著者
岡田 和典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.27, pp.401-414, 2008-03-11
被引用文献数
4

ミーンシフトは、カーネル密度推定を用いるロバストなデータ解析手法で、福永らによって提唱されたのち最近の Cheng や Comaniciu の定式による広範なビジョン問題への応用成功例が知られている。本稿では、ミーンシフト法の基本原理およびその一般的な特徴と利点を順を追って解説した上で、最近の理論的拡張および画像の領域分割やビデオ上の物体追跡などの実際のビジョン応用例について概説する。Mean shift is a popular robust framework for statistical data analysis using kernel density estimation, originally proposed by Fukunaga and Hostetler in 70's. Recently, due to the work by Cheng and Comaniciu, this method has been re-discovered and successfully applied to a wide range of vision applications. This article provides a comprehensive overview of the basic theory and applications of mean shift, highlighting its practical and theoretical advantages, recent theoretical extensions, as well as vision applications such as image segmentation and object tracking.
著者
藤田 尚樹 安田 宜仁 片渕 典史 片岡 良治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

ウェブページは広告などページの主題以外の情報を含み,それらは例えば検索エンジンの検索精度低下を引き起こす。そのため本文抽出技術は重要視されている.本稿ではHTML中で本文(主題が記述されている部分)は1つもしくは複数のノード配下の全てのノードとして抽出できるという仮説のもと,CRFを用いた本文判定結果を階層構造を考慮して上位ノードの結果と下位ノードの結果の多数決で再判定する手法を提案する.
著者
仲里 英晃 村尾 修
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会梗概集
巻号頁・発行日
no.18, pp.9-12, 2006-05

2004年12月のスマトラ沖津波は,スリランカにおいて前代未聞の大被害をもたらした。被災地では復興に向けて住宅の再建事業が進められているが,事業の特色として沿岸地域の被災者の内陸部への大規模移転を伴うものであることが挙げられる。しかしながら,地域によっては事業の進行に大きな差が見られるほか,事業そのものに対する被災者の不満の声も挙がっている。本稿では被災地における住宅再建事業の大きな流れを整理・記録するとともに,復興を進めるうえでの課題について考察することを目的とする。
著者
林 倫子 神邊 和貴子 出村 嘉史 川崎 雅史
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.246-254, 2010

本研究は,明治・大正期に鴨川の河川空間が官有地となり京都府の管理下にあった時期を取り上げ,官有地利用に関する行政文書など当時の史料の読み取りを通じて,料理屋・貸座敷営業者による先斗町の鴨川河岸地と堤外地の土地利用の仕組みを解明した.その結果,[1]当時の先斗町の鴨川官有地は,営業者にとって付加価値の高い場所として認識されていたこと,[2]先斗町の営業者は,河岸地を宅地として隣接する民有地と一体的に利用しており,その地先に当たる堤外には高床構造や床几構造を設け,それぞれ別の契約によって官有地を借用していたこと,[3]営業に用いる河川構造物は営業者が私費を持って設置・修繕を行っており,京都府は一定の節度を持ってその可否決定をなすことで鴨川の河川環境を管理していたことが明らかになった.
著者
諏訪 博彦 梅原 英一 太田 敏澄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本研究の目的は、株式掲示板におけるアノマリーを発見すること、株式掲示板の投稿内容より株式リターンを説明するファクターを作成することである。形態素解析と主成分分析を用いて投稿内容を分析することで、新たなファクターの作成を行っている。結果、株式掲示板におけるアノマリーが存在している可能性があること、主成分得点を利用した新たなファクターが存在することを確認している。
著者
藤原 隆弘 西 啓
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-72, 2011 (Released:2011-05-01)
参考文献数
1

学術分野で広く利用されている電子ジャーナルは,インターネットやPDFの発展によりビジネス化されたが,一般の電子書籍市場はそれだけでは成功できなかった。Amazon社のKindleなどが電子書籍市場を形成できた要因と,Kindle以降に出現した電子書籍サービスを具体的に紹介し,サービスの構成要素を電子書店や文書フォーマットの特徴とともに解説した。その結果,現在の電子書籍市場がデバイス主導によって進んでいる事実を報告した。最後に,現在の電子書籍ブームによって変化がもたらされた,個人,出版社,製作者等の現在の状況と,電子ジャーナルが今後変化していく方向について論じた。
著者
井合 真海子 矢澤 美香子 根建 金男
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.81-93, 2010
被引用文献数
1

本研究では,境界性パーソナリティ障害(borderline personality disorder: BPD)周辺群を対象として,認知行動理論的視点から,見捨てられスキーマとBPD周辺群が示すBPDの徴候との関連を調べることを目的とした。調査1・2では,大学生452名を対象に質問紙調査を実施し,見捨てられスキーマ尺度(the Abandonment Schema Questionnaire: ASQ)を作成した。その結果,ASQは「恒常的な見捨てられ・孤独」,「親密な関係に対するしがみつき・同一視」,「他者からの好意に対するあきらめ」の3因子構造であることが示され,信頼性・妥当性も確認された。調査3においては,大学生253名を対象に,BPD周辺群の徴候と見捨てられスキーマの関連を調べた。パス解析の結果,見捨てられスキーマは,感情の不安定性を介してBPD周辺群に顕著にみられる様々な行動化に影響を与えている,という因果モデルが導かれた。今後は,ASQの大学生以外の適応可能性を検討することが求められる。
著者
東 真梨子 三橋 渉
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 音楽情報科学(MUS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.28, pp.1-6, 2011-02-04

本研究は,実環境で演奏されたピアノ多重音を自動で楽譜データに変換することを目的としている.他の様々な楽器や歌声に対して高性能な自動採譜が実現できれば,音楽的な知識がなくても作曲・編曲を簡単にでき,曲名やアーティスト名の情報がない場合の楽曲検索にも役立つだろう.また,音源分離の研究などと組み合わせることでより実用的なシステムとなるだろう.本研究では,音程や音符長の推定はもちろんのこと,音価 (音符記号) の推定,伴奏・主旋律の推定まで行う.それに伴い,信号処理に確率・統計モデルを加えることで音価の推定と伴奏・主旋律の推定に音楽的知識を取り入れる.The aim of this study is to transform polyphonic piano sound to musical scores in a real environment. Automated transcription of high quality for other instruments and singing voices can be applied to help composing music and identifying tune without information of song titles and singer names. In addition, this system can become useful when combined with the blind source separation technique. In this paper, We estimate musical note sequence and part of melody and accompaiment, not to mention pitch and note length. We therefore adopt musical knowledge by using probabilistic model in addition to technique of signal processing.
著者
竹山 峻平 佐藤 俊樹 野嶋 琢也
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.1, pp.1-6, 2010-08-16
被引用文献数
1

人はその口唇形状を,発話や食事,感情表現などのために自らの意志に基づいて変化させることが可能である.近年,この口唇形状を利用した読唇システムなどが研究されている.しかしながら,多くの研究は 「発話」 という機能に重点を置いており,その他の口の持つ機能に注目しているものは少ない.そこで本研究では口唇形状認識インタフェースの異なる可能性を検討するため,口唇の形状・動きをインタフェースとしたエンタテインメントシステムを提案する.People often change their shape of lips especially when they speak. Then, many researchers focus on recognizing the shape of the lips for "lip reading". However, the shape of lips are also changed when people eat, and when they express their emotion. Furthermore, lips are the part of human body that have high degree of freedom of motion. Then, in this research, we propose to use the shape of lips as human machine interface. In this report, we describe on the entertainment system that utilize shape of lips.
著者
中串 孝志
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

火星気象の変動のタイムスケールは様々である。そのため連続的観測が不可欠である。しかし探査機に頼り切った現状では時間的・空間的連続性を確保するのは難しい。地上観測によるモニタリングは依然としてニーズがある。我々は2003年観測期(2002年10月18日から2004年6月31日まで)に観測された諸現象について、西はりま天文台火星共同観測および月惑星研究会に大量に寄せられた優秀な画像アーカイブに基づいて、主として形態学的見地からの現象事例観測報告を行ってきた。本年度は後半期4145個のデータから得られた成果を論文としてまとめ、発表した(Publications of Astronomical Society of Japan誌第57巻3号497頁)。また火星気象はダストなどエアロゾルの物理に支配される気象でもある。これまで手薄だった偏光度による観測をスタートさせ、実用化段階に入っている。2003年のデータ解析の予備的成果は飛騨天文台主催のワークショップにて発表された。現在は2005年の観測データの解析中である。また特にエアロゾルと気象を結びつける実験的研究に関する現状は壊滅的と言ってよい。火星地表面上の地質学的研究が進んでいる現状を鑑みて、これは危機的状況と言える。そこで我々は近い将来我が国の着陸探査機が行う探査に備えた基礎的研究を想定し、エアロゾルの実験的研究に関する研究グループを立ち上げた。さらに惑星観測専用の宇宙望遠鏡プロジェクトも東北大他と立ち上げ、惑星エアロゾルの多角的研究を積極的に推進している。