著者
高瀬 弘行 藤本 英亮 笹倉 良一 浅原 俊一郎 岩井 正秀 福永 秀行
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.1443-1446, 2003-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
12

燃料用アルコールを自殺目的で服用した重篤なメタノール中毒患者 (女性, 44歳) に2回の血液透析を施行し, その有効性について検討を行うと同時に血中メタノールのクリアランス値の検討を行った.第1病日の血液透析前のメタノール値は3,018mg/Lと致死量を超える極めて高い値を示したが, 3時間の血液透析により1,059mg/Lまで顕著な低下を認めた. そして翌日の透析前のメタノール濃度は693mg/Lに低下し, 2時間の血液透析で415mg/Lまで低下した. その後は, 最も危惧された視力障害の後遺症も残さず順調に回復し, 第11病日で退院するに至った.一方, Kt/Vの数理モデルを用いて, 血液透析前後のメタノール値より2回の血液透析中のメタノールのクリアランス値を算出したところ, 1回目は171mL/min, 2回目は131mL/minと高いクリアランスを示した.以上の結果, 血液透析はメタノールに対して高いクリアランスを有することが示唆され, 重篤なメタノール中毒患者に対して, 短時間にメタノールの除去を行う場合, 血液透析は有効な治療法であると考えられた.
著者
沢本 圭悟 文屋 尚史 米田 斉史 武山 佳洋
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.221-225, 2009-04-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
9

症例は78歳の女性。岩盤浴入浴中に意識消失した状態で発見されて救命救急センターに搬入となった。来院時,意識レベルGCS(Grasgow coma scale)3,収縮期血圧77mmHg,直腸温41.1°Cであり,意識障害,ショック,高体温を呈していた。直ちに急速輸液と体表冷却を開始した。各種検査や既往からは意識障害を来すような異常を認めず,病歴と身体所見から 3 度熱中症の診断で入院となった。ショックに関しては輸液負荷と血管収縮薬を必要としたが徐々に改善した。また,経過中にDICと肝機能異常を呈したが経過観察により軽快した。第 7 病日に人工呼吸器から離脱した。第30病日にリハビリテーション継続を目的に転院となった。神経学的後遺症は認めなかった。岩盤浴とは,40°C程度の岩盤上に20-30分間の仰臥と10分程度の休憩を繰り返し,多量の発汗を得るサウナ形式の風呂の一種である。岩盤浴はサウナや一般入浴に比べ安全と宣伝されているが,高齢者の入浴の際には熱中症予防も含めて,十分な注意が必要である。
著者
田中 隼人 小鳥居 英 横澤 賢 若林 楓芽 木本 和代 佐野 恵子
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.26-41, 2015-02-28 (Released:2018-03-30)
被引用文献数
1

Diverse aquatic organisms are living in the immediate freshwater environments such as the rice field, pond and ditch. This study reports a freshwater ostracod fauna of rice field and spring from Fuji and Fujinomiya, Japan. We found 14 species (13 genera), and Pseudocandona pratensis (Hartwig, 1901) is newly recorded from Japan. The morphological characters, distribution in Japan, and taxonomic remarks are provided for these species. And also five species were given the new Japanese name. We discussed on the distribution of Dolerocypris ikeyai Smith and Kamiya, 2006 and Stenocypris hirutai Smith and Kamiya, 2006 found from rice field. Both species has been reported from runoff of spring, seeps, interstitial environment. We regarded their reduced swimming setae on antenna as an adaptive character to shallow and gently water flow. Population of rice field of this two species could be originated from the source of an irrigation channel, and they might be incidentally stayed in the rice field.
著者
山口 隆義 高橋 大地
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1032-1040, 2009-08-20 (Released:2009-09-01)
参考文献数
12
被引用文献数
10 11

The test bolus tracking (TBT) method is a new injection method of contrast medium that we developed. The TBT method is an injection technique that continuously performs the test bolus injection and the main bolus injection, such that the best acquisition of scan timing and the improvement of examination efficiency can be expected. We compared the TBT method and the test injection method by coronary CT angiography. The results demonstrated that the contrast enhancement of the coronary arteries was high and the variation of the CT value was also small in the TBT method. When the scan timing expected by the TI method and the TBT method were compared, it was different of two seconds or more by the case with 43%. However, the variation of CT value was small for the TBT method in these cases. Therefore, the TBT method is a very useful method for CCTA.
著者
水田 雅也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.3, pp.125-128, 2005 (Released:2005-04-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

酸化ストレスは,老化や癌のみならず,生活習慣病の病態にも関与していることが明らかとなってきた.糖尿病においても酸化ストレス亢進が,糖尿病血管障害やインスリン作用に影響している.特に糖尿病血管障害に関しては,主として以下の4つの経路により亢進した酸化ストレスが,障害の進行に関与していると考えられる:1)ポリオール代謝亢進に伴う酸化ストレス,2)advanced glycation end products(AGEs)産生とAGEs受容体(RAGE),3)ミトコンドリア電子伝達系からのスーパーオキサイド産生増加,4)血管壁細胞におけるNAD(P)Hオキシダーゼ活性化.一方,糖尿病状態においては酸化ストレスに抗すべき酸化ストレス消去系の活性低下も生じる.8-epiprostaglandin F2α(8Epi)を酸化ストレスマーカーとして検討すると,糖尿病患者では酸化ストレスが亢進しているが,必ずしも血糖値の動きとは関連しておらず,高中性脂肪血症との関連性が示唆された.酸化ストレスは,血管障害のみならず,神経細胞においてもタンパク質の機能障害,細胞内輸送の障害,ひいてはアポトーシスを引き起こし,糖尿病性神経障害の病態に深くかかわっていることが明らかにされてきた. 酸化ストレスとは,「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ,前者に傾いた状態」と定義される.酸化ストレスは,タンパク質,脂質,DNA障害を介して,老化や癌,生活習慣病の病態に関与していると考えられている.インスリン作用が不足した状態である糖尿病においても酸化ストレスが種々の程度に亢進し,病態に影響していることが明らかにされてきた.特に糖尿病血管障害に関しては,酸化ストレス亢進により血管内皮細胞の機能障害,血栓形成やLDLの酸化変性を促進する一方,細胞内情報伝達系を修飾しサイトカイン,接着因子,増殖因子の発現を増強させて血管病変の進行を促進する.また最近では,酸化ストレスがインスリン抵抗性や膵β細胞からのインスリン分泌にも影響しうることが示されている.
著者
中村 太戯留
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.1-8, 2009 (Released:2012-02-14)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

This study investigates the mechanism for determining “interestingness” in comprehending metaphorical expressions. In a pilot study, metaphorical expressions were collected from 56 participants. In Study 1, 17 participants were asked to classify these expressions into groups, which were categorized with respect to eight features (e.g., “not understandable”, “mundane”, and “strongly interesting”). In Study 2, 50 participants were asked to judge whether an expression was interesting or not, and the reaction time for their judgment was measured. The results showed that it took longer to judge interesting expressions than to judge non-interesting expressions. The difference in reaction times was interpreted as representing the cognitive process of discerning the meaning of an expression so that it was accessible and comprehensible. In other words, “interestingness” results from successfully resolving the meaning of an expression which was not immediately understandable, which involves some cognitive cost and reduces the stress of not understanding.
著者
牧野 拓哉 野呂 智哉 岩倉 友哉
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.117-134, 2017-02-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
15

本論文では,ユーザからの自然文による問い合わせを対応する Frequently Asked Question (FAQ) に分類する文書分類器を用いた FAQ 検索手法を提案する.本文書分類器は,問い合わせ中の単語を手掛かりに,対応する FAQ を判別する.しかし,FAQ の多くは冗長性がないため,FAQ を学習データとして文書分類器を作成する方法では,ユーザからの多様な問い合わせに対応するのが難しい.そこで,この問題に対処するために,蓄積されたユーザからの問い合わせ履歴から学習データを自動生成し,文書分類器を作成する.さらに,FAQ および文書分類用に自動生成した学習データを用いて,通常使われる表層的な手がかりに加えて,本文書分類器の出力を考慮するランキングモデルを学習する.ある企業のコールセンターの 4,738 件の FAQ および問い合わせ履歴 54 万件を用いて本手法を評価した.その結果,提案手法が,pseudo-relevance feedback および,統計的機械翻訳のアライメント手法を用いて得られる語彙知識によるクエリ拡張手法と比較し,高いランキング性能を示した.
著者
岩本 憲武
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.7-11, 2016 (Released:2018-01-29)

本稿は、自閉スペクトラム症を有する少年の事件を担当する弁護士に求められる技術を論じたものである。自閉スペクトラム症のある少年の被告人について裁判員裁判において少年法55 条移送決定がなされた事例を取り上げて、弁護人が裁判官・裁判員に伝えるべき3 つのポイントを示した。1 つ目は“What”つまり、少年の障害とは「何」であるのかということである。この点については、公判審理の早い段階で、被告人質問や家族の証人尋問をおこなうことが有効である。2 つ目は“How”つまり少年の障害が「どのように」事件に影響したのかということである。この点については、家庭裁判所の社会記録を利用することに加えて、精神科医など専門家の証言を活用することが重要である。3 つ目“Why”つまり少年の障害が事件に影響したことが「なぜ」弁護人が求める結論をもたらすのかということである。この点については、弁護人が、裁判所の量刑の考え方を理解した上で、説得的な弁論を展開する必要がある。そして、より重要なことは、自閉スペクトラム症を持つ少年について、家庭裁判所の検察官送致決定により刑事公判を受けること自体を避けることである。そのためには、付添人である弁護士に、短期間に専門家の助力を得るなどして的確な活動方針を立てて充実した活動をおこなうことが求められる。
著者
松島 公望 林 明明 荒川 歩
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1730, (Released:2019-10-21)
参考文献数
38

This study examined the relationship between Christian religious consciousness (CFC) and subjective well-being for Japanese Christians. Members of the Roman Catholic Church (status of denomination: Believers, n=58; Leaders, n=61) and of the A subgroup of the Holiness Church (status of denomination: Believers, n=646; leaders, n=102) participated in the research. Based on factor analysis, we developed a scale of CFC that contained three factors: “Christian doctrine-based belief,” “norms of religious activities,” and “relationship with other church members.” Hierarchical multiple regression analysis on CFC and subjective well-being showed that the people who had high “Christian doctrine-based belief” or a high “relationship with other church members” have high subjective well-being, and that they were partially influenced by subjective well-being among denominations. However well-being was not influenced by status of denomination. These results indicate that subjective well-being rests largely on CFC, although a small portion of it rests on the type of denomination.
著者
佐藤 珠江 吉田 茜 長谷川 菜生 浦野 明日香 殿村 由樹 椛澤 里沙 小野田 公
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.801-805, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
23

〔目的〕本学理学療法学科に在籍する女子学生の月経症状の程度と生活スタイルを明らかにすること,月経困難症,月経前症候群(PMS),月経前不快気分障害(PMDD)の実態とそれぞれの認知度を明らかにすること.〔対象と方法〕本学女子大学生115名(年齢:20.7 ± 1.31歳)を対象とし,PMDD評価尺度と独自に作成した質問紙にて月経症状と生活スタイルを調査した.〔結果〕84%の人が月経前症状を有しており,22.5%が月経周期異常をきたしており,53.2%が月経中に鎮痛薬を服薬することが明らかとなった.月経困難症,PMSおよびPMDDについて,6割以上の学生が「知らない」と回答していた.〔結語〕早期から病態について理解し対処する必要がある.
著者
井川 純一 志和 資朗 中西 大輔 車地 未帆 菊本 修 井手下 久登
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.97-103, 2010-10-25 (Released:2017-05-23)

不安状態における自律神経機能を客観的に評価する目的で,指尖脈波を用いた心拍変動の分析を行った.対象は,不安状態を主訴に治療中の患者25名(男性6名,女性19名,平均年齢47.7歳).対照群33名(男性6名,女性27名,平均年齢48.7歳)であった.脈波測定装置を用いて低周波(Low Frequency:LF)成分および高周波(High Frequency:HF)成分を抽出し,LF/HFを交感神経,HFを副交感神経指標とした.心理指標としてはSTAIの状態不安と特性不安を測定した.不安群が対照群に比べ,副交感神経指標(HF)が低下する傾向が見られた.また,STAIと生理指標では,特性不安と副交感神経指標(HF)との間に有意な負の相関が認められた.以上のことから,不安状態における自律神経機能は,副交感神経指標(HF)によって客観的に評価できる可能性が示唆された.
著者
川上 麻衣 清水 裕毅 久保田 由美子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.120-124, 2019-04-01 (Released:2019-05-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

症例は 50 歳,女性。左下腿の虫刺様皮疹に対し市販外用薬を塗布していたが,同部が潰瘍を伴う隆起性病変となったため,1 カ月後,当科を受診した。初診時,左下腿内側に径 3 cm の黄色痂皮が付着した隆起性潰瘍病変を認め,ヨードコート®軟膏外用を開始したが悪化したため,壊疽性膿皮症などを疑った。血液検査で血清クロール濃度(Cl)が 156 mEq/l(正常:98∼108 mEq/l)と異常高値であったが,4 年前から高 Cl 血症であったことが判明した。詳細な問診の結果,約 10 年間,慢性頭痛に対してブロモバレリル尿素含有の市販鎮痛薬(ナロン®顆粒)を内服していることが判明した。臭素摂取過量による偽性高 Cl 血症を呈したと考え,血中臭素濃度を測定したところ 500 mg/l(正常 5 mg/l 以下)と中毒域であった。皮疹辺縁部の皮膚生検では表皮は偽癌性増殖を呈し,真皮内には膿瘍形成を認め,臭素疹と確定診断した。 その後,ナロン®顆粒の内服を中止したところ速やかに Cl は正常化し,皮疹も色素沈着となり軽快した。 軽微な外傷から生じた難治性の潰瘍病変は壊疽性膿皮症などをまず考えるが,臭化物の内服歴や高 Cl 血症を確認し,臭素疹を鑑別に入れる必要がある。
著者
廣瀬 伸彦 高橋 雅彦 吉本 裕 利光 由紀 田中 愛 尾崎 泰史 戸浦 じゅん 御園 陽一 菅野 有造 芝本 隆 桑原 道雄 小笠原 陽
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.231-238, 2004-03-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13

【目的】血液透析装置の消毒は主に次亜塩素酸ナトリウムが使用されるが, 消毒排液の環境汚染に対する影響が問題となっている. そこで残留性がなく, 環境汚染に対する影響の少ないオゾンが血液透析装置の消毒剤として期待される. われわれはオゾンが血液透析装置の消毒剤として有用か否かを基礎, 臨床の両面から評価した. 【方法】基礎: オゾンの安定性を電解質と有機物の添加試験から評価した. また, 血液透析装置内でのオゾン濃度の安定性を観察し, 装置プライミングボリュームとオゾン濃度減衰の関係を実験的に評価した. さらに, 透析液清浄化目的で使用される精密濾過膜へのオゾン水暴露試験を行った. 臨床: 個人用透析装置にオゾン水消毒を6週間施行し透析液エンドトキシン濃度, 細菌数を測定した. また, あわせて装置内の水経路各部位を肉眼的に観察した. 消毒行程は, 前水洗30分, オゾン水消毒30分, 後水洗30分とした. 対象に週1回次亜塩素酸ナトリウム消毒と酢酸洗浄を組み合わせた併用消毒を行った. 【結果】基礎: NaCl, アルブミンの添加でオゾン濃度は減衰した. 透析装置内でオゾン濃度は減衰し, 密閉系出口部で最も濃度減衰が大きかった. 精密濾過膜PEPA, PSはオゾン水で破壊された. 臨床: オゾン水消毒6週目に装置内にタンパク付着を認め, それに伴い装置内のオゾン濃度減衰は高値となった. 併用消毒では装置内の各部位に付着物は全く認めず, 装置内でのオゾン濃度減衰はなかった. 透析液中のエンドトキシン濃度, 細菌数は通常の次亜塩素酸ナトリウム消毒時と同程度であった. 【結語】基礎および臨床評価から考えると現状ではオゾン水単体での血液透析装置消毒に限界を感じる. しかし, 他の洗浄剤・消毒剤との組み合わせや洗浄消毒工程の変更, また装置内液流路構造の設計変更などの再検討により解決可能と思われた. したがって, 血液透析装置の消毒剤としてオゾンを用いる有用性は高いと考える.
著者
日下 博幸 猪狩 浩介 小久保 礼子 佐藤 拓人 ドアン グアン ヴァン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.180-196, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
58
被引用文献数
1 1

本研究は,商業地,住宅地,緑地という異なる土地利用を1~2 km以内に有する東京都渋谷区を対象に,土地利用や人間活動の違いが気温とWBGTの非一様性の形成に及ぼす影響を観測によって明らかにした.観測結果から,日中では,住宅地の気温が商業地に比べてやや高く,緑地が最も低いことが明らかとなった.夜間は,商業地の気温が最も高く,緑地が最も低かった.また,緑地では夜間に接地逆転層が認められる一方で,商業地では夜間に少なくとも観測範囲内(地上から高度33 mまで)では絶対不安定となっていた.熱画像観測は,昼夜を問わず,商業地と住宅地で同程度の表面温度であることを示した.これらの結果は,商業地の大きな表面積・建物体積・熱容量による大きな熱慣性と人工排熱によると考えられる.この結果は,多層都市キャノピーモデルを用いた数値実験からも支持された.WBGTの場合は,気温とは異なり,商業地と緑地で大きな差はなかった.これは,緑地の高い湿度が原因であることが分かった.
著者
田崎 敏昭
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.165-168, 1982-08-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

The purpose of the present study was to investigate the relationship between power status and power resources in classroom. Two kinds of tests were given to 549 subjects chosen from 15 classes of four elementary schools. One was the near-sociometric test, the aim of which was to measure power status in the classroom. The other was to examine power resources possessed by pupils who were selected on the sociometric test. The main results were: a) Subjects attributed “affiliation” and “cheerfulness” to the power holders in the classroom and b) subjects attributed “leadership, ” “superiority” and “achievement” to chilidren of higher power status in addition to “affiliation” and “cheerfulness.”