・平成15年度予算で、荒木編集の論文集『<翻訳>の圏域:文化・植民地・アイデンティティ』(2004年2月刊)を出版し、全国および海外の研究施設に送付し好評を博した。また、雑誌『英語青年』(研究社出版)でリレー連載の形で、東アジア圏の研究者に自身の国で英米文学がどのように受容され、教育・研究がなされているかについて執筆してもらった。・平成16年度は、この2つの成果を受けて、3月19日・20日・21日の3日にわたり「国際シンポジウム」を開催した。発表はすべて英語で行った。・このシンポジウムを通じて、英語を第一言語としているマレーシアやシンガポール、インド、そして英語を第一外国語としている日本、韓国、台湾、トルコでは、事情が異なることがわかった。英語教育の場合でも、前者では国語教育の一環であり、後者では外国語教育となる。世界シェイクスピア学会副会長のマレシアのリム氏やインドのトリヴェディ氏からは、このシンポジウムが世界で最初の試みであり、今後こうした会議を継続的に行いたいという評価と提言があり、この会の発表をまず一年以内に論集の形で出版し、その後、研究誌を発刊したいという統一見解ができた。つまり、ポスト・コロニアル的状況下で、「アジアの英語文学」研究を推進するさらなるプロジェクトを立ち上げることになった。・こうした二つの成果を、「平成16年度科学研究費補助金研究実績報告書」として作成した。報告書の内容は以下のとおり:内容:・筑波大学国際シンポジウム・プログラム(Reception and Transformation of English Literature in Asia and Japan), pp.1-15・English Studies Relocated in New Asias(1)-(7)(『英語青年』連載), pp.16-51・さらに、現在、この論文を核として、上記シンポジウムに参加し発表した研究者の論文と他の研究者数名の論文をまとめ編集し、英語圏のマレーシアの出版社で出版するため、編集作業を行っている。
A new Monte Carlo model is introduced to describe the Diffusion-Limited Aggregation (DLA) with extra forces arising from the Lorentz's and/or Coulomb forces. Specific patterns grown under the external force are produced by Monte Carlo simulation. In the present model, the basic movement of particles is the random walk, with different transition probabilities in different directions, which characterize stochastically the effect of the extra forces. In some cases, pattern-formations which are qualitatively different from the standard DLA model are observed and they are compared with preexisting experiments.fractal dimensionDiffusion-Limited Aggregation (DLA)magnetic fieldcrystal growthcomputer simulationrandom walkMonte Carlo method
本年度は、前年度に収集を行った、上演に関する記録や、芝居や劇作家に対する評価をはじめとする歴史資料を基に、王政復古以降の劇場が置かれた社会的、政治的状況の再構築を試みた。とりわけ、政情に翻弄され、様々な変遷に晒された十七世紀の英国演劇の伝統が、いかに受容されたかを探ることで、英国初の職業的女性劇作家(Aphra Behn)を誕生させた契機、またBehnの死後、女性作家ブームとでもいうべき、芝居や散文によって生計を立てる女性たちが一気に出現することとなった状況などに対して考察を行った。具体的には、歴史資料に照らしながら、Behnによる翻案の際の作家としての戦略を分析した。そこで、翻案劇を創作する際の原作となった劇場封鎖以前や内乱期のThomas Middleton, John Tatham, Thomas Killigrewといった作家たちの作品と比較することで、それまでの男性の手による英国演劇がどのように用いられたのかを検証した。さらに、Behnの活躍を経た後の1695-96年の上演シーズンに、4人の女性が商業演劇界に登場するといった現象に注目し、その後、十八世紀に活躍したSusanna Centlivre, Hannah Cowley, Elizabeth Inchbaldへとつながる「女性作家」の流れを再考し、後続の女性作家たちの中にBehnとそのジェンダー・ポリティクスがどのように受容されていったのかを見出すことで、英国初の職業的女性劇作家と見なされるAphra Behnの存在意義を明らかにした。