著者
JUANITA Heigham ROBERT Croker
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

研究者達は、2010年の春学期を用いて前年度の予備研究データ分析及び本研究に関連する最近の研究についての調査を行うと共に、2011年秋学期の教師トレーニングワークショップとボランティア活動のための準備を行った。9月には椙山女学園大学及び南山大学の学生14名を対象に、3回の教師トレーニングワークショップを実施した。各分野の専門家により小児の発達についての概論、初級言語レッスンの準備と授業管理についての講義が行われた。さらに学生達はデモンストレーションレッスンにも参加した。ワークショップの模様はビデオ録画され、参加者はワークショップの体験についてアンケートの記入、提出を行った。ワークショップに続き、トワイライトスクールでの毎週の授業準備として、研究者達は週2回の生徒とのミーティングにおいて短い授業デモンストレーションを提供した。デモ授業は学生の参考のためにビデオ録画された。ミーティングでは学生も授業演習を行い、デジタル録画される生徒同士のフィードバックセッションに参加した。参加者には研究者が作成した授業計画が与えられた。多くの学生は前年度にも同じプロジェクトに参加していたため学生間の習熟度に開きがあり、一部の学生は提供された計画に従って準備を行う必要があったが、他の学生は与えられた授業計画に自分なりの変更を加えて準備を行った。トワイライトスクールの実際の授業は10月から12月にかけて行われた。11人の参加者(元の14人のうち3人はスケジュールの都合で不参加)は名古屋市の4つの小学校(星ヶ丘小学校、西山小学校、伊勝小学校、千石小学校)の各校でそれぞれ8回、200人以上の小学生に授業を行った。各参加者は授業の後、考察文を作成し研究者達に提出した。11月後半、研究者達はJALT全国会議にて2010年のプロジェクトについて発表を行った。現在、研究者達は集計されたデータの分析を行っており、本研究についての最終報告は2011年に公開する予定である。
著者
米田 継武
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

随意的に素早い筋運動が投・跳・打・蹴などの日常動作の根本にありその神経的機構が、主として大脳皮質由来の機能に依存するという立場で研究を進めている。研究の基本は運動の元になる動き以前の力発生解析であり、パラメータは研究開始以来筋電図放電量(時系列区間解析)、筋電図周波数特性、および随伴する脳電位活動特性である。現象の一般的事実抽出に主眼をおいた1、2年目から、この3年目は個人差の類型特定という点で特に加齢に伴う分布変動を、健常人の広い年齢層を対象に、膝関節伸展運動及び筋電図の量的・時間的特性から有効なパラメータを求める計画をたてた。また全体的な目的からは神経筋系統合観点また、筋電図学上の観点から、筋の駆動のための神経プログラムの内容を探索がなされる必要があることから、運動単位動員と脳波の連関現象も引き続き検索した。しかし3年目初期に、制御パラメータの確立には中枢性の機序背景、中でも1側運動の神経支配が中枢側でも実行されているかどうかという確認計画を挿入して行う論理的な必要が生じた。そこで今年度研究は、3つの方向性で進められることになった。つまり、(1)素早い力発揮の所要時間が健常人の年齢別分布、(2)1側動作における両側運動皮質の振る舞い。(3)素早い力発揮時の運動単位脱動員に関連する皮質活動電位を捉える、であった。計画(1)についてはこれまでの進捗と同方向なので順調にデータ蓄積を果たし、学会発表を行い(国内1と国際1但し後者は21年6月)論文の執筆が可能な状況に到達した。(2)は新たな基礎実験であったが、予想外に進行させることが出来て国内学会(1)に成果を発表できた。(3)の検討は(2)という新たに加えられた実行プランに影響を受け昨年同様実験進度の低い状況となった。総じてこの手法により、個人差の類型特定という点と、実際のすばやい'運動'に適用を拡延して行くこととで研究の土台は確実に構築された。
著者
森下 久 林田 章吾 伊藤 淳 藤本 京平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.687-697, 2002-05-01
被引用文献数
15

携帯端末がますます小形・機能化が行われているなか,それに使用されるアンテナは携帯端末機外側には現れない,アンテナの内蔵化の要求がますます高まってきている.また,小形になった携帯端末を実際に使用する際,使用者の多くは人差し指を立てた状態で携帯端末を保持するようである.ここでは,人体(頭,手及び指)を考慮した携帯端末用内蔵アンテナの特性について電磁界シミュレータを用いて解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは,人体頭部と携帯端末機を持つ手及び指からなる人体モデル,及び金属筐(きょう)体に取り付けられたアンテナから構成される.内蔵アンテナには,既に実用されている平板逆Fアンテナと平衡給電型アンテナとして提案されている折返しループアンテナの2種類を用いている.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とおおむね一致し,人体モデルの影響を含めて携帯端末用アンテナの特性を比較的精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,W-CDMAの周波数帯において携帯端末に取り付けられた平板逆Fアンテナの特性を実用の携帯端末機に多く用いられている5/8波長モノポールアンテナの特性と比較して計算した.その結果,平板逆Fアンテナの放射効率は,人体モデルの影響を受け,指まで含めると約20%近くまで劣化することがわかった.折返しループアンテナにおいては,平板逆Fアンテナに比べ,金属筐体に電流が流れていないため,放射効率が約10%程度良くなっていることがわかった.
著者
山下 美樹 遠藤 孝夫 池田 幸夫 神山 貴弥
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は、東奥義塾における教育の実態を探る為の基本的資料の発掘、並びにその収集という平成16年度の取組みの上に、さらに下記6項目についての資料収集を行った。1.昨年度収集した外人教師ジョン・イング(JHON ING)以外に、東奥義塾草創期からその衰退期にいたる外人教師に関する資料。2.昨年度からの継続として、弘前第二小学(現和徳小学校)の教員の質を裏付ける履歴書、並びに諸資料の発掘。3.弘前第二小学の教員によって組織された「自他楽会」と称する読書会、勉強会にかかわる諸資料の収集。その中には、約600冊に上る「書物」の一覧表、貸出簿等が含まれている。4.地元新聞「東奥日報」における、学校記事を含む明治期の教育関係関連記事に関する全資料。5.明治10年から18年に西津軽郡山田小学校で学んだ成田らくの授業ノート(算数、理科)。6.藤崎村における外人教師ジョン・イング(JHON ING)の動向。特に青年教育(農業指導)に関する資料の発掘。これらの資料は、直接的に、また間接的に東奥義塾における教育の実態を明らかにするものである。なお、本研究成果は平成18年度中に下記8章で構成される図書として広く公に資する予定である。1.福沢諭吉がめざした日本の近代化-窮理に託した福沢の願い-2.藩校「稽古館」から東奥義塾へ-全国にあった文化の原点-3.東奥義塾での革新的な動き-自然科学の授業はかくあるべし-4.天覧授業(授業再現)-明治天皇を仰天させた5人の塾生-5.東奥義塾生海を渡る(留学の記)-私費による留学-6.文学社会(総合学習の精神ここにあり)-これぞ福沢のめざした近代の精神-7.自由民権運動への流れ(東奥義塾党)-東奥義塾の光と陰-8.東奥義塾が果たした役割-地方には地方の意地があり、それが革新的な教育を生む
著者
寺崎 秀則 田上 正 津野 恭司
出版者
熊本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

1.未熟胎仔ヤギでのto and fro venovenous bypass ECLA安全性と有効性の実証:帝王切開にて娩出した, 在胎118〜139日, 体重700〜3190gの未熟胎仔ヤギ6例で, 頚静脈よりthin wall catheterを心房まで挿入して1本のカテーテルで交互に脱送血をくり返すto and fro venovenous bypass ECLAを実施した. 在胎132日以上, 体重2400g以上の3例は, 18時間〜32時間のECLA実施後, 気管内チューブを抜去でき, 自力でガス交換と経口摂取が可能となった. 在胎120日, 体重2000gの1例は, 87時間のV-VバイパスECLAの後離脱できたが, ベンチレーターで管理中に急に呼吸不全状態となりECLAを再開した. しかし, ガス交換補助が不十分であったため, V-VバイパスからV-Aバイパスへ変更した. 203時間のECLAを実施したが, 生体肺のガス交換能が全く改善しなかったのでECLAを断念した. 解剖の結果, 気道ならびに肺胞内は膿性の分泌物が充満していた. ベンチレーターならびに気道管理不良による感染で重症肺炎を合併したものと考えられる. 体重700g, 1250gの2例は, 未熟度が高度で, 低酸素症の改善がないまま, バイパス開始2時間で低血圧ついで心停止をきたして死亡した. 生体肺のガス交換能と心機能が未熟で, V-Vバイパスでは生命維持に必要な心肺機能を補助代行できなかったためであろう. 超未熟児の重症例ではV-VバイパスECLAよりV-Aバイパスが良いと考えられる.2.ECLAの臨床応用:在胎34週, 体重2000gのRSD患者がベンチレーター療法で気圧外傷を合併し, ガス交換が不良で生命の危険が迫ったのでECLAを実施した. 3日間のECLAで救命できた.以上のように, 頚動脈を損傷しないで済むto and fro venovenous bypass ECLAは, 体重2kg以上の新生児重症呼吸不全の治療に臨床応用可能である.
著者
永森 静志 水谷 悟 新谷 稔
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

平成8年度におけるこのプロジェクトにおける成績は、申請者らが樹立したヒト由来肝細胞を、ガラス担体(シラン)を用いたラジアルフロー型バイオリアクター(RAD)で培養すると、担体の内部や表面に細胞が3次元的配列を保ちながら増殖した。これは走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡で観察可能であった。酸素消費量やグルコース消費量から算定し10^8cells/ml-matrix以上の高密度培養が可能で、200ml容量のRADで総細胞数は2.88×10^<10>個となった。他の重要な肝機能としてのアンモニア代謝や、薬物代謝としてナファモスタットメシレートやアンチピリンについて検討し、機能していることを確認した。RAD本体の改良は、坦体の粒子や孔の大きさ、表面のコーティングなど検討したが現在の坦体に勝るものは見つかっていない。体外循環量の減量には、50ml容積のリアクターの作成と回路チューブの狭小・短縮により総体外循環量を200ml以下に減量した。また体外循環回路の改良は血漿への酸素の供給やRADの血漿流速のコントロールが必要である。協同開発者の旭メディカルとエイブルによりフォローファイバー薄膜による酸素供給システムと、RADへの流速を維持するための血漿リサイクル回路を作成した。、その制御システムの基本的設計の終わり、実用化への開発を行っている。一方RADを生体に装着した際の安全性確認のために、ブタを用いて検討を加えた。実際のヒトへの応用を考え、頚静脈にカテーテルを挿入し毎分30mlの血漿を分離、これをRADに環流した。5時間の還流経過中ブタのvital signは安定していた。一般に体外循環システムで問題となる血管拡張、降圧作用のあるbradykininの血中濃度を測定したところ、細胞培養の有無に関わらず、増加傾向を認めなかった。このシステムの生体への安全性が明らかとなった。
著者
内藤 哲 正木 春彦
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

シロイヌナズナのシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)mRNAとtRNAに特異的な大腸菌ヌクレアーゼであるコリシンDとE5によるtRNAの分解制御機構の解析を行った。CGS mRNAはS-アデルシルメチオニン(SAM)存在下ではSer-94の位置で特異的な翻訳停止を起こし、これが引き金となってmRNAが分解されると考えられる。CGS遺伝子の第1エキソン領域とレポーター遺伝子をつないでpSP64ベクターに組込み,試験管内転写で調製したRNAを用いてコムギ胚芽抽出液の試験管内翻訳系での解析を行った。SAMに応答した翻訳伸長停止でリボソームは転座の段階でアレストしており、翻訳中間体のペプチジルーtRNAはリボソームのA部位にあることが示された。CGS mRNA分解中間体は約30塩基ずつ離れて複数個が検出されるが、これは最初に翻訳を停止したリボソームに後続のリボソームが追突した状態に対応していることを示す結果を得た。コムギ胚芽抽出液でRNaseの働きを阻害するとされるポリGを添加した解析により、少なくとも最初に停止したリボソームに対応する3'側のmRNA分解中間体に対応すると考えられる5'側の断片が検出され、エンドヌクレアーゼによる切断であることが強く示唆された。Try, His, Asn, AspのtRNAに特異的なコリシンE5の構造と基質認識を解析した。コリシンE5はジヌクレオチドGUをよい基質とするが、基質ポケットの空間制約が、基質tRNAのGUを含むアンチコドンループへの高い特異性を与えることを見いだした。tRNA(Arg)に特異的なコリシンDを出芽酵母とHeLa細胞で発現させると、リボソームやRNAポリメラーゼの合成が上昇する一方、Argの生合成が抑えられ分解経路が活性化されていた。また、tRNA障害が酵母の接合機能を昂進することを見いだした。
著者
東山 篤規
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究によりつぎの2点が明らかにされた.1)地図をたよりに歩きながら,ある地点から別の地点に移動するときには,我々は距離,方向,ランドマーク(LM)の手がかりを用いていると考えられるが,この研究ではどのようにそれらを用いているのかを認知心理学的に明らかにしようとした.実験では,距離,方向,ランドマーク(LM)の3手がかりがすべて与えられた地図,1つあるいは2つの手がかりしか与えられていない地図を数種類用意して,各地図に対して正しく歩くことができた被験者数とその歩行速度を比較することによって,うえの3手がかりの相対的な効果性について検討した.我々の実験の結果によれば,もっとも重要な手がかりは,LMであり,ついで方向,もっとも重要度の低い手がかりは距離であった.竹内(1992)の「方向音痴尺度」をもちいて,あらかじめ被験者の方向音痴の程度を尺度化し,そのあと各被験者に対して,地図を見ながら方向の判断を求めたところ,判断エラーと方向音痴尺度の間には,まったく相関が認められなかったが,反応時間と方向音痴尺度との間には相関が認められた.すなわち,方向音痴の自覚が高い被験者は,方向判断のエラーの数は,通常の人と変わらないが,反応までに長い時間を必要とすることがわかった.
著者
新垣 紀子 野島 久雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.44, pp.35-40, 2002-05-03
被引用文献数
1

人のナビゲーションの支援のあり方について、心理学的な観点とビジネス的な観点から概観するとともに、心理学的な観点をどのようにしてシステムの構築に取り入れていったらよいかについての検討を行う。
著者
竝木 崇康
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日英語における複合名詞と複合形容詞の意味研究の精密化を目指し、次のことをした。(1)ある種の「意味の稀薄化」が起きている複合語について「特質構造」の概念を用いて意味解釈の仕方の方向性を示した。(2)「~一流」、「~よろしく」等における「複合語に特有の下位意味」の特徴を考察した。(3)「食べ放題」などにおける「放題」という表現について、現代日本語における意味と用法、15世紀からの日本語における意味と用法の変化について考察し「放題」は複合語に関わる「文法化」の例と考えられると指摘した。
著者
田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.80-89, 2006-03-15
被引用文献数
4

複数の低解像度画像から,1つの高解像度画像を再構成する方法として超解像処理がある.超解像処理では,高解像度画像の低解像度画像に対する倍率が重要なパラメータとなる.本論文では,倍率の設計を容易にする超解像の条件数定理を示す.条件数定理は,低解像度画像数が無限であると仮定したとき,任意のPSF(Point Spread Function)に関する超解像方程式の条件数の算出方法を導く定理である.条件数定理により算出される条件数を比較することにより,高解像度画像の低解像度画像に対する倍率およびPSFを設計することができる.また,本研究では,ML(Maximum Likelihood)法に関しての勾配制約も示す.勾配制約とは,PSFのパワースペクトルがML法の評価関数の微分を制限するというものである.条件数定理と勾配制限は理論的に導かれる.具体的にBox型PSFとGaussian型PSFの解析を示し,また,合成画像を利用した実験によりその有効性を確認する.This study presents and proves a condition number theorem for super-resolution (SR). The SR condition number theorem provides the condition number for an arbitrary space-invariant point spread function (PSF) when using an infinite number of low resolution images. A gradient restriction is also derived for maximum likelihood (ML) method. The gradient restriction is presented as an inequality which shows that the power spectrum of the PSF suppresses the spatial frequency component of the gradient of ML cost function. A Box PSF and a Gaussian PSF are analyzed with the SR condition number theorem. Effects of the gradient restriction on super-resolution results are shown using synthetic images.