著者
野口 和人 氏原 慎弥 黄瀬 浩一 岩村 雅一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.484, pp.205-210, 2009-03-06
被引用文献数
1

カメラ付き携帯電話を入力デバイスとした画像認識では,撮影した画像のぶれやぼけが認識精度低下の原因となる.そのため,ぶれやぼけに対処する手法が重要となる.本稿では,局所特徴量の近似最近傍探索による認識手法に対して,原画像に様々がぶれやぼけを与えた画像を生成し学習する生成型学習を導入することによって対処する.生成型学習を導入するにあたって問題となるのは,学習データの増加にともなって最近傍探索に必要なメモリ量と処理時間が増大することである.これは,特に大規模なデータベースを用いた場合に問題となる.提案手法では,多段階化とスカラー量子化によってこれを解決する.1万枚の画像データベースを用いた実験の結果,生成型学習を用いない手法と比べて認識率が12.3%向上することがわかった.
著者
上東 太一 柳井 啓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.484, pp.83-90, 2009-03-06
被引用文献数
3

近年,食事に関する健康管理が注目され,より簡単に食事内容が記録できるシステムが望まれている.そこで,本研究では,画像認識技術を用いて食事内容を記録するシステムを提案する.画像認識手法として,最新の機械学習の手法であるMultiple Kernel Learning(MKL)を用いて,局所特徴,色特徴,テクスチャ特徴などの複数種類の画像特徴を統合して,高精度な認識を実現することを提案する.MKLを用いることにより,カテゴリ毎に認識に有効な画像特徴を自動的に推定し,各特徴に対して最適な重みを学習することが可能となる.それに加え,本研究では,提案した食事画像認識手法を組み込んだ食べ物画像認識システムのプロトタイプを実装した.実験では,50種類の食べ物画像データセットを構築し,提案手法の評価を行ない,平均分類率61.34%を達成した.50種類もの大規模な食事画像の分類は,実用的な精度で実現することが困難であったため報告例がないが,本研究ではMKLによる特徴統合を行なう提案手法によって,初めて大規模食事画像分類において高い認識精度を達成することができた.
著者
岸 遼 筧 康明 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.490, pp.15-18, 2009-03-17
被引用文献数
1

点滅パターンをもった1次元光点列を高速移動させることによって残像を生成し,2次元情報の提示を行うことができることは一般的に知られている.しかし,この方法では,光点列の移動速度と点滅パターンの同期をとることが必要不可欠であった.本稿では,このような移動速度と点滅パターンの同期を必要とせず,ユーザーがより自由な操作を行うことができる残像ディスプレイの提案を行う.具体的には可視光通信プロジェクタを用いて空間内に情報を高密度に充填し,その情報を光点列の移動過程でリアルタイムに取得,出力することによって残像を生成するシステムのプロトタイプを製作した.
著者
ニック キャンベル
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.423, pp.47-54, 1998-11-19

CHATRは音声コーパスを用いて音声合成を生成する手法である。本手法は信号処理を施すことなく、音声波形に音響的・韻律的影響を付与する「ゲシュタルト」ラベリングによって適切な音声セグメントを選択する。CHATRは音声コーパスに情報を付与することにより、モデル依存ではなく、自然発話データから直接情報を得る。また、この手法により基本アルゴリズムを変えずに、異なる話者や異なる言語に適用する汎用的な音声合成が実現可能となった。本報告では音声コーパスを7段階の処理(音声収録、ラベリングや分析、圧縮や情報符号化、自動学習、韻律予測、単位選択、波形接続)によって連続発話音声データから合成音声を生成する方式を紹介する。
著者
林 賢紀 松山 龍彦 新元 公寛
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.96-102, 2006-03-01

本報告はOCLCと米国議会図書館が中心に開発,運用しているオンラインレファレンスネットワークシステムQuestionPointの概要,機能,導入事例,今後の展望をのべる。農林水産研究情報センターでの導入事例では,レファレンスサービスのネットワークを通しての全国展開に加え,レファレンスの受理と回答を通じた国際的なレファレンスサービスの事例についても紹介する。国際基督教大学図書館での導入事例では,外国製システムの日本語の扱いに関する問題点と自館のサービス体制の中での問題についても論じている。
著者
村橋 勝子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.826-833, 1999
被引用文献数
2

ライブラリアンは,資料・情報をシステマティックに探す専門家である。利用者と資料を仲介するプロとして機能する要件は,(1)検索システム,(2)専門分野の知識,(3)ユーザオリエンテッドの方法に長けていることである。有効な検索システムやレファレンスツールを作るのはライブラリアンの本領であり,探索のルールや技術,情報流通の仕組み,専門分野の知識を持つことは,優れた情報サービスの基盤である。肝要なのは,ニーズの把握であり,個々のリクエストに迅速・的確に応えてこそ,ユーザの満足度を高める。情報化社会において,データを情報に変える――それが,ライブラリアンの役割である。
著者
木村 学 斉藤 和巳 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.38, pp.51-56, 2006-05-11

本稿では、新聞記事のような文書ストリームを対象に、ホットトピック抽出法に関する検討結果を報告する。具体的には、文書出現のバースト性を土台にしたKleinbergの抽出法に村し、単語出現のバースト性を土台にした改良法を提案する。新聞記事一年間分を用いた評価実験では、人手抽出したベンチマークのホットトピック群に対し、Kleinbergのオリジナル抽出法と比較して、提案法が高い抽出性能を示したことを報告する。
著者
崔春花 北川 博之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.72, pp.315-322, 2004-07-14

近年ネットワークを介して大量の文書の配信や交換が行われており、それらコンテンツの分析技術の重要性が増加している。重要なコンテンツ分析の1つとして、電子メールやニュース記事などの大規模時系列文書ストリーム中におけるトピック分析がある。本研究では、特に、特定のトピックの時間的な活性度の変化の分析を対象とする。対象とするトピックへ関連性が高い文書が高い頻度で到着するのは、そのトピックの活性度が高い状態であり、そうでない場合には活性度が低い状態と見なす。我々は、すでに各文書のトピックに対する関連性と到着頻度の両者を考慮した文書ストリームに対する活性度分析手法を提案した。時系列文書のトピック分析においては、しばしばニュース記事などが到着するたびに連続的に過去の一定期間のトピックの活性度をモニターしたいという場合が考えられる。本論文では、我々の提案手法をもとに、このような時系列文書に対する連続的なトピック分析の手法を提案する。また、実データを用いた実験によりその有効性を検証する。Dissemination and exchange of a large amount of documents have become popular according to the advance of network technology in recent years. Thus, importance of content analysis techniques is increasing. Topic analysis in a series of large-scale document streams such as E-mail and news articles is one of such. important research issues. Our research especially aims at the analysis of time varying activation levels of topics. When documents of high relevance with a specific topic arrive vary frequently, then the activation level of the topic is regarded high, otherwise the activation level is considered to be low. In the previous work, we proposed a systematic topic analysis method for document streams incorporating both document arrival rate and document relevance. Sometimes it is required to continuously analyze topics in the document streams. In this paper, we propose a new method to attain this based on our previous analysis method. Moreover, we evaluate the effectiveness of the proposed method by experiments using real data.
著者
衣川 秀一 中村 治雄 古和 久幸 田崎 義昭
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.363-369, 1974-12-31

Carbohydrate intolerance and hyperlipidemia have been known to be risk factors in atherosclerotic vascular disease. The present study was conducted to determine to what extent alcohol ingestion in man would cause the changes of plasma glucose and lipids in normal and atherosclerotic subjects. One hundred g of oral glucose tolerance tests, with and without 0.5g/kg alcohol ingestion 30 minutes prior to the test, were performed on each subject to measure glucose, immunoreactive insulin (IRI), free fatty acid (FFA), triglyceride, cholesterol, phospholipids and lipoprotein profile. Alcohol ingestion revealed a gradual increase of plasma TG with a concomitant increase of cholesterol in young and aged subjects. This would indicate that alcohol stimulates the release of pre-β lipoprotein from the liver. Under the present experimental conditions, alcohol failed to show glucose intolerance, but clearly increased plasma lipids. The result suggests that hyperlipidemia would be caused by alcohol ingestion and subsequently would result in atherosclerotic lesions.
著者
野田 隆広 北川 結香子 藤本 強 鈴木 英夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.30, pp.193-200, 2004-03-19

エクストリームプログラミング (XP) を促進することを目指した オフィス環境設計事例を報告する.我々のプロジェクトでは教育支援システムの研究開発を行っている.研究の進展にともなって開発システムに当初予定していなかった新しい機能が追加されることがしばしばであり 変化に迅速に対応できる開発手法として XP を採用することにした.我々はプロジェクト立ち上げ時に 幸運にも空きスペースを与えられ 自由にレイアウトを決定できた. オフィス環境はソフトウェア開発において生産性を大きく向上させる要素でもあるので アレグザンダのパタンランゲージを利用して XP の導入が容易になるようなオフィス環境設計を心がけた.We report a case study of designing an office environment to facilitate extreme programming. We have been researching and developing education-support systems. While developing them, we often expanded and improved their functions. Consequently, we have been looking for a software-development methodology which can embrace changes, and found XP. XP is designed to enable us to respond to changing requirement of software. Fotunately, we could use a extra learge empty room and arrange furnitures where we wanted. Because an office environment is an important element which affects software productivity, we planned an office environment that made XP installation easier, to facilitate XP.
著者
小池 英樹 西川 渉 福地 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.111-119, 2009
被引用文献数
1

Liquid Cristal Displays are getting larger, thinner, lighter, and cheaper. They have many advantages when they are used as a tabletop compared to the projector-based tabletop. As is well known, a light from the LCD is polarized and it is blocked when a polarized film is placed as its axis of polarization is perpendicular to that of the LCD. On the other hand, an additional polarized film cancels this image blocking when it is placed on the LCD. By using this optical phenomenon, we developed transparent markers which are almost invisible to human but are still visible to the camera. Moreover, we succeeded to make the markers rotation invariant by using two half waveplates. Tangible transparent Magic Lens applications which use the transparent markers are also shown.
著者
久光 徹 新田 義彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.71-72, 1993-03-01

べた書き日本語文の形態素解析においては、一般にきわめて多数の解が生じるため、それらの中から適切な解を選択する必要がある。そのためにさまざまな解の尤度付け手法が提案されているが、単語(またはカテゴリー)連接に関するマルコフモデルを用いて解の尤度付けを行なう手法は、代表的なものの一つである。本報告では、マルコフモデルを用いる手法において、与えられたマルコフモデルをより有効に利用し、モデルを変形することなく尤度付け精度を向上させる方法として、入力文字列に基づく各解の条件付き確率を利用する方法を提案する。以下では、マルコフモデル、条件付き確率の利用法、およびアルゴリズムについて簡単に述べた後、本手法により、最小コスト解の個数を(正解を含んだまで)低減できることを実験的に示す。更に、本手法を拡張して適用することにより、ある種の非確率的な尤度関数(例えば形態素数最小法、コスト最小法)についても同様の効果が見られることを示す。