著者
田中 康雄 内田 雅志 久蔵 孝幸 福間 麻紀 川俣 智路 伊藤 真理 美馬 正和 金井 優実子 松田 康子
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター = Research and Clinical Center for Child Development, Faculty of Education, Hokkaido University
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-9, 2010

2009年に行ったわれわれの「発達障害のある方々への生涯発達支援の実践研究」について報告した。まず、発達障害は生活障害である。その視点に立つことで、われわれの実践研究を(1)養育者支援に関する研究、(2)保育・教育現場における支援研究、(3)特殊な生活環境における支援研究、(4)ADHDに関する調査研究と分類して、生活環境を中心に包括的な検討をした。われわれが向き合う「あなた」は、当初は養育者、次に当事者、さらにかれらを取り巻く関係者となる。同時に、われわれには、関係者といかに手を携えて総合的な支援策を構築するか、ということも求められる。最後に連携・ネットワーク作りからノットワーク作りへという移行を提案した。
著者
松原 豊
出版者
こども教育宝仙大学
雑誌
こども教育宝仙大学紀要 (ISSN:18847617)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.65-81, 2010-03-15

発達障害は早期に発見をしてその障害の状況等に応じた適切な支援を行うことが大切である。平成19年4月に特別支援教育がスタートし、小学校、中学校では体制整備が進んでいるが、幼稚園においては特別支援教育体制整備の取組は十分ではない。特に発達障害のある幼児に対する具体的な目標設定及び,指導内容の選定が大きな課題となっている。本研究では、発達障害のある幼児の二つの事例に対して、自立活動の考え方に基づく個別の指導計画作成及び実践を行った。その結果、自立活動の内容から幼児一人一人の教育的ニーズに応じた具体的な指導の内容を導き出すことができた。
著者
佐々木 正美
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.179-183, 2010-05-01

自閉症スペクトラム障害を含めた発達障害は, 過去の長い歳月正しく理解されずにきた. 養育, 治療, 教育等の支援や対応がきわめて不適切になされてきた結果, 当事者の情緒や行動の面に, 二次障害としての非社会的・反社会的特性を顕在化させる事例を, 数多く生み出すことになった. 本稿では現時点での臨床的・神経心理学的理解の到達点と養育・教育的支援の方策を概説して, 思春期をより平穏に乗り越え, 二次障害を回避するばかりでなく, 自立的な活動や適応にいたるための道筋の基本原理を解説する.
著者
濱田 豊彦
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.193-198, 2010-04-20
被引用文献数
1

文部科学省が実施した調査 (2002) において, 発達障害様の困難のある児童生徒が6.3%在籍していることが示唆された. ところが, 聴覚障害児の場合その発達障害合併事例の実態はつかめていない. それ故, 発達障害事例の人数をつかむための調査を行った. 全国の聾学校を対象にアンケート調査を実施した. その結果, LD様困難例が30.0%, ADHD様困難例が9.1%, 高機能自閉様の困難例が4.6%となった. いずれも聴児に比べ高率であった. <br>全質問項目を因子分析して困難を分類し, 因子得点を基に児童生徒をクラスタ分析した. その結果, 聾学校小学部では6つの群が抽出された. <br>クラスタの典型事例に対する指導経過を紹介した. 今後, 群化されたそれぞれの典型例と思われる事例について, 有効な支援方法を検討していくことが課題となると考える.
著者
近藤 直司
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.285-291, 2010-04-01

近年,さまざまな精神医学的問題をもつ青年期ケースの中に発達障害を背景とするものが少なくないことが明らかになってきている.本稿では,ひきこもり問題の精神医学的背景,発達障害の関連,ひきこもりをきたしやすい広汎性発達障害ケースの特性と予防的早期支援の考え方について述べる.また,広汎性発達障害ケースの心理療法的アプローチと地域の関係機関によるネットワーク支援の実際についても触れた.