著者
西 薫 辻 ひとみ 中村 哲史 山本 明美 飯塚 一
雑誌
皮膚病診療 (ISSN:03877531)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-42, 2005-07
被引用文献数
1

出版社版79歳男.脳出血,脳血管性痴呆の既往があった.疥癬治療後,両上肢に無症候性紅色結節が出現した.受診時,両上腕,腋窩,肘内側に直径2cmまでの暗赤色で表面平滑,境界明瞭な結節を認めた.苛性カリ検査は陰性であり,皮膚生検を行った.病理組織学的所見では血管,附属器周囲にリンパ球,組織球様細胞と少数の好酸球を,真皮上層に多数の炎症性細胞浸潤を認めた.免疫染色ではCD3,CD45RO陽性のT細胞とCD20,CD79陽性のB細胞の浸潤を,また,S100陽性細胞の多数浸潤を認めた.post-scabetic nodulesと診断した.ステロイド外用により約半年で略治した.本疾患は疥癬治療薬の無効な反応性病態ととらえられ,疥癬の治療歴のある患者においては念頭に置くべき疾患であると考えられた。
著者
酒井 麻衣
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2008

小型ハクジラ亜目は、接触や同調を用いてコミュニケーションを行う。本研究では、その詳細や発達・進化を明らかにすることを目的とし、野生個体の水中観察、飼育個体の観察、バイオロギングの3つの手法を用いて研究を行った。その結果、ミナミハンドウイルカの呼吸同調が親和的社会行動の一部であることを示した。また、マイルカ科とネズミイルカ科では胸ビレを用いる社会行動に相違がみられることや、社会性が乏しいとされてきたスナメリが他個体と社会関係を築く可能性を示した。
著者
五十嵐 辰男 村上 信乃 富岡 進 阿部 功一 井坂 茂夫 岡野 達弛 島崎 淳松 嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1310-1315, 1989-09-20
被引用文献数
7 1

1978年1月より,1988年7月までに,千葉大学および旭中央病院泌尿器科で腎摘除術を施行した151例を集計した.偶然に発見された腎癌(「偶然発見癌」)は41例であり,受診動機としては他疾患治療中が28例,人間ドックが10例,集団検診3例であった.このうち,34例(82.9%)が超音波断層法で,4例がCTスキャンで,3例が排泄性腎盂造影で最初に発見された.「偶然発見癌」の腎癌全体に占める割合は,年次を経るにつれて有意に増加した(p<0.001).初診時または発見時,顕微鏡的血尿を認めたのは8例(19.5%)に過ぎず,スクリーニングとして検尿のみでは不十分で,超音波断層法も必要であると思われた.なんらかの症候を有する「症候癌」は102例,転移巣が最初に診断される「オカルト癌」は8例であった.「偶然発見癌」はこれらに比し有意にlow stage(p<0,001),low grade(p<0.001)であった.さらに,pT1〜2b,または長径10cm以下の症例において「偶然発見癌」の生存率は「症候癌」より良好であり(p<0.05),このような症例では腫瘍の早期発見による治療効果があったと思われた.
著者
久保田 彰 古川 まどか 小松 正規 花村 英明 杉山 正人
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.149-156, 2006-03-20
被引用文献数
2 4

化学放射線同時併用療法(CDDP/5-FU)後のadjuvant chemotherapyの有用性を検討した.対象は前治療のない根治切除可能な頭頸部扁平上皮癌の41例で,病期はIIIが9例,IVが32例で,下咽頭が14例,喉頭が12例,口腔が9例,中咽頭が6例であった.放射線終了1ヵ月後から外来でUFTE顆粒を400mg/日の連日内服とNedaplatinを80mg/m<sup>2</sup>の点滴を4週ごとに6コースを計画した27例をadjuvant群とし,adjuvant chemotherapyを希望しなかった14例を対照群として生存率,progression free survival (PFS)率をWilcoxon法で検定した.Adjuvant群の投与回数の中央値は6コース(1-6コース)でgrade3の毒性は白血球減少を15.4%,血小板減少を7.7%に認めた.1例が胃潰瘍で死亡した.生存期間の平均はadjuvant群が30.1月(5.5-50.1月),対照群は21.7月(6.6-48.3)で,PFSの平均はadjuvant群が22.8月(3.6-50.1月),対照群は16.3月(4.0-48.8月)であった.2年生存率はadjuvant群が73.7%,対照群が55.7%で,2年PFS率はadjuvant群が66.9%と対照群の27.8%より有意に良好であった(p=0.03290).特に同時併用の奏効度がPRではadjuvant群の2年PFS率は59.3%と対照群の15.6%より良好であった(p=0.01102).局所•頸部リンパ節再発はadjuvant群が29.6%と対照群の64.3%より低い傾向であった(p=0.0716).両群とも遠隔転移はなかった.臓器温存率はadjuvant群が66.7%と対照群の35.7%より高かった(p=0.1183).化学放射線同時併用療法後のadjuvant chemotherapyは局所再発率を減少することが示唆された.
著者
小林 哲則 藤江 真也 小川 哲司 高西 敦夫 松山 洋一 岩田 和彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

言語・パラ言語の生成・理解処理を高度化することで,複数の人間と自然なリズムで会話できるコミュニケーションロボットを実現した.また,このロボットを用いて,人同士の会話を活性化することを試みた.この目的のため,ロボットへの性格付与とパラ言語表現機能を考慮したロボットハードウェア,会話状況に沿うロボットの振る舞い,魅力ある会話の進行方式などを設計した.また,ロボットの聴覚機能および発話方式の高度化についても検討した.
著者
鵜飼 貞二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, 1979-01-01
著者
渡辺 昌介 横村 宏司 市川 隆幸
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.20, pp.186-187, 2004-08-10

保存する書類には新聞や雑誌の切り抜き、年賀状や名詞などの個人情報の保存や、企業内や企業間で必要とする書類の保存などがあるが、ここでは公的な書類の電子データとしての保存の方法や検索について述べる。
著者
錦野 将元
出版者
日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

超短パルス・単色・高輝度という特徴を持つ軟X線レーザーとレーザープラズマX線を培養細胞集団程度の大きさまで集光できるパルス軟X線マイクロビーム照射装置を開発し、X線照射によって誘発される放射線影響に関する研究を実施した。本装置を用いて複数のがん細胞へのX線照射を行い、光子エネルギーの異なる2種類のX線を用いた細胞の放射線影響(DNA二本鎖切断生成)に関して細胞核内で発現する影響の違いを免疫蛍光染色により観察することができた。また、放射線誘導性バイスタンダー効果を評価するために、X線照射後に照射細胞および照射細胞周辺で応答するタンパク質を免疫蛍光染色で観察することにより周辺細胞への放射線照射によるストレスの伝搬を観察し、バイスタンダー効果の直接観察を行った。
著者
村上 正子
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

環境国際紛争において民事司法へのアクセスを確保するためには、環境紛争の特殊性を考慮し、紛争の性質・内容、紛争当事者の多様性にあわせて救済の方法(紛争処理方法)も被害者のニーズに合わせて多様化すべきであると同時に、裁判所への提訴の確保のみならず、損害賠償も統一的に確保するためには、特定の分野で条約による統一ルールを作成する必要があり、それを国内法で受け入れられるだけの制度(環境団体訴訟も含む)の整備が不可欠である。
著者
松本 エミ子 峯木 真知子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.183-187, 1981-10-20
被引用文献数
2

グリーンピース・スープの材料の破砕について、冷凍グリーンピースを用い、加熱時間、破砕方法の影響を組織学的に調べ、官能検査を行った。1) 冷凍グリーンピース・スープの豆分散物の形状はビマン状の澱粉、蛋白質のほか、細胞細片、遊離澱粉粒、単離澱粉貯蔵細胞、破砕組織片などである。2) 冷凍グリーンピースの破砕は、裏ごしとミキサーで差がみられるが、加熱時間の影響は小さい。破砕後加熱すると破砕時の分散物の状態は大差なくなる。3) 冷凍グリーンピースを用いたグリーンピース・スープでは、官能検査結果から5分力加熱の豆でもミキサーを使用することで簡便に満足できるスープが得られる。なお、グリーンピース・スープにおいてグリーンピースの破砕程度と添加物によるスープの色、物性なと多くの問題があり、今後の興味ある課題であると考える。

1 0 0 0 食わず嫌い

著者
荻野 隆彦
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, 2006-11-01
著者
金丸 但馬
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.93-94, 1970-09-30
著者
伊藤 純 隈井 裕之 中島 晃 谷口 茂樹 柏 博文
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.253-254, 1992-09-28

ワープロの普及に伴うユーザ層の拡大とともに誰でも簡単に入力できる文字入力方式の開発が重要なテーマとなっている。そこで我々は,「AIかな漢字変換」や「モードレス入力」等を提案・開発してきた。パーソナルワープロでは,「年賀状・はがき作成」のため,住所録機能の使用頻度が高い。ところが,従来のシステムでは,地名の変換率が低く,使いやすいとは言い難かった。原因は,一般文書のような文法構造を持たない地名の入力に,一般文章用の変換アルゴリズムや辞書を使用しているためである。そこで,今回,地名入力の変換率を大幅に高める専用辞書と変換アルゴリズムの開発を行なった。
著者
向後 千春
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、オンライン大学に入学した社会人を対象として学習継続要因を調査した結果、以下のことが明らかになった。(1)ポジティブな要因としては、eラーニングでの受講形態、時間管理のスキル、学費の工面や家族の協力がある。ネガティブな要因としては、孤独な学習環境が心理的・物理的距離感に影響を及ぼす可能性が示唆された。(2)オンライン大学の学生は、学友とのつながりが、教員・教育コーチへのコミュニケーションに影響を与える要因となる。これらの結果は生涯学習のためのeラーニングシステムを構築するための示唆となるだろう。
著者
金丸 但馬
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-28, 1970-03-28
著者
加藤 貞夫
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.93-96, 1991-08-21

大切なメモをなくした時の思いは、本当にせつないものである。最近は情報量が爆発的に増えてきて、大切な情報がかえって埋没して困ることが多い。また、欲しい情報はなかなか入手できない。これらの問題点を探り、その対策を年賀状、パンフレット、切り抜きなどの身近かな情報の整理を実践例から考察する。
著者
野副 鉄男
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, 1979-01-01
著者
菅野 聡美
出版者
琉球大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本年度の研究実施計画に基づき、上京しての資料調査、複写、及び資料の購入を行った。加えてこれまでに収集した資料を読み込み、研究を進め、その一端を論文の形で発表した。具体的には以下のとおりである。1、研究の実施結果(1)琉球レビュー、同時代の演劇・舞台関係資料の収集と研究。(2)琉球レビューの発案者である秦豊吉に関する資料収集と研究,(3)琉球レビュー上演の場であった日劇をはじめとする劇場各社の社史や、演劇史・芸能史の把握。(4)猟奇・変態雑誌に掲載された沖縄出身知識人の言説や沖縄に関する記述の収集と検討。2、研究成果(1)沖縄の文化(舞踊、演劇、音楽など)研究は、ともすれば「沖縄」という枠内で進められ、本土の芸能史との相互関係が考慮されてこなかった。日本の音楽史・芸能史といった文脈に位置づけることで今後の研究の可能性が広がった。(2)日本の文化・芸能の歴史を考察する上で、西洋文化の受容と影響は無視できない。つまり異文化接触やアイデンティティーの問題として芸術史を考察する必要に気づいた。(3)資料の検討により、国策協力、国家権力による規制と介入、文化の政治利用といった政治的な観点から、大衆娯楽や芸術を検討することの有用性を確信した。3、研究成果発表本研究で収集した資料を用いて「琉球レビューと額縁ショー」を執筆、単行本に掲載された。