著者
小島 恵津子 岩崎 博之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.141-149, 2001-03-31
参考文献数
11

積乱雲が発達する前にしばしば積乱雲の「融合」が見られる.この積乱雲の融合について,関東地方を対象に気象庁東京レーダーのデータを用いて調べた.解析期間は1994年と1995年の7月1日から8月31日である.その結果,次の特徴が明らかになった. 1) 1994年に212回,1995年に220回の計432回の積乱雲の融合が認められ,海洋域と比較すると陸域では対流活動度に対する融合回数の割合(融合率)が大きかった. 2) 積乱雲の融合回数は12時から22時に多く,この時間帯に融合率も大きかった. 3) 標高0.4〜0.8kmの南東斜面では,他の領域よりも融合率が高く,特に,熱的局地循環に伴う南東風が強い日には融合率が高くなっていた.
著者
大須賀 公一 石黒 章夫 鄭 心知 杉本 靖博 大脇 大
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.491-502, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
24
被引用文献数
7 11

In this note, we consider a control system that underlies in a biological system. We point out the existence of the Problem of Inseparability in the control system. To understand the principle of mobile adaptability embedded in the control system, we have to solve the Problem of Indivisibility. To solve the problem, we propose a concept of Implicit control law. Finally, we show the Implicit control law plays an important role for constructing the adaptive function of living thing and robot.
著者
外村 中
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-14, 1992-04-08
被引用文献数
1 3

『作庭記』にいう枯山水は,はたして,日本独自のものだろうか。本論は,日本,韓国,並びに,中国の古代庭園に関する文献や,考古発掘資料の代表例を比較検討することにより,『作庭記』にいう枯山水の源流は,中国の古代庭園に見出し得るのではなかろうかと考える理由を明らかにしたものである。

3 0 0 0 OA 舊約全書39卷

出版者
美華書館鉛印
巻号頁・発行日
vol.[1], 1865
著者
飯塚 益生 馬来 忠道
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.628-632, 1986-05-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
9

胃アニサキス症2例の超音波検査を経験した.患者は36歳と29歳の女性で,ともに特徴ある画像を呈した.すなわち胃幽門前庭部から胃体下部にかけての全周性の壁肥厚像で,表面は平滑,内部エコーは低く均一で,粘膜面のエコーはやや高く認められたが各層は分離してみられなかった. 1例は水飲用と体位変換により内腔の開大を認め,壁の伸展性が十分保たれている所見をえたが,このことは悪性疾患との鑑別に有効であると思われた. 2例とも内視鏡検査で虫体を発見し,これを生検鉗子で摘出したことで症状は消失した.1例に1カ月後再度超音波検査を行ったところ,胃壁が正常の厚さにもどっていた.このことより,超音波検査はアニサキス症の治癒の判定にも有効であると思われた.
著者
川上 晃 川上 義
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, 1974-11-15
著者
原岡 一馬
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.29-40, 1957-02-25
被引用文献数
2

以上の結果を要約すれば,〔一〕から,1知能以上の成績を上げた子も,無能以下の成績1しか上げ得なかった子も,家庭環境を一定とすれば知能と学業成績とは相当高い相関関係を示す(.7〜.8)し,学業成績は知能と環境との重相関では,ほとんど完全に近い相関係数を示す(.88〜.99)。又どちらも,知能と環境との相関はほとんどOであった(.018〜.039)。2知能以上の学業成績を上げた生徒は,知能以下の成績を上げた生徒よりも,家庭環境得点において有意に高く(田中研究所・家庭環境診断テスト使用),中でも「子供のための施設」「文化的状態」「両親の教育的関心」が特に大きな差を表わし,次に「家庭の一般的雰囲気」が重要だと云える。3オーバー・アチーバーのグループでの知能,学業成績及び家庭環境の関係と,アンダー・アチーバーのグループでのそれらの関係とでは,オーバー・アチーバー内では学業成績を上げるに環境の影響が少なく,アンダー・アチーバー内での学業成績に対する環境の影響は高かった。4叉各項目について,オーバー・アチーバーとアンダー・アチーバーとの有意な差を示すもの16を取り上げてみると,(1)同胞数について,1人子と6人以上の兄弟を持っているものは,アンダー・アチーバーの方が多かった。(2)家を引越した数はオーバー・アチーバーの方が多かった。(3)教科書以外の本が6冊以上ある家は,オーバー・アチーバーの方が多い。(4)一人当りの部屋数では.60以上がオーバー・アチーバーの方に多かった。(5)家に字引が二種類以上あるのは,オーバー・アチーバーの方が多かった。(6)家で決って子どものために雑誌を取ってもらったことのないのは,アンダー・アチーバーの方が多かった。(7)新聞を取っていない家庭は,アンダー・アチーバーが多かった。(8)両親が月に一回以上教会やお寺,お宮に参るかということについて,「時にはすることがある」というのにオーバー・アチーバーが多く,「お参りする」「全然しない」の両端は,アンダー・アチーバーの方が多かった。(9)家庭のお客様の頻度では「普通」がアンダー・アチーバーに多く,「比較的に少ない」と「比較的に、多い」との両端が(8)の場合とは丁度逆にオーバー・アチーパーに多かった。(10)家庭がいつもほがらかだと感ずるのは,アンダー・アチーバーであった。(11)お母さんの叱り方では,「全然叱らない」のが多いのはアンダー・アチーバーであった。(12)子どもが家でじゃまもの扱いにされていると全然思わないのは,オーバー・アチーバーが多かった。(13)両親とも働きに外に出ているのは,アンダー。一アチーバーが多かった。(14)両親が服装や言葉遣い等に全然注意しないのはアンダー・アチーバーが多かった。(15)子どものことについて,両親が口げんかをほとんどしないのはオーバー・アチーバーが多かった。(16)叉誕生日に何か送りものやお祝を「たいていする」のはアンダー・アチーバーに多く,「全然しない」「時にはすることがある」にはオーバー・アチーパが多かった。5以上のことから考えられることは,知能以上の学業成績を上げるには文化社会的家庭環境の影響が大であることが多くの研究結果と同様に示された。6次に推論出来ることは全体としてオーバー・アチーバーがアンダー・アチーパーより家庭環境はよいが,成就指数が高くなるに従って学業成績に及ぼす環境の影響度は少なくたって行くと云うことであり,連続的に見れば成就指数と環境との関係グラフは成就指数を横軸に,環境を縦軸に取れば,指数曲線状を描きその変化率が次第に減少すると仮定することが出来よう。7ここではオーバー・アチーパーとアンダー・アチーバーの両端を取って調べたため,その連続的傾向を見ることが出来なかったので,次に全体調査を行って上の推論を検証することとした。次に〔二〕から1 努力係数(FQ)と家庭環境得点とは正の相関(γ_<FQ・En>=302)を有すること,、(但しこの場合,その関係グラフは指数曲線状であり,相関係数は直線を仮定する故低い値となったであろう)。これに比して,学業成績はFQと高い相関(γ<FQA>=.71)を有し,知能はそれとほとんど無関係である。(γ_<FQ1>=111)2 オーバー・アチーパーがアンダー・アチーパーより一般に高い環境得点を有しているが,その関係の程度は努力係数が高くなればなる程低くなる。即ち努力係数と環境との関係は指数曲線状を描く。3 努力係数の変動の大部分は学業成績・環境・及び学業成績と知能との交互作用にあり,知能にはほとんどないのである。しかしながら,環境か努力係数の変動の中で無視されないほどの変動を有し,叉努力係数と.302の相関を有するということから,努力係数を構成するには,FQやAQのように知能と学業成績だけから作成されたイソデックスだけでは不充分ではなかろうか。そこには当然環境という要素をその重要度に応じて入れることが必要でh</abst>
著者
井上 滋樹
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.7-20, 2018-06-30 (Released:2018-12-14)
参考文献数
17

途上国の貧困層向けに商品を販売することで貧困層の生活向上を促そうという「BOPビジネス」への取り組みが日本企業でも進んできた。途上国の富裕層を対象としたマーケティングに多くの経験をもつ日本企業にとっても「BOP」は未経験の対象者であるため,どのような方法で彼らの的確なニーズを把握することができるかわからないケースが多い。また,「BOP層」の定義は,Hart and London(2011)によると1人当たり年間所得が3000ドル以下の世帯を指し40億人とされているが,そもそも40億人もの多様な生活者をひとくくりに分類するのはマーケティング的にはありえない。「BOP」をビジネスの対象としてみるならば,その全体像をみるのではなく,住んでいる地域や文化,収入などを特定し,そのマーケットと生活者の実態を明らかにする必要がある。この論文では,Prahaladが「BOP」に着目してから20年を経た今日において,そもそも「BOP」をどう捉えたら良いかを整理した上で,具体的にインドネシアの特定地域に住む「BOP層」を対象にした調査から生活者の具体像を明らかにする。さらに,「BOP層」向けの新商品開発のために実施した調査手法を考察し,「BOP層」のニーズ把握のために開発した「デザイン思考を活用した潜入体験型リサーチ手法 DIVE(Diversity Inclusive Visionary Enhancement)」を示す。
著者
桂 眞一 石 金霞
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-18, 2018-07-31

[要旨]本稿では,アノマリーとしてのバリュー株効果,小型株効果,ボラティリティー効果について日本と中国の株式市場における実証検証を試みた。実証検証の結果,日本市場と中国市場の双方で,PBR, PER, 配当利回りに関して,強いバリュー株効果が検出された。また,サイズに関しても強い小型株効果が検出された。ボラティリティー効果に関しては,日本市場では低ボラティリティー株が優位であり,逆に,中国市場では高ボラティリティー株が優位な結果が検出された。[Abstract]In this paper, we attempted to verify the value investing effect, the smallcap effect, the volatility effect as an anomaly in the Japanese and Chinese stock markets. As a result of the verification test, a strong value investing effect was detected with respect to PBR, PER and dividend yield in both the Japanese market and the Chinese market. Also, regarding the size, a strong small-cap effect was detected.Regarding the volatility effect, low volatility stocks dominated in the Japanese market, and on the contrary, high-volatility stocks dominated in the Chinese market.
著者
石原 良純
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.573, pp.30-32, 2013-08-12

石原 気象の勉強を通じて強く感じたのは、日本の自然の過酷さです。それは言うまでもなく、国土がある位置や地形に起因する。ユーラシア大陸の東に近接する島国であり、中央に急峻な山岳地帯が走り、雨が多く、といった条件ですね。
著者
清野 嘉之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.310-315, 2010 (Released:2011-02-16)
参考文献数
33
被引用文献数
2

スギ花粉に関する文献をレビューし, スギ林の花粉生産量を削減するためにどのような森林管理を行ったら良いか, 長期的な予測のもとに森林経営者のための指針 (案) を作成した。都府県を単位とすると, 土地面積当たりの花粉生産量の多い都府県でスギ花粉症有病率が高い傾向があることから, 花粉症対策のための森林管理の目標はスギ林面積の削減ではなく, 花粉生産量の多いスギの削減とするのが合理的である。間伐や枝打ちに大きな花粉生産量削減効果は期待できない。モデルの予測結果によると, スギ林の伐期短縮やスギ花粉を生産しない樹種への転換には大きな削減効果を期待できる。気候変化シナリオが予測する21世紀の夏の気温上昇と, 気候変化を緩和するための国策の一つとして全国的に実施されている人工林間伐の影響とにより, 花粉生産量が1割程度増加する可能性が指摘されている。この増分の削減は, 気候変化による悪影響への対策の目標になる。増分対策としてはスギ林の皆伐が有効であり, 皆伐を増やすことにより増分の相殺時期を早められる。また, 花粉生産量の多いスギ林を優先的に皆伐し, 花粉生産量の多いスギの再造林を減らすことによっても時期を早められる。