著者
大井 義洋
出版者
戦略経営研究科
雑誌
大学院研究年報 戦略経営研究科編
巻号頁・発行日
vol.5, pp.131-152, 2018-03-24

In this paper, Professional football leagues have been identified as economic actors pursuing revenues and their development mechanism will be studied. The subject of this study will be the top 5 European leagues who have developed to stand out from the rest of the world from various perspectives including an economic perspective.The analysis method relies on Christensen&Carlile(2009) where existing studies and cases are used for building theory, and analysis was conducted using semi-structured interviews based on research questions and existing studies.According to the analysis, in a world of globalization, the top 5 European leagues where each league would be an exclusive company in each territory created a world system under formal or informal institutions. Domestic(National)Regional(European) and Global(World) were each seen as platforms consisting the triple platforms. The UEFA Champions League (European Regional platform) was perceived the core of the earning cycle in developing its own eco-system to enable economic growth and coevolution.
著者
田中 紀子 Noriko TANAKA
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.A81-A92, 2003

Seven (1995) では現代の大都市を舞台として、残虐を極めた連続殺人事件が起きる。本稿では映画と小説の両方を取り上げ、そこに描かれた都市の諸相をおさえ、また小説のみに扱われている都市と田舎の対比に着目する。作品の主人公は、犯人捜査の任務に就いた二名の警察官の片方、生来都市で暮らしその暗黒面を知り尽くしているベテランの警部補である。彼と、彼とは対照的な人物である田舎町から移ってきたばかりの若手の刑事、その妻、そして殺人鬼の性格と生き方を明らかにし、彼らをめぐる人間関係を探ってゆく。さらに、重要な問題提起と考えられるErnest Hemingway の For Whom the Bell Tolls (1940) の中の一節、"The world is a fine place, and worth fighting for" がどのように作品に導入され、この一節が現代都市においてどのような意味を持ち、作品の結論にどのように反映されているのかを見てゆく。

2 0 0 0 OA 稚児の性

著者
橋立 亜矢子
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.49-78, 2010-03-15

There is a deep relationship between Japanese people and pages. This deep relationship can be observed in medieval picture scrolls and at various festivals in Japan that still exist.Pages always wear made-up and splendid costumes. They are apotheosized by people and regarded as media to Divine beings or their embodiment.The background to their sacredness comes from their age, at which there is no social distinction by gender, and their existence in medieval monasteries.In discussing the sacredness of children and the position of pages in medieval monasteries, this thesis attempts to find the background to people's feelings toward pages. The thesis also discusses “the gender of pages" which differs from that of adults and of ordinary children.
著者
馬場 雅大 小野 廣隆 定兼 邦彦 山下 雅史
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2010-AL-129, no.1, pp.1-8, 2010-02-26

大規模なデータを効率よく扱うために圧縮されたデータ上で高速な操作を行える簡潔データ構造が提案されてきた.本稿ではパトリシアトライなどに使われる全二分木に焦点を当てる.提案する全二分木の簡潔表現のサイズは n+o(n) ビットであり,右の子へ巡回するといった操作を定数時間で行うことができる.また接尾辞木 (ST) を全二分木に変換することで圧縮可能であることを示す.
著者
濵㟢 祐実 塚原 貴子
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-1, pp.139-146, 2020

本研究は男子大学生の子宮頸がんに対する意識を明らかにすることを目的とした.A大学に在籍する男子大学生1,012名に無記名自記式質問紙調査を実施し,有効回答票307部,回収率39.0%だった. 子宮頸がんを聞いたことが「ある」者は91.9%だった.HPVウイルスに関する知識では6割以上の者が「知らない」と答えており,学年別でも有意差を認めなかった.子宮頸がんは男性も予防に関与で きると思う者は79.5%だった.予防に関する情報では,「治療方法」「性行為における予防方法」「妊娠・出産への影響」に関心があった.がんのイメージと近親者のがん罹患者の有無との関連では「普通- 特別」に有意差(p<0.05)を,「平気-怖い」「近い存在-遠い存在」に有意差(p<0.01)を認め,近親者にがん罹患者がいる者はがんのイメージを「普通」「平気」「近い存在」と捉えていた.がんのイ メージと子宮頸がん予防への意識との関連では,「生きる-死ぬ」「平気-怖い」「近い存在-遠い存在」 に有意差(p<0.05)を,「普通-特別」に有意差(p<0.01)を認め,予防に関与できると思う者はがんのイメージを「生きる」「普通」「平気」「近い存在」と捉えていた.HPVウイルスが男性へ及ぼす影響や男性が媒介者となり女性へ感染させる危険性について教育する必要がある.子宮頸がんに対す る予防意識を高めるために,正しい知識によってがんをポジティブなイメージで捉えることができる教育方法を検討することが課題である.
著者
縣 直道 大須賀 敦俊 窪田 貴文 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-141, no.9, pp.1-6, 2017-07-19

仮想化を利用したクラウド環境では,ひとつの仮想マシン上でひとつのアプリケーションのみを動作させる構成が一般的になっている.このようなクラウド環境の構成に特化した OS が提案 ・ 開発されている.これらの OS では,アプリケーション間の保護をハイパーバイザに任せることで機能を削減し,軽量化 ・ 省メモリ化を実現している.さらに,ベアメタルハイパーバイザ上で動作させることで,OS をアプリケーションに特化させることも可能である.一方で,プロセスの機能を提供しないため,マルチプロセスで動作するアプリケーションに対応することができない.また,ホスト OS の機能を利用することでマルチプロセスに対応した仮想化環境特化 OS の場合,ホスト OS が提供していない機能を実装することができない.本論文では,単一アドレス空間内で複数のプロセスを擬似的に実行させる手法を提案する.これによって,ホスト OS の存在を前提にせずマルチプロセスに対応することができ,既存のクラウド環境特化 OS と同様の軽量化を可能にする.
著者
阿部 涼介 鈴木 茂哉
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2020-DPS-185, no.11, pp.1-8, 2020-12-14

Ethereumは,P2P ネットワーク上で改ざん困難な台帳を信頼する第三者なく形成するシステムであるブロックチェーン上でプログラムを実行できるプラットフォームである.Ethereum 上に構築されたアプリケーションの操作に要する時間は,そのアプリケーションが実用に耐えうるか判断するための重要な要素である.先行研究では,限られたネットワーク参加者を想定したブロックチェーン自体の性能を検証が行われているが,Ethereum のような開かれたネットワーク上での伝播遅延を考慮した検証,およびアプリケーションの実行時間の定式化には至っていない.本研究では,Ethereum の動作を精査し,その上に構築されるアプリケーションの実行に要する時間の定式化を試みる.定式化された実行時間を検証するために,遅延をエミュレーションしたプライベートなネットワーク,試験環境であるテストネットワーク上で実験を行った.実験の結果,一定以上の伝播遅延が発生する時に遅延以上のオーバヘッドが存在することが示唆された.本研究の成果を基にさらなる高精度な定式化を行うことで,Ethereum 上に構築されるアプリケーションの実行時間を想定し,実用に耐えうるか事前に検証可能となることが期待される.
著者
黒川 太 河原 礼修
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.63, pp.101-117, 2020-12-01

学習成果における学生のエンゲージメントが果たす役割は非常に重要であるとの見解は共通認識となっている.日本においても学生のエンゲージメントをあらわす指標として,自主的な学習時間の確保が不可欠であるとの認識が広まっている. ただし,日本における大学生を対象とした学生のエンゲージメントに関する研究においては,データ制約などの事情もあり学習成果として客観的指標を用いた分析は少ない.よって本稿では客観的学習成果指標を用いることを前提に,本学の学生データとアンケートデータを用いて成績素点と自主学習時間をはじめとする学生のエンゲージメント要因,学生個人の属性要因,教育環境要因との関係を分析した. 分析の結果,学生のエンゲージメントの1要素である自主学習時間は学習成果に対する影響は認められるが,その効果は比較的小さいものであった.一方,学生のエンゲージメントの他の要因である授業出席回数や授業に関する興味関心については,自主学習時間よりも学習成果に大きな影響を与えていることが確認された.

2 0 0 0 OA 唱法の研究(3)

著者
杉山 知子
出版者
美作女子大学〔ほか〕
雑誌
美作女子大学紀要 (ISSN:03897796)
巻号頁・発行日
no.21, pp.36-43, 1988
著者
平井 美津子 Mitsuko HIRAI
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.45-53, 2009-03

古典ギリシャ語は、古代から近世にかけて西欧文化に大きな影響を与えた。特に医学の分野では、古典ギリシャ語を語源にする用語が多く、そのため難しいと思われがちである。しかし、その語源を理解することがほとんどないままに、単語を習得していかなければならない。今回、古典ギリシャ語と関わりの深いギリシャ神話にまつわる医学英語を取り上げた。物語には興味深いエピソードも多く含まれ、ギリシャ神話を通して、その語源を知ることによって、医学英語に対する興味を引き出すことができるものと考える。
著者
吉中 季子
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.3-15, 2014-03-31

1942年に公表されたイギリスのヘヴァリッジ報告は、日本や各国の福祉国家形成に大きく影響を与えたといわれている。ヘヴァリッジ報告のなかの女性の位置づけを当時の歴史的背景とともにみたところ、国民の分類に「主婦」という独立したカテゴリーがあったことや、それに伴う社会保障上の証として「主婦保険証券」の提案があったこと、無業の既婚女性にきわめて優遇された制度の提案であったことがわかる。その背景には、当時のイギリスの主婦たちの家事労働は非常に重労働で、主婦たちの意識のなかに、家事労働に対する「職業観」が強いといったことがある。ヘヴァリッジ報告でも「家事労働」を高く評価して制度設計の計画をしていた。このようなヘヴァリッジ報告は、日本の社会保障制度の萌芽期においても強く影響を受け、ヘヴァリッジ報告を青写真に設計していたことが明らかになった。
著者
菊地 洋一 西井 栄幸 武井 隆明 村上 祐
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.45-58, 2010-02-26

物質の微視的概念である粒子概念(すなわち「物質はすべて目に見えない小さな粒(原子,分子,イオン)でできている.」という概念)は,物質を理解する上で最も根本的な要素であり,現代の自然科学および科学技術の礎となっている.物質のマクロ的な事象(物質の分類,状態,性質,反応など)を科学的に説明するには,粒子概念が不可欠となる.よって,小・中学校における物質学習のカリキュラムを考える際に,粒子概念の位置づけは大変重要な問題であるといえる.粒子概念をどの時期に導入するか,どのように取り扱うかによって,物質学習の中味が大きく変わる.例えば,小・中学校の理科教育では児童・生徒が,主体的に実験を行い,その結果を整理したり比較したりすることから新たな事実や法則性を見出すような活動が重視されている.この活動は,考える根拠になる科学的知識を持たない学習者にとっては実験事実としての知識の集積の段階である.実験事実に内在している科学のしくみ,すなわち“なぜそうなるのか?” の疑問,を対象に学習を構成するには,物質学習に関していえば粒子概念が必要となる.よって,粒子概念の導入前後では学習の質に大きな違いが生じることとなる.粒子概念の位置づけを考えた際に最も重要なことの1つは,粒子概念は物質学習における種々の場面で“活用する概念” だということである.最終的には,学習者が学校教育を終えるまでに獲得した教育内容が適切であるかが問われる.物質学習においては学習者が粒子概念を物質の種々の現象の説明に使えるものとして定着することが重要なポイントとなる.このことが,物質学習で獲得したことが最終的に単なる知識の集積に留まるか,科学的な思考と理解を伴うものとなるかの分岐点となる.粒子概念の扱いはそれだけの影響力を持っているといえる.我々は上記の視点から,中学生・高校生を対象として,小学校で学習する物質の基本的な現象(空気と水の圧縮性の違い)について粒子概念を用いて科学的に説明できるようになっているのか?を問う調査を行った1).その結果,中学生と高校生の正答率はいずれも非常に低く,粒子概念と種々のマクロな現象を繰り返し学習してきた高校生においても,粒子概念が現象の説明に使えるものとしては定着していないとの結果を得た.また,2006年1,2月に文部科学省・国立教育政策研究所が実施した理科学力テスト「特定課題調査」の結果が2007年11月に公表された2).対象は小学5年生と中学2年生である.物質学習に関わる「食塩水の質量保存に関する基本的内容の設問」についての正答率は,小学5年生で57%,中学2年生で54%と低い値であった.この結果は中学生の正答率が小学生を下回ったこともあり,マスコミ等でも注目を集めた.多くの中学生が小学校で学んだ質量保存の考えを深めることができていない理由には,中学生においても粒子概念を用いた本質的な理解が確立していないことが挙げられる.これらの調査結果は,近年の物質学習カリキュラムに対する重大な問題提起であり,カリキュラムの再構築の必要性を強く感じる.そこで我々は前報において,粒子概念を基軸にした新たな物質学習カリキュラム構想を提案した1).このカリキュラムでは,物質に関わる種々の現象の科学的な理解を深め,生徒の科学的な思考力を育成するために,粒子概念を早期に導入する考えに立っている.ここでカリキュラム案が実現可能かどうかの大きなポイントは,早期に粒子概念を導入する場面の学習が成り立つかどうかである.そこで本報では我々のカリキュラム案の粒子概念の取り扱いを小・中学校の学習指導要領における取り扱いと比較した上で,カリキュラム案のポイントとなる場面として,中学1年での原子・分子・イオンの導入場面を取り上げ,授業実践とその評価を行った.
著者
松田 睦彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.199, pp.11-24, 2015-12-25

小稿は人の日常的な地域移動とその生活文化への影響を扱うことが困難な民俗学の現状をふまえ,その原因を学史のなかに探り,検討することによって,今後,人の移動を民俗学の研究の俎上に載せるための足掛かりを模索することを目的とする。1930年代に柳田国男によって体系化が図られた民俗学は,農政学的な課題を継承したものであった。柳田の農業政策の重要な課題の一つは中農の養成である。しかし,中農を増やすためには余剰となる農村労働力の再配置が必要となる。そこで重要となったのが「労力配賦の問題」である。これは農村の余剰労働力の適正な配置をめざすものであり,柳田の農業政策の主要課題に位置づけられる。こうした「労力配賦の問題」は,人の移動のもたらす農村生活への影響についての考察という形に変化しながら,民俗学へと吸収される。柳田は社会変動の要因として人の移動を位置づけ,生活変化の様相を明らかにしようとしたのである。しかし,柳田の没後,1970年代から1980年代にかけて,柳田の民俗学は批判の対象となる。その過程で人の移動は「非常民」「非農民」の問題へと縮小される。一方で,伝承母体としての一定の地域の存在を前提とする個別分析法の隆盛により,人の移動は民俗学の視野の外へと追いやられることになった。人の日常的な移動を見ることが困難な民俗学の現況はここに由来する。今後,民俗学が人びとの地域移動が日常化した現代社会とより正面から向きあうためには,こうした学史的経緯を再確認し,人びとが移動するという事象そのものを視野の内に取り戻す必要がある。