著者
横山 真男
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.35, no.136, pp.17-22, 2015 (Released:2016-01-01)
参考文献数
29

楽器の音色(Timbre)の良し悪しの議論はいまだに経験的であり主観的である.古今東西かかわらず「美しい音色とは何か」といった類の議論は永遠の課題のようであり,ややもすると解けない命題として熱心に取り組むこと自体がとうてい無謀な夢のようにも言われる感もある.それでも,これまでに多くの科学者はストラディヴァリの作品を至高のものとして様々な角度から彼のヴァイオリンを分析し,音色の美とは何かを説明しようと試みてきた. ヴァイオリン研究に関する重要な著書といえばHutchinsの論文集1)が有名であるが,その他にも多くの研究報告があるので,本稿では,「音楽と楽器の可視化」特集にあたり,特に筆者の経験や興味の対象として関連の強いヴァイオリンについて,近年の音色の可視化に関する主だった研究を紹介し,音響,構造,材料,奏法等の各分野を横断的に概観し,なるべく写真や図を引用して解説する.

31 0 0 0 OA 鉄道統計資料

著者
鉄道省 編
出版者
鉄道省
巻号頁・発行日
vol.昭和元年 第3編 監督, 1932
著者
永田 和宏
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.715-720, 1998 (Released:2009-06-19)
参考文献数
7
被引用文献数
8 9

Tatara was used to be a traditional process to produce solid steel, so called "Kera", and/or liquid pig iron, so called "Zuku", from iron sand and charcoal using the box type furnace with blowing cold air intermittently. A modified Tatara furnace has been examined on the production mechanisms of "Kera". Temeratures and oxygen partial pressures in the furnace were measured by means of thermocouples and oxygen sensors with solid electrolyte of zirconia. Iron sand and a piece of "Kera" produced in the bottom of furnace were sampled and analyzed chemically or by a electron probe micro analyser. Iron sand is reduced above tuyere and absorbs carbon on fired charcoals in front of the tuyere at about 1350°C. Many small balls of liquid steel with different carbon content were found in molten slag pool of FeO-saturated silica, so-called "Noro", and cohere each other to grow into a bloom. The characteristics of Tatara steelmaking process are low temperature for carbon absorption of steel at about 1350°C, high oxygen potential in the molten slag of FeO-saturated silica and hypo-eutectic carbon content in steel.
著者
牧原 憲夫
出版者
岩波書店
雑誌
思想 (ISSN:03862755)
巻号頁・発行日
no.845, pp.p118-136, 1994-11
著者
木下 千花
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

映画を中心とした日本の視覚文化にける妊娠の表象を発掘し、法、政治、社会、医療をめぐる同時代の言説を参照して、身体に対する女性の自己決定権と女性嫌いを軸として分析した。1930年代後半における映画女優の堕胎スキャンダルと望まない妊娠を題材にしたメロドラマの流行、連合国占領下の優生保護法施行による事実上の妊娠中絶の合法化にともなって浮上した、妻の選択として中絶を捉える戦後民主主義的な映画群について、学会発表を行い、研究論文を出版した。1970年代の「胎児」の表象について北米の妊娠ホラーを題材に研究論文を発表し、現代日本の出産ドキュメンタリーについては上映会を開催し、単著に向けての地歩を築いた。
著者
湯田 厚司 小川 由起子 鈴木 祐輔 有方 雅彦 神前 英明 清水 猛史 太田 伸男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1323-1333, 2015 (Released:2015-12-29)
参考文献数
11

【背景】本邦初のスギ花粉症舌下免疫療法(SLIT)薬が発売された.  【目的】スギ花粉症SLITの初年度の臨床効果を検討する.  【方法】初年度(2015年)のスギ花粉飛散ピーク時にSLIT191例,皮下免疫療法(SCIT)48例(治療開始後1年目の他に36例の2年目以降を含む),初期療法191例,飛散後治療141例,未治療169例で,日本アレルギー性鼻炎QOL調査票,visual analog scale,各症状スコアおよび症状薬物スコアで評価した.  【結果】軽微な副反応を40.5%に認めたが,治療中止例はなかった.ドロップアウトは5例(2.2%)で,やむを得ない理由での中断が3例(1.3%)であった.薬剤服用率は89±12%であった.ほぼ全ての項目の平均値でSCITはSLITより良かったが有意な差ではなかった.SCITとSLITは他の薬物療法より有意に良好であった.併用薬の無い,鼻眼症状スコアが1点以下の例はSLITの16.8%であった.  【結語】SLITは,SCITより若干効果で劣るが有意ではなく,初期療法などの薬物治療より有意に良好であった.
著者
川本 峻頌 澤井 悠 張 培楠 脇本 宏平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.3H2GS9b04, 2021 (Released:2021-06-14)

NLGシステムの生成結果の評価、あるいは極性判定のような応用タスクのアノテーションでは、実応用時と同様の幅広い属性のアノテーターによる作業が重要である。こうした応用事例ではクラウドソーシングのような仕組みを利用して多様なアノテーターを集めることが多い一方で、実世界のユーザの多くはスマートフォンなどのモバイル端末を利用する割合が多い。本稿では、これまで注力されていなかったスマートフォンなどのモバイル端末におけるUXを重視した、応用タスク向けのアノテーションツール "FAST" を提案する。実験では、複数名のアノテーターによるアノテーションを実施し、ツールのログやユーザアンケートから速度や品質、使いやすさといった指標を評価した。結果、本システムは特定のタスクにおいて、既存の手法と比較して、品質を維持しつつ高速にアノテーションできることを確認した。

31 0 0 0 OA 鉄道統計資料

著者
鉄道省 編
出版者
鉄道省
巻号頁・発行日
vol.昭和2年 第3編 監督, 1929
著者
須藤 遙子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.393-409, 2009-11

二〇〇五年は自衛隊の協力を前面に打ち出した映画が、大規模な宣伝を伴って続々公開され始めた年である。これらの作品群は「愛国」や「自己犠牲」といった共通のメッセージや政治性を帯びており、この傾向は現在でも続いている。本稿では、自衛隊が製作に協力する一般劇映画(以下、自衛隊協力映画)を一つの映画ジャンルとして捉え、その内容と製作のあり方を検証する。防衛省の通達により、自衛隊協力映画は自衛隊員のみならず、戦車・戦闘機・戦艦までもが無償で提供されるため、製作側からのオファーが続いている。『亡国のイージス』『戦国自衛隊一五四九』『男たちの大和/YAMATO』『ローレライ』『ミッドナイトイーグル』『日本沈没』などの具体的内容を検証していく。次に、二〇〇八年秋に大きな政治問題となった、前航空幕僚長の田母神敏夫による論文が主張する内容と自衛隊協力映画との共通性をとりあげる。田母神は「国防という重大な使命」を達するために構築すべき、防衛力の基盤としての「愛国心」を問題としている。一九六一年に制定された「自衛官の心がまえ」の内容とほぼ一致する田母神論文は、「ことに臨んでは、身をもって職責を完遂する」ような「健全な国民精神」の構築を訴えているのだ。田母神論文には厳しい批判をしたマスコミ各社だが、自衛隊協力映画の製作委員会に入っていることで、自社媒体の主張とは異なるプロパガンダを積極的に流している。一般全国紙及び系列の民放キー局は全て、何かしらの自衛隊協力映画に出資している。現代においてはマスコミ各社も映画産業の一部となり、政治・経済・文化とマス・メディアのポジショニングはさらに複雑化している。それが最も顕著に表れているのが、「自衛隊協力映画」というジャンルといえる。「自衛隊協力映画」という新しいジャンルを主張することで、映画というポピュラー文化に浸透する政治性を明らかにするのが目的である。
著者
村川 庸子 Yoko MURAKAWA
雑誌
環境情報研究 = Journal of Environmental Studies
巻号頁・発行日
no.9, pp.113-124, 2001-04-30

This is a part of the cooperative study entitled "Empirical Research on the Social and Cultural Characteristics of the Surrounding Area of Sanrizuka, Narita in Chiba Prefecture. Paying attention to the fact that there were some settlers, who were originally from Kumejima, Okinawa, had immigrated and had been repatriated from abroad after defeat of Japan, the present writer traces their "postwar history"-how they reestablished their lives in Sanrizuka, keeping the social and cultural ties and solidarity in the Okinawan community, and how they coped with the eviction problem from the airport site. Their stories provide a fresh perspective for looking at historical and contemporary significances both "Okinawa" and "Narita" in the postwar history of Japan.
著者
真柴 裕人
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.198-201, 1984-03-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
3
著者
尾崎 宏和 原 優太 得丸 貴司 宗像 仁美 斎藤 侃 渡邉 泉
出版者
日本環境学会
雑誌
人間と環境 (ISSN:0286438X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.2-12, 2018 (Released:2019-04-24)
参考文献数
63
被引用文献数
1

土壌・地下水汚染と食品の安全の問題が注目を浴びる豊洲の新食品市場施設の地下空間で,2016年9月17日と9月20日に滞留水を採取し,水素イオン濃度指数(pH)と有害金属濃度を測定した。その結果,滞留水のpHは11.5と強アルカリ性を示し,元素濃度はとくに溶存態モリブデンが17日に190 µg/L,20日に170 µg/Lと水質汚濁に係る要監視項目の指針値70 µg/Lを超過した。非汚染の地下水と比べると,滞留水試料はモリブデンが数百~千倍であり,バナジウム,ガリウム,スズは数百倍,ニッケル,アンチモンは数十倍に達した。これらの元素は,石炭乾留残渣や石炭灰において非汚染土壌に対する濃度比が大きく,汚染土壌からの溶出率も高いという特徴をもつ。したがって本研究は,豊洲地下空間の滞留水における汚染が,これまで報道されたヒ素,水銀,六価クロム,ベンゼン,シアンだけでない,多岐の元素に及ぶことを明らかとした。そして,豊洲における汚染問題は石炭からの都市ガス製造等に伴う土壌と地下水の汚染を要因とすることが,これまで着目されなかった複数の元素のレベルを解析することにより裏付けられた。溶存態モリブデンの指針値超過は,現地の土壌・地下水汚染とそれに伴う健康影響を引き続き検討する必要性を示している。豊洲市場予定地における環境汚染の実態は,より多くの有害物質を対象に,より多くの試料によって精密な調査を再度実施することが求められる。そして,予防原則と汚染者負担の原則に基づいて,長期的な検討と徹底した対策の構築が欠かせないと考えられる。