著者
新地 辰朗 西村 治彦 北添徹郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1592-1600, 2001-06-15
被引用文献数
5

鳥,魚,バクテリアなどにみられるように,動物の群行動には全体の動きを統率する特別な個体が存在しなくても,全体に自律的な挙動が創発されるものがある.本研究では,生態観測結果に基づく魚の行動モデルに従う魚群行動をコンピュータ上に再現し,そこでの広い範囲に及ぶ群行動の特徴を分析する.各尾の位置座標を成分とする時系列データに対してフラクタル解析を適用した結果,軌跡の粗視化パターンの形状比較から視覚的にとらえられる挙動性質をフラクタル次元として定量的に評価することができた.このことは,実際の観測実験においても長時間にわたる観測データが必要であり,その全体の評価を通して動物行動の理解が進むことを示唆している.Some of animals such as birds, fish, bacteria and so on show aggregate movements.These animals' behaviors are autonomous and they will be emerged in spite of the absence of a consistent leader for the entire system. In this study, we simulate fish school movements based on the observation data of real fish movements and try to analyze the characteristics of the autonomous behaviors. With the fractal analyses to the time series of the fish school coordinates, we could quantitatively evaluate the complexity, shown in the visual comparison of trail patterns, as the fractal dimensions. This study suggests the necessity of analyses with the long time observation data to understand further real animals' movements.
著者
篠崎 彰彦
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-25, 2005-08-27

本稿では、生産性の歴史と国際比較をもとに、人口減少下の日本経済を展望するための論点整理と実態把握を試みた。一般には、人口の減少を所与とすれば、経済成長は鈍化すると考えられるが、生産性の上昇率次第で「経済の縮小」は避けられる。また、高齢化を所与とすれば、生産性の停滞はやむをえないとみられがちだが、さまざまな創意工夫(全要素生産性)と新技術の導入(技術装備率)によって、それも克服可能である。2030年までの日本を射程した場合、人口減少と少子・高齢化は避けられそうにないが、基礎力を充分に発揮すれば、経済縮小と生産性停滞の悲観シナリオは回避できる。問題は、人口が増加し、平均寿命が短く、生産性上昇率がはるかに高かった高度成長期に形成された強固な再分配の構造にある。時代の変化に対応して分配の構造をうまく再設計しなければ、富を創造する力が削がれて悲観シナリオが現実のものとなり得る。
著者
吉村 賢治 武内 美津乃 津田 健蔵 首藤公昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.294-301, 1989-03-15
被引用文献数
24

実用的な日本語文解析システムにおいて 入力文中に存在する未登録語の位置や文法情報等の推定は不可欠な処理である.日本語文の解析手順は 形態素解析 構文解析 意味解析などの各解析を段階的に行うものと これらを融合的に行うものとに大きく分類できる.本論文では前者の方式を想定し,形態素解析の段階における未登録語の処理について述べる.本論文で示す形態素解析アルゴリズムは基本的に解析表を利用した横型探索のアルゴリズムであり 入力文中の一文字の漢字 平仮名や英字列 片仮名列を自立語と同等に扱うことにより未登録語の処理を可能にしている.このとき入力文の一文字ごとに自立語辞書を検索するという効率の問題やシステムにとっては正しいが本質的には誤っている膨大な数の解析が発生するという尤度評価の問題が生じる.これに対して本アルゴリズムでは 字種情報に基づいた文節末の可能性と解析の単位に対するコストの付与という二つのヒューリスティック情報を利用している.アルゴリズムの能率は入力文の文字数nに対して時間計算量 領域計算量ともにO(n)である.また このアルゴリズムにより入力文中の未登録語の90.9%を正しく処理できることを実験により確認した.
著者
小山 信也
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.436-443, 2004-07-05

数論,ゼータ関数論と量子カオス,ランダム行列理論の関わりについて概説する.前半部では量子カオスが数論的であるという意味,そして数論におけるスペクトルの重要性とその研究の方法について概説する.後半部では量子カオスの主要テーマである量子エルゴード性を解説し,それらが数論的多様体に関して解かれてきた歴史を振り返るとともに,最近の結果を報告する.また,ランダム行列理論と数論の関わりを,その端緒から振り返り,末節では最近の結果について述べる.
著者
斉藤 貢
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 = Soil mechanics and foundation engineering (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1-4, 2004-11-01
参考文献数
5

When technical transfer is considered, the technology must conform to the needs of users. Inappropriate aids such as White Elephant and Cannibalism have been reported due to the mismatch of needs and technologies. Appropriate technology is an important idea, which enhances economic viewpoint. Benefit in terms of economics is defined as willingness to pay, then economic analysis compairs benefit and cost. Technical development means to increase benefit and reduce cost within affordable limit. Global target to halve the proportion without safe water was adopted at UN Millennium Summit. In order to achieve the target, appropriate technology must be employed.
著者
池田 光栄 志堂寺 和則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.410, pp.51-56, 2006-11-30
被引用文献数
1

食品の見た目によって生じるおいしさは,食品の視覚的物理特性や,嗜好や空腹具合など見る人の特性を素因とし,これらが生起させる種々の感覚や感情が相互に影響しあって生じる.よって,これらの要因やその相互関係を調べることにより,見た目のおいしさのメカニズム解明に迫ることができると考えられる.本研究では,食品としてケーキを用い,ケーキの視覚的物理特性と食品を見ることによって生じる感覚との関係を調べる実験を行った.ケーキは様々な要素で構成されているので,ケーキの印象を評価する場合の注目領域の計測を行った.さらに,ニューラルネットワークを用いて見た目のおいしさとケーキの視覚的物理特性との関係を検討した.
著者
外崎 由里子 大野 和彦 中島 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.82-82, 2002-03-15

PCクラスタやデュアルCPUマシンなどの普及により近い将来,研究者だけでなく一般のエンドユーザが並列環境を利用できるのが当たり前になると予想される.逐次計算機上では,Cなどの高性能なコンパイラ型言語処理系とともに,Perlなどの手軽なスクリプト言語処理系が使用されてきた.並列計算機上では前者に対してHPC++などが開発されているが,後者に相当するものの研究は進んでいない.そこで我々は,エンドユーザが容易に並列計算機資源を有効利用できる環境を実現するため,並列性を簡易に記述できるようにPerlを拡張した,並列スクリプト言語(Perl)+の設計・開発を行っている.(Perl)+では指定した計算機を並列環境に追加し,RPCにより任意のサブルーチンを実行することができる.その返り値は遅延評価されるため,ユーザは複数のサブルーチン呼び出しを容易に並列タスクとして実行できる.また,並列タスク間では通信用に擬似的なファイルストリームを開くことができ,Perlの入出力関数を使ってデータを送受信できる.これらの機能はCで実装し,PerlとCを組み合わせるためのツールであるXSを使ってPerlモジュールPerlplus.pmを構築している.このため,ユーザは本モジュールを取り込むだけで(Perl)+の機能を利用できる.本モジュールは起動時に各ホスト上にPerlプロセスを生成し,PVMによりRPCや通信を実現している.また,各プロセス上で実行スレッド/受信スレッドを生成することで,RPCの実行と並行して受信処理を行えるようにしている.The spread of PC clusters and multi-CPU machines makes multiprocessors environment available not only for the reseachers but also for the end users.On the uniprocessor machines,we can use both effcient languages such as C and simple script languages such as Perl.On the multiprocessors,the languages of the former type such as HPC++have been developed.However,the latter type is not researched enough.Thus,we designed and implemented a parallel script language named (Perl)+as an extension of Perl.(Perl)+supports parallel task generation using RPC.Since the return value of a subroutine is lazily evaluated,the subroutine is executed in parallel to its caller.In addition to the communication through input arguments and return value,a user may open quasi file streams for the communication between parallel subroutines.Through this stream,any type of Perl data may be transferred using input/output functions of Perl.We implemented these functions in C.The user-interface is built as a Perl module Perlplus.pm,using XS for the linkage of C and Perl. This module adds speci fied hosts to the PVM virtual machines and creates Perl processes.We also introduced multi-threads for concurrent execution of user 's Perl code and PVM message receiving.
著者
牧野 幸志
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-12, 2008-02

本研究の目的は,広告メッセージ中のどのようなコンテンツ(内容)情報が受け手の購買行動に影響を与えるかを検討するとともに,それらの情報が個人内でどのように処理されているかを解明することである。本研究では,既存のテレビ広告を使用して,広告の出演タレントの好感度,広告の好感度と広告商品への関心度,広告商品の購入意図との関連を検討した。被調査者は男性50名,女性50名計100名,平均年齢は18.37歳であった。調査の結果,広告の出演タレントの好感度が消費者の商品への関心やその後の購入意図に影響を与えている可能性が示唆された。出演タレントの影響は,購入意図よりも商品への関心において大きかった。また,広告自体の印象が商品への関心やその後の購入意図に影響を与えている可能性が示唆された。広告の中には商品とは直接関係のない映像を用いているものもあったが,広告自体に好印象をもった場合には,その広告で宣伝している商品に関心を持ち,購入しようとする傾向がみられた。広告自体の印象の影響も購入意図よりも商品への関心において大きかった。
著者
坪井 順一
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.41, pp.68-72, 2000-06-16

従来の経営学研究の1つの特徴は、経営する側にとって「売れる商品」=「よい商品」であり、そうした商品を作り出すことが「よい経営」であるという図式のもとに展開されていたように思われる。同様に、広告に関しても「効果のある広告」=「よい広告」という前提のもとで広告づくりがおこなわれている。本論では、消費者という視点のもとに、一方的に流される企業広告ではなく、消費者は広告に何を望み、どのような情報が知らされるべきかを考えていきたい。企業が情報公開をおこない、消費者が客観的に商品の判断を下し、選択権を得ることができるようになって、初めて消費者主体という言葉が生きてくるように思われる。
著者
若島 正
出版者
早川書房
雑誌
SFマガジン
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.88-93, 2009-07
著者
親方
雑誌
出番です - 仮想講演会を主婦企画
巻号頁・発行日
vol.39, 1998
被引用文献数
1