著者
斉藤 英俊
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.87-93, 2018
被引用文献数
5

<p> 新たな輸入防疫制度の申請対象となったテナガエビ類の流通状況を,2016-2017年に神奈川県,愛知県,大阪府,広島県の釣具店で調査した。新制度施行前は,中国から輸入された外来種チュウゴクスジエビが購入個体数の83-93%を占めた。2016年7月の施行後は,国内産地から供給された在来種スジエビが83-100%を占めた。しかし,広島県や愛知県では施行後もチュウゴクスジエビが5-11%含まれ,国内産地の一つである岡山県で採集されたことから,国内に定着した本種が釣り餌として流通していることが判明した。</p>
著者
西館 有沙
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.125-130, 2016

保育者の職務中のマスク着用は,感染症対策という面からみれば必要な対応であるが,子どもの健全な心身の発達を促す保育を行う際の影響の有無にも,留意する必要がある。そこで本研究では,保育者のマスク着用状況やマスク着用に関する認識を明らかにするため,保育者に対する質問紙調査を実施した。質問紙は107部を回収し,そこから看護師や障害児施設に勤務する保育士の回答を除いた90部を分析対象とした。保育者は自身が風邪等をひいている時(94%)や病気が流行している期間(70%)にはマスクを着用すべきであると考えており,そのような時にはマスクを着用していた。一方,6割を超える保育者がマスクの着用によって困った経験があるとした。その理由としては,声が届きにくいことや保育者の表情が子どもに伝わりにくいことが多く挙がった。また,保育者はこれらによって保育に支障が生じると考える傾向にあった。
著者
中谷 伸生
出版者
関西大学博物館
雑誌
関西大学博物館紀要 (ISSN:13414895)
巻号頁・発行日
no.9, pp.136-146, 2003-03-31

平成十四(二〇〇二)年度建仁寺久昌院の建築及び障壁画の調査研究報告〈論文・資料紹介〉
著者
服部 恵典
出版者
カルチュラル・スタディーズ学会
雑誌
年報カルチュラル・スタディーズ (ISSN:21879222)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-57, 2020

ポルノグラフィは、社会的にも社会学的にも議論の係争点であり、ジェンダーの平等が論点となる場合にはとりわけそれが際立つ。その端緒となる反ポルノ派フェミニストの理論が有する問題の1 つに、女性によるポルノの「見方」の多様性を狭めてしまうがゆえに、女性を「被害者」の位置に固定化してしまい、女性が消費者となるポルノグラフィの存在をうまく説明できないという点がある。<br> しかし、女性向けポルノの先行研究が行ってきた、①「正しい」女性表象でないという分析、②「女性」が揺るぎがたく持つ優位性があるという分析、③男性向けポルノと同様の価値観で成り立つという分析、のいずれにも課題が残る。この解決方策として、本稿は女性向けアダルトサイト研究の知見から、ジェンダー化されたジャンル区分そのものを問う重要性を指摘した。そして「女性向けアダルトビデオ(以下AV)のファンは男性向け/女性向けAV という区分をいかに捉えて視聴しているか」という問いのもとで11 名へのインタビュー調査を行った。<br> 調査結果から、主流のAV に対するアンチテーゼとして生まれた経緯のある女性向けAVを視聴していても、ファンは単純に男性向けAV を批判するのではなく、「男優ファン」であるがゆえに男性向けAV の視聴を自然にファン活動に組み込んでいたことが明らかになった。しかも男性向け作品を「仕方なく」視聴するのではなく、ある種のトラウマ経験がある女性であっても、両方に良さを感じながら楽しんでいた。また男性向け/女性向けを越境した視聴を行うだけでなく、そうした区分の必然性を揺るがすような捉え方もしていた。こうしたファンの実践は、ジャンル研究の文脈では、デコーディングによるジャンルの脱構築、第三波フェミニズムの文脈では、「被害者」ではなく「消費者」としての「女性」に着目した、女性性の再構築ないし転覆の可能性の模索であるといえる。
著者
土井 亜香里 瀧澤 重志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.93-96, 2017

大阪環状線は大阪市営地下鉄御堂筋線に比べ,乗車人員も少なく,人々から親しまれていない懸念がある.本研究では大阪環状線19駅の駅名と位置に関する認知度をアンケート調査から分析し,駅それぞれの特徴と環状線の課題点を考察する.また,各駅の認知度を2重の円の大きさとして可視化する手法も提案する.
著者
程 永超
出版者
山口大学アジア歴史・文化研究会
雑誌
アジアの歴史と文化 (ISSN:13481932)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.131-142, 2012-03-31

150余年前の1854年、中日問の人的交流がまだ少なかった時代、中国人羅森は、アメリカ合衆国艦隊のマシュー・ペリー提督の漢文通訳として日本を訪問していたことがある。羅森はアヘン戦争後初めて日本、特に北海道(函館)を訪れ、記録を残した最初の中国文人である。彼は日本において多くの文化交流を経験し、後に香港の英華書院から発行された月刊誌『遐邇貫珍』で近代中国初めての日本見聞録『日本日記』を連載し、幕末の日本を中国に紹介した。羅森は日本開国の目撃者であり、日米会談の参与者でもある。本文は近代中日文化交流の先駆者である羅森の人物像を紹介した。まずは羅森という人物を紹介、次に彼の書いた『日本日記』を通して羅森の目に映った日本像、主に羅森の目に映った「鎖国」の日本と「開国」の日本を分析し、そして中国人の羅森に不思議と思うものをいくつか拾って紹介、最後にまとめることにする。
著者
久保 正敏
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.49-57, 1995-01-27
参考文献数
3
被引用文献数
2

1965年から1989年までの間に発表されたニューミュージク系の曲300余を対象に、歌詞をデータ入力するとともに、歌詞から曲を分類する項目を設定し、それに基づいた値のデータベースを作成した。その概略的な分析結果を報告する。25年間を5年毎の5つの期間に区切って、分類項目値の変化を見ると、以下のようないくつかの特徴を指摘できる。●1960年代には見られた「若者モノ」は1975年以降減少している。●代わって「恋愛モノ」が台頭し、最近では9割近くを占める。●これに呼応して、歌詞に友人や肉親など恋愛対象以外の人物が登場する曲は急減する。●歌詞の時間的方向性を見ると、第1期は未来指向、第2、3、4期は過去指向、第5期は再び未来指向が優勢となる。こうした変化と、経済・社会的変化、世相・風俗、ミュージシャンの世代や相互の影響、海外の洋楽からの影響、と言った諸現象との相関についての詳しい分析は、今後の課題としたい。
著者
朝井 知 朝井 均 坂口 守男 朝井 栄
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.33-42, 2005-09-30

20世紀を代表するピアニスト,ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)は,卓越した演奏技術に加え,19世紀以前の浪漫派の伝統を継承した,傑出した音楽家として,現在でも,コンサートピアニストの「指標」となっている。その一方で,広く知られているように,ホロヴィッツは,生涯を通じ,数回にわたって公の演奏活動を休止している。ここでは,活動休止に至る経緯に注目した症候学的考察を,そして,木村の論考に基づき,演奏における音楽性を検討した上で,精神病理学および人間学的考察を試みた。症候学的には,ホロヴィッツが,神経症性うつ病の範疇にあることが示唆された。また,多くの聴衆を熱狂に導くような彼の音楽性においては,木村のいう二重主体性の完全な重なりが志向されており,そのために彼の私的間主観性が,過剰なまでに動員されいるものと考えられた。さらに,音楽に呼応する精神病理の観点からは、音楽性,精神病理,音楽美の多元的な関係における均衡の破綻によって,その病理の表出に至った可能性が示唆された。