著者
萬處 展正
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.141-144, 2000

高校物理の実験で速度測定が容易になれば,生徒実験が増加し,データ分析も取り組みやすくなると期待できる。「ビースピ」は玩具であるものの,速度測定器として力学実験に使いやすく,精度の上でも実用性があるという結論を得た。生徒が楽しみながら物理現象や概念の理解を深める器具であることを,実験の具体例を挙げながら考察する。
著者
佐久間 春夫
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、試合などでの比較的長時間の注意集中を求められるオープン・スキル系の選手を対象に、競争ストレス下での注意能力の変動について明らかにするとともに、競技パフォーマンス向上の為の注意メカニズムの検討とバイオフィードバック技法の方略を明らかにして随意的コントロールの可能性についての検討を行った。実験ではサッカー、ラクロスなどのオープン・スキル系種目の重要な要素とされている「息の合う」プレーを注意力を構成する一要素と捉え、協同作業における精神生理学的特徴について調べた。重回帰分析を行った結果、「息が合う」ことに影響を及ぼす要因として、息づかい、心拍数が見いだされた。この結果に基づき、注意力を維持する呼吸法についての検討を行った。呼吸法として、順腹式呼吸法、逆腹式呼吸法、太極拳式呼吸法を取り上げ、心拍数と脳波を基に調べた結果、逆腹式呼吸法と太極拳式呼吸法で、覚醒水準が保て、α波と負の相関が見いだされ、呼吸法と脳波のパターンを組み合わせたバイオフィードバック・システムの構築についての基礎的なデータを得た。次に、事象関連電位(CNV, PINV)を用い、競争ストレスによる注意機能の低下現象を明らかにした。特に、前頭部における低下を見いだせたことは、これまでの注意モデルに客観的な生理学的検証を示したといえる。さらに、触れることによる注意水準の維持を狙った健康運動を用い、情動や認知機能に及ぼす影響を調べた。認知機能の指標としてP300を用い、積極的な効果を検証すると共に、右半球の前頭部におけるα波の顕著な出現を見いだし、情動面の改善にも有効なことを見いだした。
著者
萬處 展正
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.156-159, 2002

従来,「糸を伝わる波の速度」の実験では,長いバネを代用してきた。しかし,糸でも十分な長さがあれば実験可能であることが判明した。また公式の検証より公式の導出をねらいとしたスタイルにして取り組ませたところ,納得のいく結果が得られた。導出の過程で両対数グラフを用いるなど,他教科との乗り入れを行い,総合的な学習の時間に取り組むテーマにもなりうる。
著者
石川 国広
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、学校カリキュラムへのアドベンチャー教育導入の可能性を検討することである。ここでいうアドベンチャー教育とは、体験教育・体験学習をベースにしたPA(Project Adventure)のことを指し、体育学のみならず教育学や心理学の領域の理論や知見を統合した教育活動といえる。宮城県では、県教育庁が主導でMAP(みやぎアドベンチャープログラム)事業と銘打って、PAJ(Project Adventure Japan)の指導のもと、全県(仙台市を除く)をあげて学校教育に取り入れる方針で、平成11年度より動き出した。平成13年度は、前年度よりも小学校の指定校が6校増えて小・中・高校とも各7校となり、平成14年度の全学校への普及・展開に備えている。最終的には、小学校328校、中学校159校、高校85校の合計487校における全ての教育活動でのMAPを取り入れた実践と、全ての教員のMAPの理解が目標とされている。最終目標が高く、教育庁からのトップダウン形式での導入なので、現場の教員の戸惑いや不安、無関心も多く、指定校でも進行状況には格差があるのが現状である。問題点としては、講義や資料のみでは教員側の理解を深めることが出来ず、体験を積み重ねる必要があり、指導者養成に時間と労力がかなりかかる点。実践場面での難しさとしては、PAの理念やコンセプトを既存の授業等に織り込む点と、教案通りに授業が進行するとは限らず、学習者の状況や反応を見た上で、臨機応変にその場で教案を書き換える能力が教員に問われる点等があげられている。しかし、積極的で意欲的な教員が中心となって徐々に定着している例も見られ、成果も上がってきており、今後の展開が期待される。提言としては、学校の管理職や行政サイドのスタッフ自身がPAの理解と体験を深め、県教委やMAP事務局が推進のためのハブ組織として機能すること等があげられる。
著者
布施 晴美
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、双生児と母親との母子関係形成プロセスの特徴を明らかにすることを目的に、双生児育児中の母親を対象に双生児が生後1か月から18か月になるまでの期間に縦断的調査を実施した。双生児育児を始めた最初の1か月というのは母親にとって重要な時期であるが、母子の関係性を見る上で、3か月も注目すべき時期であることがわかった。双生児が3か月になる頃は育児に慣れる時期と考えられるが、この時期にうまく育児に取り組めているのか、母親が自信を喪失していないか、双生児をどのようにとらえているのかを確認する大切な時期であると考えられた。
著者
Isamu Shiina Keisuke Ono Kenya Nakata
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.147-149, 2011-02-05 (Released:2011-01-08)
参考文献数
18
被引用文献数
48

A variety of optically active 1-heteroarylalkanols and their esters, which include heteroaromatic moieties, such as 2-furyl, 2-thienyl, 3-thienyl, 2-thiazoyl, 2-benzothiazoyl, and 2-benzoxazoyl groups, are efficiently produced by a novel asymmetric esterification. The transition states that form the desired (R)-esters from the (R)-1-heteroarylalkanols are determined by DFT calculations, and the structural features of these transition states are systematically discussed.
著者
竹山 重光
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

・X線画像をはじめとする画像技術の普及および進展によって、人間のからだにたいするイメージや知識が大きく再構成された。・それらイメージや知識は医学医療側によって占有的に囲い込まれており、生きられるからだはいわば不在になっている。・そうした状況下にあってわれわれは、医学医療という科学技術の営みとどうかかわるべきか。事実的に、われわれが抱くイメージおよび知をそれが構成している以上、それと訣別することはできない。囲い込みの柵を破って、われわれ自身がこの営みに近づき、ハイデガーの言う「技術との自由な関係」を結ぶべく努めるしかない。・画像制作を先導している諸概念、諸志向をわれわれ自身が追跡し言語化しなければならない。・そしてその際に、医学医療の営みに相当ジェンダー・バイアスがあること、これが手がかりとなる点であり、また留意すべき点である。
著者
藤田 禎三 ターナー マルコム リード ケネス エゼコビッツ アラン 水落 次男 小林 邦彦 松下 操 TURNER Malcolm w REID Kenneth b m
出版者
福島県立医科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

1).マンノース結合蛋白(MBP)はマン-スやN-アセチルグルコサミンに結合特異性を持つ血清レクチンの一つで、補体活性化能が有り、生体防御上重要な役割を演じている。MBPによる補体活性化のメカニズムに関しては次の2つの説が提唱されている。一つは、補体第一成分C1と同様にMBPはC4,C2の分解にプロテアーゼ成分としてC1の亜成分C1rとC1sを用いるとする考え方である。これはイギリスのReid博士らのMBP-C1r/C1s複合体が形成し得ることを示した再構成実験に基づく。一方,我々の連休からヒト血清MBP画分からC4,C2分解活性能を有するプロテアーゼMASP(MBP-associteel sereine pntease)が単離されたことより、MBPはMBP-MASP複合体を形成して働いているとする見方である。生体的でMBPによる補体活性化(レクチン経路)のメカニズムを解明する上で、MBPとC1r/C1s,MBPとMASPなどの結合性が重要な手がかりとなる。そこで、MBP-MASP,C1の亜成分間の結合性を結合定数の測定により検討した。Reid博士らの調製したC1と我々の調製したMBP-MASPを材料として蛋白成分間の結合状態を調べる装置であるBiacoreを用いてMBP-MASP,MBP-C1r/C1s,C1g-MASP,C1q-C1r/C1s各々の結合定数を求めたところ、これらの値はほぼ同程度てあることが判明した。血清中よりMBP-MASP,C1q-C1r/C1sのみ得られることを考慮すると以上の結果は、これら2つの複合体は何らかの制御機構を受けてin vivoで形成される可能性を示唆している。2).MBP欠損患者が高頻度(白人で5-7%)で知られており、幼児における易感染性との関連が報告されている。これらMBP欠損患者のMBP遺伝子では塩基230の点突然変異でコドン54がGGC→GACに変化していることが明らかにされている。これはMBP蛋白のグリシン(G)がアスパラギン酸(D)への置換につながる変異であり、この結果,変異MBPは合成されても生体内で分解が速いものと推定されている。アメリカのEzekouitg博士らは正常タイプのMBP(MBPG)と変異MBP(MBPD)のリコンビナント体を作製して両MBPの性状を検討した。その結果MBPGがヒト血清中の補体活性化能を示したのに対して、MBPDには本活性が損われていた。そこで,このような活性の違いの原因を解明する目的でMBPとMASPとの反応性に着目して検討を行った。その結果、EZRkouitg博士の調製したリコンビナントMBPのうち、MBPGはヒト血清MBPと同様にMASP共存下、補体成分C4,C2分解を伴なう補体活性化能を示したが、MBPDにはその活性が見られなかった。更に、MBPとMASPとの結合性を検討したところ、MBPGはMASPと結合したのに対して、MBPDは結合しなかった。以上の結果より、MBPDに補体活性化能が損なわれている原因として、MASPとの結合活性がないことが明らかとなった。(投稿中)。3).リウマチ患者血清中のIgGの多くは、非還元末端のガラクトースが欠損して次のN-アゼチルグルコサミン残基が末端に位置している異常な糖鎖構造をしている。MBPはN-アセチルグルコサミンに親和性を持つので、このガラクトース欠損IgGにMBPが結合すると補体活性化をおこし、それがリウマチの病態と関連がある可能性が考えられる。そこで、リウマチ患者血清IgGへのMBPの結合性を調べたところ、正常人のIgGに比べて、より多くのMBPが結合することがわかった。更に、このMBP結合性IgGをプロテインGカラム及びMBPカラムを用いて単離後、MBP-MASPによる補体活性化能をC4消費を指標に調べたところ、明らかな活性化を示した。また、このIgGはIgMタイプのリウマチ因子と複合体を形成していた。これらの結果より、リウマチ患者血清中の異常な糖鎖構造をもつIgGを含大複合体がMBP-MASPを介したレクチン経路の活性化を起すことが明らかとなった。
著者
関 一敏
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.26-33, 1985-12-01
著者
大山 莞爾 島田 多喜子 大谷 基泰 森 正之 濱田 達朗 福澤 秀哉
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

ゼニゴケY染色体は、主にその特異的反復配列からなる領域YR1(約4Mb)と、その他の領域YR2(約6Mb)に大別される。YR2はさらにContig-AとContig-Bの2領域に分かれている。YR2のContig-AおよびContig-Bのいずれにおいても100kb当たり1個の頻度で遺伝子が見いだされた。これを常染色体における遺伝子密度と比較するため、まずゼニゴケゲノム全体がコードする遺伝子数を推測した。進化的にゼニゴケに近い陸上植物であるヒメツリガネゴケは約2万5千個、緑藻クラミドモナスは約2万個の遺伝子を有するとされている。従って、ゼニゴケゲノムがコードする遺伝子数は2万〜2万5千と考えるのが妥当であり、その遺伝子密度は100kb当たり7〜9であると予想される。しかし、YR2における遺伝子密度は、偽遺伝子などを含めても100kb当たり2遺伝子である。さらに、ゼニゴケESTの約40%が他生物種由来の配列と相同性を示さないことから、相同性検索によって検出できるゼニゴケ遺伝子の数は全体の60%程度であると考えられる。このことを考慮するとY染色体の遺伝子密度は最大で100kb当たり3程度であり、少なくともYR2における遺伝子密度は常染色体に比べて低いと言える。実際、ヒトY染色体の場合でも常染色体に比べて遺伝子密度が低いことが知られており、Y染色体が遺伝子を失う方向に進化していることを改めて裏付けた。YR2配列について、90%以上の相同性を示す100bp以上の反復配列を検索したどころ、その約75%が反復配列であった。遺伝子はこれらの散在する反復配列の間に存在していた。反復配列の中には、レトロトランスポゾンなどの転移因子や常染色体にも存在するものも含まれていた。これは、ゼニゴケY染色体の進化の過程でY染色体に特異的な反復配列を高度に蓄積していったYR1とは対照的である。
著者
工藤 寿美 堀 哲夫
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々はこれまでに鎖肛ブタ家系を構築し責任遺伝子の主座が15番染色体上にありGLI2遺伝子を候補遺伝子として同定した。本研究の目的はSNPをマーカーとしてGLI2遺伝子における連鎖解析を行い鎖肛発症に関連する領域を特定することである。DNAサンプル調整を行い遺伝子相同性を利用してGLI2遺伝子領域のSNPを同定した。ブタゲノム計画の進行により高速かつ大量のSNPタイピングを行う予定である。
著者
水谷 長志
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
no.11, pp.91-105, 2004-03-31

'Reviews' of ARLIS/UK & Eire's Art Libraries Journal is very important and valuable for art librarians to get information on current art reference books. More than 300 items were reviewed in the journal since 1976. The author compiled the simple list of the reviewed items based on the classification of ARNTZEN & RAINWATER'S Guide to the Literature of Art History (1980) and surveyed the holdings of the items in four major art museums' libraries and NACSIS Webcat. Four art museums' libraries are as below: Art Library, The National Museum of Modern Art, Tokyo Research Library, The National Museum of Western Art Art Library, Museum of Contemporary Art, Tokyo Art Library, Yokohama Museum of Art
著者
後藤 純子
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
no.11, pp.85-90, 2004-03-31

Nowadays, with the arrival of lifelong learning, a museum is expected to be an important social educational institution, and the demand for public information presentation, and educational activities has been increasing. In order to utilize effectively limited resources (personnel, equipment, money, etc.) and to offer the maximum service to users (the public, researchers, curators, staff, etc.), it is necessary to share information, to make a team and to advance activities efficiently. It is important that the librarian who works in a museum also grasps the demand of the users positively as an informational specialist and provides information.