著者
西村,次男
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, 1998-06-30

一方向繊維強化プラスチックロッドを構成する各種繊維が,純水,酸性およびアルカリ性の溶液によってどのような劣化を生じるかをより厳しい環境下(温度80℃,湿度60±2%)で劣化促進浸潰試験を実施し,浸漬試験後に繊維の強度ならびに走査電子顕微鏡を用いて微視的に観察し,各種繊維の劣化を明らかにした。その結果,アラミド繊維からなるテクノーラは,耐化学薬品性において強度低下は余り認めらず耐化学薬品性に優れていることが明らかとなった。しかし,アラミド繊維からなるケブラーk49,ガラス繊維およびかボン繊維は溶液の種類によってなんらかの影響を受け強度低下することが明らかとなった。
著者
片上 平二郎
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.313-330, 2015 (Released:2016-09-30)
参考文献数
25

本稿の目的は, ヴァルター・ベンヤミンとテオドール・W. アドルノの思想の関係を「弁証法」に関する両者の議論から考えることにある. 両者の「弁証法」は両極にあるものを並列させるという方法論において共通する点をもつが, アドルノがベンヤミンの「弁証法」における「媒介」の欠如を強く指摘するように, 無視できない相違点をもつものでもある. 本稿では, このような「弁証法」に対する態度の違いに着目することで, 両者の「近代的時間」に対するとらえ方の差異について考察していきたい.ベンヤミンは時間の中から「因果」論的要素を削ぎ, 瞬間的な「イメージ」の中に新たな「弁証法」の可能性を見ようとしていた. ベンヤミンは多様なものが同時に存在できるという「イメージ」の包括的性格を「救済」と結びつけようとする. それに対して, アドルノの「弁証法」観は, 従来の「弁証法」理解がもつ目的論的な構図に対して批判的態度を保ちながら, その乗り越えのために「因果」論的な意味での時間的動態性を重視している. この動態性を呼び起こすものとして, 個的なものがもつ「否定」性の契機が重要視される.ベンヤミンは「救済」という方向に向けて, アドルノは「批判」という方向に向けて, 「弁証法」という哲学的方法を刷新することを考えた. 本稿ではこのような両者の思想の違いから生まれる思想的布置こそを「弁証法」的なものとしてとらえている.

3 0 0 0 放送教育

出版者
日本放送教育協会
巻号頁・発行日
vol.36(12), no.396, 1982-03
著者
岡田 斉 松田 英子
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.81-90, 2014-03-01

The present study sought to explore the frequency with which Japanese undergraduates experienced nightmares. One thousand four hundred and twenty-five female undergraduates, ranging in age from 18 to 28 years, were administered a 26-item questionnaire asking about the frequency of nightmares and a 26-item questionnaire on the frequency of dream recall (Okada, 2001, 2011). Results indicated that 4.6% of respondents reported experiencing nightmares once or twice a week, and this figure agrees with the findings of Levin and Nielsen (2007). Factor analysis of the questionnaire indicated that items on the frequency of dream recall fell into five categories: major perceptions, minor perceptions, positive emotions, negative emotions, and dream content. The frequency of nightmares was associated with both types of perceptions as well as negative emotions and negative dream content.

3 0 0 0 OA ループ利尿薬

著者
廣谷 信一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.1207-1212, 2014 (Released:2015-09-15)
参考文献数
8
著者
CALDWELL J.A. MALLIS M.M. CALDWELL J.L. PAUL M.A. MILLER J.C. NERI D.F.
出版者
航空医学実験隊
雑誌
航空医学実験隊報告 (ISSN:00232858)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.9-62, 2010 (Released:2020-04-11)
参考文献数
237

パイロットの疲労は現在、航空運航における重要な問題となっている。この主な理由としては、民間と軍の航空運用において、不規則な労働時間、長時間任務、サーカディアンリズムの乱れ、睡眠不足等が日常的なものになってきていることにある。疲労がもたらす影響の全体像は正しく評価されていないが、その有害な作用の多くは、以前から知られているものである。十分に休息をとった人に比較して、断眠した人は、考えることも行動することも、より時間がかかり、より多くの失敗を犯し、また記憶能力も低下する。これらの影響は航空業務エラーや事故を引き起こしうるものである。1930年代、乗務員の疲労を軽減させることを目的として、飛行時間制限、次の飛行までの推奨休息時間及び乗務員の睡眠等について勧告がなされた。これらの勧告は、更新が必要であるにもかかわらず、当初に導入されて以 来、乗務員の勤務規定や飛行時間制限についてはほとんど変更されていない。疲労、睡眠、シフト勤務、サーカディアンリズム(概日リズム)生理学についての科学的な理解は過去数十年にわたって著しく進んだが、現行規則や産業界での慣行は、多くの場合これら新しい知識を適切に取り入れることができていない。このためパイロットの疲労問題は、確実に航空安全に対する懸念をともないつつ増加してきている。事故統計、パイロット自身からの報告、業務飛 行における研究の全てにおいて、疲労が航空運航において次第に重要な問題となりつつあることが示されている。このポジションペーパーでは、関連する科学文献を概観し、該当するアメリカの民間及び軍の航空規則をまとめるとともに、飛行中及び飛行前後の疲労対策を評価し、疲労の検出や対処のための最新技術について述べた。各項目では問題点の考察の後に、ポジションステートメントを明記した。ポジションステートメントでは、最新の科学知識を用いた現行方針の更新を最終目標とすることを念頭において論じた。また航空安全を改善するための方法や技術についても記述した。
著者
高松 薫 石井 直方 田中 喜代次 後藤 一成
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、有酸素運動の途中に休息を挟みながら間欠的に行う「分割法」による運動が、糖・脂質代謝や体組成に及ぼす影響を検討した。その結果、「分割法」による運動は休息を挟まずに行う「連続法」による運動に比較して、脂質代謝の亢進に対する効果が大きいこと、食後における血中グルコース濃度の調節に有効であること、長期のトレーニングに伴う体脂肪量の減少や体力の改善に対する効果の大きいことが明らかになった。
著者
大荷 満生
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.439-445, 2007 (Released:2008-03-25)
参考文献数
15
被引用文献数
9

高齢者医療における栄養評価の重要性について、(1)高齢者の栄養障害の特徴、(2)高齢者の自立障害とsarcopenia(筋肉減少症)、(3)高齢者の栄養評価の進め方の3点を中心に概説した。高齢者の低栄養には、骨格筋と脂肪組織の消耗が著明であるが、内臓蛋白は比較的保たれるため浮腫をみないマラスムス型PEMと内臓蛋白の低下が著しく高度の浮腫をみるカシオコール型PEMが混在する。高齢者の栄養状態を内臓蛋白の指標である血清アルブミンだけで評価すればマラスムス型PEMを見落とし、これとは対照的に身体計測指標だけで評価すればカシオコール型PEMを見落とすことになる。したがって、高齢者の栄養評価では、血清アルブミンなどの血液検査所見と身体計測指標を組み合わせて評価することが重要である。また、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下は、sarcopeniaと呼ばれ、高齢者の転倒や骨折、寝たきりなどの自立障害を引き起こす大きな原因になる。高齢者の筋肉量を正確に評価し適切な栄養治療をおこなうことは、高齢者の健康維持や自立障害の予防に重要である。高齢者の栄養評価法としては、在宅や施設入所の高齢者を対象とする場合は、血液検査を必要とせず、簡単な問診と身体計測によって評価が可能なMini Nutritional Assessment(MNA)が有用である。一方、高齢入院患者を対象とする場合は、血清アルブミンと理想体重比から求めるGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)が有用である。いずれの栄養評価法も高齢者あるいは高齢患者の臨床経過や生命予後のよい指標となる。
著者
斉藤 昭彦
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.43-47, 1996 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7

この論文の目的は,徒手理学療法におけるイリタビリティーの概念について解説し,イリタビリティーの評価の実際およびイリタビリティーと検査・治療との関係について記述することである。イリタビリティーとは種々の動作によって患者の状態悪化が引き起こされる可能性の程度であり,1)痛みを引き起こす活動量,2)出現した痛みの強度,3)出現した痛みの回復時間の3つの要素から決定される。イリタビリティーはまず,病歴聴取の段階で患者の訴えに基づいて決定され,身体的検査,治療を通して修正される。イリタビリティーの評価により患者の許容量を考慮した適切な検査,治療が可能となる。また,イリタビリティーは治療効果の指標あるいは臨床教育におけるコミュニケーションの手段としても有用である。
著者
小林 亮介
出版者
学習院大学
雑誌
東洋文化研究 (ISSN:13449850)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-52, 2011-03

After the collapse of the Qing Empire in 1912, the Republican China asserted its authority over the whole of Tibet. The Dalai Lama government, in turn, also claimed independence and planned to unify Tibetan borderlands overlapping Chinese provinces. Therefore, Eastern Tibet, located between Tibet and China, inevitably became a central issue of this border dispute. Previously, many scholars have examined this dispute from the perspective of the historical process of the binary relationship between China and Tibet and from that of the history of the Chinese frontier policy. However, they have rarely focused on the indigenous Tibetan leaders who actually ruled Eastern Tibet. My paper examines the development of tripartite relationship between Qing Empire, Dalai lama government and indigenous leaders in Eastern Tibet, by clarifying the Kingdom of Derge(sDe dge), De ge Tusi(徳格土司), was committed to the Dalai Lama government and the Qing Empire during the late nineteenth and early twentieth centuries. To do this, I based on primary materials in English, Chinese and Tibetan。 This historical process of the Derge Kingdom shows us part of the radical change of Eastern Tibet from the intermediate region between China and Tibet to the front line that both governments planed to unify.

3 0 0 0 放送教育

出版者
日本放送教育協会
巻号頁・発行日
vol.32(1), no.337, 1977-04
著者
新井田 大輝 今井 雅
雑誌
DAシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.195-200, 2022-08-24

津軽弁は,青森県民や転勤族,県外からの観光客とのコミュニケーションの障害となることがある.我々は,人工知能を活用し,津軽弁と一般的な日本語との双方向の音声・文字翻訳システムを開発している.本稿では,まず,我々の研究プロジェクトを紹介し,開発した津軽弁から一般的な日本語へのテキスト翻訳システムを説明する.また,形態素解析・翻訳ツールの評価結果も示す.
著者
立垣 愛郎
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.8-19, 2019-03-25 (Released:2019-05-09)
参考文献数
36

昨今の健康志向の高まりに伴い,食品成分の持つ健康機能が注目されている.中でも乳酸菌の健康機能に対する認知度はきわめて高く,近年,ヨーグルトのほか,乳酸菌入りチョコレート菓子やカップ麺等の食品が増えている.このように,乳酸菌が今まで以上に身近な存在となった理由としては,乳酸菌が持つさまざまな健康機能が明らかになってきたことやこれらの健康機能が殺菌された乳酸菌でも発揮することが明らかになり,食品への配合が容易になったといった研究成果によるところが大きい.本総説では乳酸菌や腸内細菌について解説するとともに,筆者らの研究グループが保有している食品由来の乳酸菌株の中から選別された,3つの機能性乳酸菌(R037乳酸菌,LAB4乳酸菌,R30乳酸菌)を例に,乳酸菌の健康機能について紹介する.●R037乳酸菌(Pediococcus acidilactici R037)抗アレルギー機能,中性脂肪低減効果を持つ乳酸菌●LAB4乳酸菌(Lactobacillus delbrueckii LAB4)血糖値の上昇抑制効果を持つ乳酸菌●R30乳酸菌(Enterococcus faecium R30)筋肉の毛細血管の血流を促進する乳酸菌