著者
原田 大介
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.67-74, 2010-09-30

The purpose of this paper is to point out the new directionality of research on Japanese language education while assessing and confirming the problems inherent therein from the viewpoint of special needs education. The method adopts the following three measures: (1) assessing the present conditions in the special needs education from the viewpoint of developmental disabilities, special educational needs, and inclusion, (2) confirming the problems in Japanese language education based on (1), and (3) pointing out the new directionality of research on Japanese language education based on (1) and (2).
著者
知念 幸人 田中 敦士 Chinen Yukihito Tanaka Atsushi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.145-152, 2010-08

本研究は沖縄県内の高等学校の発達障害の特徴を有する生徒に対する就労支援の実態と課題を明らかにすることを目的とした。質問紙調査票の回答を各学校の特別支援教育コーディネーターに依頼した。回答を分析すると、特別支援教育コーディネーターとしての経験や専門性、職員のゆとり、職員の理解・協力、生徒本人・保護者の理解・協力、進学の場合の就労支援、事業所の理解・協力、特別支援学校との連携、に関する課題が見えてきた。
著者
小泉 雅彦
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
no.111, pp.23-40, 2010

本論では,日本の教育現場において,学習障害に対する教育的対応が遅れたことについて検討を加え,北海道における学習障害の処遇を振り返りながら土曜教室の誕生した生成過程を検証した。そして,「北大土曜教室」における「軽度発達障害*1」のある子どもたちに対する教育的支援と学生たちの学びと育ちを踏まえ,その教育的意義を明らかにした。さらに,日本社会においてノーマライゼーションとバリアフリーを推進していく上で,特別支援教育の重要性について触れた。「北大土曜教室」における,"学び(専門)"と"育ち(人材)"を支えるシステムは,特別支援教育を推進していくうえで先進的な役割を果たしていることが示唆された。
著者
渡邉 智之 佐藤 早織 山本 俊昭 熊代 永
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.961-968, 2010-10-01

知的能力に遅れのない広汎性発達障害の子どもは,その障害の存在が気づかれず見過ごされがちである.しかし,社会性に欠け対人関係も苦手であることからさまざまな困難を抱えやすい.今回,幼少期から不登校を呈していたが,発達障害の視点で支援した結果,改善がみられた症例を報告する.自己洞察を促すサポートよりも支持的対応を基本として共感性を促し,対人関係の促進を目指した.また,認知行動療法を基本とした問題解決技能や個別での対人スキル訓練のアプローチも行った.母親に対しては障害特性と本人の行動を結びつけて説明し障害理解を促した.その結果,不登校という不適応状態が改善した.子どもが示す不適応状態を発達という視点からとらえ,発達歴の聴取や行動観察などのていねいなアセスメント,障害特性に配慮した対応をしていくことが重要である.
著者
柴田 久美子
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.32-40, 2010-11

北海道には知的障害高等養護学校が14校あり,職業教育を行っている.12校ある寄宿舎併設校は,働く力とともに生活する力を育てる1日24時間の教育を行い,学校から社会への移行支援と卒後支援に力を注いでいる.ここ数年,高等養護学校への進学希望者の著しい増加で,大規模化の一途をたどっている.新入生の実態も変化し,発達障害や精神疾患を抱える生徒が増え,通常の高校を中退してくるケースもある.生徒の多くは,いじめや不登校を経験しており,子ども時代を子どもらしく生活できておらず,遊びや友だち関係を十分体験することがないまま育ち,主体性や自己の確立という点で弱さがみられる.しかし,親元を離れ,様々な他者と深くかかわる日々の生活の営みの中で,徐々に自己の形成へと向かう姿がみられる.高等養護学校の寄宿舎は,青年期に必要な自分づくりと自立への力を育てる可能性があり,特別支援教育においては,通学保障や生活保障だけではない新たな現代的役割を担っている.
著者
平塚 真弘
出版者
東北薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

これまでの検討結果から、等温遺伝子増幅法とイムノクロマトグラフィーを組み合わせる方法は困難であることが判明した。しかし、血液からの直接遺伝子増幅法や高速サーマルサイクラーを用いたPCR増幅の検討を行うことで遺伝子診断時間の大幅な短縮が期待できる。そこで、島津製作所製Ampdirectを用いて血液からの直接PCRを試みた。また、高速サーマルサイクラーであるアイダホテクノロジー社製Rapid Cycler2及びインディーを用いることにより、従来、約2時間を要していた遺伝子増幅時間を1時間にまで短縮することを目標とした。さらに、現在、検出デバイスとしてイムノクロマトグラフィーであるDNA検出ストリップを用いているが、この遺伝子診断法がこのデバイス以外にも応用可能か否かを検証するため、東洋紡製イムノチップを用いてSNP検出を試みた。基本的なPCR反応はこれまでと同様であるが、イムノチップのメンブラン上には、抗ビオチン抗体が結合されている。PCR後の操作としては、産物にperoxidase標識抗FITC抗体液を5分間反応させ、全量をチップに添加する。続いて洗浄液を添加し非特異的な結合を除去し、最後に発色基質溶液を添加し、SM)が存在すれば青色に発色する。つまりチップを2個用意し、一方には野生型検出プローブを用いた時の反応液を、もう一方には変異型検出プローブを用いた時の反応液を添加することによって遺伝子型を視覚的に判別することができる。これらを検討することにより、Ampdirectを用いて血液からの直接PCRが可能となり、DNA精製に要していた遺伝子診断時間を大幅に短縮することができた。また、高速サーマルサイクラーを用いることにより、従来約2時間を要していた遺伝子増幅時間を1時間にまで短縮することができた。さらにイムノチップの利用により、DNA検出ストリップ以外の検出デバイスでも良好な遺伝子診断が可能となった。