大田 肇 小松 浩 榊原 秀訓 鈴木 眞澄
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

現代の日本の政治改革において参照されたのは、イギリスをモデルとした小選挙区制、二大政党と政治的リーダーシップ、選挙による政権交代等であった。しかし、当のイギリスやその影響下の諸国では、ウエストミンスター・モデルと呼ばれる、このような政治システムの変容や再検討や、そこからの離脱傾向が強まっている。本研究は、このような実態と理論状況を明らかにし、現代立憲民主主義の憲法理論構成の方向性を明らかにする視座を得た。
著者
柏森 伸子 村上 直行 小西 徹也
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.278-281, 1987
被引用文献数
2 1

<I>The fallout caused by the accident of Chernobyl' nuclear reactor has been monitored in Niigata City (April 30-June 3, 1986) . Twelve nuclides</I> (<SUP>131</SUP>I, <SUP>132</SUP>I, <SUP>129</SUP>Te, <SUP>129m</SUP>Te, <SUP>132</SUP>Te, <SUP>134</SUP>Cs, <SUP>136</SUP>Cs, <SUP>137</SUP>Cs, <SUP>103</SUP>Ru, <SUP>99m</SUP>Tc, <SUP>140</SUP>La, <SUP>140</SUP>Ba) <I>were identified in aerosol samples. The same nuclides plus</I> <SUP>7</SUP>Be <I>were identified in rain-water. Gaseous and particle-bound</I> <SUP>131</SUP>I <I>were separately trapped on a glass filter and a charcoal filter, respectively. Results indicate 50-60% of atmospheric</I> <SUP>131</SUP>I <I>is gaseous and the rest is particlebound. Chloroform extraction of rain-water revealed that 40-60% of</I> <SUP>131</SUP>I <I>in the rain-water sample exists in the form of</I> IO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP> <I>and</I> <SUP>131</SUP>IO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP> (<SUP>131</SUP>IO<SUB>4</SUB><SUP>-</SUP>) /<SUP>131</SUP>I<SUP>-</SUP> <I>seemed to increase with the lapse of time after the accident.</I>
著者
若松 新
出版者
早稲田大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1978年のスペイン憲法は、1949年のボン基本法(現行ドイツ憲法)の影響下で制定された。1970年代半ばに、スペイン、ポルトガル、ギリシャでは、独裁制が終わり、自由民主化改革が始まった。この改革は、1989年前後の東欧市民革命と比較できる。フランコ旧体制下では、自給自足経済から開かれた市場経済へ変化した結果、政治体制も西欧化した。東欧市民革命では、経済的破綻が政治改革をも必要とした。1976年に成立したUCD(民主中央同盟)のスアレス内閣は、与野党協調路線を取って、政権への支持基盤を固めた。特に憲法制定に際しては、各党の少数の代表者計7名からなる「特別(起草)委員会」が妥協案作成に貢献した。この点で、ボン基本法制定時の3人委員会と同じ役割を果たした。またスペイン憲法制定時には、単純多数の賛成のみならず、圧倒的多数の賛同が計られた。この点でドイツのヘッセン州憲法制定時の多数派工作の実態と同じであった。1982年に成立したPSOE(スペイン社会労働党)のゴンサレス内閣は、保守層の支持獲得に腐心して、NATO残留政策を選択した。だが、50%以上の議席数の支持を得たゴンサレスの強力な指導力に足して、「議会野党」は精彩を欠いていた。D・L・ガルリイドは、両内閣と議会の権力構造を、象徴的な政治機構図に描いた。また、U・リ-ベルトは両内閣と議会の強弱関係を分析した。リ-ベルトによれば、1976年のスアレス内閣は「(政府)と対等な議会」の範疇に属する。他方、1982年のゴンサレス内閣時のスペイン国会は「政府に従属する議会」であった。ドイツで生まれた「建設的不信任投票制度(後任の首相の選出と現首相の解任を同時に行う制度)」がスペイン憲法113条に輸入され、スアレス少数政権下では政治の安定が計られたのである。
著者
齋藤 寛 前田 隆浩 青柳 潔 高村 昇 中里 未央 野村 亜由美
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

長崎大学では、平成16年度から医学部医学科5年-6年次学生を対象として「離島医療・保健実習」を開始した。これは、病院実習の一環として、1学年100名を7-8名ずつのグループに分け、それぞれ1週間ずつ長崎県五島市において地域医療、地域保健を学ぶものであり、地域に根ざした包括的医療についての実習を行うプログラムとして全国的にも注目されている。その一方、これまでこのような形での地域密着型医学教育プログラムを実施するという試みは日本でほとんど行われていないため、実施するにあたっての教育ソフトに乏しいのが現状である。そこで本申請では、今後の離島・へき地医療実習、さらには地域医療実習に応用可能な教育ソフトの開発を行う目的とした。研究代表者らは、各分野における教育ソフトの作成を行い、その成果は7月に全国の医学生を対象として行われた「家庭医療セミナー」において公開した。「家庭医療セミナー」は、全国の医学生を対象に、長崎県五島において家庭医療についてのセミナーを集中的に行うもので、研究代表者、研究分担者に加えて欧米の家庭医療の専門家を招聘しての特別講義・実習を行い、その成果はマスコミ等で大きく取り上げられた。さらに研究代表者らはこの成果を世界に発信すべく、長崎大学と学術交流協定を締結している旧ソ連邦のベラルーシ共和国の医科大学(ベラルーシ医科大学、ゴメリ医科大学)を訪問して、インターネット等を用いた遠隔教育(e-learning)システムの整備を行った。これに対して研究代表者がゴメリ医科大学の名誉教授号をうけるなど、ベラルーシ国内でも高い評価を得た。
著者
高村 昇 青柳 潔 関根 一郎
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故からすでに20年余りが経過したが、事故当時小児であった群は現在思春期から成人期へとシフトしてきており、現在この年齢層における甲状腺がんの発生が大きな問題となっている。一方で汚染地域の中で最も甲状腺がんの増加が見られたベラルーシ共和国は、旧ソ連邦時代の経済的混乱から抜け出しつつあるものの、地方ではまだまだ医療インフラの立ち遅れが見られ、その影響は医療・医学教育の分野にも深刻な影響を及ぼしている。本申請では、長崎大学と学術交流協定を締結しているベラルーシ共和国のゴメリ医科大学との共同事業による遠隔医療・教育ネットワークシステムのための準備を行った。具体的には平成17年6月に研究代表者がベラルーシ共和国を訪問し、ゴメリ医科大学の担当者と協議の上、ゴメリ州内における医療機関との調整を行い、ベラルーシ共和国ゴメリ州のホイニキ地区病院における、無線LANを用いたネットワーク構築の準備を開始した。本プロジェクトについては、ベラルーシ共和国日本大使館とも協議して、草の根無償協力でのプロジェクト形成を行うことにした。今後、ホイニキ地区病院とゴメリ医科大学関連病院との遠隔医療システムをモデルとして、他の地区病院とゴメリ医科大学との間にも同様のネットワークを形成し、早期診断、早期治療に役立てる予定である。さらに、遠隔講義システムの構築についても協議を行い、その結果として平成17年に長崎からゴメリ医科大学に対しての遠隔講義を開始することができた。すでに数回にわたって、インターネットを用いた遠隔講義を行い、大きなインパクトを与えることができた。遠隔講義はベラルーシにおいて大きくマスコミにも取り上げられ、研究代表者がゴメリ医科大学の名誉教授を授与されるなど、医学教育の分野における大学間連携の推進に大きく寄与した。
著者
柴田 義貞
出版者
日本学校保健学会
雑誌
学校保健研究 (ISSN:03869598)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.15-20, 2000-04-20
参考文献数
9
被引用文献数
3
著者
武田 和夫 石黒 寛 田中 里恵 丸山 純一 笠松 隆志 大川 真 堀 伸二郎
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.280-288, 2002-10-25
参考文献数
7
被引用文献数
2 11

残留農薬の一斉分析に,GC/MS/MSを使用したときの感度及び精度を明らかにし,その有用性を検証することを目的として検討を行った.4種の農産物(ほうれんそう,にんじん,たまねぎ及び玄米)をそれぞれアセトン抽出し,GPCカラム及びグラファイトカーボンカートリッジで精製したものをマトリックス試料とし,35種類の農薬を添加して分析精度の検討を行った.その結果,検出限界はGC/MS (SIM)と比較してほぼ同等であった.各種マトリックスを添加した農薬標準溶液の測定再現性は,0.1 μg/mL及び0.05 μg/mLの濃度においてそれぞれ良好であったが,0.02 μg/mLでは35農薬中20農薬において変動係数が 10% 以上となった.SIM測定では避けられないマトリックス成分による妨害ピークも,GC/MS/MSを使用することによって影響を排除できる例が複数確認された.
著者
川人 貞史 坂本 孝治郎 増山 幹高 待鳥 聡史 福元 健太郎 空井 護
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.国会運営ルールの形成と変化(1)予算国会の衆院予算委の審議日程等に関するデータを整理し,運営方式の変遷や争点の推移を概観できるようにした.(2)国会中心主義の国会制度と議院内閣制に関する法整備の分析を進め,国会制度の形成・変容とその政治的帰結を分析する研究を本にまとめた.(3)戦後国会における両院間調整の制度がどのように運用され,そこで参議院の意向がどの程度まで政策結果に反映されるかに関する論文を執筆し,衆議院の優越が条件付きにとどまることを示した.2.立法案件データの作成(1)法案の議事日程の資料整備を進め,会期延長と法案成立に要する日数の関係を分析し,また厚生省関連法案の動向と所管部局再編の関連を検証した.(2)両院間調整に至った議案についてのデータを,閣法,衆法,参法についても完成させた.(3)第119回〜141回国会の内閣提出法案審議状況を一覧形式で資料としてまとめた論文を公刊した.3.国会運営の制度と立法行動を説明するための理論と実証(1)国会法改正が法案の議事日程に及ぼした作用を検証した.(2)参議院議員は衆議院議員に比べてシニアとは限らないことを,全国会議員のデータ分析で明らかにした.(3)米連邦議会の予算編成改革を比較政治学的観点から分析した単著を公刊した.(4)国会における内閣提出法案を対象とした議事運営の計量分析を本にまとめた.(5)国会運営の制度分析を行う際に,諸外国や地方の議会との比較の視座を導入する意義を示した論文を執筆した.(6)内閣提出法案と議員提出法案の立法過程を法案個々の成立確率という意味において比較し,権力の集中と分散を規定する国会の憲法構造的作用を戦後の長期的な時系列変化という観点から検証する論文を執筆した.(7)日本の国会と内閣の関係を概説し,内閣が選挙や立法においてリーダーシップを発揮する状況を分析した論文を公刊した.
著者
高瀬 雅男
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本独禁法22条は、協同組合に対する独禁法適用除外について定めている。しかし適用除外の範囲は必ずしも明確ではない。独禁法22条は、米国の協同組合に対する反トラスト法適用除外立法であるカッパー=ヴォルステッド法を参考に制定された。そこで本研究はカッパー=ヴォルステッド法の立法過程を分析し、適用除外の必要性、適用除外要件、限界要件などに関する連邦議会の立法意思を明らかにし、独禁法22条の適用除外の範囲について示唆を得た。