著者
眞城 知己
出版者
日本発達障害学会
雑誌
発達障害研究 (ISSN:03879682)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.152-158, 2010-05-31
著者
稲葉 雄二 新美 妙美 石田 修一
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.267-272, 2010-07-01

軽度発達障害児の支援を目的として, 不適応や行動, 学習面で問題となっている児童の学校での指導・支援について教師から相談を受けるoutreach clinicを実践した. 2年間で13校を訪問し, 36事例について相談した. 医療機関をすでに受診中の児童は44%で, 28%は相談の後に受診した. 20名で広汎性発達障害が疑われた. 教師へのアンケート調査では学習面で気がかりな児童は全体の4.4%, 対人関係や行動面では2.6%であった. さらに, 教職員の研修会で軽度発達障害の理解を促し, 支援体制や連携について意見交換した. 医療と教育の双方向性の連携により, より適切な支援と二次障害の予防につながることが期待される.
著者
遠藤 愛
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.224-235, 2010-06-30

本研究では,境界領域の知能と年齢に不相応な学力を有する中学生を対象に,算数文章題の課題解決を目指す学習支援方略を検討した。アセスメントの手続きとして,(a)WISC-IIIによる認知特性と,(b)つまずいている解決過程の分析を実施し,それらを踏まえ案出した2つの学習支援方略(具体物操作条件とキーワード提示条件)を適用した。その結果,対象生徒の課題への動機づけが具体物操作条件にて向上し,立式過程におけるつまずきがキーワード提示条件にて解消し,効果的に課題解決がなされた。しかし,計算過程でのケアレスミスが残る形となり,プロンプト提示を工夫する必要性が示唆された。以上から,算数文章題解決のための学習支援方略を組む上で踏まえるべきポイントとして,生徒が示す中核的なつまずきを解消する方略を選択すること,学習支援方略を適用したときのエラー内容をさらに分析して別の過程における課題解決状況を確認することの2点が示された。
著者
佐藤 正恵 植田 映美 小川 香織 SATO Masae UETA Emi OGAWA Kaori
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテスリベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.86, pp.27-40, 2010-06

2005年の発達障害者支援法制定や2006年の学校教育法一部改正に伴う通常学級での特別支援教育開始等に伴い,医療や教育,福祉,司法など多くの領域で注意欠陥・多動性障害(以下ADHD)や広汎性発達障害など発達障害への関心が広がっている。近年,こうした障害への気づきが早くなる一方,わが子に発達障害があると知らされた保護者のほとんどは戸惑い,対応に悩んでいるのが現状である。中でもADHDをもつ子どもは発達段階に不相応な多動性や衝動性,不注意ゆえに幼少期より社会適応や学業が妨げられやすい。そのため,保護者の中には子どもの生活上の困難に強い不安を抱いたり,ささいなつまずきを甚大に捉え自責感を強める,あるいは逆に子どもの行動を厳しくコントロールしようとする者もいる(田中,2007)。こうした場合,より良い親子関係が築かれにくく,親子ともども抑うつ症状をきたしたり,虐待などに至ったりする危惧がある。
著者
宮盛 邦友 田中 康雄
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
no.110, pp.115-136, 2010

本論文は,田中康雄2009『支援から共生への道―発達障害の臨床から日常の連携へ』(慶應義塾大学出版会)をめぐっての,教育学を専門とする宮盛邦友の読後感と,それへの精神医学を専門とする田中康雄の応答によって構成されている,「対話の試み」という共同研究である。「子どもの生存・成長・学習を支える新しい社会的共同」のために,教育学と精神医学の対話は可能か,ということを探求するものである。