著者
奥村 優子 鹿子木 康弘 竹内 祥惠 板倉 昭二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.248-256, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
40
被引用文献数
3 3

Recent research demonstrates that social preferences for native language speakers emerge early in development, indicating that infants prefer speakers from their own society. Dialect may also be a reliable cue to group membership because it provides information about an individual’s social and ethnic identity. We investigated whether infants showed social preferences toward native-dialect speakers over those with unfamiliar dialects. Infants at 9 and 12 months of age were shown videos in which two adults (a native-dialect speaker and an unfamiliar-dialect speaker) each spoke to and then offered an identical toy to the participating infants. Next, two real versions of the toys were presented to the infants in person. The 12-month-old infants preferentially reached for the toy offered by the native-dialect speaker. The 9-month-old infants also showed a preference for native-dialect speakers but this finding was not statistically significant. Our results suggest that dialects may be a reliable cue to group membership, and that infants’ orientation toward members of their native community may guide their social and cultural learning.
著者
見城 勝 大倉 さゆり 任田 美穂 金子 智佳子 太田 尚子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.365-373, 2000-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
15
被引用文献数
5 3

皮脂は皮膚表面に恒常的に分泌されて皮膚表面の保護的作用を果たす一方, 過剰あるいは不十分な分泌による肌状態への影響が懸念されている。皮脂成分と肌状態の関係についてはこれまでも多くの研究が行われているが, 季節変動に着目して検証した例は少ない。われわれは皮脂の分泌量および組成と肌状態評価値について, 個人レベルでの季節的な変動幅 (冬, 春) について検討を実施したところ, 以下に示す興味深い結果が得られた。 (1) 総皮脂量と組成は冬, 春で大きく変動し, その傾向は個人により異なっていた。 (2) 肌状態評価値も季節変動があり, 傾向は個人により異なっていた。 (3) 皮脂成分と肌状態の解析を個人で対応させて実施したところ, 皮脂中の遊離脂肪酸比率の低下に伴い乾燥性の肌荒れが改善すること, 不飽和度 (遊離脂肪酸中の不飽和/飽和比率) の低下により角質細胞面積が増大傾向にあること等が見出され, 皮脂成分の変動が肌状態に影響を与えている可能性が示唆された。 (4) 肌質との関係については, 不飽和度が高く総皮脂量が少ない人たちがやや敏感肌および敏感肌群に属していたことから, 皮脂組成が肌の敏感度にも影響を与えている可能性が示唆された。
著者
櫻井 柚夏 廣瀬 文郁 松前 和則 村上 礼雄 田辺 新一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.125-128, 2014 (Released:2017-11-15)

本研究では、冬季暖房時の室内温熱環境が皮膚水分量と熱的快適性に及ぼす影響を把握することを目的として被験者実験を行った。実験では、人工気候室内の床暖房室とエアコン暖房室において、空気温度と相対湿度を各3条件設定し、皮膚水分量、皮脂量、皮膚温の測定および心理量の申告を行った。実験の結果、皮膚水分量は相対湿度、絶対湿度および空気温度が高くなるほど増加するが、エアコン暖房では熱的中立を超えた範囲で皮膚水分量が減少に転じることが分かった。
著者
瀧 廉太郎[作曲]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1933-10
著者
荻野仲三郎, 加藤庄三郎 編
出版者
集成堂
巻号頁・発行日
vol.日本之部, 1904
著者
宮本 学
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1784号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2003/3/6 ; 早大学位記番号:新3547
著者
宮地 泰士 杉原 玄一 中村 和彦 武井 教使 鈴木 勝昭 辻井 正次 藤田 知加子 宮地 泰士
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自閉症の特徴の一つである「対人的相互作用の障害」は共感性の障害に基づくと考えられている。本研究では、自閉症の共感性の障害の神経基盤を探る目的で、機能的磁気共鳴画像(fMRI)により共感が惹起された時の前部帯状回の活動を計測し、自閉症との関連が指摘されているセロトニン・トランスポーター遺伝子多型との関連を検討する。平成21年度は、以下のように研究を進めた。平成20年度において選定した成人自閉症者5例、健常対照5例を対象に、他者の痛みを感じるような画像刺激を提示し、fMRIを撮像した。撮像プロトコルはTE=40msec,TR=3000msec,In-planere solution=3.1mm,スライス厚=7mm,ギャップ=0.7mm,18スライスとした。その結果、「身体的な痛み」、「心の痛み」のいずれを惹起する課題においても、活性化する脳領域に両群で有意な差はなかった。この結果には、例数の不足による検出力低下が影響していると考えられる。今後、さらに対象者を募る予定である。また、共感性の障害において前部帯状回と深く関係する脳部位の一つに海馬があるため、成人自閉症者の海馬における代謝物量を磁気共鳴スペクトル法により測定した。その結果、自閉症者の海馬ではクレアチン、コリン含有物が健常者に比べ増加しており、その増加は自閉症者の攻撃性と有意に正相関することを見出した(Int J Neuropsychopharmacol誌に公表)。
著者
伊藤 孝行
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.4_20-4_32, 2008-10-28 (Released:2008-12-31)

計算論的メカニズムデザインは,分散された個人情報を持つ自律的意思決定主体(エージェント)の社会的決定と,計算量や通信コストといった計算機科学の概念を同時に扱う新しい分野である.ミクロ経済学やゲーム理論の概念及び知識と,マルチエージェントシステムや計算機科学の概念及び知識が必要となる.さらに,計算論的メカニズムデザインは,理論からダイレクトに応用が可能な分野の一つである.本解説では,古典的メカニズムデザインの基本概念を概説した後,組合せオークションなどの計算論的メカニズムデザインの基本問題を解説する.その後,現在,計算論的メカニズムデザインの分野で注目されている課題やテーマについて紹介する.
著者
寺田 小百合
出版者
山形大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、強大音暴露による一過性聴覚障害後に、通常の聴力検査は正常であるにも関わらず、騒音下での聞き取りが著明に低下するhidden hearing lossという病態が注目されている。この原因として、これまで聴覚障害の原因とされていた有毛細胞の障害より先に、内有毛細胞と聴神経間のシナプスが障害されることが考えられており、このことから、今後は有毛細胞のみならず、聴神経の再生治療の開発が必要である。本研究では近年、自己の骨髄MSCの誘導を介して組織修復に働く蛋白として注目を集めているhigh-mobility group box 1を用いた聴神経再生による感音難聴治療の開発を目指す。
著者
大西 秀明 八木 了 大山 峰生 松木 儀浩 伊橋 光二 半田 康延 池田 知純
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.226-230, 1999-07-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
11

本研究の目的は,健常者を対象にして歩行中および立位保持中に膝窩筋筋電図を導出し,その機能を明らかにすることであった。対象は健常男性10名であり,課題動作は自然歩行および膝関節0度,30度,60度および90度屈曲位での立位保持であった。筋電図の導出にはワイヤー電極を使用し,電気刺激を行うことにより電極が膝窩筋内に入っていることを確認した。各動作時に得られた筋電図は全波整流したのち移動平均処理を行い平滑化し,最大等尺性下腿内旋運動時に得られた筋電図をもとに正規化した。歩行中の膝窩筋筋活動は,立脚初期,立脚後期および遊脚後期に強い活動を示した。特に立脚期9.3%時点では膝窩筋の筋活動は最も強く,下腿最大内旋運動時の72.2 ± 14.8%を示した。また,立位保持中における膝窩筋の筋活動は膝関節屈曲角度の増加に伴い増加した。これらの結果から,膝窩筋は,歩行時には遊脚後期から立脚初期にかけては膝関節過伸展を防御し,立脚後期から遊脚初期にかけては膝関節の屈曲運動に関与することが推察された。また,立位保持時には脛骨の前方移動を防ぐように活動していると考えられた。