著者
長谷川 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.524-525, 1997-03-06

一般に人が対面して対話をする際には、言語によるバーバル(verbal)な情報以外にも、視覚を通して視線の動きや様々な表情、また身振り手振りといったノンバーバル(non-verbal)な情報の授受も頻繁に行ない、意思や感情のスムーズな疎通を図っている[1]。すなわち人が対話する際には、言語による論理や感情の表現に加え、表情の変化やジェスチャー(これらを人の日常的な対話モードと呼ぶ)を意識的/無意識的に活用し、高度な相互理解を達成していると考えられる。これに対し、現在広く利用されているコンピュータや家電製品と人との対話においては、コマンドやボタン群といった人にとって非日常的な対話モードが用いられるのが一般的である。このだめユーザは機械毎にその操作法を学ばねばならず、機械の多機能/高機能化が進んだ昨今ではその負担は大きなものとなっている。今後もこのような状況が続けば、本来機械は多機能になるほどユーザに歓迎される筈が、それ故に敬遠されるという事態にもなりかねない。近年このような状況に鑑み、人の日常的な対話モードを活用し、人と機械のスムーズな対話の実現を目指すマルチモーダル対話(Multi-Modal Interaction : 以下MM対話)の重要性が強く認識されている。本稿では、このMM対話研究の一領域として最近注目を集めている擬人化エージェントによるマルチモーダルインタフェース 1 について慨説する[2,3]。
著者
ムシュタハ イマド S. 野口 孝博
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.605, pp.23-30, 2006
参考文献数
9
被引用文献数
1

1.はじめに近年のガザにおいて、住宅の乱立による伝統的なスタイルや文化性の喪失は深刻なものとなっている。なぜなら、コストや形態の美しさを優先するため、気候や社会的な快適さが軽視されるからである。この状況を改良するために、住宅内部の環境や文化的問題などを、風土に合ったかたちで快適なものを提案することが重要だと考えている。そこで本研究では、階層分析法を用い住宅の平面プランを分析する。そして、各住戸の各平面プランを、夏を重視したプラン、冬を重視したプラン、また夏-冬に共通するプランに分類する。さらに、これらの分類を、伝統的な住宅の関係図と照らし合わせることで、伝統的な住宅を取り入れた将来の住宅計画につながる原理を考察する。2.研究の目的ガザの気候は、気温の最も高い月で、平均31.2℃、最も低い月で6℃と気温差は大きい。このことは、住宅のデザインに多大な影響を与えると考えられる。また、ガザは人々が密集して住んでいることで知られている。こうした土地の不足、人口密度の問題を西洋風の高層住宅を建てることにより解消してきた。しかし、そのことは気候や社会的で伝統的な住まい方に悪い影響を与えた上に、住宅の問題を解決することが出来なかった。これを改善するため、イギリス統治時代以降の戸建住宅を分析する。そして、それの結果に応じて現在の住宅特徴を明確にし、伝統的な住宅の要素を取り入れた新しい住宅計画の提案を目的としている。3.調査の方法アンケート調査により、一般的な115の住宅で結果が得られた。その内訳は、エジプト時代の住宅が17件、イスラエル時代の住宅が48件、パレスチナ時代の住宅が50件である。これらのアンケート結果を、階層分析法により分析する。また、現在の戸建住宅の特徴を類型化するため、本研究では、土地利用の形態、地上での人々の活動、住戸内空間の方位、空間の大きさの4つの要素に焦点を当てて分析する。そして、それらの要素をさらに様々な選択肢に再分割し、マトリックス理論から引用した分析手法で分析することによって、人々の行為やその部屋の方位について要求や満足を仮定する。4.住宅パターンの分類時代別の傾向をみることに加えて、再分割された要素の分配とアンケートの分析から、そのプライオリティーを決定する(図7)。これらのプライオリティーから風土と密接に関わる夏冬の平面プランのパターンがそれぞれ明確になった。一般的に、夏の間涼しい風が北西から吹くことが知られているので、リビングが北西に配置される。これが3つの時代において、リビングスペースが北西につくられてきた理由である。また他方では、冬のことを考えて、リビングスペースを東や南に配置する事例もみられた。リビングスペースを東や南に配置することは、太陽光を住宅内部に取り込むことを容易にし、快適なリビングの環境をつくることが可能である。5.プライオリティー理論による平面計画ガザにおいて、サスティナブルの視点から新しい住宅の評価を特定することが緊急の課題である。そこで、本研究では、住宅の評価を満足度が反映される住宅内のリビングスペースの方位に焦点を当てている。3つの時代それぞれの空間のプライオリティーを総合化することで、各時代のリビングスペースの方位がわかった。そこから、住戸パターンが夏型、冬型、夏-冬型に分類することが可能で、それらがリビングスペースの方位を基準に配置されていることがわかる。しかし、著者は夏のパターンのみをまとめるだけでは不十分であると考えている。夏だけではなく、冬や夏-冬のパターンにも柔軟に対応したゾーニングを整理する必要がある。そして、これらのアプローチから伝統的な住宅の平面計画と現在の平面計画を検討し、双方の長所を持ち合わせた、新しいデザインを考えていく。これらのアプローチは、2世帯居住により生じるガザ特有の文化的混乱を減少させ、住環境や社会的な快適さを増加させることが出来る。また、戸建住宅やコレクティブハウスは、これらの検討結果をデザインや計画に反映させ、さらに発展させることも可能であると考える。AHPの分析はnote1を参照してください。6.まとめ上記の分析をふまえ、本研究を以下の通りまとめた。6-1.空間の配置1)図9.5は居住者が満足する空間の配置を示すことができた。2)住戸ユニットの中に中庭や外庭を計画、及びそれらと他の部屋の関係が重要な意味を持っていることがわかった。3)住戸ユニットは、コレクティブハウスやコーポラティブハウスで同じコンセプトを用いることが可能で、オープンスペースを共有する形で2つのユニットを上下でつなげることは、住環境や社会的な環境を向上させる上で望ましい。4)コンビューター、ファックスやプリンタなど新しいコミュニケーションツールへの要求があることがわかった。さらに、それらを住宅内のコミュニケーションが取りやすい場所に配置することに対する興味を訪ねたところ、85%の人々が要求しているということがわかった。小さいスペースをリビングスペースのまわりにまとめて配置することが、家族での共有を容易にすることが図9.6からわかる。6-2.標準的な住戸ユニットとその敷地1)表1から、住宅が小さくても、すこし大きなオープンスペースを持つことは、2世帯居住にとって良いことである。また、内部空間を共有することを文化的な観点から勧めることは、重要な意義を持つことがわかった。2)住戸ユニットの近くで日常の生活を営むことで満足を得るためには、図9に示す計画的アプローチに沿って検討することが賢明である。3)最も重要なのは、住宅が小さいことではなく、オープンスペースが必要なことである。私は、上記の特徴を将来のプランニングや構造のプロセスに反映させることを強く推奨する。なぜなら、これらが今後の文化や気候の観点から、持続的な計画論や設計手法を確立する上で重要だからである。
著者
山岡 耕春
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.141-153, 1994-09-20
被引用文献数
2 3

Relations between activity of volcanic earthquakes in Izu-Oshima volcano and stress and/or strain state around it are investigated. In this paper three kinds of relations are examined during and after the 1986 eruption of Izu-Oshima volcano : (1) How did big earthquakes affect on the volcanic activity of Izu-Oshima? (2) How did the pressure decrease of magma reservoir induce earthquakes around it. (3) How did the dike intrusion induce big earthquakes. The results are as follows : (1) Nine earthquakes of M>5.0 occurred from 1987 through 1990 within the epicentral distance of 100 km from Izu-Oshima volcano. They gave influences on the activity of volcanic earthquakes and/or volcanic tremor when they exerted normal strain of over 10^<-8> on the vertical plane trending N30W. (2) Swarm-like seismic activity in north and western part of Izu-Oshima volcano during the summit eruption is interpreted as an induced swarm due to pressure decrease of magma reservoir. The earthquake swarms occurred both sides of the magma reservoir whose location is estimated from the data of crustal movement. The location of two-lobed earthquake swarm is well explained by a simple model ; infinite two-dimensional elastic medium under differential stress with a circular hole. (3) Large earthquakes accompanied the dike intrusion of 1986 eruption of Izu-Oshima. Two biggest earthquakes occurred at both ends of the dike. A M 5.1 event occurred at the northwestern end and M 6.0 occurred at the southeastern end. Both events may played a role to stop the further propagation of dike intrusion.

3 0 0 0 OA 土佐遺聞録

著者
寺石正路 編
出版者
開成舎
巻号頁・発行日
vol.下, 1897
著者
東 弘樹 津田 和彦
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

通信販売においてはWebからの注文が増加傾向にある.Webでは電話での注文と比較して,架空名義の顧客が多くなる傾向にある.そのため,顧客の特定が困難になり,マーケティングや代金回収に思わぬコストがかかるなどの問題が生じている.そこで本研究では,顧客リストと受注情報の顧客とが同一の人か否かを,受注情報の氏名・住所・電話番号やメールアドレスを分析することで,揺れ記載のルールを構築する手法を提案する.
著者
寺口 敏生 田中 成典 西江 将男
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.411-427, 2011-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
31

近年,情報関連技術の普及と発展に伴い,カーナビゲーションを代表とする地理空間情報サービスが普及している.しかし,地理空間情報サービスの基盤となる地図情報の整備は人手による現地踏査に依存しているため,新店舗の開店などの実空間の情報変化に地図情報が追従できていない問題がある.そこで,著者らは,Web上の新店舗の開店情報を対象として,自然言語から店舗名,住所や業種などの店舗情報を自動収集するテキストマイニングの研究を行ってきた.しかし,新規開店に関連するキーワードだけを用いてマイニングを行った場合,業種別の単語出現傾向の違いや,単語の連接関係によって生じるノイズなどの自然言語の曖昧性に起因する課題に加え,情報自体の正誤を評価できないという課題に直面した.そこで,本研究では,キーワードによるマイニングに加え,マーケティング分析の指標に基づいて,店舗の業種と出店位置の地理的特性との関係を活用することで,これらの課題を克服することを目指す.実験から,地理的特性を考慮した情報を評価することによって,新店舗に関する開店情報を高精度に取得できることを実証した.
著者
金子 勉
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.208-219, 2009-06-30

日本の大学関係者の大学観に影響したと考えられるドイツの大学理念について検討する。ヴィルヘルム・フォン・フンボルトの「ベルリン高等学問施設の内的ならびに外的組織の理念」と題する文書は、大学論の原点である。研究と教育を重視することがドイツ的な大学観であると認識されてきたが、そのような大学理念はフンボルトあるいはベルリン大学から生じた形跡がないとする異論がある。そこで、高根義人、福田徳三、ヘルマン・ロエスレル等の大学論、ベルリン大学及びベルリン科学アカデミーの歴史、大学関係法令を手がかりとして、ゼミナール、インスティトゥート等諸施設の性質を考察した。科学アカデミーに所属する研究施設を分離独立して、これらを新設大学が教育上の目的に利用することが、ベルリン大学創立時の構想の核心にある。実際に、ベルリン大学令が大学と研究施設の関係を規定し、その規定が他大学に継承されたのである。
著者
DAVID Askew
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本年度は、研究代表者の所属研究機関が、代表者の海外出張をなかなか許可しようとしないという問題が勃発し、海外における文献蒐集などを必要とする学術研究を行うには大変厳しい環境になってきた。とはいうものの、日本国内でできることを中心にして、研究はそれなりにはかどることができた。本研究プロジェクト「探偵物語・人類学・捜査科学--『法と文学』の接点に関する一考察」において、本年度は、前年度の研究成果を踏まえつつ、それに一層磨きをかけることを第一の目的としてきた。前年度中に得た結論を論文として形にし、残る課題の解明に努めつつ、新たに出てきた文献や、残る課題の解明に役立つと思われる文献の収集・解読に努めてきた。とりわけロンブローゾの学説を中心に犯罪人類学を検証して、またシャーロック・ホームズに焦点を絞って、コナン・ドイルの小説が、指紋という一科学捜査技法の正当化に果たした役割を検討することをしてきたので、この研究をさらに磨くよう心がけた。第二は、研究成果そのもの、または今後の課題を明らかにしていくことを目指して、二つの研究論文の執筆に専念してきた。一つは、犯罪人類学の小説化の理論的再構成を論証するものであり、二つは、これまでの英米圏の研究成果を踏まえつつ、小説という言説空間における犯罪捜査技法の正当化について考察を加え、研究成果を公にするものである。査読にはそれなりの時間は必要であるが、いずれは出版される運びとなろう。
著者
高野 岳彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.119-140, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

本論では2008年漁業センサスの漁業地区別統計を主に使用して,東北地方太平洋岸の漁業の地域特性を分析した.同地域の漁業は2011年の大津波によって壊滅的被害を受け,現在復興が進められている.その復興プロセスは震災前の各地域の漁業生産のあり様とどう関連するのかについては地理学研究の主題となると考える.本分析はそのための基礎資料として企図された.分析においては,初めに漁業の種類,経営形態,経営規模,販売額,兼業状況,労働力状況等に関する諸指標を分布図化してその地域性を確認した.次いで,それらの23変数×77漁業地区のデータ行列に対して主成分分析を適用し,4つの解釈可能な主成分を抽出した.さらにその成分得点から77 地区を類型分類し,都市漁港,自立養殖漁村,小規模・兼業養殖漁村,共同経営・定置網漁村の主要4類型を見出した.最後に,それらの地域特性は今後の復興プロセスのあり方とどう関連するのかについて考察を行った.
著者
岸野 泰恵 柳沢 豊 松永 賢一 須山 敬之 納谷 太 坂田 伊織 北川 忠生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-7, 2014-07-21

希少魚の保護は生物多様性維持の観点から重要な課題であるが,生息環境が十分に明らかにはされておらず,経験的な知識をもとに保護されている場合も多い.無線センサネットワークを用いて希少魚の生育環境をモニタリングすることで,生息環境や繁殖の条件を明らかにできれば,生物多様性の保護に貢献できる.そこで本研究では,ニッポンバラタナゴ (絶滅危惧 IA 類) の保護池に無線センサネットワークを構築し,溶存酸素量,水温,温度,湿度,照度のモニタリングを行っている.本稿では,2013 年 3 月から開始したニッポンバラタナゴ生息環境モニタリングの実験について報告する.Conservation of biodiversity is important issue. However conservation of endangered fish is difficult problem, since some of their habitat environments are not clear. We are investigating habitat monitoring of endangered fish (Japanese rosy bitterling) with a wireless sensor network. We are measuring dissolved oxygen (DO), water temperature, air temperature, humidity, and illuminance. In this paper, we describe habitant monitoring experiment which was started in March 2013.