著者
久我 むつみ
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.99, no.9, pp.1208-1217,1235, 1996-09-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
27
被引用文献数
5 5

本研究は妊娠による味覚機能の変動の詳細を検討したものである. 妊婦97例を対象に妊娠後の味覚につき問珍し味覚検査を行った. 32例については, 経時的な味覚機能の変化の検討を行った. 72例については, 血清微量元素の測定も行った. 対照は健常女性30例とし, 妊婦, 対照とも検査は全例同一検者が行った. 妊婦の味覚域値は妊娠前期から中期に, 非妊娠女性に比べ有意に上昇していた. 妊婦の血清亜鉛値は妊娠中期から後期に低下する傾向を認めた. 従って妊娠初期の味覚障害の成因を亜鉛欠乏との関連のみで説明づけることは困難であると思われた.

3 0 0 0 OA F特異点

著者
髙木 俊輔 渡辺 敬一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-30, 2014-01-27 (Released:2017-04-13)
参考文献数
117
著者
嶋崎 善章
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、外来生物法施行当初と現在の八郎湖のレクリエーション利用価値を推定し比較した。実際に釣りで訪れた人々を対象にしたアンケート調査と過去に収集されたデータを基に、トラベルコスト法で推定した年間の利用価値は、2003 年から 2011 年の間に推定で 3分の1以下(6.1 億円→1.8 億円)に減少していることが分かった。
著者
石原 康宏
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

化学物質の中には、胎児期に曝露すると成長後の行動異常を引き起こすものがあることが分かっている。着目すべきは、これら化学物質の多くがエピゲノムに影響し得ることである。また、脳内の免疫細胞であるミクログリアがスパインやシナプスの貪食を介して発達期の神経回路網の形成に関わることが明らかになりつつあり、ミクログリアと行動異常との関連が議論されている。これらの背景から、本研究では、『化学物質はミクログリアの遺伝子発現を長期的に変化させ、その結果ミクログリアが活性化し、異常な神経回路網が形成される』との仮説を検証する。本年度は試験物質として、まず、胎児期の曝露によりヒトおよび実験動物(マウス、ラット)で成長後の行動異常が確認されているバルプロ酸を使用する。妊娠マウスをバルプロ酸に曝露させたところ、成長後の仔の空間認知機能と社会相互作用が低下し、反復行動を示した。バルプロ酸の胎児期曝露は、発達期のミクログリアを過剰に活性化し、シナプス数を減少させた。このシナプス数の減少は一過的であり、成長後のシナプス数は、コントロール群とバルプロ酸曝露群でほぼ同数であった。以上の結果より、胎児期のバルプロ酸曝露は発達期のミクログリアを活性化することが明らかとなり、また、発達期に活性化したミクログリアは、発達期におけるシナプスの減少や成長後の行動異常に関与する可能性がある。来年度以降、ミクログリア活性とシナプス減少、行動異常との相関を明らかにし、ミクログリア活性化メカニズムを追及する。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1932年07月08日, 1932-07-08
著者
Genya Kobayashi Shonosuke Sugasawa Hiromasa Tamae Takayuki Ozu
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
BioScience Trends (ISSN:18817815)
巻号頁・発行日
pp.2020.03133, (Released:2020-05-28)
参考文献数
15
被引用文献数
30

Japan has observed a surge in the number of confirmed cases of the coronavirus disease (COVID-19) that has caused a serious impact on the society especially after the declaration of the state of emergency on April 7, 2020. This study analyzes the real time data from March 1 to April 22, 2020 by adopting a sophisticated statistical modeling based on the state space model combined with the well-known susceptible-infected-recovered (SIR) model. The model estimation and forecasting are conducted using the Bayesian methodology. The present study provides the parameter estimates of the unknown parameters that critically determine the epidemic process derived from the SIR model and prediction of the future transition of the infectious proportion including the size and timing of the epidemic peak with the prediction intervals that naturally accounts for the uncertainty. Even though the epidemic appears to be settling down during this intervention period, the prediction results under various scenarios using the data up to May 18 reveal that the temporary reduction in the infection rate would still result in a delayed the epidemic peak unless the long-term reproduction number is controlled.
著者
大塚 眞理子
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.20-26, 2001-06-30

本研究の目的は,在宅要介護高齢者と介護者である配偶者(以下高齢夫婦)は互いにケアしあう存在であるという前提にたって,高齢夫婦のケアしあう関係とケアしあう関係を促進する看護援助を明らかにすることである。作成した[ケアしあう関係を促進する援助の指針]に基づき3人の要介護高齢者とその介護者である配偶者を看護し,その看護経過を詳細に調べ,高齢夫婦のケアしあう関係を促進する看護援助を検討した。結果は以下の通りである。高齢夫婦のケアしあう関係は,〈両者はそれぞれの体力と心にゆとりができ相手をケアする可能性がある〉〈両者は相互理解している〉〈両者は互いに相手の価値を認めている〉〈両者は互いに相手に専心している〉〈両者は互いに相手の成長を助けている〉〈それぞれが相手へのケアを通して自分の生の意味を感じている〉が見いだされた。高齢夫婦のケアしあう関係を促進する援助は,【相手をケアするゆとりを生み出す援助】【ケアする相手への専心を促進する援助】【相互ケアを促進する援助】【相手に対するケアを促進する援助】【相手をケアするゆとりの支援を外部・他の家族に求める援助】に集約された。老化や健康障害により心身のゆとりを失った高齢夫婦の双方に対する【相手をケアするゆとりを生み出す援助】,要介護状態でのつらさや心身のゆとりがない状態での介護などから離れた心を再びつなぐ【ケアする相手への専心を促進する援助】ならびに,老化や要介護状態などで役割を失った夫婦が新たに協働したケアをはじめるよう促す【相互ケアを促進する援助】はすべてのケアしあう関係を促進するのに関連しており,高齢夫婦のケアしあう関係を促進
著者
古澤 明 青木 隆朗 高橋 浩之
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2018-04-23

2次元大規模連続量クラスター状態生成のための要素技術開発として、広帯域スクイーズド光4本の同時生成法確立、スクイーズド光の相対位相ロック法の開発、スクイーズド光の相対位相ロックのデジタル制御系構築を行った。広帯域スクイーズド光4本の同時生成法確立としては、100MHzスクイーズ帯域の光パラメトリック発振器を4台作製した。これらをひとつのポンプ光で同時に駆動し、それぞれ6dB以上のスクイーズド光の観測に成功した。スクイーズド光の相対位相ロック法の開発として、新規ロック法を開発した。従来のスクイーズド光相対位相ロック法は、光パラメトリック発振器それぞれに導入しているプローブ光に変調を掛け、そのビート信号からロックのためのエラー信号を得るため、高い信号/雑音比を得るのが困難であった。そのため、ロックの安定性がそれほど高くなかった。しかし、スクイーズド光4本を複雑な干渉計において、その相対位相を安定してロックするためには、従来の方法では困難であることが予想された。そのため、新規スクイーズド光相対位相ロック法として、プローブ光に変調を掛けるのではなく、周波数をシフトすることによりヘテロダイン信号として読み出す方法を開発した。これにより劇的に信号/雑音比が改善し、安定してスクイーズド光の相対位相をロックできるようになった。スクイーズド光の相対位相ロックのデジタル制御系構築としては、新たにフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を導入し構築を行った。アダプティブヘテロダイン測定のための補助状態生成技術開発として、超伝導光子数識別器作製のためのスパッタリング装置調達とその立ち上げ、共振器QED系の立ち上げを行った。
著者
古川 善博
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-9, 2016-03-25 (Released:2016-03-25)
参考文献数
60
被引用文献数
1

Emergence of life's building blocks on the prebiotic Earth should be the fundamental step to the origins of life. Geological evidences suggest that such organic compounds accumulated at some point in the time between 4.4 to 3.8 billion years ago. During this period, the flux of extraterrestrial objects was significantly higher than the subsequent periods. Such extraterrestrial objects might have provided substantial amounts of metallic iron to the surface of the Earth. Shock-recovery experiments simulating the impact-induced reactions of such iron-bearing objects suggest that hypervelocity oceanic impacts of meteorites form nucleobases and various amino acids as well as amines and carboxylic acids. High annual mass flux of such large objects suggests that the impact-induced formation was not negligible as a source of organic compounds on the early Earth. Further investigations on the impact-induced reactions and the nature of extraterrestrial objects would elucidate the fundamental step to the origin of life.

3 0 0 0 OA 道路交通信号

著者
河合 悟
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.204-209, 1987-03-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
8
著者
北本亜由美 山内正人 砂原秀樹
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.43-50, 2014-11-27

家族という単位が崩壊し,縮小化に向かっている.その影響により,ペットはコンパニオンアニマル,すなわち生活するうえでの 「伴侶」 という位置づけを獲得し,飼い主との情緒的結びつきがより密接になった.そのため,ペットと死別すると,ペットロス症候群に陥る人が増えてきている.ペットロスから回復するためには,悲しみを吐き出すことが重要だとされているが,ペットを亡くした悲しみは同じような体験をしていないとなかなか周囲の理解を得られないため,多くの飼い主が心に溜めている.そこで,本研究ではインターネットを活用して同じような体験をした飼い主同士を繋げ,悲しみを吐き出せる場を作ることで,心の負荷軽減を行い,ペットロスからの回復を助けるような仕組みを構築する.本稿では,オンラインセルフヘルプミーティングの提案および飼い主同士で円滑にミーティングを実施するための機能について評価する.
著者
清水 厳郎 長谷川 聡 本村 芳樹 梅原 潤 中村 雅俊 草野 拳 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0363, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】肩関節の運動において回旋筋腱板の担う役割は重要である。回旋筋腱板の中でも肩の拘縮や変形性肩関節症の症例においては,肩甲下筋の柔軟性が問題となると報告されている。肩甲下筋のストレッチ方法については下垂位での外旋や最大挙上位での外旋などが推奨されているが,これは運動学や解剖学的な知見を基にしたものである。Murakiらは唯一,肩甲下筋のストレッチについての定量的な検証を行い,肩甲下筋の下部線維は肩甲骨面挙上,屈曲,外転,水平外転位からの外旋によって有意に伸張されたと報告している。しかしこれは新鮮遺体を用いた研究であり,生体を用いて定量的に検証した報告はない。そこで本研究では,せん断波エラストグラフィー機能を用いて生体における効果的な肩甲下筋のストレッチ方法を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常成人男性20名(平均年齢25.2±4.3歳)とし,対象筋は非利き手側の肩甲下筋とした。肩甲下筋の伸張の程度を示す弾性率の計測は超音波診断装置(SuperSonic Imagine社製)のせん断波エラストグラフィー機能を用い,肩甲下筋の停止部に設定した関心領域にて求めた。測定誤差を最小化できるように,測定箇所を小結節部に統一し,3回の計測の平均値を算出した(ICC[1,3]:0.97~0.99)。弾性率は伸張の程度を示す指標で,弾性率の変化は高値を示すほど筋が伸張されていることを意味する測定肢位は下垂位(rest),下垂位外旋位(1st-ER),伸展位(Ext),水平外転位(Hab),90°外転位からの外旋位(2nd-ER)の5肢位における最終域とした。さらに,ExtとHabに対しては肩甲骨固定と外旋の有無の影響を調べるために肩甲骨固定(固定)・固定最終域での固定解除(解除)と外旋の条件を追加した。統計学的検定は,restに対する1st-ER,Ext,Hab,2nd-ERにBonferroni法で補正したt検定を行い,有意差が出た肢位に対してBonferroniの多重比較検定を行った。さらに伸展,水平外転に対して最終域,固定,解除の3条件にBonferroniの多重比較検定を,外旋の有無にt検定を行い,有意水準は5%とした。【結果】5肢位それぞれの弾性率(平均±標準偏差,単位:kPa)はrestが64.7±9.1,1st-ERが84.9±21.4,Extが87.6±26.6,Habが95.0±35.6,2nd-ERが87.5±24.3であった。restに対し他の4肢位で弾性率が有意に高値を示し,多重比較の結果,それらの肢位間には有意な差は認めなかった。また,伸展,水平外転ともに固定は解除と比較して有意に高値を示したが,最終域と固定では有意な差を認めなかった。さらに,伸展・水平外転ともに外旋の有無で差を認めなかった。【結論】肩甲下筋のストレッチ方法としてこれまで報告されていた水平外転からの外旋や下垂位での外旋に加えて伸展や水平外転が効果的であり,さらに伸展と水平外転位においては肩甲骨を固定することでより小さい関節運動でストレッチ可能であることが示された。