著者
青山 和夫
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

古典期後期(後600~830年)のアグアテカ都市中心部では、自らが支配層に属し書記を兼ねる工芸家が、王をはじめとする世帯外の他の支配層のために美術品と実用品の両方を半専業で生産した.アグアテカの古典期マヤ社会では、「真の専業工人」は存在しなかった.支配層を構成したアグアテカの男性と女性の工芸家は、異なった状況や必要性に柔軟に対応して複数の社会的役割を果たしたのである.
著者
梅本 順子 平川 祐弘 牧野 陽子 河島 弘美 遠田 勝 劉 岸偉
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

今年度は3年間のまとめの年であり、それぞれが書物や論文にまとめると同時に、これまでの資料を補完するべく、アメリカに出張した。昨年のハーン没後百年のシンポジウムに見られるように、ハーンの再評価が目覚しい。当プロジェクトも、異文化理解が進むと文学も雑種化の道を辿るということを前提にハーン他の作家を取り扱った。ハーンは日本に帰化したこともあって、この視点からはその先駆者として位置づけられる。ハーンは英文学やフランス文学にも造詣が深かったが、マルティニークをはじめとした西インド諸島滞在や晩年をすごした日本での経験から、その文学は世界文学とも呼べるほど多くの要素を取り入れたものになった。とりわけ、日本の伝説や昔話を受容して、彼なりの解釈を付け加え、それを英語で書き直したのだった。その視点からは、新しいハーン像が窺われる。西洋近代文明の名の下に、アジアやアフリカの独自の文化が押しやられそうになっていた百年あまり前に、西洋人でありながら、その優位性に押し流されることなく、いわゆる異文化に関心を示した人物がいたことに着目した。ハーン以降、この視点で異文化理解を積極的に行ったものとして、ストープスと周作人が挙げられる。アーサー・ウェイリーより先に日本の能に目を向けたストープスの活動と、日本留学でハーンの存在を知り、「日本は自国文化のよき理解者であり伝達者である人物を得た」と評価した周作人の中国での対応を追った。このように、数こそ多くはないが、異文化理解に積極的に携わり、同化に関わった人物がいたことを再確認し、彼らの努力が現在とどのように結びついているのか、また彼らの足跡をどのように理解すればよいのか、という視点に立ってこれらの人物の日本文化への貢献を定義することに努めた。また、ハーンの足跡を辿るとき、ハーンの友人たちが著した伝記や、公開に同意した書簡、ならびにそれを基にした書簡集の存在が大きな役割を果たしてきたことから、ハーンと直接交渉があった人々を調査した。さらに、直接の交渉こそなかったが、ハーンの遺族と文通し、後世のハーン研究者の伝記執筆の際にアドバイスしてきた、ハーン研究家のドロシー・マクレランド(1897-1995)の未発表の資料についても調査した。
著者
李 謙一 中 臺文 岩田 剛敏 加藤 卓也 羽山 伸一 廣田 好和 林谷 秀樹
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 = The journal of veterinary epidemiology (ISSN:09128913)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, 2007-07-20

アライグマ(<I>Procyon lotor</I>)は北米を原産とするアライグマ科の中型哺乳類である。我が国では1960年代から持ち込まれた個体が野生化し,現在では全国各地で野生化が確認されている外来生物である。近年,野生化したアライグマは農作物の被害をもたらし,その分布の拡大に伴って社会問題化している。しかし,これら野生化したアライグマにおける人獣共通感染症原因菌の保有状況に関してはこれまでほとんど検討されていない。本研究では,我が国で野生化しているアライグマにおける人獣共通感染症原因菌の保有状況を検討するとともに,得られた結果からアライグマが生態系の中で占める位置や役割についても考察した。
著者
谷口 剛 伊藤公人 五十嵐 学 村上 悌治 高田 礼人 原口 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.135, pp.185-192, 2006-12-22

インフルエンザウイルスにおける抗原変異の規則性を発見するために,アミノ酸残基の共変異を解析する共変異とは,タンパク質を構成するアミノ酸残基のうち〆複数の位置のアミノ酸が共に置換する現象である.従来からアミノ酸残基の共変異を解析する手法がいくつか提案されていたが,それらの手法では進化の過程における分岐や時間的関係が考慮されていなかったそこで,これらの問題を解決するために,進化系統解析によって得られる系統樹を利用する手法を提案する.過去40年間のH3N2亜型インフルエンザウイルスのHAタンパク質を対象とし,共変異の検出を行い,その結果を示す,また,共変異は時代と共に変化するため,共変異の変化を検出するための手法を提案する.The influenza viruses undergo antigenic drift to escape from antibody-mediated immune pressure. In order to predict possible structural changes of their molecules in future, it is important to analyze the patterns of amino acid substitutions in the past. In this paper, we present a new method to extract the sets of residue positions which were involved in correlated mutations. We also discuss a method to detect changes of correlation among co-evolving residues.
著者
浜崎 利之 山本 茂貴
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 = The journal of veterinary epidemiology (ISSN:09128913)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-22, 2008-07-20

牛海綿状脳症(以下BSE)は牛の脳組織にスポンジ状の変化を起こす疾病で,人の変異型クロイツフェルトヤコブ病の原因と考えられている人獣共通感染症である。日本国内では,2001年9月に最初の一頭を確認してから,2007年12月までに計33頭の陽性検体を検出している。本研究は,2001年10月から実施されている全頭検査の検査データおよび農場でのサーベイランスデータをもとに,日本国内でのBSE感染牛頭数の推定を行った。
著者
谷口 剛 原口 誠 伊藤公人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.128, pp.251-258, 2007-12-21

インフルエンザウイルスの遺伝子は突然変異を起こしやすい.抗体による免疫圧力によって,抗原性が変化したウイルスのみが生き残り,次の流行を引き起こす.ウイルスの進化の詳細を理解するために,本論文では,インフルエンザウイルスの進化において,アミノ酸置換の起こる残基位置が時代と共に変化するか否かを明らかにすることを目的とする.コントラストセットマイニングの枠組みを用いて,隣接するグループ列間の特徴的違いを発見するアルゴリズムを提案し,進化系統解析と提案手法を組み合わせることによって,アミノ酸置換の起こる残基位置の時代的変化を解析する.The influenza viruses undergo antigenic drift to escape from antibody-mediated immune pressure. In order to predict possible structural changes of their molecules in future, it is important to analyze the patterns of ammo acid substitutions in the past. In this paper, we present a method to extract segment of ordered groups in a phylogenic tree constructed from influenza virus gene sequences. We develop an algorithm for segmentation of ordered groups based on a contrast set, which identifies differences between two groups. We apply our algorithm to given ordered groups obtained from the phylogenic tree.
著者
谷口 剛 原口 誠 伊藤公人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.128, pp.251-258, 2007-12-21

インフルエンザウイルスの遺伝子は突然変異を起こしやすい.抗体による免疫圧力によって,抗原性が変化したウイルスのみが生き残り,次の流行を引き起こす.ウイルスの進化の詳細を理解するために,本論文では,インフルエンザウイルスの進化において,アミノ酸置換の起こる残基位置が時代と共に変化するか否かを明らかにすることを目的とする.コントラストセットマイニングの枠組みを用いて,隣接するグループ列間の特徴的違いを発見するアルゴリズムを提案し,進化系統解析と提案手法を組み合わせることによって,アミノ酸置換の起こる残基位置の時代的変化を解析する.The influenza viruses undergo antigenic drift to escape from antibody-mediated immune pressure. In order to predict possible structural changes of their molecules in future, it is important to analyze the patterns of ammo acid substitutions in the past. In this paper, we present a method to extract segment of ordered groups in a phylogenic tree constructed from influenza virus gene sequences. We develop an algorithm for segmentation of ordered groups based on a contrast set, which identifies differences between two groups. We apply our algorithm to given ordered groups obtained from the phylogenic tree.
著者
加藤 孝宣 高橋 和明
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2418-2422, 2007-11-10

この数年間でE型肝炎に関する常識は大きく変化した.かつては輸入感染症であったはずのE型肝炎は,今や国内感染の頻度が輸入感染を遥かに上回っている.そして国内感染の主な感染経路が動物由来であることが明らかとなってきた.鹿・猪・豚の肉や内臓を非加熱,あるいは不充分加熱状態で食することによりE型肝炎が起こり得る.原因不明の急性肝炎症例ではE型肝炎も選択肢の一つとして認識すべきである.<br>